【フロントランジ】ハムストリングスに有効な自重トレーニング

この記事は全日本3位以上・日本代表の各競技選手のみが執筆した専門記事です。

フロントランジは大腿四頭筋だけでなく、その拮抗筋であるハムストリングスに効果的な自重筋トレです。そのやり方を動画をまじえて解説します。

執筆者・監修者・運営者情報

フロントランジが効果のある筋肉部位

各筋肉の構造や作用および起始停止・支配神経に関しては下記の専門サイトおよび学術文献を参照しています。

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Skeletal muscle: A review of molecular structure and function, in health and disease - PMC
Decades of research in skeletal muscle physiology have provided multiscale insights into the structural and functional complexity of this important anatomical t...

Skeletal Muscle: A Brief Review of Structure and Function(PDF)

大腿四頭筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止

読みかた:だいたいしとうきん
英語名称:quadriceps
部位詳細:大腿直筋外側広筋内側広筋中間広筋
起始:腸骨下前腸骨棘・寛骨臼上縁大腿骨大転子外側面・転子間線・殿筋粗面大腿骨粗線内側唇大腿骨前外側面
停止:膝蓋骨上縁・脛骨粗面膝蓋骨上外側縁・頸骨粗面膝蓋骨上内側縁・脛骨結節膝蓋骨・頸骨粗面

ハムストリングスの英語名称・構造・部位詳細・起始停止

読みかた:はむすとりんぐす
英語名称:hamstrings
部位詳細:大腿二頭筋長頭大腿二頭筋短頭半膜様筋半腱様筋
起始:坐骨結節大腿骨粗線外側唇・外側筋間中隔坐骨結節坐骨結節内側面
停止:腓骨頭腓骨頭脛骨内側顆・斜膝窩靭帯脛骨粗面内側

臀筋群の英語名称・構造・部位詳細・起始停止

読みかた:でんきんぐん
英語名称:gluteus muscles
部位詳細:大臀筋中臀筋|小臀筋
起始:腸骨稜・腸骨翼腸骨翼殿筋面・腸骨稜腸骨翼
停止:大腿筋膜外側部・大腿骨粗面大腿骨大転子尖端大腿骨大転子前面

フロントランジは太もも前面の大腿四頭筋と、その拮抗筋で太もも裏側に位置するハムストリングス(大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋)および大臀筋に効果があります。

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フロントランジの動画とやり方

こちらがフロントランジの模範的な動画です。

膝関節保護のため、膝がつま先より前に出ないように注意して動作を行ってください。

なお、後ろ足を主体に動作を行うと、ハムストリングスに対してさらに効果が高まります。

◆フロントランジのやり方と動作ポイント
①片側の足を前に出し、片側の足を後ろに引き構える

②前にした足の膝がつま先よりも前に出ないように、斜め後ろにしゃがんでいく

③前にした足の太ももが床と平行になるまでしゃがんだら、反動を使わずに同じ軌道で立ち上がる

④所定回数を行った後、足の前後をかえて再び同様の動作を行う

◆ワンポイントアドバイス
前にした足を主働で行うと大腿四頭筋に、後ろにした足を主働で行うとハムストリングスに効果があります。

当サイト執筆者は、運営しているクラブチームジム「FutamiTC」で日常的にトレーニング指導を行っており、本記事の内容も実際の指導現場で得た経験をもとにフォームのポイントやアドバイス点をまとめています。

ジムトレーナーとしての実際の指導ポイント

トレーニング動作と首の連動性

トレーニングフォーム全般において重要となるのは、実施する種目の動作と首の位置関係を適切に保つことです。特に、身体の前側の筋群(大胸筋・三角筋・上腕三頭筋・大腿四頭筋など)を収縮させる局面では、動作フィニッシュで軽く顎を引き、首を安定させることが有効です。

一方で、身体の後ろ側の筋群(広背筋・僧帽筋・上腕二頭筋・脊柱起立筋・ハムストリングスなど)を収縮させる局面では、動作フィニッシュで首の位置をわずかに後方へ誘導し、顎の角度を適切に調整することで動作が安定します。

トレーニング動作と呼吸

トレーニング動作における呼吸タイミングも重要な要素です。一般に、筋肉は息を吐く局面で収縮が高まり、息を吸う局面で弛緩しやすくなります。そのため、動作フィニッシュの位置では息をしっかり吐いて筋活動を安定させ、いったん動作を止めてから息を吸い、元の姿勢へ戻る流れを作ることが有効です。

それでは、次の項目では、実際に筆者がジムトレーナーとして運営ジムで選手に指導している本種目の具体的な動作ポイント・フォームについて解説します。

本種目の具体的な動作ポイント・フォーム

フロントランジは、前にした脚を中心に動作すると太もも前側=大腿四頭筋に、後ろにした脚を中心に動作を行うと太もも裏側=ハムストリングスに効果があります。

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フロントランジの順番と回数設定

ターゲットにする筋繊維に最適な反復回数

筋肉を構成している筋繊維には主に三種類があり、それは、筋繊維TYPE2b(速筋|FG筋)、筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)、筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)で、それぞれの特徴と鍛えるのに適切な反復回数は以下の通りです。

筋繊維TYPE2b(速筋|FG筋)

筋肥大を目的とした筋力トレーニングを実施する場合は、筋肥大しやすい特性を持つ「筋繊維タイプ2b(短時間に爆発的な収縮をする筋繊維)」を対象として行います。具体的には8~10回前後の反復動作で限界がくる負荷設定で筋力トレーニングを実施します。

筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)

体力作りを目的とした筋力トレーニングを実施する場合は、中程度に筋肥大する特性を持つ「筋繊維タイプ2a(持久要素のある瞬発的な収縮をする筋繊維)」を対象として行います。具体的には12~15回前後の反復動作で限界がくる負荷設定で筋力トレーニングを実施します。

筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)

筋肥大を伴わない筋力トレーニングを実施する場合は、ほぼ筋肥大せずに緊密度が向上する特性を持つ「筋繊維タイプ1(持久的に収縮をする筋繊維)」を対象として行います。具体的には20回以上の反復動作で限界がくる負荷設定で筋力トレーニングを実施します。

トレーニング種目を実施する順序

トレーング種目を実施する順序は、コンパウンド種目(複数の筋肉と関節を動かす多関節運動種目)を先に行い、その後でアイソレーション種目(単一の筋肉と関節を動かす単関節運動)を行うのが基本です。また、複数のコンパウンド種目・アイソレーション種目を実施する場合は、それぞれ使用重量の高い種目から先に行います。

フロントランジは、下半身の中負荷複合関節運動ですので、高負荷のスクワット系種目・レッグプレス系種目の後に行ってください。

また、適切な1セットの負荷回数設定は以下の通りです。

○筋肥大トレーニング:6~10回
○通常トレーニング:15回前後
○シェイプアップ筋トレ:20回以上

本種目のポイントまとめ

前脚で大腿四頭筋を安定させる

前に出した脚の膝関節がつま先方向にまっすぐ動くように軌道を固定する(つま先の向きと膝の向きを同じにする)ことで、大腿四頭筋の筋収縮が最も効率よくなります。また、体幹を垂直に保つことで重心がぶれず、筋肉への負荷が安定した状態で動作を行えます。

後ろ脚でハムストリングスへの負荷を高める

後ろ脚を主働にして身体を下ろす・上げることで、ハムストリングスが強い負荷を受けます。この動作は膝関節の角度の変化より股関節の伸展と屈曲がメインで、これにより下半身後ろ側(ハムストリングス+臀筋群)に負荷を集中できます。

骨盤の前後傾を安定させ臀筋群に効かせる

骨盤の傾きをニュートラルに維持する(腰を突き出さず・引きもしない)ことで、大臀筋・中臀筋が持つ股関節伸展作用が最適に働きます。これにより、臀筋群への負荷を最大化することが可能になります。

膝とつま先の向きを揃える

膝とつま先の向きを揃えることで、股関節から足首までの力の伝達が直線的になり、関節の保護と筋肉に対する負荷の両方が向上します。特に身体を下ろす時に膝の軌道が乱れやすいため、つま先方向へまっすぐ向かうイメージを持つことで安全性と効率性が高まります。

反動を使わず立ち上がる

反動を使った立ち上がりは負荷の抜けにつながるだけでなく、膝関節への過剰な負担となるため、終始しっかりと動作をコントロールして実施してください。

足幅を調整し負荷比率を変える

前後の足幅を広げると股関節の可動域が増え、ハムストリングスおよび臀筋群に負荷が入りやすくなり、逆に歩幅を狭めるほど膝関節主導の動作となり大腿四頭筋に強く負荷がかかります。

肩と骨盤を平行にする

肩と骨盤の向きを揃える(平行にする)ことで体幹への捻りがなくなり、股関節の伸展軌道がまっすぐに安定します。体幹が回旋してしまうと負荷が分散してしまうので、常に意識をして動作してください。

足の裏の荷重配分

親指付け根・小指付け根・踵の三点でしっかり床を捉えることで、動作全体のバランスが向上します。この足の裏の荷重が偏ると膝や腰に余計なストレスがかかるため、足裏全体で均等に体重を受ける意識が動作を安定させます。

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筋肉の名称と作用

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