
ダンベルスクワットの細マッチョ向きのやり方とフォームのポイント・コツ、適切な負荷回数設定などについて、現役フィジーク選手で元JOC強化選手が解説します。
この記事の執筆者

この記事を執筆したのは当サイト所属選手・監修者であるJOC元強化指定選手・現フィジークのHAYATE選手です。

細マッチョとは

細マッチョとは、きっちりとした基準があるわけでなく、あくまでも一般的なイメージ・概念ですが、一般的な概念としては、「体脂肪が少なく腹筋が割れて見える」「過度に筋肉がつきすぎていない」です。そして、この基準を競技化したのがフィジーク競技です。詳しくは下記の記事をご参照ください。

ダンベルスクワットが主に効果のある筋肉部位

ダンベルスクワットは主に大腿四頭筋・ハムストリングス・臀筋群・内転筋群・下腿三頭筋に対して負荷がかかり、トレーニング効果があります。なお、筋力トレーニングの対象となる主な全身の筋肉については下記のデジタル図鑑をご参照ください。

ダンベルスクワットのやり方とフォームのポイント

本種目の概要
ダンベルスクワットは下半身全体に効果のある「キング・オブ・トレーニング」とも言える種目です。また、下半身の筋肥大に効果的なだけでなく、人体で最も多きな筋肉群である大腿四頭筋に効果があるため、高い基礎代謝向上性を持つのも減量期などには有効です。
なお、フィジーク種目にはおいては下半身の過度な発達はマイナス要素となりますので、15回以上の高反復回数で実施していきます。
フォームとして最大のポイントは、膝がつま先よりも前に出ないように動作することで、膝が前に突出するフォームで行っていると、いずれ膝の故障につながりますので気をつけてください。
膝を前に出さないように動作するためには、椅子に座るようなイメージで斜め後方に腰を下ろしていくのが最適な動作方法です。なお、股関節の柔軟性によっては、その方向に腰を下ろしにくい人もいます。この場合は、かかとで1cmほどの板を踏んで行うようにすると解決します。
なお、どこまで深くしゃがむのかという問題もありますが、あくまでも脚の筋肉に負荷を加えるのが目的であれば(パワーリフティングのように規定で深くしゃがむ必要がなければ)、太ももが床と平行になる程度の深さで十分です。
本種目の動作手順
①胸を張り背すじを伸ばし、両手にダンベルを保持して構える
②膝が前に出ないように、斜め後ろに向かって腰を下ろす
③太ももが床と平行になる程度まで腰を下ろしたら、元に戻る
動画付き解説

ダンベルスクワットのバリエーション種目
ダンベルワイドスクワット

大きく足を広げて行うバリエーションで、特に内転筋群に効果的です。なお、注意点として、膝関節への捻り負荷がかからないように、膝の向きとつま先の向きを揃えるようにすることが大切です。
ダンベルフロントランジ

足を前後に構えて行うバリエーションで、前にした脚の大腿四頭筋と後ろにした脚のハムストリングスおよび臀筋群に負荷がかかります。特に下半身後ろ側のトレーニングとして行われることが多く、この場合、後ろにした脚を主働として動作を行います。
ダンベルサイドランジ

ダンベルサイドランジは足を左右に大きく広げ、上半身を交互にスライドさせながら行うバリエーションで、大腿四頭筋外側と内転筋群に集中的な負荷がかかります。内転筋群狙いで実施する場合は、伸ばした方の脚で身体を引き寄せるようなイメージで立ち上がります。
筋繊維の種類と細マッチョになるための負荷回数設定

筋トレ対象となる筋肉=骨格筋は、筋繊維が束状になり構成されています。そして、その筋繊維は主に2種類(速筋と遅筋)に分類され、さらに速筋は2タイプ(TYPEⅡa・TYPEⅡb)に分類されます。これらの各筋繊維タイプにはそれぞれに特性があり、トレーニングに対する反応や適正な負荷回数設定も異なります。
①遅筋(筋繊維タイプⅠ)
60秒を超えるような持続的かつ持久的な運動において、中心となって収縮する筋繊維タイプです。レジスタンストレーニングをしてもあまり筋肥大は起こさず、筋スタミナや筋密度が向上する傾向にあります。筋力トレーニングでは20回以上の反復で限界がくるような負荷回数設定でトレーニングを実施します。
②速筋(筋繊維タイプⅡa)
30~60秒程度の短時間の持続的な瞬発運動において、中心となって収縮する筋繊維タイプです。レジスタンストレーニングによって筋肥大するとともに筋スタミナも向上する傾向にあります。筋力トレーニングでは12~15回程度の反復で限界がくるような負荷回数設定でトレーニングを実施します。
③速筋(筋繊維タイプⅡb)
30未満の極めて短時間かつ瞬発的な運動において、中心となって収縮する筋繊維タイプです。レジスタンストレーニングによって強く筋肥大する傾向にあります。筋力トレーニングでは6~12回程度 程度の反復で限界がくるような負荷回数設定でトレーニングを実施します。
骨格筋を構成している筋繊維には大きく分けて速筋と遅筋の2種類があります。速筋は白っぽいため白筋とも呼ばれます。収縮スピードが速く、瞬間的に大きな力を出すことができますが、長時間収縮を維持することができず張力が低下してしまいます。遅筋は赤みがかった色から赤筋とも呼ばれます。収縮のスピードは比較的遅く、大きな力を出すことはできませんが、疲れにくく長時間にわたって一定の張力を維持することができます。
▼厚生労働省公式ページ
参照記事:筋トレ目的別の適切な負荷回数設定

理想的な細マッチョ体型とは

理想的な細マッチョ体型とは、細マッチョ体型を競う公式競技であるフィージーク競技の審査基準と同様で、上図のようになります。
できるだけ筋肥大すべき筋肉
広背筋・三角筋・上腕三頭筋
これらの筋肉は筋肥大を最優先して、速筋(筋繊維タイプⅡb)をターゲットに6~10回の反復動作で限界が来る負荷設定でトレーニングしていきます。
過度に筋肥大すべきでない筋肉
大胸筋・僧帽筋・上腕二頭筋・下半身
これらの筋肉は過度に筋肥大しないよう、速筋(筋繊維タイプⅡa)をターゲットにして15回前後の反復で限界が来るような負荷設定でトレーニングしていきます。

細マッチョになるための二つのアプローチ
細めの体形か太めの体形かで異なる

一般的に、細マッチョの基準とされるのがBMI22前後、体脂肪率15%前後ですが、このような体形になるためには現状の自分の体形によって二つのアプローチがあり、それは以下の通りです。
①細めの体形の場合:まずバルクアップ筋トレを行う
②太めの体形の場合:まずシェイプアップ筋トレを行う
そして、BMI22前後・体脂肪率15%前後の体形の場合、またはトレーニングによってそうなった場合は、筋肉を維持したり、より見栄えのよい形にするために、筋繊維TYPE2aをターゲットにした15回前後の反復で限界がくる負荷回数設定で「細マッチョ筋トレ」を行っていきます。
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細マッチョ筋トレの一週間の組み方

筋肉はトレーニングを行うと筋繊維に微細な損傷を受け、その回復に24~72時間が必要になります。そして、回復するときにはトレーニング前よりも筋密度が向上して回復する特性があり、これを超回復と言います。そして、この超回復を適切に繰り返すことで筋密度を上げていくのが細マッチョ筋トレの基本です。
超回復前に筋肉に負荷を与えてしまうと、筋肉は筋密度が上がるどころか、逆に縮小してしまいますので、いかに超回復を妨げずに高い頻度でトレーニングを行うかがポイントですが、一日に全身全てをトレーニングしてしまうと72時間はトレーニングができないので、週3回程度の頻度で行うのが限界になってきます。
そこで、全身の筋肉をグループごとにローテーションで鍛えていき、超回復を行いながら高頻度でトレーニングをしていくメソッド「部位分割法|スプリットトレーニング」を導入するのがもっとも効率的です。
その分割方法例は以下のようになります。
週一日目:上半身の押す筋肉
週二日目:体幹部の筋肉
週三日目:下半身の筋肉
週四日目:体幹部の筋肉
週五日目:上半身の引く筋肉
この分割法ですと、超回復を妨げず、なおかつ週5回のトレーニングで常に代謝の高い状態も維持することが可能です。
細マッチョ筋トレメニュー例



筋トレのマストアイテム解説
押す筋トレにはリストラップ

引く筋トレにはパワーグリップ

本格トレーニングにはパワーベルト

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