
筋トレ中級者以上に効果的な一週間のプログラムの組み方が、週四回の部位分割筋トレ=スプリットトレーニングです。
その具体的な筋肉部位の分け方と、自宅・ジムそれぞれでの筋トレメニューをご紹介します。
部位分割筋トレ(スプリットトレーニング)とは
全身の筋肉を部位に分け一週間をかけてローテーションで鍛える方法

部位分割筋トレとは、全身の筋肉をいくつかのグループに分け、一週間をかけてローテーションで鍛えていく方法です。
筋肉は一度鍛えると72時間程度の超回復期間が必要なため、一度に全身の筋肉を鍛えると、週に二回鍛えるのが限度です。しかし、部位を分割することにより、ローテーションで鍛えながら超回復もさせられるので、部位分割筋トレは非常に効率的なトレーニングメソッドです。
なかでも、一般的に最も効率の高いとされるスプリット方法が週3回の分割トレーニングですが、中級者以上の負荷耐性と食事・休息知識のある方にとっては、週四回分割トレーニングがさらに効果的です。
全身の筋肉を4つのグループに分ける
胸筋系・背筋系・下半身・肩腕系の四本柱

週4回のスプリットトレーニングでは、全身の筋肉を「胸筋系」「背筋系」「下半身」「肩腕系」の四部位に分け、それぞれに超回復速度の速い筋繊維で構成される腹筋群のトレーニングを振り分けます。四本柱となる4グループは以下の通りです。
胸筋系:大胸筋
背筋系:僧帽筋・広背筋
下半身:大腿四頭筋・ハムストリングス
肩腕系:三角筋・上腕三頭筋・上腕二頭筋
この4グループに対して振り分ける腹筋群は、筋肉の連動性を考慮するとともに、一日に鍛える筋肉の総量を4日間ともできるだけ均等になるように振り分けます。
具体的には以下のようになります。
①大胸筋+腹筋群
②下半身の筋肉
③背筋群+腹筋群
④三角筋・上腕三頭筋・上腕二頭筋
なお、さらに詳細な筋肉名称に関しては下記の筋肉図鑑完全版をご参照ください。
▼筋肉名称の詳細記事
【筋肉名称デジタル図鑑】各部位の名前・作用・筋トレ方法(鍛え方)
トレーニング目的別の負荷回数設定
ターゲットにする筋繊維に最適な反復回数

筋肉を構成している筋繊維には主に三種類があり、それは、筋繊維TYPE2b(速筋|FG筋)、筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)、筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)で、それぞれの特徴と鍛えるのに適切な反復回数は以下の通りです。
筋繊維TYPE2b(速筋|FG筋)
筋肥大を目的とした筋力トレーニングを実施する場合は、筋肥大しやすい特性を持つ「筋繊維タイプ2b(短時間に爆発的な収縮をする筋繊維)」を対象として行います。具体的には8~10回前後の反復動作で限界がくる負荷設定で筋力トレーニングを実施します。
筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)
体力作りを目的とした筋力トレーニングを実施する場合は、中程度に筋肥大する特性を持つ「筋繊維タイプ2a(持久要素のある瞬発的な収縮をする筋繊維)」を対象として行います。具体的には12~15回前後の反復動作で限界がくる負荷設定で筋力トレーニングを実施します。
筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)
筋肥大を伴わない筋力トレーニングを実施する場合は、ほぼ筋肥大せずに緊密度が向上する特性を持つ「筋繊維タイプ1(持久的に収縮をする筋繊維)」を対象として行います。具体的には20回以上の反復動作で限界がくる負荷設定で筋力トレーニングを実施します。
それでは、次の項目からは、自宅(自重+ダンベル)・ジム(バーベル+マシン)それぞれの具体的な筋トレメニュープログラムを例示していきます。
また、トレーニングの順番は筋トレの基本通り、複数の筋肉のコンパウンド種目→個別の筋肉のアイソレーション種目の順です。
なお、各トレーニング種目名は、動画付き個別種目解説記事にリンクにしておきますので、是非ご活用ください。
週一回目の筋トレ(胸+腹)
自宅筋トレ
①腕立て伏せまたは足上げ腕立て伏せまたは斜め腕立て伏せまたは膝つき腕立て伏せまたはチューブチェストプレスまたはダンベルプレスを2~3セット
②ディップスまたはダンベルデクラインプレスを2~3セット
③ダンベルインクラインプレスを2~3セット
④チューブチェストフライまたはダンベルフライまたはダンベルインクラインフライを2~3セット
⑤ダンベルベントアームプルオーバーを2~3セット
⑥クランチまたはチューブクランチまたはダンベルクランチを1~2セット
⑦レッグレイズまたはチューブレッグレイズまたはダンベルレッグレイズを1~2セット
⑧クランチツイストまたはダンベルサイドベントまたはダンベルトゥタッチクランチを1~2セット
ジム筋トレ
①スミスマシンベンチプレスまたはマシンチェストプレスまたはバーベルベンチプレスを2~3セット
②バーベルデクラインプレスを1~2セット
③バーベルワイドグリッププレスを1~2セット
④バーベルインクラインプレスまたはバーベルリバースグリッププレスを1~2セット
⑤マシンチェストフライまたはケーブルフライを1~2セット
⑥ケーブルクランチを2~3セット
⑦ケーブルサイドベントまたはトルソーマシンツイストを2~3セット
週二回目の筋トレ(下半身)
自宅筋トレ
①自重スクワットまたはチューブスクワットまたはチューブレッグプレスまたはダンベルスクワットを2~3セット
②ブルガリアンスクワットまたはチューブスティッフレッグドデッドリフトまたはダンベルフロントランジを1~2セット
③ダンベルサイドランジを1~2セット
④シシースクワットまたはダンベルレッグエクステンションを1~2セット
⑤チューブレッグカールまたはダンベルレッグカールを1~2セット
ジム筋トレ
①スミスマシンスクワットまたはマシンレッグプレスまたはバーベルスクワットを2~3セット
②バーベルフロントランジまたはバーベルスティッフレッグドデッドリフトを2~3セット
③バーベルサイドランジを2~3セット
④マシンレッグエクステンションを2~3セット
⑤マシンレッグカールを2~3セット
週三回目の筋トレ(背筋+腹)
自宅筋トレ
②チューブローイングまたはダンベルデッドリフトまたはダンベルローイングを2~3セット
③チューブラットプルまたはダンベルストレートアームプルオーバーを2~3セット
④チューブショルダーシュラッグまたはチューブリバースフライまたはダンベルショルダーシュラッグを2~3セット
⑤クランチまたはチューブクランチまたはダンベルクランチを1~2セット
⑥レッグレイズまたはチューブレッグレイズまたはダンベルレッグレイズを1~2セット
⑦クランチツイストまたはダンベルサイドベントまたはダンベルトゥタッチクランチを1~2セット
ジム筋トレ
①スミスマシンデッドリフトまたはTバーローイングまたはバーベルデッドリフトを2~3セット
②ケーブルローイングまたはバーベルベントオーバーローを2~3セット
③ラットマシンプルダウンまたはバーベルプルオーバーを2~3セット
④ケーブルショルダーシュラッグまたはバーベルショルダーシュラッグを2~3セット
⑤スミスマシングッドモーニングまたはバーベルグッドモーニングを2~3セット
⑥ケーブルクランチを2~3セット
⑦ケーブルサイドベントまたはトルソーマシンツイストを2~3セット
週四回目の筋トレ(肩+腕)
自宅筋トレ
①ワイド腕立て伏せまたはパイクプッシュアップまたはチューブショルダープレスまたはチューブアップライトローまたはダンベルショルダープレスまたはダンベルアップライトローを2~3セット
②チューブフロントレイズまたはダンベルフロントレイズを1~2セット
③チューブサイドレイズまたはダンベルサイドレイズを1~2セット
④チューブフェイスプルまたはダンベルリアラテラルライズまたはダンベルリアデルタローを1~2セット
⑤ナロー腕立て伏せまたはチューブフレンチプレスまたはダンベルフレンチプレスを2~3セット
⑥チューブプレスダウンまたはチューブキックバックまたはダンベルキックバックを1~2セット
⑦逆手懸垂またはチューブカールまたはダンベルカールを1~2セット
⑧ダンベルハンマーカールまたはダンベルサイドカールを1~2セット
⑨ダンベルインクラインカールまたはダンベルコンセントレーションカールまたはダンベルドラッグカールを1~2セット
ジム筋トレ
①スミスマシンショルダープレスまたはケーブルアップライトローまたはマシンショルダープレスまたはバーベルショルダープレスを2~3セット
②スミスマシンアップライトローまたはバーベルアップライトローを1~2セット
③ケーブルデルタレイズを1~2セット
④ケーブルフェイスプルまたはバーベルリアデルタローイングを1~2セット
⑤スミスマシンナロープレスまたはマシンディップスまたはバーベルナローベンチプレスを2~3セット
⑥ケーブルトライセプスプレスダウンまたはバーベルフレンチプレスを1~2セット
⑧バーベルドラッグカールを1~2セット
トレーニングの基本理論
トレーニング種目を実施する順序

トレーング種目を実施する順序は、コンパウンド種目(複数の筋肉と関節を動かす多関節運動種目)を先に行い、その後でアイソレーション種目(単一の筋肉と関節を動かす単関節運動)を行うのが基本です。また、複数のコンパウンド種目・アイソレーション種目を実施する場合は、それぞれ使用重量の高い種目から先に行います。
トレーニング動作と首の連動性

トレーニングフォーム全般において重要となるのは、実施する種目の動作と首の位置関係を適切に保つことです。特に、身体の前側の筋群(大胸筋・三角筋・上腕三頭筋・大腿四頭筋など)を収縮させる局面では、動作フィニッシュで軽く顎を引き、首を安定させることが有効です。
一方で、身体の後ろ側の筋群(広背筋・僧帽筋・上腕二頭筋・脊柱起立筋・ハムストリングスなど)を収縮させる局面では、動作フィニッシュで首の位置をわずかに後方へ誘導し、顎の角度を適切に調整することで動作が安定します。
トレーニング動作と呼吸

トレーニング動作における呼吸タイミングも重要な要素です。一般に、筋肉は息を吐く局面で収縮が高まり、息を吸う局面で弛緩しやすくなります。そのため、動作フィニッシュの位置では息をしっかり吐いて筋活動を安定させ、いったん動作を止めてから息を吸い、元の姿勢へ戻る流れを作ることが有効です。
部位分割法リスト
また、週2~4回の総合的な部位分割トレーニング法については、下記サイトで詳しくご紹介していますので、あわせてご参照ください。
▼関連記事
【週2・3・4回の部位分割筋トレメニュー例】具体的に自宅・ジムそれぞれに解説
トレーニング器具と補助用品

細マッチョになる週5筋トレメニュー
フィジーク選手の実際の筋トレメニュー

筋トレ効果を高めるテクニック

筋トレを続けていくと、誰しもがぶつかるのが「発達停滞期=プラトー」ですが、これは筋肉がトレーニングの刺激に慣れてしまうことが大きな要因です。この壁を突破していくためには「筋肉をだますテクニック」が必要になります。下記の記事では、筋トレ効果を高める・効率を上げてプラトーを突破するためのさまざまなテクニックをご紹介しています。
▼関連記事
【筋トレ効果・効率を高めるテクニック】停滞期を突破し成果を出す方法
発想の筋トレ
目からうろこのコラム記事集

大好評の発想と工夫の筋トレシリーズを一覧にまとめました。
うまく効かせられない筋トレ種目がある時は、ぜひ、参考にしてください。
