【ラットマシンプルダウン】アタッチメントやグリップの種類で効く筋肉部位が変化する背筋トレーニング

この記事は全日本3位以上・日本代表の各競技選手のみが執筆した専門記事です。

広背筋や僧帽筋に効果的なマシントレーニング種目のケーブルラットプルダウンは、グリップの仕方やケーブルアタッチメントの種類によって効果のある筋肉部位が変化します。そのバリエーションをご紹介します。

執筆者・監修者・運営者情報

ラットマシンプルダウンが効果のある筋肉部位

筋肉の構造と作用に関しては下記の学術サイトを参照しています。

https://www.kenhub.com/

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/

Skeletal Muscle (PDF)

広背筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止

読みかた:こうはいきん
英語名称:latissimus dorsi muscle
部位詳細:上部下部
起始:下位第6胸椎~第5腰椎の棘突起・肩甲骨下角第9~12肋骨正中仙骨稜・腸骨稜後方
停止:上腕骨小結節稜

僧帽筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止

読みかた:そうぼうきん
英語名称:trapezius muscle
部位詳細:上部中部下部
起始:後頭骨上項線・外後頭隆起・頚椎棘突起第7頚椎・第1~3胸椎棘突起第4~12胸椎棘突起
停止:肩甲棘・肩峰

上腕二頭筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止

読みかた:じょうわんにとうきん
英語名称:biceps
部位詳細:長頭短頭
起始:肩甲骨関節上結節肩甲骨烏口突起先端
停止:橈骨粗面

主に広背筋・僧帽筋に効果があり二次的に長背筋と上腕二頭筋にも効果がある

ラットプルダウンは、上半身の引く動作をする筋肉群に対して効果的です。なかでも、僧帽筋と広背筋に対する効果が高く、二次的に長背筋(最長筋・多裂筋・脊柱起立筋など)や上腕二頭筋にも効果的です。

アタッチメントで軌道が変わる

ストレートバー
肩関節外転が強調されるため、広背筋上部や外側線維に効きやすくなります。ワイドグリップにするとさらに外側線維に刺激が入りやすいのが特徴です。

Vバー(パラレルグリップ)
肩関節伸展の自由度が高く、肘を体側へ寄せやすいため、広背筋下部の収縮が強くなります。背中の厚みを出したい場合に向いています。

ロープアタッチメント
手幅や肘の角度を自由に調整できるため、肩甲骨の下制が出しやすく、僧帽筋中部や広背筋中部にバランスよく負荷が入ります。可動域が広く、肩の違和感が少ないのも利点です。

リバースグリップバー
肩関節外旋位で引けるため、広背筋下部〜中央の収縮が明確になり、上腕二頭筋短頭も使われます。背中の下部を狙いやすいバリエーションです。

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ラットプルダウンのバリエーションと効果のある筋肉部位

ワイドグリップラットプルダウン

最も基本的なラットプルダウンがこちらの動画のノーマルワイドグリップでのラットプルダウンです。特に広背筋の側部に効果的です。胸を張り、しっかりと肩甲骨を寄せるとともにやや視線を上に向けて行ってください。

◆ラットマシンプルダウンのやり方と動作ポイント
①シートに座り、腕を伸ばしてケーブルアタッチメントをグリップして構える

②肩甲骨を寄せながら腕を引き寄せていく

③腕を引き寄せたら、肩甲骨を寄せきり、顎をやや上げて背筋群を完全収縮させる

④ウエイトに耐えながら、筋肉に効かせつつ元に戻る

◆ワンポイントアドバイス
背中が丸まっていると、背筋群が完全収縮しにくいので、視線を上に向けて背すじを伸ばすようにするのがポイントです。

ナローグリップラットプルダウン

ノーマルグリップで手幅を狭めたナローラットプルダウンは広背筋の中央部および僧帽筋に効果の高いバリエーションです。

パラレルグリップラットプルダウン

パラレルグリップのアタッチメントを用いて行うラットプルダウンは僧帽筋に効果の高い方法です。また、上腕二頭筋長頭や上腕筋にも効果的です。

リバースグリップラットプルダウン

リバースグリップのラットプルダウンは、広背筋下部~中央部や僧帽筋に効果があるだけでなく、上腕二頭筋短頭にも効果の高いバリエーションです。

フレキシブルな軌道でのケーブルトレーニング

ケーブルトレーニングの最大のメリットは、フレキブルな軌道で効かせたい筋肉部位にピンポイントで負荷を加えられることです。このためには、布・ロープ製のアタッチメントが有効です。

当サイト運営ショップで取り扱いをしているLARA★STARマルチーロープアタッチメントは、長さの違う2か所のグリップ部でナロー・ワイドグリップの選択ができ、フレキシブルな軌道で動作ができる布製アタッチメント、とケーブル系トレーニングが自由自在にアレンジできる逸品です。

LARA★STARマルチーロープアタッチメントを詳しく見る

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ケーブルアタッチメントの種類と特徴

ケーブルマシンアタッチメントにはさまざまな種類があり、どの種目にどのアタッチメントを使えばいいか迷ってしまうことも少なくありません。下記の記事では定番のものから最新のものまで、ほぼ全タイプのケーブルアタッチメントについて詳しく解説しています。

【ケーブルアタッチメント一覧】筋トレの種目のバリエーションを豊富にするハンドル

実際の指導経験をもとに記載

当サイトでは、運営ジムで日常的に使用しているケーブルアタッチメントや実際のラットプルダウンの軌道をもとに解説しています。器具の形状やケーブル角度が動作に与える影響を実際の現場で確認しながら記事を作成しています。

当サイト運営ジム「FutamiTC」での指導経験をもとに記載しています。

ジムトレーナーとしての実際の指導ポイント

トレーニング動作と首の連動性

一般的に身体の前側(大胸筋・大腿四頭筋など)の種目では、フィニッシュポジションで軽く顎を引くことで筋肉が最大収縮しやすくなります。

一方、身体の後ろ側(背筋群・ハムストリングスなど)の種目では、フィニッシュポジションで軽く顎を上げることで筋肉が最大収縮しやすくなります。

トレーニング動作と呼吸

筋肉は息を吐く時に収縮し、息を吸う時に弛緩する特性を持っています。このため、息を吐きながら動作を始め、筋肉の最大収縮ポジションで息を吐き切ってから元に戻るようにします。

それでは、本種目のポイントを解説します。

本種目の具体的な動作ポイント・フォーム

ラットプルダウンは、腕を引ききったポイントから、さらに胸を突き出しながら肩甲骨を寄せることで、広背筋が完全収縮し効果が倍増します。また、首と背筋群の連動性から、必ず顎を上げて引いてくるようにしてください。

フィジーク選手からのアドバイス

まず、ラットマシンに座り、膝パットの高さを調整してトレーニング中に腰が浮かないようにセットします。バーをグリップしたら、上半身を倒しすぎないように、肩甲骨を寄せながら腕を引き寄せていきます。この時に、背中が丸まらないように目線を上に向けるのがコツです。

腕を引き寄せたら、肩甲骨を寄せきり背筋群を完全収縮させます。そして、同じ軌道でゆっくりと効かせながら(筋肉にエキセントリック収縮を加えながら)元に戻ります。

なお、ラットマシンプルダウンはケーブルアタッチメントとグリップ方法によって効果のある部位が変化しますので、ターゲットに合わせて調整するようにしてください。

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ラットプルダウンの順番と回数設定

ターゲットにする筋繊維に最適な反復回数

筋肉を構成している筋繊維には主に三種類があり、それは、筋繊維TYPE2b(速筋|FG筋)、筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)、筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)で、それぞれの特徴と鍛えるのに適切な反復回数は以下の通りです。

筋繊維TYPE2b(速筋|FG筋)

筋肥大を目的とした筋力トレーニングは、この筋繊維をターゲットに8~10回前後の反復動作で限界がくる負荷設定で実施します。

筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)

体力作りを目的とした筋力トレーニングは、この筋繊維をターゲットに12~15回前後の反復動作で限界がくる負荷設定で実施します。

筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)

筋肥大させない筋力トレーニングは、この筋繊維をターゲットに20回以上の反復動作で限界がくる負荷設定で実施します。

トレーニング種目を実施する順序

トレーング種目を実施する順序は、コンパウンド種目(複数の筋肉と関節を動かす多関節運動種目)を先に行い、その後でアイソレーション種目(単一の筋肉と関節を動かす単関節運動)を行うのが基本です。また、複数のコンパウンド種目・アイソレーション種目を実施する場合は、それぞれ使用重量の高い種目から先に行います。

ラットプルダウンは背筋の複合関節種目なので、他の単関節種目の前に行ってください。
また、適切なセット数とインターバルの目安は以下の通りです。

バルクアップ筋トレ:3分前後のインターバルで3セット

体力作りの筋トレ:2分前後のインターバルで3セット

筋肥大させない筋トレ:1分前後のインターバルで3セット

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