筋肉痛時の筋トレは避けるべき|毎日トレーニングするのは逆効果になる理由

この記事は全日本3位以上・日本代表の各競技選手のみが執筆した専門記事です。

本記事は、生物学の学芸員として身体構造に携わってきた経験と、日本代表選手として実際に身体を使ってきた視点から、筋肉の名称と働きを分かりやすく解説するものです。医療目的ではなく、身体の理解と安全なトレーニングのための教育的な情報をまとめています。スポーツファーマシスト(薬剤師)監修。

筋肉痛時に筋力トレーニングを行ってよいかどうかは、よく議論されることですが、競技目的など特別な状況をのぞいて一般的な健康つくりトレーニングや身体作りトレーニングでは筋肉痛時に筋肉に負荷をかけるのは避けるべきです。

その理由と筋肉痛発生のメカニズム、筋肉痛になりやすいトレーニングとなりにくいトレーニングのやり方、筋肉痛時にあえて軽めの負荷で運動を行う方法などについて解説します。

筋肉痛(きんにくつう、英: Myalgia)は、筋肉に生じる痛みであり、その原因はさまざまである。しかし最も一般的な原因で、一般に筋肉痛と呼ばれるのは、筋肉・筋肉群の過剰使用または過剰伸展を行った後、その数時間後から数日後に発生する遅発性筋肉痛 (英: Delayed Onset Muscle Soreness = DOMS) である。

引用:Wikipedia「筋肉痛」

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筋肉痛のメカニズム

筋肉痛のメカニズムは、これだけ科学発達した現在でも完全には究明されていません。

筋繊維の裂傷説や乳酸の蓄積説などが主流の学説ですが、いずれの説も完全に整合性がとれておらず矛盾点があるのが現状です。

筋肉痛になりやすいトレーニングとなりにくいトレーニング

エキセントリック収縮とコンセントリック収縮

筋肉痛の原因は完全には解明されていませんが、経験則として知られていることがあります。それは、筋肉痛になりやすいトレーニングとなりにくいトレーニングについてです。

骨格筋の収縮には収縮方向に負荷を動かす短縮性収縮(コンセントリック収縮)と収縮方向とは逆方向にかかる負荷に耐える伸長性収縮(エキセントリック収縮)とがあります。

経験則としてコンセントリック収縮は筋肉痛になりにくく、エキセントリック収縮は筋肉痛になりやすいことが知られています。

このため、競技練習と並行して筋力トレーニングを実施するアスリートにはコンセントリック収縮のトレーニングが好まれ、逆に筋肉痛になることを重要視するボディビルディングなどではエキセントリック収縮のトレーニングが好まれています。

ただし、筋肉痛の有無と筋肥大の関係については究明されていません。

▼エキセントリック収縮とは

エキセントリック収縮とは?|筋肉痛の原因となる伸張性収縮の特徴

▼コンセントリック収縮とは

コンセントリック収縮とは?|筋肉痛になりにくい短縮性収縮のやり方

遅発性筋肉痛(Delayed onset muscle soreness, DOMS)とは、慣れない、もしくは激しい運動を行ったあとの数時間から数日間に、筋肉に感じられる疼痛および筋硬直である。

DOMSの主原因となる運動は、筋肉が収縮方向とは逆方向に引きのばされながら力を発揮(伸張性収縮、或いはエキセントリック収縮)する運動である。筋肉を収縮させながら力を発揮(短縮性収縮、或いはコンセントリック収縮)する運動ではほとんどDOMSが生じない。

引用:Wikipedia「遅発性筋肉痛」

筋肉痛時の筋力トレーニングは避けるべき

筋力トレーニングを行い筋繊維に負荷をかけると、筋繊維はわずかな裂傷を負い、一定の回復期間の後にトレーニング前よりも強く・太くなって回復します。この生体反応を「超回復」と呼び、筋力トレーニングとは、計画的に超回復を繰り返すことにより筋肉を強くしていく行為です。

このため、筋肉に対してレジスタンス負荷をかける頻度・間隔には十分に留意してトレーニングプログラムを組み立てる必要があります。

筋肉痛の有無は超回復が完了したかどうかということに完全には一致しませんが、一つの目安として重要です。このため、一般的には「筋肉痛時には筋力トレーニングを避けるべき」と言えます。

このような、超回復理論にのっとり効率的に全身をトレーニングしていくためには、全身の筋肉を連動性によっていくつかのグループに分け、ローテーションで鍛えていく「部位分割法|スプリットトレーニング」が最適です。その具体的なローテーションの組み方は以下の通りです。

▼筋肉部位ごとの超回復期間

毎日の筋トレは逆効果|筋肉部位ごとの超回復を考慮した適正頻度

筋トレの超回復って嘘?筋肉部位ごとの回復期間とエビデンスを明示

部位分割トレーニング

筋力トレーニングの効率を上げるためには、一度に全身の筋肉全てを鍛えるのではなく、筋肉部位を2~4グループに分け、1日に1グループずつ一週間で2~4回の分割トレーニングを行うことが有効です。

週2回のトレーニングの場合

①上半身・下半身の押す動作の筋肉
②上半身・下半身の引く動作の筋肉

具体的なトレーニングメニューは下記の記事に記載しています。

▼具体的な週2回トレーニングメニュー

週2回の部位分割トレーニング

週3回のトレーニングの場合

①上半身の押す動作の筋肉
②下半身の筋肉
③上半身の引く動作の筋肉

具体的なトレーニングメニューは下記の記事に記載しています。

▼具体的な週3回トレーニングメニュー

週3回の部位分割トレーニング

週4回のトレーニングの場合

①上半身の押す動作の筋肉
②下半身の押す動作の筋肉
③上半身の引く動作の筋肉
④下半身の引く動作の筋肉

具体的なトレーニングメニューは下記の記事に記載しています。

▼具体的な週4回トレーニングメニュー

週4回の部位分割トレーニング

厚生労働省による超回復とトレーニング頻度に関する記載

筋肉には疲労からの回復の時間が必要です。レジスタンス運動は標的の筋肉に負荷を集中する運動ですから、その筋肉に十分な回復期間としてトレーニング間隔をあける必要があります。毎日行うのではなく、2-3日に一回程度、週あたり2-3回行うくらいの運動頻度が推奨されます。

引用:https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/exercise

筋肉はレジスタンス運動を行うと筋線維の一部が破断されます。それが修復される際にもとの筋線維よりも少し太い状態になります。これを「超回復」と呼び、これを繰り返すと筋の断面積が全体として太くなり筋力が上がります。筋力のトレーニングはこの仕組みを利用して最大筋力に近い負荷でレジスタンス運動し、筋が修復されるまで2~3日の休息ののち、またレジスタンス運動でトレーニングということの繰り返しによって行われます。

引用:https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/exercise/ys-092

アクティブレストの理論と実施方法

以前は「筋肉痛時には筋力トレーニングを行わない」というのが主流な考え方でしたが、近年ではアスリートを中心に筋肉痛時に軽めの負荷運動を行い、血流や代謝を向上させるという動的休息(アクティブレスト)の考え方が広まってきています。

アクティブレストの中心となる運動はストレッチで、その筋肉部位別の実施方法は下記の記事に詳しく記載しています。

スポーツや医療の分野においてストレッチ(英: stretching)とは、 体のある筋肉を良好な状態にする目的でその筋肉を引っ張って伸ばすことをいう。筋肉の柔軟性を高め関節可動域を広げるほか、呼吸を整えたり、精神的な緊張を解いたりするという心身のコンディション作りにもつながるなど、様々な効果がある。

引用:Wikipedia「ストレッチ」

厚生労働省によるストレッチの効果に関する記載

ストレッチングとは意図的に筋や関節を伸ばす運動です。体の柔軟性を高めるのに効果的であり、準備運動や整理運動の一要素としても活用されています。最近では美しい姿勢の保持やリラクゼーションの効果が明らかとなってきました。広い場所や道具を必要とすることなく行えることから、愛好者が増えている運動のひとつです。

ストレッチングにより柔軟性が増す理由は、筋の伸張反射の感受性が低下することと筋や靱帯の弾性要素が組織科学的変化を起こすことが要因です。また、ストレッチングは2-3メッツの強度がありますので筋温や体温を高める有効です。これらが柔軟性の向上やウォーミングアップ効果と関連しているのです。

最近ではこれらの効果に加えてリラクゼーションの効果が明らかとなってきました。

引用:https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/exercise/s-04-006.html

部位分割メニュー例


週2・3・4回の部位分割筋トレメニュー

主な筋トレ種目一覧


図解付き主要種目の一覧ページ

下記にリンクしています主要種目の個別解説記事は、動画だけでなく一目で理解しやすい図解付きでフォームについて説明しています。

自重トレーニング

腕立て伏せ(大胸筋)
パイクプッシュアップ(三角筋)
ベンチディップス(上腕三頭筋)
懸垂(背筋群)
バックエクステンション(背筋群)
逆手懸垂(上腕二頭筋)
自重スクワット(下半身)

チューブトレーニング

チューブチェストプレス(大胸筋)
チューブチェストフライ(大胸筋)
チューブショルダープレス(三角筋)
チューブキックバック(上腕三頭筋)
チューブローイング(背筋群)
チューブカール(上腕二頭筋)
チューブレッグプレス(下半身)

ダンベルトレーニング

ダンベルプレス(大胸筋)
ダンベルフライ(大胸筋)
ダンベルショルダープレス(三角筋)
ダンベルサイドレイズ(三角筋)
ダンベルキックバック(上腕三頭筋)
ダンベルローイング(背筋群)
ダンベルカール(上腕二頭筋)
ダンベルスクワット(下半身)

マシントレーニング

マシンチェストプレス(大胸筋)
ケーブルフライ(大胸筋)
スミスマシンベンチプレス(大胸筋)
マシンショルダープレス(三角筋)
ケーブルプレスダウン(上腕三頭筋)
ラットプルダウン(背筋群)
ケーブルローイング(背筋群)
スミスマシンデッドリフト(背筋群)
ケーブルカール(上腕二頭筋)
マシンレッグプレス(下半身)
スミスマシンスクワット(下半身)

バーベルトレーニング

バーベルベンチプレス(大胸筋)
バーベルショルダープレス(三角筋)
ナローベンチプレス(上腕三頭筋)
バーベルデッドリフト(背筋群)
バーベルベントオーバーロウ(背筋群)
バーベルグッドモーニング(背筋群)
バーベルカール(上腕二頭筋)
バーベルスクワット(下半身)

全トレーニング種目一覧

筋トレメニュー全200種目一覧|動画つき解説記事(男女別)
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