
筋肥大筋トレの最も効率的な一週間のプログラムの組み方が、週三回の部位分割筋トレ=スプリットトレーニングです。
その具体的な筋肉部位の分け方と、自宅・ジムそれぞれでの筋トレメニューをご紹介します。
なお、本トレーニングプログラムは各競技日本代表選手たちの実践メニューをベースに組み立てられています。
本記事の制作・監修アスリート



部位分割筋トレ(スプリットトレーニング)とは
全身の筋肉を部位に分け一週間をかけてローテーションで鍛える方法

部位分割筋トレとは、全身の筋肉をいくつかのグループに分け、一週間をかけてローテーションで鍛えていく方法です。
筋肉は一度鍛えると72時間程度の超回復期間が必要なため、一度に全身の筋肉を鍛えると、週に二回鍛えるのが限度です。しかし、部位を分割することにより、ローテーションで鍛えながら超回復もさせられるので、部位分割筋トレは非常に効率的なトレーニングメソッドです。
なかでも、一般的に最も効率の高いとされるスプリット方法が週3回の分割トレーニングです。
全身の筋肉を3つのグループに分ける
胸筋系・背筋系・下半身の三本柱

週3回のスプリットトレーニングでは、全身の筋肉を「胸筋系」「背筋系」「下半身」の三部位に分け、それぞれに超回復速度の速い筋繊維で構成される前腕筋群と腹筋群のトレーニングを振り分けます。三本柱となる3グループは以下の通りです。
胸筋系:大胸筋・三角筋・上腕三頭筋
背筋系:僧帽筋・広背筋・上腕二頭筋
下半身:大腿四頭筋・ハムストリングス
この3グループに対して振り分ける前腕筋群と腹筋群は、筋肉の連動性を考慮するとともに、一日に鍛える筋肉の総量を3日間ともできるだけ均等になるように振り分けます。
なお、筋肉の総量は以下の通りです。
下半身≧背筋系>胸筋系
具体的には、前腕筋群は腕を使用する「胸筋系」と「背筋系」の日に振り分けます。そして、腹直筋は「胸筋系」の日に、腹斜筋は「背筋系」の日に振り分け、一日当たりに鍛える筋肉総量もほぼ三分割します。
なお、さらに詳細な筋肉名称に関しては下記の筋肉図鑑完全版をご参照ください。
▼筋肉名称の詳細記事

トレーニング目的別の負荷回数設定
ターゲットにする筋繊維に最適な反復回数

筋肉を構成している筋繊維には主に三種類があり、それは、筋繊維TYPE2b(速筋|FG筋)、筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)、筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)で、それぞれの特徴と鍛えるのに適切な反復回数は以下の通りです。
筋繊維TYPE2b(速筋|FG筋)
筋肥大を目的とした筋力トレーニングを実施する場合は、筋肥大しやすい特性を持つ「筋繊維タイプ2b(短時間に爆発的な収縮をする筋繊維)」を対象として行います。具体的には8~10回前後の反復動作で限界がくる負荷設定で筋力トレーニングを実施します。
筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)
体力作りを目的とした筋力トレーニングを実施する場合は、中程度に筋肥大する特性を持つ「筋繊維タイプ2a(持久要素のある瞬発的な収縮をする筋繊維)」を対象として行います。具体的には12~15回前後の反復動作で限界がくる負荷設定で筋力トレーニングを実施します。
筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)
筋肥大を伴わない筋力トレーニングを実施する場合は、ほぼ筋肥大せずに緊密度が向上する特性を持つ「筋繊維タイプ1(持久的に収縮をする筋繊維)」を対象として行います。具体的には20回以上の反復動作で限界がくる負荷設定で筋力トレーニングを実施します。
筋肉グループのローテーションの順番
上半身の筋トレの間に下半身を挟む
この3グループのトレーニングローテーションの順番は、上半身の筋トレの間に下半身の日を挟むのが、効率的な超回復の観点から理想的です。
ここまでに解説したことを総合して週3回の部位分割をすると以下のようになります。
○週一回目の筋トレ:胸筋系+前腕筋群+腹筋群
○週二回目の筋トレ:下半身
○週三回目の筋トレ:背筋系+前腕筋群+腹斜筋
それでは、次の項目からは、自宅(自重+ダンベル)・ジム(バーベル+マシン)それぞれの具体的な筋トレメニュープログラムを例示していきます。
また、トレーニングの順番は筋トレの基本通り、複数の筋肉のコンパウンド種目→個別の筋肉のアイソレーション種目の順です。
なお、各トレーニング種目名は、動画付き個別種目解説記事にリンクにしておきますので、是非ご活用ください。
週一回目:胸筋系の筋トレメニュー

自宅トレーニング(自重+チューブ・ダンベル)
①腕立て伏せorチューブチェストプレスorダンベルプレス:3セット
②パイクプッシュアップorチューブショルダープレスorダンベルショルダープレス:2セット
③ナロー腕立て伏せorチューブプレスダウンorダンベルトライセプスプレス:2セット
④チューブチェストフライorダンベルフライorダンベルインクラインフライ:2セット
⑤チューブサイドレイズorチューブフロントレイズorダンベルサイドレイズorダンベルフロントレイズ:2セット
⑥チューブキックバックorダンベルフレンチプレスorダンベルキックバック:2セット
ジムトレーニング(バーベル+マシン)
①バーベルベンチプレスorマシンチェストプレス:3セット
②バーベルショルダープレスorマシンショルダープレス:2セット
③バーベルナローベンチプレスorスミスマシンナロープレス:2セット
④マシンチェストフライorケーブルフライ:2セット
⑤ケーブルアップライトローorケーブルデルタレイズ:2セット
⑥ケーブルトライセプスプレスダウン:2セット
⑦ケーブルクランチ:3セット
胸トレの鉄板種目ベンチプレス|パワーリフティング世界王者による解説

さらに詳しい胸筋系部位別筋トレ
【大胸筋の筋トレ大全】上部・下部・内側・外側の鍛え方を完全解説
【肩の筋トレ大全】三角筋前部・中部・後部とローテーターカフの鍛え方
【上腕三頭筋の筋トレ大全】長頭と短頭それぞれの鍛え方を完全解説
週二回目:下半身の筋トレメニュー

自宅トレーニング(自重+チューブ・ダンベル)
①自重スクワットorブルガリアンスクワットorチューブスクワットorダンベルスクワット:3セット
②ダンベルフロントランジ:2セット
③チューブレッグエクステンションorダンベルレッグエクステンション:2セット
④チューブスティッフレッグドデッドリフトorダンベルスティッフレッグドデッドリフト:2セット
⑤チューブレッグカールorダンベルレッグカール:2セット
ジムトレーニング(バーベル+マシン)
①バーベルスクワットorスミスマシンスクワットorマシンレッグプレス:3セット
②ハックスクワット:2セット
③バーベルフロントランジorバーベルサイドランジ:2セット
④マシンレッグエクステンション:2セット
⑤マシンレッグカール:2セット
脚トレの鉄板種目スクワット|パワーリフティング世界王者による解説

さらに詳しい下半身の部位別筋トレ
【下半身の筋トレ大全】大腿四頭筋・ハムストリングスの鍛え方を完全解説
週三回目:背筋系の筋トレメニュー

自宅トレーニング(自重+チューブ・ダンベル)
②チューブベントオーバーローorダンベルデッドリフト:2セット
③チューブローイングorダンベルローイングorダンベルストレートアームプルオーバー:2セット
④チューブショルダーシュラッグorダンベルショルダーシュラッグ:2セット
⑤チューブカールorダンベルカールorダンベルドラッグカールorダンベルハンマーカール:3セット
⑥チューブコンセントレーションカールorダンベルコンセントレーションカールorダンベルサイドカール:1セット
⑦クランチツイストorダンベルトゥタッチクランチorダンベルウッドチョッパー:2セット
ジムトレーニング(バーベル+マシン)
①バーベルデッドリフトorバーベルベントオーバーロー:3セット
②ラットマシンプルダウンorバーベルプルオーバー:2セット
④バーベルショルダーシュラッグorケーブルショルダーシュラッグ:2セット
⑤バーベルドラッグカール:2セット
⑦クランチツイストorダンベルトゥタッチクランチorダンベルウッドチョッパー:2セット
背中トレの鉄板種目デッドリフト|パワーリフティング世界王者による解説

さらに詳しい背筋系部位別筋トレ
【背中の筋トレ大全】僧帽筋・広背筋・長背筋の鍛え方を完全解説
【上腕二頭筋の筋トレ大全】長頭と短頭それぞれの鍛え方を完全解説
さらに詳しい腹筋部位別筋トレ
トレーニングの基本理論
トレーニング種目を実施する順序

トレーング種目を実施する順序は、コンパウンド種目(複数の筋肉と関節を動かす多関節運動種目)を先に行い、その後でアイソレーション種目(単一の筋肉と関節を動かす単関節運動)を行うのが基本です。また、複数のコンパウンド種目・アイソレーション種目を実施する場合は、それぞれ使用重量の高い種目から先に行います。
トレーニング動作と首の連動性

トレーニングフォーム全般において重要となるのは、実施する種目の動作と首の位置関係を適切に保つことです。特に、身体の前側の筋群(大胸筋・三角筋・上腕三頭筋・大腿四頭筋など)を収縮させる局面では、動作フィニッシュで軽く顎を引き、首を安定させることが有効です。
一方で、身体の後ろ側の筋群(広背筋・僧帽筋・上腕二頭筋・脊柱起立筋・ハムストリングスなど)を収縮させる局面では、動作フィニッシュで首の位置をわずかに後方へ誘導し、顎の角度を適切に調整することで動作が安定します。
トレーニング動作と呼吸

トレーニング動作における呼吸タイミングも重要な要素です。一般に、筋肉は息を吐く局面で収縮が高まり、息を吸う局面で弛緩しやすくなります。そのため、動作フィニッシュの位置では息をしっかり吐いて筋活動を安定させ、いったん動作を止めてから息を吸い、元の姿勢へ戻る流れを作ることが有効です。
週2〜5回の分割筋トレプログラム

なお、週に二回〜四回の部位分割筋トレの具体的なメニュープログラムは下記に記事にまとめましたので、是非ご参照ください。
細マッチョになる週5筋トレメニュー
フィジーク選手の実際の筋トレメニュー

下記の記事では、いわゆる細マッチョ的なプロポーションと筋肉の美しさを競う競技である「フィジーク」向きの筋トレメニュー(週5回の部位分割トレーニング)を、実際にフィジーク競技で優勝歴もある選手のプログラムをベースにして解説します。


また、同選手の減量期における食事メニュー例は以下のとおりです。

筋肥大バルクアップ筋トレメニュー

下記のページは筋肥大・バルクアップに特化した筋トレメニューの組み方や、筋肥大向きの各トレーニング種目の実施方法に関するメソッド・プログラムをまとめた記事です。

筋トレの基礎知識

筋トレを実施する上で、必要不可欠となる基礎知識を項目ごとに解説したのが下記の記事群です。
科学的知識に基づいてトレーニングを行っていくことは、成果を出していくにあたり非常に大切なことです。
筋トレの回数設定筋トレの適正頻度
筋トレの呼吸方法筋トレを行う順番
筋トレの挙上速度筋トレのセット数
筋肉の構造と仕組筋肉痛時の筋トレ
各筋繊維別の特性速筋の種類と特徴
筋トレのメリット筋トレの目標設定
筋トレのプラトー筋トレの過剰負荷
筋トレの適正気温適正インターバル
筋トレの効果と成果が出るまでの期間
各種運動と筋トレの消費カロリー比較
アクティブレスト(動的休養)について
トレーニング器具と補助用品

トレーニングで使用するギア類(補助用品や器具類)についても、正しい知識=使い方・選び方を身に着けることで、その効果・成果は大きく違ってきます。
下記の記事では、元日本代表選手が忖度なしに本音で解説しています。

筋トレ効果を高めるテクニック

筋トレを続けていくと、誰しもがぶつかるのが「発達停滞期=プラトー」ですが、これは筋肉がトレーニングの刺激に慣れてしまうことが大きな要因です。この壁を突破していくためには「筋肉をだますテクニック」が必要になります。下記の記事では、筋トレ効果を高める・効率を上げてプラトーを突破するためのさまざまなテクニックをご紹介しています。
▼関連記事
【筋トレ効果・効率を高めるテクニック】停滞期を突破し成果を出す方法
発想の筋トレ
目からうろこのコラム記事集

大好評の発想と工夫の筋トレシリーズを一覧にまとめました。
うまく効かせられない筋トレ種目がある時は、ぜひ、参考にしてください。
