
バーベルスクワットの細マッチョ向きのやり方とフォームのポイント・コツ、適切な負荷回数設定などについて、現役フィジーク選手で元JOC強化選手が解説します。
この記事の執筆者

この記事を執筆したのは当サイト所属選手・監修者であるJOC元強化指定選手・現フィジークのHAYATE選手です。

細マッチョとは

細マッチョとは、きっちりとした基準があるわけでなく、あくまでも一般的なイメージ・概念ですが、一般的な概念としては、「体脂肪が少なく腹筋が割れて見える」「過度に筋肉がつきすぎていない」です。そして、この基準を競技化したのがフィジーク競技です。詳しくは下記の記事をご参照ください。

バーベルスクワットが主に効果のある筋肉部位

バーベルスクワットは主に大腿四頭筋・ハムストリングス・臀筋群・内転筋群に対して負荷がかかり、トレーニング効果があります。なお、筋力トレーニングの対象となる主な全身の筋肉については下記のデジタル図鑑をご参照ください。

バーベルスクワットのやり方とフォームのポイント

本種目の概要
バーベルスクワットは下半身全体に効果的な筋トレBIG3の一種目です。
バーベルスクワットは、まず、肩にバーベルシャフトを担ぎますが、その位置は首ではなく肩の上、肩甲骨の上部に当てるように構えます。
シャフトを担いだら、胸を張り、背すじを伸ばし、バーベルをラックアウトします。そこから、背中が丸まらないように上を見て、お尻を突き出しながら斜め後方にしゃがんでいきます。しゃがむ軌道としては、椅子に座る軌道をイメージしてください。
この、斜め後ろにお尻を突き出しながらしゃがむ動作ができていないと、膝がつま先よりも前に出てしまい、膝関節に強い負荷がかかりますので十分に注意してください。特に、はじめてバーベルスクワットにチャレンジする方は、いきなりバーベルを担ぐのではなく、事前に自重だけでスクワットのフォームを再確認・練習することをおすすめします。
太ももが床と平行になるまでしゃがんだら、そこから立ち上がっていきます。この時も視線は上に向け、背中が丸くならないように注意しましょう。
本種目の動作手順
①バーベルを肩に担いでラックアウトする
②胸を張り、背すじを伸ばし、お尻を突き出して斜め後方にしゃがむ
③太ももが床と並行までしゃがんだら、背中が丸まらないように上を見て立ち上がる
全日本チャンピオン執筆記事

バーベルスクワットのバリエーション種目
バーベルフロントスクワット

バーベルフロントスクワットは大腿四頭筋に集中的な負荷がかかるバリエーションです。
バーベルハックスクワット

バーベルハックスクワットは、高重量を扱いやすく、ラックのない環境でも実施できるバリエーションです。
バーベルブルガリアンスクワット

バーベルブルガリアンスクワットは、特にハムストリングスに対して強い負荷のかかるバリエーションです。
バーベルワイドスクワット

バーベルワイドスクワットは、特に内転筋群に対して強い負荷のかかるバリエーションです。
バーベルフロントランジ

バーベルフロントランジはハムストリングスに効果的な筋トレです。
バーベルフロントランジは、自重でのフロントランジにバーベルの負荷を追加して強度を上げたトレーニングで、フォームややり方は自重でのフロントランジに準じます。
バーベルフロントランジは足を前後に開いて構え、後ろ側にした脚の膝を下げるようにしてしゃがみます。この時に、膝への負担を避けるため、前側の脚の膝がつま先より前に出ないように気をつけてください。
前側の脚の太ももが、床と平行になるまでしゃがんでから立ち上がりますが、後ろ側にした脚を主体にして立ち上がる意識で動作を行うと、より一層下半身後ろ側に効果的です。
筋力的に動作が辛い方は、手を軽く振り子のように使って立ち上がってください。ただし、膝のバネを反動にして立ち上がると、膝関節に大きな負担がかかりますので、十分に気をつけてトレーニングしましょう。
また、背すじを伸ばし、やや目線を上に向けた姿勢を作ることも大切なポイントです。
動作の正しい手順は以下の通りです。
①バーベルを担ぎ、足を前後に開いて構える
②背すじを伸ばし、やや目線を上げる
③前足の太ももが床と平行になるまでしゃがむ
④後ろ足に意識を集中して立ち上がる
バーベルサイドランジ

バーベルサイドランジは内転筋群に効果的な筋トレです。
バーベルサイドランジは、自重でのサイドランジにバーベルの負荷を追加することで強度を高めた種目ですので、そのやり方やフォームのポイントは自重でのサイドランジに準じます。
バーベルサイドランジは大きく横に足を広げて構え、そこから片側の膝を曲げて横向きにしゃがんでいきます。この時に、曲げる方の脚の膝をつま先と平行(同じ向き)になるように注意しないと、膝関節に捻れ負荷がかかってしまいますので、十分に気をつけてください。
あわせて、膝関節保護のため、曲げる方の脚の膝がつま先より前に出ないように注意することも大切です。
しゃがんでから立ち上がる時は、伸ばした方の脚で身体を行き寄せるようにするのがポイントで、この動作によって内ももの筋肉である内転筋群に負荷をかけることができます。
動作の正しい手順は以下の通りです。
①バーベルを担ぎ、足を横に広げて構える
②片側の膝を曲げ、横方向にしゃがむ
③伸ばした脚で引き寄せるようにして立ち上がる
④反対側の膝を曲げて再びしゃがみ、同様に立ち上がる
筋繊維の種類と細マッチョになるための負荷回数設定

筋トレ対象となる筋肉=骨格筋は、筋繊維が束状になり構成されています。そして、その筋繊維は主に2種類(速筋と遅筋)に分類され、さらに速筋は2タイプ(TYPEⅡa・TYPEⅡb)に分類されます。これらの各筋繊維タイプにはそれぞれに特性があり、トレーニングに対する反応や適正な負荷回数設定も異なります。
①遅筋(筋繊維タイプⅠ)
60秒を超えるような持続的かつ持久的な運動において、中心となって収縮する筋繊維タイプです。レジスタンストレーニングをしてもあまり筋肥大は起こさず、筋スタミナや筋密度が向上する傾向にあります。筋力トレーニングでは20回以上の反復で限界がくるような負荷回数設定でトレーニングを実施します。
②速筋(筋繊維タイプⅡa)
30~60秒程度の短時間の持続的な瞬発運動において、中心となって収縮する筋繊維タイプです。レジスタンストレーニングによって筋肥大するとともに筋スタミナも向上する傾向にあります。筋力トレーニングでは12~15回程度の反復で限界がくるような負荷回数設定でトレーニングを実施します。
③速筋(筋繊維タイプⅡb)
30未満の極めて短時間かつ瞬発的な運動において、中心となって収縮する筋繊維タイプです。レジスタンストレーニングによって強く筋肥大する傾向にあります。筋力トレーニングでは6~12回程度 程度の反復で限界がくるような負荷回数設定でトレーニングを実施します。
骨格筋を構成している筋繊維には大きく分けて速筋と遅筋の2種類があります。速筋は白っぽいため白筋とも呼ばれます。収縮スピードが速く、瞬間的に大きな力を出すことができますが、長時間収縮を維持することができず張力が低下してしまいます。遅筋は赤みがかった色から赤筋とも呼ばれます。収縮のスピードは比較的遅く、大きな力を出すことはできませんが、疲れにくく長時間にわたって一定の張力を維持することができます。
▼厚生労働省公式ページ
参照記事:筋トレ目的別の適切な負荷回数設定

理想的な細マッチョ体型とは

理想的な細マッチョ体型とは、細マッチョ体型を競う公式競技であるフィージーク競技の審査基準と同様で、上図のようになります。
できるだけ筋肥大すべき筋肉
広背筋・三角筋・上腕三頭筋
これらの筋肉は筋肥大を最優先して、速筋(筋繊維タイプⅡb)をターゲットに6~10回の反復動作で限界が来る負荷設定でトレーニングしていきます。
過度に筋肥大すべきでない筋肉
大胸筋・僧帽筋・上腕二頭筋・下半身
これらの筋肉は過度に筋肥大しないよう、速筋(筋繊維タイプⅡa)をターゲットにして15回前後の反復で限界が来るような負荷設定でトレーニングしていきます。

細マッチョになるための二つのアプローチ
細めの体形か太めの体形かで異なる

一般的に、細マッチョの基準とされるのがBMI22前後、体脂肪率15%前後ですが、このような体形になるためには現状の自分の体形によって二つのアプローチがあり、それは以下の通りです。
①細めの体形の場合:まずバルクアップ筋トレを行う
②太めの体形の場合:まずシェイプアップ筋トレを行う
そして、BMI22前後・体脂肪率15%前後の体形の場合、またはトレーニングによってそうなった場合は、筋肉を維持したり、より見栄えのよい形にするために、筋繊維TYPE2aをターゲットにした15回前後の反復で限界がくる負荷回数設定で「細マッチョ筋トレ」を行っていきます。
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細マッチョ筋トレの一週間の組み方

筋肉はトレーニングを行うと筋繊維に微細な損傷を受け、その回復に24~72時間が必要になります。そして、回復するときにはトレーニング前よりも筋密度が向上して回復する特性があり、これを超回復と言います。そして、この超回復を適切に繰り返すことで筋密度を上げていくのが細マッチョ筋トレの基本です。
超回復前に筋肉に負荷を与えてしまうと、筋肉は筋密度が上がるどころか、逆に縮小してしまいますので、いかに超回復を妨げずに高い頻度でトレーニングを行うかがポイントですが、一日に全身全てをトレーニングしてしまうと72時間はトレーニングができないので、週3回程度の頻度で行うのが限界になってきます。
そこで、全身の筋肉をグループごとにローテーションで鍛えていき、超回復を行いながら高頻度でトレーニングをしていくメソッド「部位分割法|スプリットトレーニング」を導入するのがもっとも効率的です。
その分割方法例は以下のようになります。
週一日目:上半身の押す筋肉
週二日目:体幹部の筋肉
週三日目:下半身の筋肉
週四日目:体幹部の筋肉
週五日目:上半身の引く筋肉
この分割法ですと、超回復を妨げず、なおかつ週5回のトレーニングで常に代謝の高い状態も維持することが可能です。
細マッチョ筋トレメニュー例



筋トレのマストアイテム解説
押す筋トレにはリストラップ

引く筋トレにはパワーグリップ

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