
イカは、筋トレの減量期に最適な食材の一つです。シェイプアップと言えば、まず「鶏むね肉」や「ささみ」が思い浮かびますが、確かに減量向きの食材ではありますが、やはりパサパサ感があったり飽きてきたりで、そればかりでは辛いですよね。そんな時に、食感も柔らかく美味しいイカはたいへん重宝します。
実際に筆者は階級制競技の元日本代表選手でしたが、試合前の減量期には「毎日のようにイカを食べて」いました。
イカの種類ってどんなのがある?
アオリイカ・コウイカ・ケンサキイカ・スルメイカなど
一言にイカと言っても、実にたくさんの種類がいます。日本国内で食用として主に出回っている種類には、次のようなものがあります。
アオリイカ

アオリイカは、北海道~沖縄にかけて広く分布する大型のイカで、遊離アミノ酸が他のイカに比べて非常に高く、旨みが強いのが特徴です。刺身・天ぷら・煮つけなどで食べられます。
コウイカ

コウイカは、関東以南に分布する大型の底性種です。国内での食利用はあまり盛んではありませんでしたが、イタリア料理やスペイン料理に使われるイカがコウイカの一種なので、洋食として調理されることが多くなっています。
ホタルイカ

ホタルイカは、日本海全域と太平洋側の一部に分布しており、ルシフェリンと呼ばれる発光物質により「光るイカ」としても有名です。佃煮・酢味噌和え・沖漬け・素干し・天ぷら・唐揚げとして調理されます。
ヤリイカ

ヤリイカは、北海道以南に分布する細長い体型が特徴のイカで、国内のイカのなかでは最高級品の扱いを受けており、刺身・寿司のほか一夜干し・直火焼き・煮付け・塩辛などに調理されます。
ヒイカ

ヒイカは、北海道以南に分布する小型のヤリイカの一種で、旨みが凝縮されており食材として人気があります。焼きイカ・刺身・炒め物・蒸し物とマルチに調理されます。
ケンサキイカ

ケンサキイカは、関東以南に分布する大型のヤリイカの仲間で、特に本種のスルメは「一番スルメ」と称される最高級のスルメです。
スルメイカ

スルメイカは、北海道~九州にかけて広く分布する普通種で、イカ類のなかで最も漁獲量が多いだけでなく、国内の魚介類としても最も消費量の多い種類です。刺身・寿司・焼き物・煮物・酢の物・天ぷらなど多用途調理され、一般的に「イカ」と言った場合は本種を指します。
イカの栄養の特徴
身体によいことがたくさんのイカ

食品としてのイカは、栄養的に非常に優れており、高タンパク質低カロリーなだけでなく、さまざまな食品メリットがあります。
アミノ酸スコアが高い
イカのなかでも特にスルメイカはアミノ酸スコアが100と満点で、魚類以外の魚介類=エビ・カニ・カイなどのアミノ酸スコアが70前後なのに比べると圧倒的に効率的なタンパク質食品です。まさに「筋トレ用魚介類」です。
タンパク質の消化率が高い
イカのなかでも特にスルメイカはタンパク質の消化率が高く、93.5%と白身魚に匹敵するほどの消化のよさが特徴です。減量時は胃腸の働きが落ちがちなので、消化吸収率のよさは非常に重宝します。
優秀な不飽和脂肪酸が含まれる
イカはそもそも脂質はそれほど高くはありませんが、含まれている脂質はドコサヘキサエン酸(DHA)やイコサペンタエン酸(EPA)といった健康や頭にも良いとされる脂質です。
ビタミンがずば抜けて豊富
イカは「海のビタミン剤」とも言われるほどビタミンが豊富で、ビタミンD以外の全てのビタミンを含んでいます。減量中に不足しがちなビタミンの補給にも最適です。
スルメイカのカロリーと栄養素
スルメイカ一杯の可食部300gでは

スルメイカ一杯の可食部300gあたりのカロリーと栄養素は以下の通りです。
エネルギー:264kcal
タンパク質:54.3g
脂質:3.6g
炭水化物:0.6g
なお、数値は「食品成分データベース(文部科学省)」を参照しています。また、食品の栄養素(PFC)および食事全体の栄養(PFC)バランスに関しては食事バランスガイド(農林水産省)の情報を参照しています。
高タンパク質低カロリーな非常に優秀な筋トレ減量食材であることがおわかりいただけますね。
減量・シェイプアップ時には、チキンだけでなくイカをたくさん食べましょう。
イカのさばき方

まずは、スルメイカをさばいていきます。丸のものを自分でさばけるようになると、処理済みのものを買うよりもお得です。

まずは、胴体から足を引き抜きます。足に内臓がついてくるので、継ぎ目の部分でカットしましょう。
次に足の付け根にあるカラストンビ(口器)を指で引き抜きます。そして、目玉を取り除けば足部分のさばきは完了です。
また、内臓を引き抜いたあとに、胴体うちがわにある甲を引き抜いてください。

最後に、胴体からケンの部分を引きちぎるように外して胴体のさばきも完了です。なお、ケン先には角質化した硬い部位があるので、包丁で削るようにして切り落としておきます。

さばいたスルメイカは、適度な大きさにカットします。
具体的な筋トレむきイカ料理
実際に作ったレシピ例

【イカキムチ鍋】冬の筋トレ後におすすめの高タンパク質低カロリー料理

【シェイプアップ筋トレに最適なイカの煮物】さばき方の手順も解説

【豚肉とイカと豆腐のちゃんぽん炒め】筋トレにベストマッチな格安食事メニュー

【筋トレむきイカ焼きの作り方】高タンパク質低カロリーの粉物メニュー
イカと筋トレの関係まとめ
筋トレとイカが相性の良い理由
イカは高タンパク質でありながら脂質が極めて少なく、筋トレの減量期・増量期のどちらでも使いやすい特徴を持っています。また、アミノ酸スコアが高く消化にも優れているため、胃腸負担を抑えながら良質なたんぱく質を確保しやすく、日々のトレーニングのパフォーマンスを安定させる食品として有効です。さらに、ビタミン類が多いことで代謝維持やコンディション管理にも有効で、トレーニング量が多い方でも栄養面の偏りを最小限に抑えることができます。
減量筋トレとの相性
減量期は総摂取カロリーを抑えつつ筋肉量を極力維持することが目的になりますが、イカはたんぱく質量が多いわりにカロリーが非常に低く、炭水化物や脂質をほとんど含まないため、食事設計がしやすい食材です。また、消化が良いことで胃もたれが起きにくく、減量中の弱った胃腸状態でもストレスなく食べられるのが利点です。調理法によって味の変化をつけやすく、長期間の減量でも食事の単調さを防ぎやすいメリットがあります。
バルクアップ筋トレとの相性
バルクアップ期には、脂質とカロリーが過剰になりやすい食生活の偏りを補正する役割としてイカが機能します。高タンパク質かつ低脂質であるため、たんぱく質量を増やしながら総カロリーをコントロールでき、筋肥大に必要なたんぱく質の積み上げが安定します。また、脂肪の摂取過多によって胃腸が疲労しやすい時期でも食べやすいことから、ハイボリュームのトレーニングを支えるための栄養基盤として組み込みやすい食品です。バルクアップ期だからと肉ばかり食べず、イカも食べるようにしましょう!
消化・吸収の観点から見たメリット
イカのタンパク質は消化率が非常に高く、動物性たんぱく質の中でも筋肉合成に利用されやすい特徴があります。食後の消化負担が軽いため、筋トレ前に摂取しても胃の重さが残りにくく、トレーニングの動きや集中力を妨げません。
イカの種類による栄養の違いと使い分け
アオリイカ・スルメイカ・ヤリイカなど、イカは種類ごとに旨味成分や身質が異なり、筋トレ目的においても調理法に合わせた使い分けが可能です。たとえば、スルメイカはタンパク質量と消化率が高く刺身・焼き物・煮物に向いており、アオリイカは柔らかい身質で減量期の炒め物や蒸し料理に適しています。このように部位と種類の特性を理解して使い分けることで、栄養価と実践性の両面において優れています。
筆者の競技経験に基づく実践的な活用法
筆者自身も現役の競技時代、減量期から試合期までイカを頻繁に食べており、その使いやすさと体調管理の相性の良さを実践的に体験してきました。特に、タンパク質量を増やしながら脂質を抑えたい時期や、連日のトレーニングで胃腸が疲れやすい時期には、イカの消化の良さは大きな助けになります。調理の幅が広いことで味に飽きにくく、継続性の面でも優れた食品です。
主なイカ料理のカロリーと栄養素
いか大根のカロリーと栄養素
いか大根1食200gあたりのカロリー・栄養素は以下の通りです。
エネルギー:94kcal
タンパク質:10.02g (40.08kcal)
脂質:0.68g (6.12kcal)
炭水化物:8.84g (35.36kcal)
いか飯のカロリーと栄養素

いか飯1食100gあたりのカロリー・栄養素は以下の通りです。
エネルギー:130kcal
タンパク質:9.99g (39.96kcal)
脂質:0.68g (6.12kcal)
炭水化物:19.12g (76.48kcal)
イカ焼きのカロリーと栄養素

イカ焼き1食200gあたりのカロリー・栄養素は以下の通りです。
エネルギー:368kcal
タンパク質:15.84g (63.36kcal)
脂質:16.34g (147.06kcal)
炭水化物:36.3g (145.2kcal)
イカリングフライのカロリーと栄養素

イカリングフライ2個100gあたりのカロリー・栄養素は以下の通りです。
エネルギー:146kcal
タンパク質:10.6g (42.4kcal)
脂質:2g (18kcal)
炭水化物:21.4g (85.6kcal)
さきいかのカロリーと栄養素

さきいか100gあたりのカロリー・栄養素は以下の通りです。
エネルギー:279kcal
タンパク質:45.5g (182kcal)
脂質:3.1g (27.9kcal)
炭水化物:17.3g (69.2kcal)
イカの塩辛のカロリーと栄養素

イカの塩辛100gあたりのカロリー・栄養素は以下の通りです。
エネルギー:117kcal
タンパク質:15.2g (60.8kcal)
脂質:3.4g (30.6kcal)
炭水化物:6.5g (26kcal)
イカの丸焼きのカロリーと栄養素
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イカの丸焼き1杯300gあたりのカロリー・栄養素は以下の通りです。
エネルギー:282kcal
タンパク質:46.68g (186.72kcal)
脂質:2.91g (26.19kcal)
炭水化物:11.88g (47.52kcal)
いか刺しのカロリーと栄養素
![]()
いか刺し100gあたりのカロリー・栄養素は以下の通りです。
エネルギー:88kcal
タンパク質:18.1g (72.4kcal)
脂質:1.2g (10.8kcal)
炭水化物:0.2g (0.8kcal)
イカのバター焼きのカロリーと栄養素

イカのバター焼き100gあたりのカロリー・栄養素は以下の通りです。
エネルギー:110kcal
タンパク質:16.16g (64.64kcal)
脂質:3.83g (34.47kcal)
炭水化物:1.3g (5.2kcal)
いかニンジンのカロリーと栄養素

いかニンジン100gあたりのカロリー・栄養素は以下の通りです。
エネルギー:110kcal
タンパク質:9.1g (36.4kcal)
脂質:0.52g (4.68kcal)
炭水化物:13.18g (52.72kcal)
筋トレと食事の基礎知識
PFCバランスについての基礎知識

食品は主に「三大栄養素」と呼ばれている3種類の栄養素から構成されています。それは、P=タンパク質・F=脂質・C=炭水化物で、この3種類の栄養素を食事として摂取する比率のことを「PFCバランス」と呼びます。「タンパク質:脂質:炭水化物」の比率として「2:2:6」が一般的に適切とされているPFCバランスですが、筋トレの効果を高める食事のPFCバランスとしては、筋肉合成に重要なタンパク質の比率を増やして「4:1:5」がベストです。
ライフスタイルに合わせたPFCバランスの調整
筋トレの食事としては、先に述べたようにタンパク質の比率を多くするのが定石ですが、カロリーの摂取量はトレーニング量だけでなく、個人のライフスタイルに合わせて調整することも重要です。具体的には運動量の多い仕事をしている場合には脂質・炭水化物を増やし、デスクワーク主体の仕事をしている場合には脂質・炭水化物を減らす、といった微調整が必要になります。
タンパク質とは
タンパク質とはアミノ酸が鎖状に連結して構成される高分子化合物で、人体においては筋肉(筋繊維)の主な構成物質です。このため、筋肉(筋繊維)を太く強くすることが主目的の筋力トレーニングの食事としては、最も重要視されるべき栄養素です。筋肥大をしていくためには、適切な筋力トレーニングだけでなく、体重1kgあたり2gの純タンパク質が必要となります。純タンパク質2g≒肉類魚介類換算で10gに相当。
脂質について
脂質は1gあたり9kcalと高カロリーであることから、筋トレの食事としては「太りやすい」と考えられて敬遠されがちですが、非常にエネルギー効率が良い栄養素であるため、長時間のハードトレーニング前に摂取するカロリー源として優れています。また、腹持ちが良いことから、適度に摂取することで間食を防ぐ効果もあります。
炭水化物について
炭水化物は運動エネルギーの主体となる栄養素で、摂取から吸収されてエネルギーに換わるまでが速やかなことが特徴です。このため、トレーニング中のエネルギー補給、トレーニング直後のエネルギー補給などに有効です。また、筋肉が消化吸収・再合成される過程では多くのエネルギーが必要となるため、筋トレ後の食事においてはタンパク質食品と合わせて炭水化物を摂取していくことが重要です。
具体的な筋トレ向き食品・食事例

下記の記事はバルクアップ・シェイプアップそれぞれの筋トレ目的別に、具体的な食事メニュー・レシピを解説したものです。是非、ご活用ください。
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