【事前予備疲労法】特定の筋肉を集中的に追い込む筋トレ=プレイグゾーストメソッド

この記事は全日本3位以上・日本代表の各競技選手のみが執筆した専門記事です。

事前疲労法・予備疲労法と呼ばれるプレイグゾーストメソッドは、ターゲットにした筋肉のみを使う単関節運動(アイソレーション種目)をまず行い、その後にターゲットにした筋肉を含めた複合関節運動(コンパウンド種目)を行うことで、特定の筋肉を徹底的に追い込める筋トレ方法です。

そのやり方と注意点、具体的な種目・メニューの組み方を解説します。

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単関節運動と複合関節運動と筋トレの順番

基本は複合関節運動→単関節運動

筋トレの基本としては、より高重量が扱え複数の筋肉を使う複合関節運動(コンパウンド種目)を充分におこなっておいてから、個別の筋肉を単関節運動(アイソレーション種目)で仕上げるのが定石です。

これは、先に単関節運動(アイソレーション種目)で特定の筋肉だけが疲れると、複合関節運動(コンパウンド種目)ではその筋肉が他の筋肉の足を引っ張る形となり、十分なパフォーマンスで鍛えることができなくなるからです。

予備疲労では単関節→複合関節で行う

一方、事前疲労法・予備疲労法では上記のことを逆手にとり、特に鍛えたい部分=ベンチプレス選手の大胸筋やアームレスラーの上腕二頭筋など、自分の体重なかで突出して筋力の強い筋肉を先に単関節運動(アイソレーション種目)で疲れさせておいてから、複合関節運動(コンパウンド種目)で追い込みます。

これを、プレ・イグゾーストメソッドと言います。

なお、この筋トレメソッドは、コンパウンド種目のセット中にウエイトのコントロールを失うリスクがあるため、十分に鍛えられた中級者~上級者むきの筋トレ方法です。

また、初心者の方でチャレンジしてみたい方は、ウエイト落下のないマシントレーニングで行うと効果的です。

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具体的な予備疲労法の種目組み合わせ

それでは、ここからは各筋肉部位別の予備疲労法の適切な組み合わせ例をご紹介します。

大胸筋の予備疲労法

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ダンベルフライ・マシンフライ(単)→腕立て伏せ・ダンベルプレス・ベンチプレス・マシンチェストプレス(複合)

大胸筋を予備疲労法で追い込む場合は、アイソレーション種目のダンベルフライまたはマシンフライで事前に大胸筋を疲労させておき、腕立て伏せ・ダンベルプレス・ベンチプレス・マシンチェストプレスなどの大胸筋が主働となるコンパウンド種目を行います。

三角筋の予備疲労法

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フロントレイズ・サイドレイズ(単)→ショルダープレス・アップライトロー(複合)

三角筋を予備疲労法で追い込むためには、フロントレイズやサイドレイズなどの単関節種目を先に行い、その後にショルダープレス系やアップライトローイング系の複合関節種目を行います。

上腕三頭筋の予備疲労法

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フレンチプレス・キックバック・プレスダウン(単)→ダイヤモンド腕立て伏せ・ダンベルトライセプスプレス・ナローベンチプレス(複合)

上腕三頭筋を予備疲労法で追い込むためには、まずフレントプレス(トライセプスエクステンション)・ダンベルキックバック・ケーブルプレスダウンなどの単関節種目を事前に行い、その後にダイヤモンド腕立て伏せ・ダンベルトライセプスプレス・ナローグリップベンチプレス系といった複合関節種目を実施します。

背筋の予備疲労法

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ショルダーシュラッグ・リバースフライ(単)→懸垂・ダンベルローイング・ベントオーバーロー・ラットプルダウン(複合)

背筋(僧帽筋・広背筋)を予備疲労法で追い込むためには、ショルダーシュラッグ(僧帽筋)・リバースフライ(広背筋)などの短観選津種目をあらかじめ行い、その後に懸垂・ダンベルローイング・ベントオーバーロー・ケーブルラットプルダウンといった複合関節種目を行います。

上腕二頭筋の予備疲労法

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各種カール系(単)→逆手懸垂・逆手ラットプルダウン(複合)

上腕二頭筋を予備疲労法で追い込むには、各種カール系の単関節種目をあらかじめ実施し、その後で逆手懸垂や逆手ラットプルダウンといった複合関節種目を行います。

下半身の予備疲労法

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レッグエクステンション・レッグカール(単)→スクワット系各種目(複合)

下半身の筋肉を予備疲労で追い込むためには、レッグエクステンション(大腿四頭筋)やレッグカール(ハムストリングス)などの単関節運動を事前に行い→その後、自重スクワットやレッグプレスなどの複合関節種目を実施します。なお、バーベルスクワットは転倒などのリスクが高すぎるため避けたほうがよいでしょう。

さまざまな筋トレメソッド

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筋トレ効果を高める各種のメソッド・トレーニング方法を詳細解説したものが下記の記事です。刺激を変えたい、さらに追い込みたいときなどに是非ご活用ください。

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筋トレ効率を上げる基本理論

もう一度基本を見直すことも大切

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トレーニングの効率を上げて成果を出すためには、様々なセット法を試す以外にも「トレーニング理論の基本を見直す」ことも大切です。

トレーニング種目を実施する順序

トレーング種目を実施する順序は、コンパウンド種目(複数の筋肉と関節を動かす多関節運動種目)を先に行い、その後でアイソレーション種目(単一の筋肉と関節を動かす単関節運動)を行うのが基本です。また、複数のコンパウンド種目・アイソレーション種目を実施する場合は、それぞれ使用重量の高い種目から先に行います。

トレーニング動作と首の連動性

一般的に身体の前側(大胸筋・大腿四頭筋など)の種目では、フィニッシュポジションで軽く顎を引くことで筋肉が最大収縮しやすくなります。

一方、身体の後ろ側(背筋群・ハムストリングスなど)の種目では、フィニッシュポジションで軽く顎を上げることで筋肉が最大収縮しやすくなります。

トレーニング動作と呼吸

筋肉は息を吐く時に収縮し、息を吸う時に弛緩する特性を持っています。このため、息を吐きながら動作を始め、筋肉の最大収縮ポジションで息を吐き切ってから元に戻るようにします。

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停滞期を突破するには食事の見直しも大切

筋肥大の停滞期に重要なのは、筋肉を騙すトレーニング法だけではありません。

筋トレの効果を出すための基本である食事メニューを見直すのも非常に重要です。

まず、筋トレをして筋肥大するためには体重あたり2gの純タンパク質が必要とされています。つまり、70kgの人の場合、一日に140gの純タンパク質(肉類に換算して700g)とかなり多く、この量を摂りきれていないために筋肥大が停滞しているケースも少なくありません。

なお、筋トレと食事に関する情報は多岐にわたりますので、下記の記事をご参照ください。

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【筋トレの食事メニューレシピ例紹介】バルクアップ・身体作りそれぞれに最適なカロリー・栄養素比率

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筋肉部位別ストレッチ法

筋トレと合わせて行うことで、トレーニング効果を高めてくれるのがストレッチです。ストレッチを行うタイミングはトレーニング前・トレーニング中・トレーニング後ですが、それぞれに異なる意味があります。

下記の記事では、全身の筋肉部位別のストレッチ方法を、大胸筋・背筋群(僧帽筋・広背筋)・三角筋・上腕二頭筋・上腕三頭筋・大腿筋群それぞれに動画をまじえて詳しく解説しています。

また、筋トレにおけるストレッチの効果と行うのに最適なタイミングもご紹介していますので、ご参照ください。

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【筋肉部位別ストレッチ方法】大胸筋・背筋・三角筋・上腕・大腿別に動画で解説

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