
三角筋(前部・中部・後部)のケーブルマシンを使ったトレーニング方法を解説します。また、あわせて筋トレ目的別に最適な負荷回数設定についてもご紹介します。
三角筋の構造と作用
各筋肉の構造や作用および起始停止・支配神経に関しては下記の専門サイトおよび学術文献を参照しています。

Skeletal Muscle: A Brief Review of Structure and Function(PDF)
前部・中部・後部に分けられる

三角筋は上腕の最上部に位置する表層筋で、前部・中部(側部)・後部に分けられ、全部位が共同して腕を上に上げる作用があります。各部位の作用は以下の通りです。
○前部:腕を前に上げる
○中部:腕を横に上げる
○後部:腕を後ろに上げる
Wikipediaによる記載
三角筋の肩甲棘部は肩甲棘から、肩峰部は肩峰から、鎖骨部は鎖骨の外側部の1/3からそれぞれ起始し肩関節を覆う様に外下方へと走り上腕骨三角筋粗面に停止する。運動は肩関節を支点にして肩甲棘部が上腕を伸展・内転・外旋させ、肩峰部が上腕を外転させ、鎖骨部が上腕を屈曲・内転・内旋させる。「投げる」ことに関係の深い筋肉であり、投擲系のスポーツでは特に重要視される。ボディビルなどでもこの筋肉の発達が不十分だと肩幅が狭くなり、頭が相対的に大きくなって格好悪くなるのでトレーニングを必要とする。腕立て伏せやベンチプレスなどを行なうことでも充分に鍛えられる筋肉だが、専門的な筋力トレーニングを必要とするのであればフロント・レイズ、サイド・レイズなどのレイズ系の種目、もしくはショルダー・プレスなどが有効。
筋トレ目的別の負荷回数設定
筋繊維の種類と特徴

筋肉を構成している筋繊維には主に三種類があり、それは、筋繊維TYPE2b(速筋|FG筋)、筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)、筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)で、それぞれの特徴と鍛えるのに適切な反復回数は以下の通りです。
筋繊維TYPE2b(速筋|FG筋)
筋肥大を目的とした筋力トレーニングを実施する場合は、筋肥大しやすい特性を持つ「筋繊維タイプ2b(短時間に爆発的な収縮をする筋繊維)」を対象として行います。具体的には8~10回前後の反復動作で限界がくる負荷設定で筋力トレーニングを実施します。
筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)
体力作りを目的とした筋力トレーニングを実施する場合は、中程度に筋肥大する特性を持つ「筋繊維タイプ2a(持久要素のある瞬発的な収縮をする筋繊維)」を対象として行います。具体的には12~15回前後の反復動作で限界がくる負荷設定で筋力トレーニングを実施します。
筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)
筋肥大を伴わない筋力トレーニングを実施する場合は、ほぼ筋肥大せずに緊密度が向上する特性を持つ「筋繊維タイプ1(持久的に収縮をする筋繊維)」を対象として行います。具体的には20回以上の反復動作で限界がくる負荷設定で筋力トレーニングを実施します。
トレーニング種目を実施する順序
トレーング種目を実施する順序は、コンパウンド種目(複数の筋肉と関節を動かす多関節運動種目)を先に行い、その後でアイソレーション種目(単一の筋肉と関節を動かす単関節運動)を行うのが基本です。また、複数のコンパウンド種目・アイソレーション種目を実施する場合は、それぞれ使用重量の高い種目から先に行います。
三角筋の代表的なケーブルマシン筋トレ
三角筋の代表的なケーブルマシントレーニング種目としては、アップライトロー系やサイドレイズ系のトレーニングが知られています。
Wikipediaによる記載
アップライト・ロウ(upright row)はウエイトトレーニングの基本的種目の一つ。三角筋・僧帽筋の筋肥大を促し、筋力を高めることができる。
ケーブル・アップライト・ロウ
アタッチメントはストレートバー、ベントラットバー、カールバーなどを用いる。ロープーリーに取り付けておく。
サイド・レイズ(side raise)はウエイトトレーニングの基本的種目の一つ。ダンベル、もしくはそれに類するものを両手に持ち、腕は伸展させたまま肩関節の力だけで首の高さまで挙上するもので、ショルダー・フライ(shoulder fly)とも呼ばれる。三角筋・僧帽筋の筋肥大を促し、筋力を高めることができる。
三角筋全体のケーブルマシン筋トレ
ケーブルショルダープレス
ケーブルショルダープレスは、肩の筋肉・三角筋に有効な筋トレです。
ケーブルショルダープレスは、胸を張り、背すじを伸ばした状態でケーブルアタッチメントをグリップし肩の前で構えます。
そこから頭上へ腕を押し上げていきますが、この時に上半身を反らしすぎて肘が身体の後ろ側にいかないように気をつけてください。
肘が身体の背面側に入るフォーム・軌道で動作を行うと、肩関節に開き負荷がかかりますので、上半身は真っ直ぐに保ち、肘が常に身体の前側にあるように動作することが大切です。
腕を押し上げたら、同じ軌道で元に戻りますが、本種目は腕を押し上げる時のコンセントリック収縮(短縮性収縮)で三角筋の前部と中部に、ウエイトの重みに耐えながら腕を下ろす時のエキセントリック収縮(伸長性収縮)で三角筋後部に負荷がかかります。
腕を下ろす時も、しっかりと筋力でコントロールするようにしましょう。
【正しいやり方と手順】
①胸を張り背筋を伸ばし、ケーブルアタッチメントをグリップして構える
②上半身を反らさないように腕を押し上げる
③ウエイトの重みに耐えながら、ゆっくりと効かせながら元に戻る
ケーブルアップライトロー
ケーブルアップライトローイングは、効かせるのが難しい三角筋種目のなかでは、比較的動作が簡単なジムマシン筋トレです。
ケーブルアップライトローイングは、ケーブルマシンに正対し、胸を張り背すじを伸ばし、腕を下ろした位置でアタッチメントをグリップして構えます。
そこから、肘を先行させてバーを引き上げていきますが、この時に肩甲骨を寄せないように気をつけてください。
肩甲骨を寄せてしまうと、隣接している背筋群に負荷が分散してしまいますので、肩甲骨を寄せないイメージを持って動作を行うことが大切です。
なお、本種目は肘を前に張り出すと三角筋前部に、肘を横に張り出すと三角筋中部に、肘を後ろに引き気味にすると三角筋後部に負荷がかかります。
【正しいやり方と手順】
①胸を張り背すじを伸ばし、腕を下ろした位置でアタッチメントをグリップして構える
②肩甲骨を寄せないように気をつけ、肘を先行させてバーを引き上げる
③ゆっくりと効かせながら元に戻る
三角筋前部のケーブルマシン筋トレ
ケーブルフロントレイズ
ケーブルフロントレイズは三角筋前部に集中的な効果があるジムマシン筋トレです。
ケーブルフロントレイズは、ケーブルマシンに正対し、腕を下ろした位置でアタッチメントをグリップして構えます。
そこから、肘を伸ばしたままバーを肩の高さまで引き上げますが、この時に上半身を反らしたり、肩甲骨を寄せたりしないように気をつけてください。
これらの動作を行ってしまうと、負荷が僧帽筋に分散してしまいますので、注意が必要です。
なお、どうしても負荷が僧帽筋に逃げてしまうという方には、シングルアタッチメントを使って片手ずつ行うことをおすすめします。
【正しいやり方と手順】
①マシンに正対し、胸を張り背すじを伸ばし、腕を下ろした位置でアタッチメントをグリップして構える
②上半身を反らしたり、肩甲骨を寄せたりせず、肘を伸ばしたままバーを引き上げる
③ゆっくりと効かせながら元に戻る
三角筋中部ケーブルマシン筋トレ
ケーブルサイドレイズ
ケーブルサイドレイズは三角筋中部に集中的な効果があるジムマシン筋トレです。
ケーブルサイドレイズはケーブルマシンの横に立ち、腕を下ろした位置でアタッチメントをグリップして構えます。
そこから、肘を伸ばしたまま腕を横に上げていきますが、この時に肩甲骨を寄せないように気をつけてください。
肩甲骨を寄せてしまうと、負荷の多くが僧帽筋に分散してしまいますので、肩甲骨を固定する意識を持ちながら動作を行います。
そして、腕が床と平行になるまで上げたら、ゆっくりと元に戻ります。
また、本種目は腕を上げる時だけでなく、下ろす時にゆっくりとウエイトに耐えながら、筋肉にエキセントリック収縮(伸長性収縮)を加えることも大切なポイントです。
【正しいやり方と手順】
①ケーブルマシンの横に立ち、腕を下ろした位置でアタッチメントをグリップする
②肩甲骨を寄せないように気をつけ、肘を伸ばしたまま腕を横に上げる
③腕を床と平行になるまで上げたら、ゆっくりと効かせながら元に戻る
三角筋後部のケーブルマシン筋トレ
ケーブルリアラテラルレイズ
ケーブルリアラテラルレイズは三角筋後部に集中的な効果があるジムマシン筋トレです。
ケーブルリアラテラルレイズは、ケーブルマシンの横でニーベントスタイル(前傾姿勢)を作り、腕を下ろした位置でアタッチメントをグリップして構えます。
そこから、肘を伸ばしたまま腕を後ろに上げていきますが、この時に肩甲骨を寄せないようにしてください。
三角筋後部は僧帽筋と隣接しているため、肩甲骨を寄せる動作を行ってしまうと、負荷のほとんどが僧帽筋に逃げてしまいます。
必ず、肩甲骨をロックして動作を行ってください。
なお、肩甲骨を寄せる動作で行う種目をケーブルリバースフライと言い、僧帽筋の仕上げ種目として知られています。
【正しいやり方と手順】
①ケーブルマシンの横で前傾姿勢をとり、腕を下ろした位置でアタッチメントをグリップして構える
②肩甲骨を寄せないように気をつけ、肘を伸ばしたまま腕を後ろに上げる
③ゆっくりと効かせながら元に戻る
ケーブルフェイスプル
ケーブルフェイスプルは効かせるのが難しい三角筋後部の筋トレとしては、比較的動作が簡単なジムトレーニング種目です。
ケーブルフェイスプルは、ケーブルマシンに正対し、腕を伸ばした状態で構えます。
そこから、顔に向けてバー(またはロープ)を引いていきますが、この時に肘を肩より高く上げ、肩甲骨を寄せないようにすることが大切です。
肘を低く構えると、どうしても肩甲骨が寄ってしまい、結果として僧帽筋に負荷が逃げてしまいます。
本種目は、動作イメージとして、肘でウエイトを引き寄せる感覚で行うと上手く効かせられます。
【正しいやり方と手順】
①ケーブルマシンに正対し、腕を伸ばした状態でグリップして構える
②肘を肩より高く上げ、肩甲骨を寄せないようにしてグリップを顔に向けて引く
③ゆっくりと効かせながら元に戻る
