
結論から言います。斜め懸垂は、条件が合う人にとっては背中トレとして非常に使える自重種目です。
ただし、万能ではありません。目的と前提を間違えると「効いている気がするだけ」で終わります。
斜め懸垂は引く動作を学ぶための自重種目
斜め懸垂は、バーやスミスマシンを使い、身体を斜めに保った状態で行う引く動作です。構造としては懸垂と同じ縦方向のプル動作ですが、体重負荷を角度で調整できる点が最大の特徴です。
広背筋、僧帽筋、菱形筋といった背中全体を使う動作であり、正しく行えば背中で引く感覚を作ることができます。
懸垂ができない人にとっての価値は高い
斜め懸垂の評価が最も高くなるのは、懸垂が1回もできない段階にある人です。背中の筋肉の使い方が分からず、引く動作で腕ばかり疲れてしまう場合、いきなり懸垂に挑戦するよりも、斜め懸垂で動作を分解した方が合理的です。
負荷を下げた状態で、肩甲骨を寄せて引く動作を繰り返せるため、背中の神経系を作るという意味では非常に優秀な種目です。
初心者向けだが簡単な種目ではない
斜め懸垂は初心者向けとして紹介されることが多い種目ですが、決して楽な種目ではありません。フォームが崩れると、すぐに腕主導の動作になり、背中への刺激が抜けてしまいます。
肘を曲げることだけに意識が向いたり、身体が反ってしまったり、可動域が極端に浅くなったりすると、背中はほとんど使われません。初心者向けだから雑にやっていい種目、という認識は誤りです。
斜め懸垂の動作ポイント

バーを握ったら、かかとから頭までを一直線に保ちます。動作は肘からではなく、肩甲骨を先に寄せる意識で始めます。胸をバーに近づけるように身体を引き上げ、反動を使わずにコントロールして下ろします。
重要なのは、腕で引こうとしないことです。あくまで肩甲骨主導で身体を動かす意識が必要になります。
①肩幅よりも広い手幅でバーをグリップし、背すじを伸ばして構える
②肩甲骨を寄せながら、腰を曲げたりお腹を突き出したりせずに体を引き上げていく
③身体を引き上げたら、肩甲骨を寄せきり、やや顎を上げて背筋群を完全収縮させる
④コントロールした速度で身体を下ろし、反動を使わずに再び身体を引き上げる

当サイト運営ジム「FutamiTC」での指導経験をもとに記載しています。

なお、本記事は元日本代表・生物学学芸員の上岡岳が初稿執筆し、元JOC強化指定選手・現フィジーク選手の上岡颯が最新の競技知見と実践を加えて追記・編集しています。
背中を大きくする主力種目にはならない
斜め懸垂は優秀な自重種目ですが、筋肥大を最大化する主力にはなりません。背中を明確に厚くしたい、広げたいという目的がある場合、最終的には高負荷の懸垂、ラットプルダウン、バーベルローといった種目が必要になります。
斜め懸垂は、導入、フォーム習得、維持、回復期といった限定された役割で使う種目です。
中級者以上では目的を絞って使う
トレーニング経験がある人が斜め懸垂を使う場合は、目的を明確にする必要があります。懸垂前のウォームアップや、肩甲骨の動き出し、背中の感覚調整といった用途であれば、今でも十分に価値があります。
一方で、これを背中トレーニングの中心に据えると、負荷不足になりやすくなります。
斜め懸垂は懸垂への通過点
斜め懸垂はゴールではありません。懸垂ができるようになるための通過点です。
斜め懸垂で背中主導の引く感覚が作れれば、補助付き懸垂やネガティブ懸垂へ自然につなげることができます。この順序を飛ばすと、懸垂がいつまで経っても腕トレのままになります。
斜め懸垂の結論
斜め懸垂は、誰にでも必要な種目ではありません。しかし、背中の使い方が分からない人や、懸垂ができない人にとっては非常に有効な自重トレーニングです。
万能視せず、目的を限定して使う。この距離感を理解している人ほど、斜め懸垂を正しく活用できます。
動画付きの詳細解説

筋トレコラム記事集

【効率的な筋トレ】まだそのやり方で消耗してるの?目からウロコのコラム記事集
部位分割メニュー例

週2・3・4回の部位分割筋トレメニュー
主な筋トレ種目一覧

図解付き主要種目の一覧ページ
下記にリンクしています主要種目の個別解説記事は、動画だけでなく一目で理解しやすい図解付きでフォームについて説明しています。
自重トレーニング
腕立て伏せ(大胸筋)パイクプッシュアップ(三角筋)
ベンチディップス(上腕三頭筋)
懸垂(背筋群)
バックエクステンション(背筋群)
逆手懸垂(上腕二頭筋)
自重スクワット(下半身)
チューブトレーニング
チューブチェストプレス(大胸筋)チューブチェストフライ(大胸筋)
チューブショルダープレス(三角筋)
チューブキックバック(上腕三頭筋)
チューブローイング(背筋群)
チューブカール(上腕二頭筋)
チューブレッグプレス(下半身)
ダンベルトレーニング
ダンベルプレス(大胸筋)ダンベルフライ(大胸筋)
ダンベルショルダープレス(三角筋)
ダンベルサイドレイズ(三角筋)
ダンベルキックバック(上腕三頭筋)
ダンベルローイング(背筋群)
ダンベルカール(上腕二頭筋)
ダンベルスクワット(下半身)
マシントレーニング
マシンチェストプレス(大胸筋)ケーブルフライ(大胸筋)
スミスマシンベンチプレス(大胸筋)
マシンショルダープレス(三角筋)
ケーブルプレスダウン(上腕三頭筋)
ラットプルダウン(背筋群)
ケーブルローイング(背筋群)
スミスマシンデッドリフト(背筋群)
ケーブルカール(上腕二頭筋)
マシンレッグプレス(下半身)
スミスマシンスクワット(下半身)
バーベルトレーニング
バーベルベンチプレス(大胸筋)バーベルショルダープレス(三角筋)
ナローベンチプレス(上腕三頭筋)
バーベルデッドリフト(背筋群)
バーベルベントオーバーロウ(背筋群)
バーベルグッドモーニング(背筋群)
バーベルカール(上腕二頭筋)
バーベルスクワット(下半身)
