
一般的に筋肉痛時に筋トレなどをすると超回復を阻害するので相応しくないとされていますが、近年はあえて筋肉痛時に軽い筋トレ・ストレッチを実施して、血行や代謝を高めて回復を早める手法「アクティブレスト」が盛んになってきています。
筋肉痛の原因とメカニズム
伸張性収縮で引き起こされるが発生メカニズムは不明

筋肉痛の原因は伸張性収縮(エキセントリック収縮)であるとされています。伸張性収縮とは、筋肉が収縮方向とは逆方向の負荷を受けながら耐える動きで、具体的には重力に逆らいながらゆっくりとバーベルを下ろして効かせる(ネガティブトレーニング)がそれにあたります。
なお、伸張性収縮とは逆の短縮性収縮(コンセントリック収縮)では筋肉痛が起こらないので、競技練習と筋トレを並行して行う場合などは便利です。
筋肉痛の発生原因はすでにあらかた解明されていますが、これだけ科学が進んだ現在でも、その発生メカニズムは完全に解明されていません。
疲労物質・乳酸の蓄積が筋肉痛の発生メカニズムとする説や、筋繊維の微細な裂傷により発生するという説が主流ですが、いずれの説にも科学的に整合性のとれない部分があり、結論には至っていません。
Wikipediaによる記載
筋肉痛(きんにくつう、英:Myalgia)は、筋肉に生じる痛みであり、その原因はさまざまである。しかし最も一般的な原因で、一般に筋肉痛と呼ばれるのは、筋肉・筋肉群の過剰使用または過剰伸展を行った後、その数時間後から数日後に発生する遅発性筋肉痛(英:Delayed Onset Muscle Soreness=DOMS) である。
DOMSの主原因となる運動は、筋肉が収縮方向とは逆方向に引きのばされながら力を発揮(伸張性収縮、或いはエキセントリック収縮)する運動である。筋肉を収縮させながら力を発揮(短縮性収縮、或いはコンセントリック収縮)する運動ではほとんどDOMSが生じない。
筋肉痛時に筋トレをしていいのか
通常の筋トレは超回復を阻害するのでNG

人間の筋肉は、筋トレなどにより負荷を受けると筋肉痛になり、その後24~72時間をかけて回復します。
筋肉には、回復時に負荷を受ける前より強くなって回復するという特性があり、これを「超回復」と呼びます。そして、意図的に筋トレなどで筋肉を筋肉痛にし超回復させて鍛えていく方法が「超回復理論」です。
ここで、問題になるのが「筋肉痛時に筋トレをしていいのか」ということですが、超回復理論に従えば筋肉の超回復を阻害するので、筋肉痛時の筋トレは避けるのが原則です。
ただし、筋肉をストレッチさせ血行をよくする程度の軽い筋トレは、超回復を早める効果があり、その手法が「アクティブレスト」=「動的休養」なのです。
厚生労働省による記載
筋肉はレジスタンス運動を行うと筋線維の一部が破断されます。それが修復される際にもとの筋線維よりも少し太い状態になります。これを「超回復」と呼び、これを繰り返すと筋の断面積が全体として太くなり筋力が上がります。筋力のトレーニングはこの仕組みを利用して最大筋力に近い負荷でレジスタンス運動し、筋が修復されるまで2~3日の休息ののち、またレジスタンス運動でトレーニングということの繰り返しによって行われます。
具体的なアクティブレストの筋トレ
全身を「上半身の押す筋肉群」「上半身の引く筋肉群」「下半身の筋肉群」の三つに部位分割し、それぞれに最適なアクティブレスト筋トレをご紹介します。
ダンベルを使用しますが、あくまで筋肉をストレッチさせるための重りと考え、その重量は1~5kg程度ときわめて軽重量で行ってください。
上半身の押す筋肉群のアクティブレスト筋トレ

上半身の押す筋肉群のアクティブレスト筋トレとして最適なのがダンベルプレスです。ダンベルを下ろしきったポジションで大胸筋・三角筋・上腕三頭筋が最大伸展しますので、十分にストレッチをして動作を行いましょう。
上半身の引く筋肉群のアクティブレスト筋トレ

上半身の引く筋肉群のアクティブレスト筋トレに最適なのがダンベルローイングです。ダンベルを下ろしきったポジションで広背筋・僧帽筋・上腕二頭筋が最大伸展しますので、十分にストレッチ動作を加えましょう。
下半身の筋肉群のアクティブレスト筋トレ

下半身の筋肉群のアクティブレスト筋トレとして最適なのがダンベルランジです。フロントランジとサイドランジの両方を行えば、下半身の筋肉(大腿四頭筋・大臀筋・大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋・下腿三頭筋・前脛骨筋)を十分にストレッチすることが可能です。
筋トレ後にはストレッチをする

アクティブレストの筋トレをした後に重要なのがストレッチの実施です。
筋トレ後のストレッチは、筋肉のクールダウンになるだけでなく、血行をよくすることにより疲労物質の排出を促進し、これにより少しでも早い超回復を促すことができます。また、ゆっくりと静かにストレッチをすることで、トレーニングで活性化した自律神経を副交感神経優位の休息モードにスイッチすることができます。
ストレッチ実施の基本
ストレッチを行う場合の基本は以下の通りです。
①筋肉の収縮方向と反対方向に筋肉を伸ばす
②痛みを感じない程度にゆっくりと伸ばす
③30秒前後を目安とする
④呼吸を止めないように留意する
厚生労働省によるストレッチのやり方に関する記載
ストレッチングを実施する際に注意すべき原則は5つあります。「1. 時間は最低20秒」「2. 伸ばす筋や部位を意識する」「3. 痛くなく気持ち良い程度に伸ばす」「4. 呼吸を止めないように意識する」「5. 目的に応じて部位を選択する」ということです。
健康づくりの現場では安全第一で、傷害のリスクが少ないスタティックストレッチングが用いられることが多いようです。柔軟性の向上の効果に関してはスタティックストレッチングがダイナミックストレッチングに劣ることはないことがわかっています。パートナーストレッチングは補助者に高い技術を求められることが少なくないため、安全に実施するという観点からセルフスタティックストレッチングが勧められます。
引用:https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/exercise/s-04-007.html
ストレッチの種類
ストレッチには主にスタティックストレッチングとダイナミックストレッチングがありますが、それぞれの特徴は以下の通りです。
スタティックストレッチング
スタティックストレッチングは反動を使わずに行うストレッチ方法で静的柔軟体操とも呼ばれます。単に「ストレッチ」という場合はスタティックストレッチングのことをさします。
ダイナミックストレッチング
ダイナミックストレッチングは反動を利用して強く筋肉を伸ばすストレッチ方法で、動的柔軟体操とも呼ばれます。
PNFストレッチ
PNFストレッチは、近年、競技能力向上目的でトップアスリートも導入するようになってきた、スポーツ向きのストレッチ方法です。
PNFストレッチとは、「Proprioceptive Neuromuscular Facilitation」の頭文字をとったストレッチ方法で、直訳すると「固有感覚神経筋機能促進」となり、一般的には「固有受容性神経筋促通法」と呼ばれています。
競技スポーツへの応用として行われるPNFストレッチは、主に肩関節周辺とハムストリングスに対して行われます。肩関節周辺インアーマッスルやハムストリングスは競技能力に大きく影響する筋肉なので、競技までには確実かつしっかりとストレッチを行い、可動域を広げておきたい部位です。
▼PNFストレッチのやり方
大胸筋のストレッチ方法
大胸筋の収縮方向とストレッチ方向

大胸筋は肩関節を基部として体幹前面に扇状に広がる筋肉で、その収縮方向は図に示したように大きく三方向となります。その収縮法にともなう作用は以下の通りです。
大胸筋上部:腕を斜め前方に押し出す
大胸筋中部:腕を前方で閉じる
大胸筋下部:腕を斜め下方に押し出す
また、大胸筋の伸展方向はそれぞれこの逆となり、その関係は以下のようになります。
大胸筋上部:腕を斜め下後方に伸ばす
大胸筋中部:腕を後方に開いて伸ばす
大胸筋下部:腕を斜め上後方に伸ばす
大胸筋のストレッチ方法(動画解説)
大胸筋の具体的な動画解説は下記のリンク先をご参照ください。
背筋群のストレッチ方法
背筋群の収縮方向とストレッチ方向

表層の大きな背筋として、首の後ろから腰にかけて逆三角形に広がる僧帽筋と、脇から腰にかけて逆三角形に広がる広背筋の二つがあります。その収縮方向は上図に示し、その作用は以下の通りです。
僧帽筋上部:腕を斜め下方から引く
僧帽筋下部:腕を前方から引く
広背筋:腕を前方および上方から引く
また、それぞれの伸展方向は収縮方向と逆の以下のようになります。
僧帽筋上部:腕を斜め下方に伸ばす
僧帽筋下部:腕を前方へ大きく伸ばす
広背筋:腕を前方および上方に伸ばす
背筋群のストレッチ方法(動画解説)
背筋群の具体的な動画解説は下記のリンク先をご参照ください。
上腕のストレッチ方法
上腕の収縮方向とストレッチ方向
三角筋

三角筋は上図のように前部・側部・後部の三つの部位から構成されており、それぞれの収縮方向と作用は以下の通りです。
三角筋前部・腕を前に上げる
三角筋側部:腕を横に上げる
三角筋後部:腕を後ろに上げる
また、それぞれの伸展方向は収縮後方の逆の方向と動作になります。
上腕三頭筋

上腕三頭筋は図のように長頭と外側頭・内側頭の三つの部位から構成されており、それぞれの収縮方向と主な作用は以下の通りです。
上腕三頭筋長頭:肘関節の伸展と肩の内転
上腕三頭筋外側頭:肘関節の伸展
上腕三頭筋内側頭:肘関節の伸展
また、それぞれの伸展方向は収縮後方の逆の方向と動作になります。
上腕二頭筋

上腕二頭筋は図のように長頭と短頭の二つの部位から構成されており、それぞれの収縮方向と主な作用は以下の通りです。
上腕二頭筋長頭:肘関節の屈曲と前腕の回外
上腕二頭筋短頭:肘関節の屈曲と前腕の回外
また、それぞれの伸展方向は収縮後方の逆の方向と動作になります。
上腕のストレッチ方法(動画解説)
上腕(三角筋・上腕三頭筋・上腕二頭筋)の具体的な動画解説は下記のリンク先をご参照ください。
太ももののストレッチ方法
太ももの収縮方向とストレッチ方向
大腿四頭筋

大腿四頭筋は、大腿直筋・外側広筋・内側広筋・中間広筋の四つの部位から構成されており、その構造と収縮方向の概要は上図のようになります。大腿四頭筋は、これら四つの筋肉部位が共働し「膝関節を伸展させる」作用を持つほか、大腿直筋には股関節を屈曲させる作用もあります。
ストレッチは、この収縮方向と逆に伸ばしていきます。
ハムストリングス

ハムストリングスは大腿二頭筋長頭および短頭・半腱様筋・半膜様筋の3つの筋肉4部位から構成されており、大腿二頭筋は「膝関節の屈曲・股関節の伸展・股関節の外旋」の作用、半腱様筋は「膝関節の屈曲・膝関節の内旋・股関節の伸展・股関節の内旋」の作用。半膜様筋は「膝関節の屈曲・膝関節の内旋・股関節の伸展・股関節の内旋」の作用をそれぞれ持っています。
ストレッチは、この収縮方向と逆に伸ばしていきます。
太もものストレッチ方法(動画解説)
太ももの具体的な動画解説は下記のリンク先をご参照ください。
筋肉痛時は十分なタンパク質補給を
高タンパク質食品やプロテインをたくさん摂ろう

筋肉痛時には、アクティブレスト筋トレなどで血行や代謝を高めることも非常に重要ですが、それと同等に大切なのがタンパク質の補給です。
部位分割メニュー例

週2・3・4回の部位分割筋トレメニュー
主な筋トレ種目一覧

図解付き主要種目の一覧ページ
下記にリンクしています主要種目の個別解説記事は、動画だけでなく一目で理解しやすい図解付きでフォームについて説明しています。
自重トレーニング
腕立て伏せ(大胸筋)パイクプッシュアップ(三角筋)
ベンチディップス(上腕三頭筋)
懸垂(背筋群)
バックエクステンション(背筋群)
逆手懸垂(上腕二頭筋)
自重スクワット(下半身)
チューブトレーニング
チューブチェストプレス(大胸筋)チューブチェストフライ(大胸筋)
チューブショルダープレス(三角筋)
チューブキックバック(上腕三頭筋)
チューブローイング(背筋群)
チューブカール(上腕二頭筋)
チューブレッグプレス(下半身)
ダンベルトレーニング
ダンベルプレス(大胸筋)ダンベルフライ(大胸筋)
ダンベルショルダープレス(三角筋)
ダンベルサイドレイズ(三角筋)
ダンベルキックバック(上腕三頭筋)
ダンベルローイング(背筋群)
ダンベルカール(上腕二頭筋)
ダンベルスクワット(下半身)
マシントレーニング
マシンチェストプレス(大胸筋)ケーブルフライ(大胸筋)
スミスマシンベンチプレス(大胸筋)
マシンショルダープレス(三角筋)
ケーブルプレスダウン(上腕三頭筋)
ラットプルダウン(背筋群)
ケーブルローイング(背筋群)
スミスマシンデッドリフト(背筋群)
ケーブルカール(上腕二頭筋)
マシンレッグプレス(下半身)
スミスマシンスクワット(下半身)
バーベルトレーニング
バーベルベンチプレス(大胸筋)バーベルショルダープレス(三角筋)
ナローベンチプレス(上腕三頭筋)
バーベルデッドリフト(背筋群)
バーベルベントオーバーロウ(背筋群)
バーベルグッドモーニング(背筋群)
バーベルカール(上腕二頭筋)
バーベルスクワット(下半身)
