筋繊維タイプの分類|速筋・遅筋の3種類と収縮特性について

本記事は、生物学の学芸員として身体構造に携わってきた経験と、競技者として実際に身体を使ってきた視点から、筋肉の名称と働きを分かりやすく解説するものです。医療目的ではなく、身体の理解と安全なトレーニングのための教育的な情報をまとめています。

筋繊維タイプの分類|速筋・遅筋の3種類と収縮特性についての筋繊維の分類と、速筋・遅筋の主な種類の収縮特性および筋力トレーニングによる変化について解説します。

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筋繊維とは?

筋肉には横紋筋(a)・平滑筋(b)・心筋(c)がありますが、骨格筋を構成するのは全て横紋筋です。筋繊維とは横紋筋を構成する繊維状の細胞単位のことを言います。

また、その収縮は筋繊維細胞内の筋原繊維と呼ばれる構造体が担っています。

骨格筋を構成する細胞単位。筋芽細胞の融合によって生じる、細長く大きな巨大多核細胞である。骨格筋が発生し分化する過程で、単核の筋原細胞同士が融合してつくられる。

引用:Wikipedia「筋肉/筋繊維」

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筋繊維タイプの種類と特性

筋力トレーニングの対象となる骨格筋は、筋繊維が束状になって構成されていますが、その筋繊維には大きく「遅筋」と「速筋」があり、速筋は「速筋繊維Ⅱa」と「速筋繊維Ⅱb」に分けられます。それぞれの特性と筋力トレーニングでの負荷設定は以下の通りです。

遅筋(遅筋繊維Ⅰ)

持久的な運動において持続的な遅い収縮(Slow)をし、酸素(Oxygen)を消費することからSO筋とも別称されます。レジスタンストレーニングで鍛えてもほとんど筋肥大しません。陸上競技で例えるなら、長距離走に必要な筋肉です。

筋力トレーニングでは20レップス以上の反復回数で挙上限界がくるような、低負荷設定で鍛えます。

速筋(速筋繊維Ⅱa)

持久要素のある瞬発的な動作において速い収縮(Fast)をし、酸素(Oxygen)を消費することからFO筋とも別称されます。レジスタンストレーニングで鍛えると筋肥大します。陸上競技で例えるなら、400~800m走に必要な筋肉です。

筋力トレーニングでは12~15レップスの反復回数で挙上限界がくるような、中負荷設定で鍛えます。

速筋(速筋繊維Ⅱb)

瞬発的な運動において爆発的な速い収縮(Fast)をし、グリコーゲン(Glycogen)を消費することからFG筋とも別称されます。レジスタンストレーニングで鍛えると強く筋肥大します。陸上競技で例えるなら、100~200m走に必要な筋肉です。

筋力トレーニングでは6~10レップスの反復回数で挙上限界がくるような、高負荷設定で鍛えます。

速筋(筋繊維タイプ2x)

速筋繊維Ⅱbに近い特性を持つ筋繊維で、人間の場合はタイプ2bよりもタイプ2xのほうが多いことが近年の研究により示唆されています。

中間型筋繊維タイプ

さらに、近年の研究では速筋繊維Ⅱaと筋繊維タイプ2xの中間的特性を持つ筋繊維の存在も示唆されています。

厚生労働省による筋繊維に関する記載

骨格筋を構成している筋繊維には大きく分けて速筋と遅筋の2種類があります。速筋は白っぽいため白筋とも呼ばれます。収縮スピードが速く、瞬間的に大きな力を出すことができますが、長時間収縮を維持することができず張力が低下してしまいます。遅筋は赤みがかった色から赤筋とも呼ばれます。収縮のスピードは比較的遅く、大きな力を出すことはできませんが、疲れにくく長時間にわたって一定の張力を維持することができます。

引用:https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/exercise/ys-092

筋繊維タイプの比率

各筋繊維タイプの比率は個人によってばらつきがあり、その比率は遺伝的要素であるとされています。このため、後天的に筋繊維タイプの比率が変わることはないと考えられています。

なお、筋繊維タイプの比率を調べるためには、厳密には筋細胞をサンプリングして生検する必要がありますが、走力・持久力の測定によってある程度の目安を調べる方法もあります。

筋繊維の比率の測定方法

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