
筋トレで鍛える対象となる全身の部位別筋肉名称とその作用を解説するとともに、それぞれに効果的な自宅でのトレーニング方法をご紹介します。
■胸の筋肉:大胸筋
●腕を前に押し出し閉じる作用

読みかた:だいきょうきん
英語名称:pectoralis major muscle
部位詳細:上部|中部(内側)|下部
起始:鎖骨の内側|胸骨前面第2~第6肋軟骨|腹直筋鞘前葉
停止:上腕骨大結節稜

引用:https://giphy.com/gifs/major-swqQvFe6aiyWs
胸の筋肉・大胸筋は、上部・下部・内側に分けられ、腕を前面に押し出すとともに腕を前方で閉じる作用があります。その部位別の作用は以下の通りです。
・大胸筋上部:腕を斜め上方に押し出す
・大胸筋下部:腕を斜め下方に押し出す
・大胸筋内側:腕を体幹前面で閉じる
大胸筋は、肩の筋肉・三角筋および腕の筋肉・上腕三頭筋と共働して上半身の押す動きを行います。
また、大胸筋外側深層にある小胸筋、大胸筋周辺肋骨に接合する前鋸筋も共働筋です。
■肩の筋肉:三角筋
●腕を上・前・横・後ろに上げる作用

読みかた:さんかくきん
英語名称:deltoid muscle
部位詳細:前部|中部(側部)|後部
起始:鎖骨外側前縁|肩甲骨肩峰|肩甲骨肩甲棘
停止:上腕骨三角筋粗面

三角筋は前部・中部・後部に分けられ、腕を上に上げるとともに、前・横・後ろにも上げる作用があります。その部位別の作用は以下の通りです。
・三角筋前部:腕を前に上げる
・三角筋中部:腕を横に上げる
・三角筋後部:腕を後ろに上げる
三角筋前部・中部は、胸の筋肉・大胸筋および腕の筋肉・上腕三頭筋と共働して上半身の押す動きを行います。また、三角筋後部は背中の筋肉・僧帽筋および広背筋と共働して上半身の引く動きを行います。
■腕の筋肉:上腕三頭筋
●肘を伸展させ腕を内転させる作用

読みかた:じょうわんさんとうきん
英語名称:triceps
部位詳細:長頭|外側頭|内側頭
起始:肩甲骨関節下結節|上腕骨後面|上腕骨後面
停止:尺骨肘頭

腕の後側の筋肉である上腕三頭筋は、長頭と短頭(外側頭・内側頭)に分けられ、肘を伸展させるとともに上腕を閉じる作用があります。その部位別の作用は以下の通りです。
・上腕三頭筋長頭:肘関節の伸展と上腕の内転
・上腕三頭筋短頭:肘関節の伸展
上腕三頭筋は、胸の筋肉・大胸筋および肩の筋肉・三角筋と共働して上半身の押す動きを行います。
また、前腕伸筋群とも共働関係にあります。
■背中の筋肉:僧帽筋
●腕を下から引き上げ肩甲骨を寄せる作用

読みかた:そうぼうきん
英語名称:trapezius muscle
部位詳細:上部|中部|下部
起始:後頭骨上項線・外後頭隆起・頚椎棘突起|第7頚椎・第1~3胸椎棘突起|第4~12胸椎棘突起
停止:肩甲棘・肩峰

背中の筋肉・僧帽筋は、腕を下から引き上げるとともに、肩甲骨を寄せる作用があります。
僧帽筋は、背中の筋肉・広背筋および上腕の筋肉・上腕二頭筋と共働して上半身の引く動きを行います。
また、脊柱沿いの長背筋群とも共働関係にあります。
■背中の筋肉:広背筋
●腕を上や前から引き寄せる作用

読みかた:こうはいきん
英語名称:latissimus dorsi muscle
部位詳細:上部|下部
起始:下位第6胸椎~第5腰椎の棘突起・肩甲骨下角第9~12肋骨|正中仙骨稜・腸骨稜後方
停止:上腕骨小結節稜

背中の筋肉・広背筋は上半身最大の筋肉部位であり、上腕を上や前から引き寄せる作用があります。
広背筋は、背中の筋肉・僧帽筋および上腕の筋肉・上腕二頭筋と共働して上半身の引く動きを行います。
■腕の筋肉:上腕二頭筋
●肘関節を屈曲させ前腕を回外させる作用

読みかた:じょうわんにとうきん
英語名称:biceps
部位詳細:長頭|短頭
起始:肩甲骨関節上結節|肩甲骨烏口突起先端
停止:橈骨粗面

腕の筋肉・上腕二頭筋は長頭と短頭に分けられ、肘関節を屈曲させるとともに前腕を回外させる作用があります。その部位別の作用は以下の通りです。
・上腕二頭筋長頭:肘関節の屈曲
・上腕二頭筋短頭:肘関節の屈曲および回外
上腕二頭筋は、背中の筋肉・僧帽筋および広背筋と共働して上半身の引く動きを行います。
また、前腕屈筋群とも共働関係にあります。
■前腕筋群
●手首を屈曲・伸展・回外・回内・内転・外転させる作用

前腕筋群は大小20近い筋肉から構成される筋肉群で、大きくは伸筋群と屈筋群に分けられます。各筋肉が複雑に共働・拮抗しながら手首を屈曲・伸展・回外・回内・内転・外転させる作用があり、その動きは下図の通りです。

■体幹前面の筋肉:腹筋群
●体幹を屈曲および回旋させる作用

読みかた:ふっきんぐん
英語名称:abdominal muscles
部位詳細:腹直筋|外腹斜筋|内腹斜筋|腹横筋
起始:恥骨稜・恥骨結合・恥骨結節|第5~12肋骨外面|胸腰筋膜深葉・上前腸骨棘・鼡径靭帯・腸骨稜|第7~12肋軟骨内面・鼡頚靭帯・上前腸骨棘
停止:剣状突起・第5~7肋軟骨外面|鼡径靭帯・腹直筋鞘前葉・腸骨稜外唇|第10~12肋骨下縁・腹直筋鞘・精巣挙筋|剣状突起・白線・恥骨

引用:https://www.proko.com/how-to-draw-obliques-anatomy-and-motion/
体幹前面の筋肉・腹筋群は、深層から順に腹横筋・内腹斜筋・外腹斜筋・腹直筋の四層構造をしており、体幹を屈曲および回旋させる作用があります。その部位別の作用は以下の通りです。
・腹横筋:腹圧を維持する
・内腹斜筋:外腹斜筋を補助する
・外腹斜筋:体幹を回旋させる
・腹直筋:体幹を屈曲させる
腹筋群は、体幹屈曲時には股関節の筋肉・腸腰筋と共働するとともに、体幹回旋時には腰の筋肉・回旋筋と対角線に共働・拮抗して作用します。
■体幹後面の筋肉:長背筋群
●体幹を伸展・回旋させ姿勢を維持する作用

読みかた:せきちゅうきりつきん
英語名称:erector spinae muscle
部位詳細:腸肋筋|最長筋|棘筋
長背筋群=脊柱起立筋+多裂筋+回旋筋など
長背筋群は、脊柱沿いの筋肉の総称で、脊柱起立筋・多裂筋・回旋筋などで構成されています。体幹を伸展・回旋させるとともに、姿勢を維持する作用があります。
■股関節の筋肉:腸腰筋群・臀筋群・内転筋群
●股関節の屈曲・伸展・内転と骨盤を維持する作用

読みかた:ちょうようきんぐん
英語名称:iliopsoas
部位詳細:腸骨筋|大腰筋|小腰筋
股関節前面には、腸腰筋群と呼ばれるインナーマッスルがあり、大腰筋・小腰筋・腸骨筋に分けられ、股関節の屈曲と骨盤の維持の作用があります。

読みかた:でんきんぐん
英語名称:gluteus muscles
部位詳細:大臀筋|中臀筋|小臀筋
起始:腸骨稜・腸骨翼|腸骨翼殿筋面・腸骨稜|腸骨翼
停止:大腿筋膜外側部・大腿骨粗面|大腿骨大転子尖端|大腿骨大転子前面

また、拮抗筋としてお尻の筋肉・臀筋群があり、大臀筋・中臀筋・小臀筋の三層構造をしており、股関節の伸展を行っています。

読みかた:ないてんきんぐん
英語名称:adductors muscles
部位詳細:大内転筋|長内転筋|短内転筋|薄筋|恥骨筋
さらに、骨盤と大腿骨に接合するように内転筋と呼ばれるインナーマッスルもあり、大内転筋・小内転筋・長内転筋・短内転筋の四部位に分けられ、大腿の内転作用を持っています。
■大腿の筋肉:大腿四頭筋
●股関節外転と膝関節を伸展させる作用

読みかた:だいたいしとうきん
英語名称:quadriceps
部位詳細:大腿直筋|外側広筋|内側広筋|中間広筋
起始:腸骨下前腸骨棘・寛骨臼上縁|大腿骨大転子外側面・転子間線・殿筋粗面|大腿骨粗線内側唇|大腿骨前外側面
停止:膝蓋骨上縁・脛骨粗面|膝蓋骨上外側縁・頸骨粗面|膝蓋骨上内側縁・脛骨結節|膝蓋骨・頸骨粗面

大腿前面の筋肉・大腿四頭筋は大腿直筋・外側広筋・内側広筋・中間広筋に分けられ、股関節外転と膝関節伸展の作用があります。
また、腸腰筋群と共働して脚を前に上げる動きも行います。
■大腿の筋肉:大腿二頭筋
●膝関節を屈曲させる作用

読みかた:はむすとりんぐす
英語名称:hamstrings
部位詳細:大腿二頭筋長頭|大腿二頭筋短頭|半膜様筋|半腱様筋
起始:坐骨結節|大腿骨粗線外側唇・外側筋間中隔|坐骨結節|坐骨結節内側面
停止:腓骨頭|腓骨頭|脛骨内側顆・斜膝窩靭帯|脛骨粗面内側

大腿後面の筋肉である大腿二頭筋は、隣接する半腱様筋および半腱膜筋とともにハムストリングスと呼ばれる筋肉群を構成しており、膝関節を屈曲させる作用があります。
また、臀筋群を共働して、脚を後ろに上げる動きも行います。
■下腿の筋肉:下腿三頭筋と前脛骨筋
●足首を伸展・屈曲させる作用

読みかた:かたいさんとうきん
英語名称:triceps muscle of calf
部位詳細:腓腹筋外側頭|腓腹筋内側頭|ヒラメ筋
起始:大腿骨外側上顆|大腿骨内側上顆|腓骨頭・脛骨後面
停止:踵骨隆起|踵骨隆起|踵骨隆起
下腿には、後面の下腿三頭筋と前面の前脛骨筋があり、それぞれ足首を伸展および屈曲させる作用があります。
■主な筋肉部位の拮抗関係
●対になって反対の作用を持つ

骨格筋は全て、対になる筋肉・拮抗筋があり、互いに正反対の作用を持っています。主な筋肉部位の拮抗関係は以下の通りです。
・大胸筋⇔背筋群(僧帽筋・広背筋)
・上腕三頭筋⇔上腕二頭筋
・前腕伸筋群⇔前腕屈筋群
・腹筋群⇔長背筋
・腸腰筋⇔臀筋群
・大腿四頭筋⇔大腿二頭筋
・下腿三頭筋⇔前脛骨筋
■体幹インナーマッスル図鑑

体幹インナーマッスルの構造・作用・トレーニング方法については、下記の体幹インナーマッスル図鑑をご参照ください。
▼体幹インナーマッスル図鑑
【体幹インナーマッスル名称図鑑】体幹トレーニングで鍛える深層筋を図解解説
■最新の筋肉デジタル図鑑

筆者の運営する筋トレ専門サイトでは、最新のドイツ医療サイトのデジタル画像もふくめた、筋肉名称デジタル図鑑を公開しています。ぜひ、ご活用ください。
▼筋肉名称デジタル図鑑
【筋肉名称デジタル図鑑】各部位(胸筋・背筋・肩・腕・腹筋・脚)の名前・作用・筋トレ方法
■各筋肉部位の主な筋肉のトレーニング方法

ここからは、筋トレの基本理論・基礎知識をご紹介するとともに、全身の筋肉部位別の鍛え方・トレーニング方法・ストレッチ方法もご紹介していきます。
各情報は、それぞれのリンク先記事で詳しく画像・動画付きで解説しています。是非、ご活用ください。
●筋肉の超回復について

筋肉は筋トレによって負荷を受けると、筋繊維が破壊されます。そして、回復する時に、負荷を受ける前よりも強くなって回復する能力が備わっており、これを「超回復」と呼びます。
この超回復という筋肉の特性を利用し、定期的に筋トレによって意図的に筋繊維を破壊し、筋肉を強くしていくのが「筋トレと超回復」の基本理論です。
よく「超回復理論は証明されていない」という記載もありますが、公的機関のホームページにもしっかりと記載されていますので、筋トレはやはり超回復理論にのっとって行うことが大切です。
●筋トレ(無酸素運動)と超回復理論に関する公的情報

”筋肉はレジスタンス運動を行うと筋線維の一部が破断されます。それが修復される際にもとの筋線維よりも少し太い状態になります。これを「超回復」と呼び、これを繰り返すと筋の断面積が全体として太くなり筋力が上がります。筋力のトレーニングはこの仕組みを利用して最大筋力に近い負荷でレジスタンス運動し、筋が修復されるまで2~3日の休息ののち、またレジスタンス運動でトレーニングということの繰り返しによって行われます。(厚生労働省|e-ヘルスネット)”
▼厚生労働省公式ページ(e-ヘルスネット)
筋肉の超回復に関する記載
●筋繊維の種類と特性

骨格筋の筋繊維には持久的な運動を担う遅筋と、瞬発的な運動を担う二種類の速筋のあわせて三種類があります。それぞれの特徴と鍛え方は以下の通りです。
○遅筋(持久筋・SO筋・筋繊維TYPE1)
数分以上の継続的な運動・筋収縮の主体となるのが遅筋で、収縮速度が遅く(Slow)酸素(Oxygen)をエネルギー源とすることからSO筋とも呼ばれています。筋トレでは20回以上の反復回数で限界がくる低負荷高回数で鍛えます。
○速筋(瞬発筋・FG筋・筋繊維TYPE2b)
10秒以内程度の瞬発的な運動・筋収縮の主体となるのが速筋のなかでも瞬発筋タイプ2bと呼ばれる筋繊維です。収縮速度が速く(Fast)グリコーゲン(Glycogen)をエネルギー源としているためFG筋とも呼ばれています。筋トレでは、10回以下の反復回数で限界がくる高負荷低回数で鍛えます。
○速筋(瞬発筋・FO筋・筋繊維TYPE2a)
瞬発筋のなかでもやや持久的な60秒ほどの運動・筋収縮の主体となるのが速筋のなかでも瞬発筋タイプ2aと呼ばれる筋繊維です。収縮速度が比較的速く(Fast)酸素(Oxygen)をエネルギー源とすることからFO筋とも呼ばれています。筋トレでは12~15回の反復回数で限界がくる中負荷中回数で鍛えます。
●骨格筋に関する参照情報および文献

・骨格筋とは|参照[1]
”筋肉の種類のひとつで、骨格に沿って分布しており、身体の活動を支えているもの。一般に筋肉と呼ばれているものはこれを指す。骨格に沿って付いている筋肉のことで、その収縮によって身体を支え、動かしています。一般的には単に筋肉という場合、この骨格筋のことを指します。自分の意志で動かすことができることから随意筋とも呼ばれ、組織上は横紋筋という種類になります。”
・筋繊維の種類|参照[2][3]
”骨格筋を構成している筋繊維には大きく分けて速筋と遅筋の2種類があります。速筋は白っぽいため白筋とも呼ばれます。収縮スピードが速く、瞬間的に大きな力を出すことができますが、長時間収縮を維持することができず張力が低下してしまいます。遅筋は赤みがかった色から赤筋とも呼ばれます。収縮のスピードは比較的遅く、大きな力を出すことはできませんが、疲れにくく長時間にわたって一定の張力を維持することができます。”
▼参照サイト(厚生労働省|e-ヘルスネット)
骨格筋(こっかくきん)[1][2]
▼参照文献
骨格筋線維タイプの特性とそれに影響を及ぼす因子[3]
・筋繊維の構造|参照[4]
▼参照文献骨格筋の構造[4]
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■筋トレ効果を高めるテクニック

筋トレを続けていくと、誰しもがぶつかるのが「発達停滞期=プラトー」ですが、これは筋肉がトレーニングの刺激に慣れてしまうことが大きな要因です。この壁を突破していくためには「筋肉をだますテクニック」が必要になります。下記の記事では、筋トレ効果を高める・効率を上げてプラトーを突破するためのさまざまなテクニックをご紹介しています。
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