【ワイドグリップ腕立て伏せ】三角筋にも効果の高い自重筋トレ方法

この記事は全日本3位以上・日本代表の各競技選手のみが執筆した専門記事です。

ワイドグリップ腕立て伏せは、三角筋全体に効果の高い自重トレーニングです。そのやり方を、動画をまじえて解説します。

執筆者・監修者・運営者情報

ワイドグリップ腕立て伏せが効果のある筋肉部位

各筋肉の構造や作用および起始停止・支配神経に関しては下記の専門サイトおよび学術文献を参照しています。

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Skeletal muscle: A review of molecular structure and function, in health and disease - PMC
Decades of research in skeletal muscle physiology have provided multiscale insights into the structural and functional complexity of this important anatomical t...

Skeletal Muscle: A Brief Review of Structure and Function(PDF)

大胸筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止

読みかた:だいきょうきん
英語名称:pectoralis major muscle
部位詳細:上部中部(内側)下部
起始:鎖骨の内側胸骨前面第2~6肋軟骨腹直筋鞘前葉
停止:上腕骨大結節稜

三角筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止

読みかた:さんかくきん
英語名称:deltoid muscle
部位詳細:前部中部(側部)後部
起始:鎖骨外側前縁肩甲骨肩峰肩甲骨肩甲棘
停止:上腕骨三角筋粗面

上腕三頭筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止

読みかた:じょうわんさんとうきん
英語名称:triceps
部位詳細:長頭外側頭内側頭
起始:肩甲骨関節下結節上腕骨後面上腕骨後面
停止:尺骨肘頭

ワイドグリップ腕立て伏せは大胸筋・三角筋・上腕三頭筋といった上半身の押す筋肉に効果のある自重トレーニングですが、なかでも三角筋と大胸筋外側、大胸筋の補助筋である小胸筋に効果的です。

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ワイドグリップ腕立て伏せの動画とやり方

こちらがワイドグリップ腕立て伏せの模範的な動画です。肩関節への負担を防ぐため、肘が肩のラインより頭方向にこないように動作してください。

また、ワイドグリップ腕立て伏せは角度があるので手首に大きな負担がかかります。プッシュアップバーがあれば手首の角度を微調整できて便利です。

◆ワイドグリップ腕立て伏せのやり方と動作ポイント

①うつ伏せになり、片幅より広く手幅をとって手を床につき、背すじを伸ばし、肩甲骨を寄せて構える

②肩甲骨を寄せたまま、お腹を突き出したり腰を曲げたりせずに身体を下ろす

③身体を下ろしたら、肩甲骨を寄せたまま息を吐きながら身体を押し上げる

◆ワンポイントアドバイス

手幅を広くとった場合、肩甲骨の寄せが甘いと特に肩関節に大きな負担がかかりますので、しっかりと肩甲骨を寄せて動作を行ってください。

当サイト執筆者は、運営しているクラブチームジム「FutamiTC」で日常的にトレーニング指導を行っており、本記事の内容も実際の指導現場で得た経験をもとにフォームのポイントやアドバイス点をまとめています。

ジムトレーナーとしての実際の指導ポイント

トレーニング動作と首の連動性

トレーニングフォーム全般において重要となるのは、実施する種目の動作と首の位置関係を適切に保つことです。特に、身体の前側の筋群(大胸筋・三角筋・上腕三頭筋・大腿四頭筋など)を収縮させる局面では、動作フィニッシュで軽く顎を引き、首を安定させることが有効です。

一方で、身体の後ろ側の筋群(広背筋・僧帽筋・上腕二頭筋・脊柱起立筋・ハムストリングスなど)を収縮させる局面では、動作フィニッシュで首の位置をわずかに後方へ誘導し、顎の角度を適切に調整することで動作が安定します。

トレーニング動作と呼吸

トレーニング動作における呼吸タイミングも重要な要素です。一般に、筋肉は息を吐く局面で収縮が高まり、息を吸う局面で弛緩しやすくなります。そのため、動作フィニッシュの位置では息をしっかり吐いて筋活動を安定させ、いったん動作を止めてから息を吸い、元の姿勢へ戻る流れを作ることが有効です。

それでは、次の項目では、実際に筆者がジムトレーナーとして運営ジムで選手に指導している本種目の具体的な動作ポイント・フォームについて解説します。

本種目の具体的な動作ポイント・フォーム

ワイド腕立て伏せは肩関節保護のために、手が肩より頭側にこないように注意して行ってください。また、肩に痛みを感じないように手の置く向きを調整しましょう。

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ワイド腕立て伏せの順番と回数設定

ターゲットにする筋繊維に最適な反復回数

筋肉を構成している筋繊維には主に三種類があり、それは、筋繊維TYPE2b(速筋|FG筋)、筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)、筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)で、それぞれの特徴と鍛えるのに適切な反復回数は以下の通りです。

筋繊維TYPE2b(速筋|FG筋)

筋肥大を目的とした筋力トレーニングを実施する場合は、筋肥大しやすい特性を持つ「筋繊維タイプ2b(短時間に爆発的な収縮をする筋繊維)」を対象として行います。具体的には8~10回前後の反復動作で限界がくる負荷設定で筋力トレーニングを実施します。

筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)

体力作りを目的とした筋力トレーニングを実施する場合は、中程度に筋肥大する特性を持つ「筋繊維タイプ2a(持久要素のある瞬発的な収縮をする筋繊維)」を対象として行います。具体的には12~15回前後の反復動作で限界がくる負荷設定で筋力トレーニングを実施します。

筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)

筋肥大を伴わない筋力トレーニングを実施する場合は、ほぼ筋肥大せずに緊密度が向上する特性を持つ「筋繊維タイプ1(持久的に収縮をする筋繊維)」を対象として行います。具体的には20回以上の反復動作で限界がくる負荷設定で筋力トレーニングを実施します。

トレーニング種目を実施する順序

トレーング種目を実施する順序は、コンパウンド種目(複数の筋肉と関節を動かす多関節運動種目)を先に行い、その後でアイソレーション種目(単一の筋肉と関節を動かす単関節運動)を行うのが基本です。また、複数のコンパウンド種目・アイソレーション種目を実施する場合は、それぞれ使用重量の高い種目から先に行います。

ワイド腕立て伏せは大胸筋+三角筋の複合関節種目なので、上腕三頭筋や三角筋の単関節種目の前に行ってください。

また、適切な1セットの負荷回数設定は以下の通りです。

○筋肥大トレーニング:6~10回
○通常トレーニング:15回前後
○シェイプアップ筋トレ:20回以上

肩甲骨ポジションの固定

肩甲骨を軽度に下制したポジションを保つことで、肩関節前面へのストレスを最小限にできます。

肘の進行方向の管理

肘を外側に張りすぎず胸側へ適度に向けることで、大胸筋外側に負荷を正確に乗せることができます。

手幅に応じた胸郭角度の調整

手幅を広くした場合は胸郭をわずかに張り出すポジションを作ることで、肩前面のインピンジメントを防ぎやすくなります。

体幹の一直線保持

胸郭と骨盤の相対角度をニュートラルに保ち、脊柱の弯曲を変化させないことで、大胸筋への負荷が逃げにくくなります。

吸気と下ろし動作の同調

身体を下ろす動作中に息を吸い胸郭を広げることで、大胸筋の伸張性が高まり、負荷を効果的に受けることができます。

押し上げ動作での首の前傾

動作のフィニッシュで首を前に傾けることで、大胸筋と三角筋の最終収縮を最大化できます。

手関節角度の最適化

手首への負担を避けるために手関節の背屈角度を減らし、プッシュアップバーがある場合は手幅と角度を細かく調整すると安全です。

肩関節の前方化を防ぐ胸郭操作

押し上げ動作中に胸郭がつぶれると肩関節が前方へ滑りやすくなるため、胸郭をわずかに張りながら押すことで動作が安定します。

大胸筋外側への狙い分け

胸郭を張りながら肘を適度に開くポジションを維持することで、大胸筋外側線維に負荷を集中させやすくなります。

手幅の広さによる上腕三頭筋負荷の管理

手幅が広いほど上腕三頭筋の関与は減少するため、三角筋と大胸筋に刺激を集中させたい場合に適した設定になります。

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