
「有酸素運動は筋トレの筋肥大・筋肉増加の妨げになるのか?」筋トレ初心者の方に多い疑問ですが、それは筋トレの目的と有酸素運動の強度により異なります。
初心者の方が陥りがちな考え方に「筋肉をつけながら体脂肪を落とす」というものがありますが、これはトップアスリートですら難しいことで、通常はオフ期間の筋肥大期とシーズン前の走り込み期間などに分割して行われます。
本記事でも、筋トレを筋肥大期と減量期に分けて考え、それぞれの筋トレ目的別に適切な有酸素運動の取り組みをご紹介します。また、あわせて筋肥大・筋肉増加の障壁となる蛋白異化(カタボリック)を防ぐための、基礎的メソッドもご紹介します。
筋肥大・筋肉増加と有酸素運動
超回復の妨げにならない範囲でアップとして行う

筋肥大筋トレと強度の高い有酸素運動は、けっして相性はよくありません。筋トレ前にランニングなどの有酸素運動を行うと、体力的に消耗するだけでなく、筋トレの筋収縮に必要な筋細胞内のグリコーゲンも無駄にロストしてしまいます。
また、本格的に行う筋肥大筋トレは、最終セットで完全に追い込む=オールアウトする必要があり、これは相当の体力と集中力が必要となります。
強度の高い有酸素運動の後では、集中度の高くオールアウトする筋肥大筋トレを行うことは、かなり難しいでしょう。
有酸素運動を行うのならば、負荷の少ないエアロバイクなどを、筋トレのアップがわりに実施するのが適切です。
なお、筋肥大筋トレ終了後に有酸素運動を行うのは、とても非効率です。筋トレ終了後は、1分でも早くタンパク質を摂取して休養モードに入りましょう。
筋トレをしない日も有酸素運動はしない方が効率的

ボディビルの元世界チャンピオンとしても有名なアーノルド・シュワルツェネッガー氏の、筋肥大期の生活に関するアドバイスとして知られる名言が以下のものです。
「走る必要がないなら歩き、歩く必要がないなら立ち、立つ必要がないなら座り、座る必要がないなら寝なさい」
一見、怠け者のすすめにもとれる言葉ですが、そうではなく、筋肥大期にはトレーニング以上に超回復のための休養が必要なことを指した言葉です。
筋肥大期には、筋トレをしない日に有酸素運動など行わず、「一生懸命に超回復をする」ことが大切です。
減量・身体作り筋トレと有酸素運動
筋トレ終了後に最低限の栄養摂取をしてから行う

身体づくりを目的とした筋力トレーニングでは、トレーニング終了後に有酸素運動を組み合わせることで、運動後のエネルギー消費の動向に変化が出ることが報告されています。この考え方は現在でも運動生理学の分野で広く知られています。
筋力トレーニング後は、血流が高まり、身体が動きやすい状態になりやすいことに加え、自律神経系の働きにも変化が生じます。こうした条件が重なることで、その後に行う有酸素運動の運動強度を安定して維持しやすくなる傾向があります。
一方で、ランニングやランニングマシンのように衝撃や負荷が大きくなりやすい有酸素運動については、疲労の蓄積や関節への負担を考慮し、強度や実施時間を調整する方が現実的です。
身体づくりを目的とした筋力トレーニングでは、エネルギー消費量の大きい筋群を中心に動員する構成がよく用いられます。とくに下半身は筋量が大きいため、トレーニング全体の運動量を確保しやすい部位とされています。
スクワットなどをオールアウトした後の脚の筋肉は想像以上に疲弊しており、突然の脱力や筋肉のつりにより、転倒や怪我などにもつながりかねません。
エアロバイクやウォーキングマシンなどの強度の低い有酸素運動を持続的に30分程度、クールダウンのつもりで行うとよいでしょう。
また、身体作り筋トレでは筋密度を向上させることが重要ですので、トレーニング終了後に筋細胞の分解を防ぐために、最低限の糖質とアミノ酸を摂取してから有酸素運動を行うのが基本です。
なお、ハードな筋トレを主体としたプログラムを組む場合は、筋肥大筋トレと同様に、有酸素運動→筋トレの順番で行うと効果的です。
筋トレをしない日はランニングもOK

身体づくりを目的とした運動では、筋力トレーニングを行わない日に、ランニングなどの比較的強度の高い有酸素運動を取り入れる方法も考えられます。
このような日は、運動量そのものを確保するという観点から有酸素運動を活用し、日ごとの負荷配分に変化をつけていくことで、運動習慣を安定して継続しやすくなります。
筋肥大・筋肉増加のための基礎的メソッド
低血糖を避け血中窒素濃度も保つ

筋肥大期に強度の高い有酸素運動を避けるほうがよいことはすでに解説しましたが、私たちの日常生活の動作も有酸素運動の一種であり、筋肥大にとってマイナスとなるカタボリック=蛋白異化に常に気を配る必要があります。
まず一つは、血液の低血糖状態を避けることが大切です。血中血糖値が下がると、筋肉を分解してエネルギー源にする生体反応が起きますので、筋肥大期は、三度の食事以外にも適切な間食をして、血糖値を保つことが重要です。
もう一つが、血中窒素濃度ですが、炭水化物や脂質はC(炭素)・H(水素)・O(酸素)からできており、消化や分解されても窒素は発生しません。
一方、タンパク質には上の三元素に加え、N(窒素)が含まれています。血中の窒素濃度はほぼ一定に保たれており、これは主に摂取したタンパク質食品が利用されたり、筋肉が分解された後に発生する尿素=CO(NH2)2です。
血中窒素濃度の低下が筋分解=蛋白異化の引き金になるという説が有力で、これを防ぐためには、筋トレ前後の分鎖岐アミノ酸(BCAA)の摂取、食間のプロテイン摂取、就寝前のカゼインプロテインの摂取が有効です。
部位分割メニュー例

週2・3・4回の部位分割筋トレメニュー
主な筋トレ種目一覧

図解付き主要種目の一覧ページ
下記にリンクしています主要種目の個別解説記事は、動画だけでなく一目で理解しやすい図解付きでフォームについて説明しています。
自重トレーニング
腕立て伏せ(大胸筋)パイクプッシュアップ(三角筋)
ベンチディップス(上腕三頭筋)
懸垂(背筋群)
バックエクステンション(背筋群)
逆手懸垂(上腕二頭筋)
自重スクワット(下半身)
チューブトレーニング
チューブチェストプレス(大胸筋)チューブチェストフライ(大胸筋)
チューブショルダープレス(三角筋)
チューブキックバック(上腕三頭筋)
チューブローイング(背筋群)
チューブカール(上腕二頭筋)
チューブレッグプレス(下半身)
ダンベルトレーニング
ダンベルプレス(大胸筋)ダンベルフライ(大胸筋)
ダンベルショルダープレス(三角筋)
ダンベルサイドレイズ(三角筋)
ダンベルキックバック(上腕三頭筋)
ダンベルローイング(背筋群)
ダンベルカール(上腕二頭筋)
ダンベルスクワット(下半身)
マシントレーニング
マシンチェストプレス(大胸筋)ケーブルフライ(大胸筋)
スミスマシンベンチプレス(大胸筋)
マシンショルダープレス(三角筋)
ケーブルプレスダウン(上腕三頭筋)
ラットプルダウン(背筋群)
ケーブルローイング(背筋群)
スミスマシンデッドリフト(背筋群)
ケーブルカール(上腕二頭筋)
マシンレッグプレス(下半身)
スミスマシンスクワット(下半身)
バーベルトレーニング
バーベルベンチプレス(大胸筋)バーベルショルダープレス(三角筋)
ナローベンチプレス(上腕三頭筋)
バーベルデッドリフト(背筋群)
バーベルベントオーバーロウ(背筋群)
バーベルグッドモーニング(背筋群)
バーベルカール(上腕二頭筋)
バーベルスクワット(下半身)
