背筋のケーブルマシン筋トレメニュー|部位別(広背筋・僧坊筋)の鍛え方を解説

この記事は全日本3位以上・日本代表の各競技選手のみが執筆した専門記事です。

背筋(広背筋・僧坊筋)のケーブルマシンを使ったトレーニング方法を解説します。また、あわせて筋トレ目的別に最適な負荷回数設定についてもご紹介します。

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背筋群の構造と作用

各筋肉の構造や作用および起始停止・支配神経に関しては下記の専門サイトおよび学術文献を参照しています。

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Skeletal muscle: A review of molecular structure and function, in health and disease - PMC
Decades of research in skeletal muscle physiology have provided multiscale insights into the structural and functional complexity of this important anatomical t...

Skeletal Muscle: A Brief Review of Structure and Function(PDF)

背筋群には数多くの筋肉がありますが、筋トレで鍛える対象となる主な筋肉は僧帽筋・広背筋・長背筋(脊柱起立筋など)の三箇所です。それぞれの構造と作用は次の通りになります。

僧帽筋

僧帽筋は首の後ろから背中にかけて位置する表層筋で、腕を下から引き寄せたり、肩甲骨を寄せる作用があります。

Wikipediaによる記載

僧帽筋(そうぼうきん、英語: trapezius)は、人間の背中の一番表層にある筋肉である。僧帽筋の起始は外後頭隆起から正中を下に下りるように、項靱帯、上項線、第七~第十二胸椎まで続き、停止は鎖骨の外側1/3、肩峰、肩甲骨の肩甲棘である。筋線維は首からの物は下に走り、その後腕の方に向かって横に走る。背中からの物は逆に上に走り同じように腕の方に向かう。筋繊維が異なった方向に走行しているので、多くの動作が可能になっている。上方の筋線維は肩甲骨を持ち上げ、中間付近の筋線維は内側に引っ張り、下方の筋線維は下に下げ、上方と下方の筋線維が両方収縮するときは回転させる。

引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/僧帽筋

広背筋

広背筋は背中を大きく覆う表層筋で、上部と下部に分けられます。各部位の主な作用は以下の通りです。

○上部:腕を上から引き寄せる

○下部:腕を前から引き寄せる

Wikipediaによる記載

広背筋(こうはいきん)は、背部の筋肉の棘腕筋のうち、下方に三角形をなす筋肉である。第5胸椎(Th5)~第5腰椎(L5)の棘突起、仙骨、腸骨稜、第9~12肋骨を起始とし、下部から上外側方、上部から水平に外側方に向かって走り、上腕骨の上部小結節稜に付着する。チンニング(懸垂)がもっともよく知られており効果も高いが、たいていの人間には負荷が高すぎる。その場合には、ラットプルダウン、ベント・オーバー・ローイング、ロープーリーなどの各種目が存在する。

引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/広背筋

長背筋群(脊柱起立筋など)

長背筋群は脊柱起立筋・多裂筋・回旋筋などから構成される脊柱沿いのインナーマッスルです。それぞれの主な作用は以下の通りです。

○脊柱起立筋:体幹の伸展

○多裂筋:姿勢の維持

○回旋筋:体幹の回旋

Wikipediaによる記載

長背筋(ちょうはいきん)は、棘背筋のうち、長筋である筋肉の総称。長背筋に属する筋|板状筋(musculus splenius)「頭板状筋(musculus splenius capitis)・頸板状筋(musculus splenius cervicis)」|脊柱起立筋(musculus erector spinae)「腸肋筋(musculus ilicostalis)・最長筋(musculus longissimus)・棘筋(musculus spinalis)」|半棘筋(musculus semispinalis)|多裂筋(musculus multifidus)|回旋筋(musculi rotatores)

引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/長背筋

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筋トレ目的別の負荷回数設定

筋繊維の種類と特徴

筋肉を構成している筋繊維には主に三種類があり、それは、筋繊維TYPE2b(速筋|FG筋)、筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)、筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)で、それぞれの特徴と鍛えるのに適切な反復回数は以下の通りです。

筋繊維TYPE2b(速筋|FG筋)

筋肥大を目的とした筋力トレーニングを実施する場合は、筋肥大しやすい特性を持つ「筋繊維タイプ2b(短時間に爆発的な収縮をする筋繊維)」を対象として行います。具体的には8~10回前後の反復動作で限界がくる負荷設定で筋力トレーニングを実施します。

筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)

体力作りを目的とした筋力トレーニングを実施する場合は、中程度に筋肥大する特性を持つ「筋繊維タイプ2a(持久要素のある瞬発的な収縮をする筋繊維)」を対象として行います。具体的には12~15回前後の反復動作で限界がくる負荷設定で筋力トレーニングを実施します。

筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)

筋肥大を伴わない筋力トレーニングを実施する場合は、ほぼ筋肥大せずに緊密度が向上する特性を持つ「筋繊維タイプ1(持久的に収縮をする筋繊維)」を対象として行います。具体的には20回以上の反復動作で限界がくる負荷設定で筋力トレーニングを実施します。

トレーニング種目を実施する順序

トレーング種目を実施する順序は、コンパウンド種目(複数の筋肉と関節を動かす多関節運動種目)を先に行い、その後でアイソレーション種目(単一の筋肉と関節を動かす単関節運動)を行うのが基本です。また、複数のコンパウンド種目・アイソレーション種目を実施する場合は、それぞれ使用重量の高い種目から先に行います。

背筋全体のケーブルマシン筋トレ

代表的な背筋のケーブルマシン筋トレ

ケーブルマシンを使った筋トレ種目のなかでも代表的なものがケーブルローイング(シーテッドローイング)とラットプルダウンですが、それぞれグリップの仕方や幅で負荷のかかる部位が変化します。

Wikipediaによる記載

シーテッド・ロウイング (英: Seated rowing)は、ウエイトトレーニングの種目の一つ。主に広背筋・上腕二頭筋・三角筋後部・僧帽筋中下部・菱形筋などに刺激を与え、筋量・筋力を増加させるのに効果がある。背中の筋肉を意識し、腕の力で引かないようにする。オーバーグリップは上のほうへ引きやすく、アンダーグリップは下のほうへ引きやすい。

引用:Wikipedia「シーテッドローイング」

ラットプルダウン(英: lat pull down)は、ウエイトトレーニングの種目の一つ。専用のラットプルマシンを使用し、上腕二頭筋・広背筋・菱形筋・僧帽筋・大円筋・小円筋・脊柱起立筋群などを鍛えるもの。

引用:Wikipedia「ラットプルダウン」

ケーブルローイング

ケーブルローイングは背筋群全体に有効なジムマシン筋トレです。

ケーブルローイングはシートに座り、胸を張り背すじを伸ばしてアタッチメントをグリップします。構えた位置で、ウエイトが浮いて背筋群にテンションがかかるように、シートの位置を調整してください。

構えたら、肩甲骨を寄せながら腕を引いていきますが、この時に肩甲骨の寄せ方が甘いと、背筋群ではなく腕にばかり負荷がかかりますので、しっかりと肩甲骨を寄せながら動作してください。

また、上半身を後ろに傾けすぎると、筋肉ではなく腰の関節に負荷がかかりますので、あまり上半身は傾けないように気をつけましょう。

アタッチメントをお腹まで引き寄せたら、肩甲骨を寄せきり背筋群を完全収縮させます。そして、そこから元に戻りますが、ゆっくりとした動作で筋肉にエキセントリック収縮(伸長性収縮)をかけることも大切なポイントです。

【正しいやり方と手順】

①シートを調整し、胸を張り背すじを伸ばしてアタッチメントをグリップする

②肩甲骨を寄せながら腕を引き寄せていく

③腕を引き寄せたら、肩甲骨を寄せきり背筋群を完全収縮させる

④ゆっくりと効かせながら元に戻る

なお、本種目はケーブルアタッチメントによっていくつかのバリエーションがあり、それぞれに効果のある部位が異なりますが、それは以下の通りです。

◯パラレルアタッチメント

手が向き合うように狭い手幅でグリップするバリエーションで、僧帽筋と広背筋中央部に有効です。

◯ワイドアタッチメント

肩幅程度の広い手幅でグリップするバリエーションで、広背筋側部に有効です。

◯リバースグリップ

肩幅程度の広い手幅で、手の平が上を向くようにリバースグリップするバリエーションで、広背筋下部に有効です。

ケーブルベントオーバーロー

ケーブルベントオーバーローイングは、ケーブルアタッチメントをグリップし、胸を張り、背すじを伸ばし、膝を曲げ、お尻を突き出した前傾姿勢をとります。

これを「ニーベントスタイル」と呼び、多くのトレーニング種目の基本となる姿勢です。

ニーベントスタイルのポイントは、「背中が丸まらないように上を見る」ことと「膝をつま先より前に出さない」ことで、これにより腰と膝に負担がかかるのを防ぎます。

ニーベントスタイルでケーブルアタッチメントを保持して構えたら、グリップを引き上げていきます。そして、グリップをヘソの近くまで引き上げたら、肩甲骨を寄せきって背筋群を完全収縮させてください。

そして、ある程度コントロールした速度で元に戻ります。

【正しいやり方と手順】

①肩幅程度の手幅でケーブルアタッチメントをグリップし、胸を張り背すじを伸ばし、お尻を突き出した前傾姿勢(ニーベントスタイル)で構える

②肩甲骨を寄せながらグリップを引き上げる

③肩甲骨を寄せきり背筋群を完全収縮させる

④コントロールしながら元に戻る

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広背筋のケーブルマシン筋トレ

ケーブルラットプルダウン

ケーブルラットプルダウンは広背筋に集中的な効果があるジムマシン筋トレです。

ケーブルラットプルダウンは、シートに座り、パッドで太ももを固定し、アタッチメントをグリップして構えます。

構えた時に、ウエイトが浮いて背筋群にテンションがかかるようにシート高を調整してください。

胸を張り背すじを伸ばして構えたら、顎を上げて、肩甲骨を寄せながら腕を引き寄せていきますが、この時に下を向いたり、肩甲骨の寄せ方が甘かったりして背中が丸まった状態だと、背筋群に負荷がかからず腕にばかり効いてしまいますので、十分に注意してください。

アタッチメントのバーを胸まで引き寄せたら、肩甲骨を寄せきり背筋群を完全収縮させます。

そして、そこから元に戻りますが、ゆっくりとエキセントリック収縮(伸長性収縮)を筋肉にかけて効かせることも大切なポイントです。

【正しいやり方と手順】

①シートを調整し、胸を張り背すじを伸ばして構える

②顎を上げ、肩甲骨を寄せながら腕を引き寄せていく

③バーを胸まで引き寄せたら、肩甲骨を寄せきり背筋群を完全収縮させる

④ゆっくりと効かせながら元に戻る

なお、本種目はケーブルアタッチメントの種類やグリップによっていくつかのバリエーションがあり、それぞれに効果のある部位が異なりますが、それは以下の通りです。

◯ワイドアタッチメント

肩幅より広い手幅で、手の平が下を向くように構えるバリエーションで、広背筋側部に有効です。

◯パラレルアタッチメント

手の平が向き合うように狭い手幅で構えるバリエーションで、広背筋中央部に有効です。

◯リバースグリップ

手の平が上を向くように肩幅より狭い手幅で構えるバリエーションで、広背筋下部に有効です。

ケーブルプルオーバー

ケーブルプルオーバーは広背筋に縦方向の刺激を加えられるジムマシン筋トレです。

ケーブルプルオーバーは、ケーブルマシンに正対し、胸を張り背すじを伸ばして、肩幅程度の手幅でバーをグリップして構えます。

構えたら、肘を伸ばしたまま肩甲骨を寄せながらバーを下に押し下げていきますが、この時に肘を曲げてしまうと大胸筋に負荷が逃げてしまいますので、しっかりと肘を伸ばす意識で動作を行ってください。

バーを押し下げたら、肩甲骨を寄せきり背筋群を完全収縮させます。

また、本種目はバーを押し下げる時だけでなく、元に戻る時にゆっくりとウエイトに耐えながら筋肉にエキセントリック収縮(伸長性収縮)をかけることも大切なポイントです。

【正しいやり方と手順】

①胸を張り背すじを伸ばし、肩幅程度のグリップで構える

②肘を伸ばしたまま、肩甲骨を寄せながらバーを押し下げていく

③バーを押し下げたら、肩甲骨を寄せきり背筋群を完全収縮させる

④ゆっくりと効かせながら元に戻る

僧坊筋のケーブルマシン筋トレ

ケーブルシュラッグ

ケーブルショルダーシュラッグは僧帽筋に集中的な効果があるジムマシン筋トレです。

ケーブルショルダーシュラッグは、マシンに正対し、胸を張り背すじを伸ばし、肩幅程度のグリップでアタッチメントをグリップして構えます。

そこから、肩甲骨を寄せながら肩をすくめるようにバーを引き上げていきますが、この時に肩関節を動かさないように気をつけてください。

肩関節が動いてしまうと、広背筋に負荷が分散してしまいますので、肩甲骨を寄せる動作だけに意識を専念して行います。

できるだけ肩をすくめたら、肩甲骨を寄せきり僧帽筋を完全収縮させます。この時に、僧帽筋と首の連動性を考慮し、顎を上げる動作を加えることで、さらに強く僧帽筋が収縮して効果が倍増します。

【正しいやり方と手順】

①胸を張り背すじを伸ばし、肩幅程度のグリップで構える

②肩甲骨を寄せながら、肩をすくめるようにバーを引き上げていく

③バーを引き上げたら、肩甲骨を寄せきり、顎を上げて僧帽筋を完全収縮させる

④ゆっくりと効かせながら元に戻る

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