足上げ腹筋とも言われるレッグレイズが効果のある筋肉部位と、対象となる筋肉の特性から導き出される適切な1セットあたりの反復回数について、五輪テコンドー元JOC強化指定選手の筆者が解説します。
この記事を書いた選手(レッグレイズを実施)

上岡颯選手プロフィール
テコンドー主戦績
(2009~2020)
JOC全日本ジュニア選手権準優勝
全日本選手権東日本地区大会優勝
全日本学生選手権準優勝
全日本選手権準優勝
2020年度強化指定選手
そのフィジカルトレーナー(レッグレイズを指導)

上岡岳プロフィール
アームレスリング主戦績
全日本マスターズ80kg超級2位
アジア選手権マスターズ90kg級3位
学芸員(J-Global掲載ページ)
レッグレイズが効果のある筋肉部位
レッグレイズは主に腹筋群(特に腹直筋下部)と腸腰筋群に対して効果のあるトレーニング種目です。それぞれの筋肉は以下の通りです。
腹筋群の英語名称・構造・部位詳細・起始停止

読みかた:ふっきんぐん
英語名称:abdominal muscles
部位詳細:腹直筋|外腹斜筋|内腹斜筋|腹横筋
起始:恥骨稜・恥骨結合・恥骨結節|第5~12肋骨外面|胸腰筋膜深葉・上前腸骨棘・鼡径靭帯・腸骨稜|第7~12肋軟骨内面・鼡頚靭帯・上前腸骨棘
停止:剣状突起・第5~7肋軟骨外面|鼡径靭帯・腹直筋鞘前葉・腸骨稜外唇|第10~12肋骨下縁・腹直筋鞘・精巣挙筋|剣状突起・白線・恥骨
腹筋群は体幹前面に位置する筋肉群で、表層から腹直筋・外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋の順に四層構造をしています。その働きは「体幹を前に屈曲させる」「体幹を横に屈曲させる」「体幹を捻る」ことです。
腸腰筋群の英語名称・構造・部位詳細

読みかた:ちょうようきんぐん
英語名称:iliopsoas
部位詳細:腸骨筋|大腰筋|小腰筋
腸腰筋群は股関節に位置しており体幹と大腿部をつなぐインナーマッスルで、大腰筋・小腰筋・腸骨筋から構成されています。「大腿部を前に持ち上げる」という働きがあり、レッグレイズなどの筋トレ種目で鍛えることが可能です。
筋肉の詳細図鑑

筋肉の構造と作用に関しては下記の学術サイトを参照しています。
・https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/
競技におけるレッグレイズの効果
競技スポーツにおけるレッグレイズがもたらす効果は「脚を上げる動作が強くなる」に集約されます。これは、腸腰筋群の強化の結果です。
ほぼ全てのスポーツで、脚力・足の強さは決定的な勝利要因の一つです。
一般的には「脚を鍛える」=「太ももの筋肉を鍛える」と考えられがちですが、そもそも脚を上げる動作を担っているのは「太ももの筋肉|大腿筋群」ではなく、レッグレイズで鍛えられる「腸腰筋群」です。
ですので、筆者はU18ジュニア強化指定選手時代は、自宅に併設されたクラブチームジム「FutamiTC」において、週3回ペースでレッグレイズトレーニングを実施してきました。
高校1年生でレッグレイズトレーニングを始めたころは、トップ画像のように無負荷(自重のみ)でしたが、高校2年生の頃には上の写真のように2~3kgのウエイトを追加しました。
全日本ジュニア選手権(U18)で2年連続のメダル奪取をした高校3年時点では、5kgのウエイトをつけてレッグレイズを行っていました。
試合における実際の効果
この動画は、筆者が高校2年生の時、一般上級部門(全日本クラスの大人)のオープン戦に出場した時の試合記録です。
準決勝は当時の全日本ランカーとの対戦で、試合終了間際までポイントでリードされていましたが、試合終了間際、蹴り足を上げたまま相手に向かって前進し、そのまま前蹴りを決めて逆転勝利しました。この時の蹴り足の保持は日々のレッグレイズで鍛えられた腸腰筋群の筋力に支えられたと考えています。
また、決勝は当時の全日本2位の選手との対戦で、いわゆる「大人と子供の戦い」でしたので正面から撃ち合うことはせず、ミドルキックでコツコツと攻め、ポイント勝利しました。高速ミドルの初動はもちろん、腸腰筋群の筋力に依存しています。
この動画も、筆者が高校2年生時のもので、5連覇がかかった愛知県ジュニア選手権(兼JOCジュニアオリンピックカップ全日本選手権代表選考会)です。
筆者の得意技の一つであるチッキ(ネリチャギ|かかと落とし)を多く決めて、準決勝・決勝ともに勝利しましたが、かかと落としのように頭上に足を振り上げる動作の主動筋は間違いなく腸腰筋群で、これも日々のレッグレイズトレーニングの効果です。
実際のレッグレイズトレーニングの動画
こちらは、JOCジュニアオリンピックカップ全日本選手権の臨戦時期のFutamiTCでのトレーニング・練習の様子ですが、当時筆者がフィジカルトレーナー指導の下で行っていたレッグレイズトレーニングや蹴撃練習が記録されています。

この試合は、大学進学の特待条件=全日本ジュニア3位以上、がかかった試合でしたので、臨戦は非常に厳しく、レッグレイズのような筋力トレーニング・実戦練習のほかに、マスクを装着してのスタミナトレーニングなども実施していました。
全日本選手権でのレッグレイズの効果
JOCジュニアオリンピックカップ全日本選手権の試合動画です。日々のレッグレイズトレーニングに支えられた脚力で、ネリチャギ(かかと落とし)、変化左ハイキックなどが決まり、決勝までは全てコールド勝ちで進みました。
決勝は、当時日本に留学していた海外選手(ジュニア世界チャンピオン|越境出場)との一戦でした。惜敗はしましたが、ハイキックも数発決まり、日々のトレーニング・練習の成果を実感できました。
レッグレイズのやり方と回数設定
本種目の動作ポイント

◆レッグレイズのやり方と動作ポイント
①仰向けになり、足を伸ばして構える
②息を吐きながら足を上げていく
③足を45度ほど上げたら、息を全て吐いて顎を引き、腹直筋を完全収縮させる
④コントロールした動作で足を下ろす
⑤反動を使わず再び足を上げていく
◆ワンポイントアドバイス
呼吸と顎の動作を意識して腹直筋を最大収縮させることが大切です。また、反動を使うと腰を痛めるリスクがありますので注意してください。

当サイト運営ジム「FutamiTC」での指導経験をもとに記載しています。
レッグレイズの負荷回数設定
レッグレイズのトレーニング対象となる腹直筋下部や腸腰筋群は、高負荷で鍛えるアウターマッスルではなく、低負荷・高反復回数で鍛えるべきインナーマッスルです。
ですので、レッグレイズは1セット20回の反復回数で実施するのが適切です。
動画付き解説

レッグレイズと合わせて実施したい種目

筋肉の発達バランスを考慮すると、レッグレイズの動作で鍛えられる筋肉の拮抗筋である「脊柱起立筋」も同時に鍛える必要があります。
◆バックエクステンションのやり方と動作ポイント
①うつ伏せになり構える
②上半身を起こしていく
③上半身を起こしたら、ゆっくりと効かせながら元に戻る
④再び上半身を起こしていく
◆ワンポイントアドバイス
反動を使って動作をすると腰を痛めるリスクがありますので、身体を起こすときも戻すときもゆっくりとコントロールしながら動作してください。

バックエクステンションは脊柱起立筋に効果的な自重筋力トレーニングです。 バックエクステンションは、うつ伏せになり上半身を反らせる動作のトレーニングで、自身の手と腕が負荷として働くため、手をどこに構えるかで強度が変わってきます。
運動経験のあまりない方に人気なのが、動画のように手を腰位置に構えるやり方です。
うつ伏せになった状態から、手を指先まで伸ばしながら上半身を起こしていきますが、この時に勢いをつけて動作を行うと、腰に強い負担がかかりますので、ゆっくりと動き出すように十分に注意してください。
また、背筋群と首の連動性から、上半身を反らせながら顎を上げるように意識をしてください。苦しいと、つい顎を引いてしまいがちですが、顎を引くと背中が丸まり背筋が十分に収縮しません。苦しい時ほど顎を上げるイメージで動作を行ってください。
なお、トレーニングに慣れてきたら、手の位置を真横に、さらに手の位置を前方にすることで、本種目の負荷を少しずつ高めることが可能です。
最終的には、手を前方にするとともに、足先を浮かせるようにすると最高負荷が得られますが、これはスーパーマンバックエクステンションと呼ばれています。
動画付き解説

部位分割メニュー例

週2・3・4回の部位分割筋トレメニュー
主な筋トレ種目一覧

図解付き主要種目の一覧ページ
下記にリンクしています主要種目の個別解説記事は、動画だけでなく一目で理解しやすい図解付きでフォームについて説明しています。
自重トレーニング
腕立て伏せ(大胸筋)パイクプッシュアップ(三角筋)
ベンチディップス(上腕三頭筋)
懸垂(背筋群)
バックエクステンション(背筋群)
逆手懸垂(上腕二頭筋)
自重スクワット(下半身)
チューブトレーニング
チューブチェストプレス(大胸筋)チューブチェストフライ(大胸筋)
チューブショルダープレス(三角筋)
チューブキックバック(上腕三頭筋)
チューブローイング(背筋群)
チューブカール(上腕二頭筋)
チューブレッグプレス(下半身)
ダンベルトレーニング
ダンベルプレス(大胸筋)ダンベルフライ(大胸筋)
ダンベルショルダープレス(三角筋)
ダンベルサイドレイズ(三角筋)
ダンベルキックバック(上腕三頭筋)
ダンベルローイング(背筋群)
ダンベルカール(上腕二頭筋)
ダンベルスクワット(下半身)
マシントレーニング
マシンチェストプレス(大胸筋)ケーブルフライ(大胸筋)
スミスマシンベンチプレス(大胸筋)
マシンショルダープレス(三角筋)
ケーブルプレスダウン(上腕三頭筋)
ラットプルダウン(背筋群)
ケーブルローイング(背筋群)
スミスマシンデッドリフト(背筋群)
ケーブルカール(上腕二頭筋)
マシンレッグプレス(下半身)
スミスマシンスクワット(下半身)
バーベルトレーニング
バーベルベンチプレス(大胸筋)バーベルショルダープレス(三角筋)
ナローベンチプレス(上腕三頭筋)
バーベルデッドリフト(背筋群)
バーベルベントオーバーロウ(背筋群)
バーベルグッドモーニング(背筋群)
バーベルカール(上腕二頭筋)
バーベルスクワット(下半身)
