【ケーブルフライの基本四種目】大胸筋上部・下部・内側に効果的なやり方

この記事は全日本3位以上・日本代表の各競技選手のみが執筆した専門記事です。

大胸筋の仕上げマシントレーニングとして最適なケーブルフライには、大胸筋上部・下部・内側の部位別に効果的なやり方が主に四種類あります。そのやり方とポイントを動画をまじえて解説します。

執筆者・監修者・運営者情報

ケーブルフライが効果のある筋肉部位

各筋肉の構造や作用および起始停止・支配神経に関しては下記の専門サイトおよび学術文献を参照しています。

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Skeletal muscle: A review of molecular structure and function, in health and disease - PMC
Decades of research in skeletal muscle physiology have provided multiscale insights into the structural and functional complexity of this important anatomical t...

Skeletal Muscle: A Brief Review of Structure and Function(PDF)

大胸筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止

読みかた:だいきょうきん
英語名称:pectoralis major muscle
部位詳細:上部中部(内側)下部
起始:鎖骨の内側胸骨前面第2~6肋軟骨腹直筋鞘前葉
停止:上腕骨大結節稜

三角筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止

読みかた:さんかくきん
英語名称:deltoid muscle
部位詳細:前部中部(側部)後部
起始:鎖骨外側前縁肩甲骨肩峰肩甲骨肩甲棘
停止:上腕骨三角筋粗面

ケーブルフライは大胸筋に効果があり、そのやり方によって大胸筋上部・下部・内側と効果のある部位が変化します。また、二次的に三角筋にも効果があります。

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大胸筋上部に効果的なローケーブルフライ

大胸筋上部に効果的なケーブルフライがローケーブルフライです。斜め上方向に腕を閉じていくことを意識して行ってください。

大胸筋下部に効果的なハイケーブルフライ

大胸筋下部に効果的なケーブルフライがハイケーブルフライです。斜め下方向に腕を閉じていくことを意識して行ってください。

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大胸筋内側に効果的なミドルケーブルフライ

大胸筋内側に効果的なケーブルフライがミドルケーブルフライです。前方に腕を閉じていくことを意識して行ってください。

大胸筋内側を集中的に追い込むクロスオーバーケーブルフライ

シングルハンドで行うクロスオーバーケーブルフライは、両手で行う種目に比べ、拳が身体の中心線を超える反対側まで動作するので、より強く大胸筋内側を収縮させることが可能です。

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ケーブルフライに共通のコツ

ケーブルフライに共通する最大のコツは「ただ閉じるだけでなくフィニッシュで腕を押し出す」ことです。これにより大胸筋が最大収縮します。

なお、大胸筋上部ならば斜め上方法に、大胸筋下部ならば斜め下方向に、大胸筋内側なら前方に押し出す軌道で行ってください。

◆ケーブルフライのやり方と動作ポイント
①肩甲骨を寄せ、肘を伸ばし、腕を開いた位置でアタッチメントをグリップして構える

②肘を伸ばしたまま、腕を閉じていく

③腕を閉じたら、両手を合わせてやや前に押し出すとともに、顎を引いて大胸筋内側を完全収縮させる

④同じ軌道で、筋肉にストレッチをかけながらゆっくりと元に戻る

◆ワンポイントアドバイス
腕を閉じた後に、両手を前に押し出す動作を加えることで、大胸筋が完全収縮して効果が高まります。

当サイト執筆者は、運営しているクラブチームジム「FutamiTC」で日常的にトレーニング指導を行っており、本記事の内容も実際の指導現場で得た経験をもとにフォームのポイントやアドバイス点をまとめています。

ジムトレーナーとしての実際の指導ポイント

トレーニング動作と首の連動性

トレーニングフォーム全般において重要となるのは、実施する種目の動作と首の位置関係を適切に保つことです。特に、身体の前側の筋群(大胸筋・三角筋・上腕三頭筋・大腿四頭筋など)を収縮させる局面では、動作フィニッシュで軽く顎を引き、首を安定させることが有効です。

一方で、身体の後ろ側の筋群(広背筋・僧帽筋・上腕二頭筋・脊柱起立筋・ハムストリングスなど)を収縮させる局面では、動作フィニッシュで首の位置をわずかに後方へ誘導し、顎の角度を適切に調整することで動作が安定します。

トレーニング動作と呼吸

トレーニング動作における呼吸タイミングも重要な要素です。一般に、筋肉は息を吐く局面で収縮が高まり、息を吸う局面で弛緩しやすくなります。そのため、動作フィニッシュの位置では息をしっかり吐いて筋活動を安定させ、いったん動作を止めてから息を吸い、元の姿勢へ戻る流れを作ることが有効です。

それでは、次の項目では、実際に筆者がジムトレーナーとして運営ジムで選手に指導している本種目の具体的な動作ポイント・フォームについて解説します。

本種目の具体的な動作ポイント・フォーム

大胸筋を完全収縮させるためには、顎を引いて首をやや前屈させる必要があります。セット終盤で苦しくなっても、顎を上げず動作を行ってください。また、各ケーブルフライの最大のポイントは、腕を閉じるだけでなく、その後にいかに押し込み動作を入れるかです。

ケーブルフライの順番と回数設定

ターゲットにする筋繊維に最適な反復回数

筋肉を構成している筋繊維には主に三種類があり、それは、筋繊維TYPE2b(速筋|FG筋)、筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)、筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)で、それぞれの特徴と鍛えるのに適切な反復回数は以下の通りです。

筋繊維TYPE2b(速筋|FG筋)

筋肥大を目的とした筋力トレーニングを実施する場合は、筋肥大しやすい特性を持つ「筋繊維タイプ2b(短時間に爆発的な収縮をする筋繊維)」を対象として行います。具体的には8~10回前後の反復動作で限界がくる負荷設定で筋力トレーニングを実施します。

筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)

体力作りを目的とした筋力トレーニングを実施する場合は、中程度に筋肥大する特性を持つ「筋繊維タイプ2a(持久要素のある瞬発的な収縮をする筋繊維)」を対象として行います。具体的には12~15回前後の反復動作で限界がくる負荷設定で筋力トレーニングを実施します。

筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)

筋肥大を伴わない筋力トレーニングを実施する場合は、ほぼ筋肥大せずに緊密度が向上する特性を持つ「筋繊維タイプ1(持久的に収縮をする筋繊維)」を対象として行います。具体的には20回以上の反復動作で限界がくる負荷設定で筋力トレーニングを実施します。

トレーニング種目を実施する順序

トレーング種目を実施する順序は、コンパウンド種目(複数の筋肉と関節を動かす多関節運動種目)を先に行い、その後でアイソレーション種目(単一の筋肉と関節を動かす単関節運動)を行うのが基本です。また、複数のコンパウンド種目・アイソレーション種目を実施する場合は、それぞれ使用重量の高い種目から先に行います。

ケーブルフライ系種目は大胸筋の単関節種目なので、腕立て伏せ系やプレス系種目など複合関節種目の後に行ってください。
また、適切な1セットの負荷回数設定は以下の通りです。

○筋肥大トレーニング:6~10回
○通常トレーニング:15回前後
○シェイプアップ筋トレ:20回以上

本種目のポイントまとめ

肩甲骨を固定して胸を張る

ケーブルフライでは、最初に肩甲骨を軽く寄せて下げ、胸をしっかり張った姿勢を作ってから動作を始めることが重要になります。このポジションが崩れると腕だけで動作しやすくなり、大胸筋ではなく三角筋前部ばかりに効いてしまいますので、スタートポジションで胸郭と肩甲骨を安定させる意識を持つことが大切です。

肘の角度を保ったまま抱え込むように動かす

動作中は肘の角度をやや曲げた位置で固定し、その角度を保ったまま「身体の前で抱え込む」軌道で腕を閉じていきます。肘が大きく曲がったり伸びたりするとプレス動作に近くなり、大胸筋への負荷が分散してしまいますので、常に肘の角度を一定に保ちながら円弧を描くように動かすことがポイントになります。

押し出す方向で狙う部位を使い分ける

フィニッシュで腕を押し出す方向によって、大胸筋のどの部位に負荷が集中するかが変わります。斜め上方向に押し出すと大胸筋上部に、斜め下方向に押し出すと大胸筋下部に、正面方向に押し出すと大胸筋内側に効きやすくなりますので、狙いたい部位に合わせて押し出す方向を使い分けることが効果を高めるコツになります。

フレキシブルな軌道でのケーブルトレーニング

ケーブルトレーニングの最大のメリットは、フレキブルな軌道で効かせたい筋肉部位にピンポイントで負荷を加えられることです。このためには、布・ロープ製のアタッチメントが有効です。

当サイト運営ショップで取り扱いをしているLARA★STARマルチーロープアタッチメントは、長さの違う2か所のグリップ部でナロー・ワイドグリップの選択ができ、フレキシブルな軌道で動作ができる布製アタッチメント、とケーブル系トレーニングが自由自在にアレンジできる逸品です。

ケーブルアタッチメントの種類と特徴

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