元日本代表の競技者が50代からの復帰筋トレで具体的に気をつけていること

この記事の数値は食品成分データベース(文部科学省)に基づいて算出し、栄養(PFC)バランスに関しては食事バランスガイド(農林水産省)の情報を参照しています。

私は、かつてアームレスリングの日本代表として競技に取り組み、55歳の現在、60歳での世界選手権メダル獲得を目標にトレーニングを本格的に再開しました。

若い頃のように勢いや回復力だけで押し切るのではなく、50代には50代の戦い方があります。筋力や筋量はまだ十分に伸ばせますし、競技力を高めることも可能です。しかし一方で、関節や靭帯、腱の回復力は若い頃とは違います。

そのため、50代の筋トレでは「どれだけ追い込むか」だけでなく、「いかに怪我をせず、長く続けるか」が非常に重要になります。ここでは、私自身が50代でトレーニングを続けるうえで実際に気をつけていることをまとめます。

50代の筋トレでは、筋力を伸ばすこと以上に、関節・靭帯・腱を守りながら継続できる設計を作ることが重要です。

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記事執筆者


上岡岳プロフィール
アームレスリング主戦績
全日本マスターズ80kg超級2位
アジア選手権マスターズ90kg級3位
学芸員(J-Global掲載ページ)

55歳から60代マスターズ世界選手権にむけてトレーニングを再開

アップをしっかり行う(クールダウンも)

50代の筋トレで特に気をつけているのが、関節や靭帯への過負荷を防ぐことです。

そのため、いきなり高重量を扱うのではなく、アップをしっかり行うようにしています。軽い重量から段階的に動作を確認し、関節の違和感や筋肉の張り方を見ながら負荷を上げていきます。

若い頃は多少雑に始めても身体が対応してくれましたが、50代ではその油断が怪我につながります。筋肉を鍛える前に、まず身体を安全に動かせる状態にすることが重要です。

具体的にはトレーニングメソッドの定番であるピラミッドセット法の導入です。軽い重量から始め、アップセットは3セットは実施するようにしています。

その後、10レップ限界セット・8レップ限界セット・6レップ限界セットと1セットごとに使用重量を上げていき、再び使用重量を落としながら3セットほどかけてクールダウンしていきます。

【ピラミッドセット法】筋肥大と筋力向上が同時に狙えるオールアウトの筋トレ方法
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細かく分割して回復を優先する

1日に多くの筋肉をまとめて刺激すると、回復が追いつかなくなりやすくなります。

そのため、現在は部位を細かく分割してトレーニングしています。一度に全身を追い込むのではなく、狙う筋肉を絞り、その日の疲労をできるだけ限定する形です。

50代以降の筋トレでは、トレーニング量を増やすことよりも、継続できる形に整えることが大切です。強い刺激を入れても、回復できなければ次の練習につながりません。鍛えることと同じくらい、回復できる設計にすることを意識しています。

具体的には、以下のようなスプリットを組んでいます。

週1回目:胸

週2回目:上腕二頭筋と前腕

週3回目:背中

週4回目:上腕三頭筋と前腕

週5回目:下半身を含む軽い全身運動

週6回目:肩と前腕

週7回目:休養日

1日当たりの総セット数は10セット、トレーニング時間は30分前後を目安にしています。

もちろん、これはアームレスリング競技復帰用のスプリットなので、一般的な部位分割トレーニングにはそのまま当てはめられません。一般的な組み方は下記の記事で解説しています。

週2・3・4回の部位分割筋トレメニュー|方法や目的別にプログラムを例示
筋トレの成果は、種目や重量だけで決まるものではありません。どの部位を、どの頻度で、どのように分割して鍛えるかという「部位分割の設計」が、長期的な伸びを大きく左右します。 本記事では、週2回・週3回・週4回という現実的なトレーニング頻度...

痛い動作はすぐにやめる

筋トレ中に「効いている痛み」と「危ない痛み」は違います。

筋肉が張る感覚や焼けるような疲労感はトレーニングの一部ですが、関節の奥が痛い、腱に鋭い違和感がある、動作中に嫌な痛みが走る場合は、すぐにその動作をやめるようにしています。

50代では、無理に続けることが根性ではありません。痛みを無視して怪我をすれば、数週間から数か月単位でトレーニングが止まります。長く続けるためには、危険なサインを早めに拾うことが必要です。

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食事は豆腐や魚介類を中心にする

筋肉を維持し、強くするためにはタンパク質が必要です。

ただし、年齢を重ねると肉類を大量に食べ続けるのが難しくなることがあります。そのため、肉だけに頼らず、豆腐や魚介類を中心にタンパク質を確保するようにしています。

豆腐は食べやすく、日常的に取り入れやすい食品です。魚介類もタンパク質源として優秀で、胃腸への負担を抑えながら栄養を摂りやすいと感じています。

50代以降の食事では、「若い頃のように大量に食べる」ことよりも、「続けられる形で必要量を確保する」ことが重要です。

実際の食事例

睡眠(休養)をできるだけ多くとる

トレーニングの成果は、筋トレ中だけで決まるわけではありません。

筋肉や関節、神経系が回復するためには睡眠が必要です。特に50代では、睡眠不足の影響がトレーニングの質や回復速度に出やすくなります。

そのため、できるだけ睡眠時間を確保するようにしています。疲労が抜けない状態で無理に追い込むより、しっかり寝てから質の高いトレーニングを行うほうが、長期的には確実にプラスになります。

アーノルドシュワルツネガーの隠れ名言

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走る必要がなければ歩け。歩く必要がなければ立て。立つ必要がなければ座れ。座る必要がなければ寝ろ。

聞きようによっては、あまりにも怠惰に聞こえる言葉なので、彼の名言として公式に残されてませんが、昔読んだトレーニング雑誌のインタビューで生活のモットーをこたえた時の言葉です。

鍛える・食べる・寝る(休養)の大事さを表現した言葉ですが、あんまり社会人としては公言しないほうがいいやつですね。

トレーニングを再開してから、ほんとよく寝ます。寝ないと身体の回復が追い付かないので、赤ちゃんみたいにひたすら寝てます。

60歳以降も自分を見失わないために鍛える

50代の筋トレは、単に筋肉を大きくするためだけのものではありません。

60歳、65歳以降になると、会社員としての立場や役職が変わっていく人も多くなります。仕事上の肩書きがなくなったとき、自分をどう保つのか。何を目標に生きるのか。そこまで含めて、長期目線でトレーニングや競技に取り組むことには大きな意味があります。

筋トレは身体を鍛える行為であると同時に、自分の軸を作る行為でもあります。

年齢を重ねても目標を持ち、身体を整え、競技やトレーニングに向き合うことで、会社や肩書きだけに依存しない自分を保つことができます。

50代の筋トレでは、若さに任せた無理は必要ありません。大切なのは、怪我を防ぎ、回復を考え、食事と睡眠を整えながら、長く戦える身体を作ることです。

60歳以降も自分を見失わないために、今日のトレーニングを積み重ねていく。

それが、50代からの筋トレで最も大切にしていることです。

上岡岳の戦闘記録|60歳マスターズでの競技復帰への記録(From FUTAMI to the WORLD)
当サイト運営者であり、国際連盟IFA正規販売代理店・世界協会IPF公認品正規販売代理店の代表である、上岡岳(本記事執筆時:2026年6月18日時点で55歳)は、10年間の引退生活を終わり、2030年IFA世界アームレスリング選手権でのメ...