
スミスマシンベンチプレスは、バーベルを使ったフリーウエイトトレーニングに近い感覚で大胸筋を鍛える事ができます。その大胸筋の部位別の種類とやり方を解説します。
スミスマシンベンチプレスが効果のある筋肉部位
筋肉の構造と作用に関しては下記の学術サイトを参照しています。
・https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/
大胸筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止

読みかた:だいきょうきん
英語名称:pectoralis major muscle
部位詳細:上部|中部(内側)|下部
起始:鎖骨の内側|胸骨前面第2~6肋軟骨|腹直筋鞘前葉
停止:上腕骨大結節稜
三角筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止

読みかた:さんかくきん
英語名称:deltoid muscle
部位詳細:前部|中部(側部)|後部
起始:鎖骨外側前縁|肩甲骨肩峰|肩甲骨肩甲棘
停止:上腕骨三角筋粗面
上腕三頭筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止

読みかた:じょうわんさんとうきん
英語名称:triceps
部位詳細:長頭|外側頭|内側頭
起始:肩甲骨関節下結節|上腕骨後面|上腕骨後面
停止:尺骨肘頭
スミスマシンベンチプレスが効果のあるのは、主に大胸筋・三角筋・上腕三頭筋といった上半身の押す筋肉群です。また、大胸筋周辺のインナーマッスルである小胸筋や前鋸筋にも二次的に効果的です。
スミスマシンのメリットとデメリット

スミスマシンベンチプレスをバーベルベンチプレスと比較した場合、スミスマシンではシャフトのぐらつきをマシンのレールが支えてくれるので、より高重量で筋肉を追い込むことに集中できるというメリットがあります。
逆に、シャフトのぶれをマシンが支えてくれるため、ぶれを抑える働きをする体幹インナーマッスルが鍛えにくいということがデメリットになります。
ですので、スミスマシンベンチプレスだけでなく、ダンベルプレスやバーベルベンチプレスと合わせて鍛えていくのが理想です。
大胸筋・三角筋・上腕三頭筋全てに効果的なノーマルスミスマシンベンチプレス
スミスマシンベンチプレスの基本で、大胸筋・三角筋・上腕三頭筋にまんべんなく効果のあるのがノーマルスミスマシンベンチプレスです。
フォームはバーベルベンチプレスと同様に、肩甲骨を寄せ軽くブリッジを作り、肩甲骨二点と臀部一点で上体を保持するのが基本です。
また、手の平の基部近くでシャフトをグリップし、バーベルを前腕骨の真上で保持して挙上動作を行います。また、この時に肘もバーベルの真下にあるように位置関係をキープし続けてください。
◆スミスマシンベンチプレスのやり方と動作ポイント
①ベンチに仰向けになり、肩甲骨を寄せ、80cm前後の手幅でシャフトをグリップし、足を踏ん張りブリッジを作って構える
②バーベルをラックアウトし、胸の真上まで水平移動させる
③肩甲骨を寄せたまま、ある程度筋力でコントロールしてシャフトを胸の上に下ろす
④肩甲骨を寄せたまま、腕を押し出しバーベルを元の位置まで上げる
⑤しっかりと肘を伸ばし、顎を少し引いて大胸筋と上腕三頭筋を完全収縮させる
◆ワンポイントアドバイス
ストリクトに効かせるためには、勢いをつけてシャフトをバウンドさせないようにすることと、腰を浮かせないようにすることが大切です。
大胸筋上部と三角筋に効果の高いインクラインスミスマシンベンチプレス
大胸筋上部と三角筋に対して効果が高いのがインクラインスミスマシンベンチプレスです。苦しいときに腰や背中を浮かせがちですが、この動作をするとせっかくの大胸筋上部に効果のある「腕を斜め上に押し出す軌道」が通常のベンチプレスの軌道になってしまうので注意してください。
大胸筋下部に効果の高いデクラインスミスマシンベンチプレス
大胸筋下部に効果の高いのがデクラインスミスマシンベンチプレスです。
大胸筋内側・上腕三頭筋に効果の高いナロースミスマシンベンチプレス
大胸筋内側と上腕三頭筋に効果の高いのがナロースミスマシンベンチプレスです。

当サイト運営ジム「FutamiTC」での指導経験をもとに記載しています。
ジムトレーナーとしての実際の指導ポイント
トレーニング動作と首の連動性

一般的に身体の前側(大胸筋・大腿四頭筋など)の種目では、フィニッシュポジションで軽く顎を引くことで筋肉が最大収縮しやすくなります。
一方、身体の後ろ側(背筋群・ハムストリングスなど)の種目では、フィニッシュポジションで軽く顎を上げることで筋肉が最大収縮しやすくなります。
トレーニング動作と呼吸

筋肉は息を吐く時に収縮し、息を吸う時に弛緩する特性を持っています。このため、息を吐きながら動作を始め、筋肉の最大収縮ポジションで息を吐き切ってから元に戻るようにします。
それでは、本種目のポイントを解説します。
本種目の具体的な動作ポイント・フォーム

スミスマシンは軌道が固定されているので、ベンチプレス系種目ではトレーニングの動作軌道が間違っていると、特に肩関節に強い負担がかかります。本セットの前に、軽い重量で事前確認動作を行い、肩に痛みのないポジションでトレーニングを行ってください。
また、スミスベンチプレスと並行してに、基本となるバーベルフラットベンチプレスの基礎をしっかりと固めることが大切です。
スミスマシンベンチプレスの順番と回数設定
ターゲットにする筋繊維に最適な反復回数

筋肉を構成している筋繊維には主に三種類があり、それは、筋繊維TYPE2b(速筋|FG筋)、筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)、筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)で、それぞれの特徴と鍛えるのに適切な反復回数は以下の通りです。
筋繊維TYPE2b(速筋|FG筋)
筋肥大を目的とした筋力トレーニングは、この筋繊維をターゲットに8~10回前後の反復動作で限界がくる負荷設定で実施します。
筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)
体力作りを目的とした筋力トレーニングは、この筋繊維をターゲットに12~15回前後の反復動作で限界がくる負荷設定で実施します。
筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)
筋肥大させない筋力トレーニングは、この筋繊維をターゲットに20回以上の反復動作で限界がくる負荷設定で実施します。
トレーニング種目を実施する順序
トレーング種目を実施する順序は、コンパウンド種目(複数の筋肉と関節を動かす多関節運動種目)を先に行い、その後でアイソレーション種目(単一の筋肉と関節を動かす単関節運動)を行うのが基本です。また、複数のコンパウンド種目・アイソレーション種目を実施する場合は、それぞれ使用重量の高い種目から先に行います。

スミスマシンベンチプレスは大胸筋の高重量複合関節種目なので、他の大胸筋トレーニングよりも先に行ってください。
また、適切なセット数とインターバルの目安は以下の通りです。
バルクアップ筋トレ:3分前後のインターバルで3セット
体力作りの筋トレ:2分前後のインターバルで3セット
筋肥大させない筋トレ:1分前後のインターバルで3セット
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▼筋肉名称デジタル図鑑

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プレス系種目で大切なフォームの一つに「肩甲骨を寄せた姿勢を保つ」ことがありますが、これは肩関節が前方へ突出することを防ぎ、①大胸筋へ負荷を集中させる、②肩への余計な負担を防ぐ、という2つの意味があります。
肩甲骨を寄せた姿勢をとることが苦手な方は、スパインサポーターなど専用のトレーニンググッズを使用するのも一つの方法です。
