【ヒップレイズのやり方とポイント】脊柱起立筋に効果のある自重トレーニング

この記事は全日本3位以上・日本代表の各競技選手のみが執筆した専門記事です。


脊柱起立筋に集中的な効果のある自重トレーニングであるヒップレイズのやり方を動画をまじえて解説します。

執筆者・監修者・運営者情報

ヒップレイズが効果のある筋肉部位

各筋肉の構造や作用および起始停止・支配神経に関しては下記の専門サイトおよび学術文献を参照しています。

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Skeletal muscle: A review of molecular structure and function, in health and disease - PMC
Decades of research in skeletal muscle physiology have provided multiscale insights into the structural and functional complexity of this important anatomical t...

Skeletal Muscle: A Brief Review of Structure and Function(PDF)

長背筋群・脊柱起立筋の英語名称・構造・部位詳細

読みかた:せきちゅうきりつきん
英語名称:erector spinae muscle
部位詳細:腸肋筋最長筋棘筋
長背筋群=脊柱起立筋+多裂筋+回旋筋など

ヒップレイズは脊柱沿いに位置し、体幹の伸展と姿勢の維持に作用する筋肉群である長背筋群のなかでも、脊柱起立筋と呼ばれる腰椎周辺のインナーマッスルに効果的です。

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ヒップレイズのやり方

男性向きのやり方

こちらが標準的なヒップレイズの動画です。

◆ヒップレイズのやり方と動作ポイント
①仰向けになり構える

②腰を上げていく

③腰を上げたら、ゆっくりと効かせながら元に戻る

④再び腰を上げていく

◆ワンポイントアドバイス
反動を使って動作をすると腰を痛めるリスクがありますので、身体を起こすときも戻すときもゆっくりとコントロールしながら動作してください。

女性向きのやり方

こちらが、女性トレーナーによるヒップレイズの模範的動画です。ポイントは男性向きのやり方と同様です。

当サイト執筆者は、運営しているクラブチームジム「FutamiTC」で日常的にトレーニング指導を行っており、本記事の内容も実際の指導現場で得た経験をもとにフォームのポイントやアドバイス点をまとめています。

ジムトレーナーとしての実際の指導ポイント

トレーニング動作と首の連動性

トレーニングフォーム全般において重要となるのは、実施する種目の動作と首の位置関係を適切に保つことです。特に、身体の前側の筋群(大胸筋・三角筋・上腕三頭筋・大腿四頭筋など)を収縮させる局面では、動作フィニッシュで軽く顎を引き、首を安定させることが有効です。

一方で、身体の後ろ側の筋群(広背筋・僧帽筋・上腕二頭筋・脊柱起立筋・ハムストリングスなど)を収縮させる局面では、動作フィニッシュで首の位置をわずかに後方へ誘導し、顎の角度を適切に調整することで動作が安定します。

トレーニング動作と呼吸

トレーニング動作における呼吸タイミングも重要な要素です。一般に、筋肉は息を吐く局面で収縮が高まり、息を吸う局面で弛緩しやすくなります。そのため、動作フィニッシュの位置では息をしっかり吐いて筋活動を安定させ、いったん動作を止めてから息を吸い、元の姿勢へ戻る流れを作ることが有効です。

それでは、次の項目では、実際に筆者がジムトレーナーとして運営ジムで選手に指導している本種目の具体的な動作ポイント・フォームについて解説します。

本種目の具体的な動作ポイント・フォーム

ヒップレイズは、対象となる脊柱起立筋の特性上、速いスピードで行うのには不向きな種目です。完全にコントロールできるよう、ゆっくりとした動作で効かせることを前提に行ってください。

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ヒップレイズの順番と回数設定

ターゲットにする筋繊維に最適な反復回数

筋肉を構成している筋繊維には主に三種類があり、それは、筋繊維TYPE2b(速筋|FG筋)、筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)、筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)で、それぞれの特徴と鍛えるのに適切な反復回数は以下の通りです。

筋繊維TYPE2b(速筋|FG筋)

筋肥大を目的とした筋力トレーニングを実施する場合は、筋肥大しやすい特性を持つ「筋繊維タイプ2b(短時間に爆発的な収縮をする筋繊維)」を対象として行います。具体的には8~10回前後の反復動作で限界がくる負荷設定で筋力トレーニングを実施します。

筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)

体力作りを目的とした筋力トレーニングを実施する場合は、中程度に筋肥大する特性を持つ「筋繊維タイプ2a(持久要素のある瞬発的な収縮をする筋繊維)」を対象として行います。具体的には12~15回前後の反復動作で限界がくる負荷設定で筋力トレーニングを実施します。

筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)

筋肥大を伴わない筋力トレーニングを実施する場合は、ほぼ筋肥大せずに緊密度が向上する特性を持つ「筋繊維タイプ1(持久的に収縮をする筋繊維)」を対象として行います。具体的には20回以上の反復動作で限界がくる負荷設定で筋力トレーニングを実施します。

トレーニング種目を実施する順序

トレーング種目を実施する順序は、コンパウンド種目(複数の筋肉と関節を動かす多関節運動種目)を先に行い、その後でアイソレーション種目(単一の筋肉と関節を動かす単関節運動)を行うのが基本です。また、複数のコンパウンド種目・アイソレーション種目を実施する場合は、それぞれ使用重量の高い種目から先に行います。

ヒップレイズは、体幹インナーマッスルの種目ですので、全ての背筋トレーニングの終盤に行ってください。

また、適切な1セットの負荷回数設定は20回以上です。

本種目のポイントまとめ

腰椎主導の伸展動作

ヒップレイズは腰椎周辺の脊柱起立筋が主働となる伸展運動であり、上体を持ち上げる際に腰椎を中心に動かす意識が重要です。骨盤が前後に揺れすぎるとターゲットとなる筋肉から負荷が逃げてしまうため、腰椎を安定させながら動作することで収縮効率が高まります。

動作全体をゆっくりコントロールする

反動を使うと腰椎に不必要な負担が生じるだけでなく、脊柱起立筋が十分に収縮しきらない状態になります。上身体を持ち上げる時だけでなく、元に戻る時もゆっくりと動作をコントロールして行うことで、筋肉のエキセントリック収縮が強まりトレーニング効果が大きくなります。

骨盤の向きを安定させる

腰を上げる際に骨盤が左右に傾いたり、過度に前傾・後傾したりすると、脊柱起立筋が偏って働いてしまいます。骨盤を水平に保ち、腰椎の自然なカーブを維持したまま動作することで、脊柱起立筋全体に均一に負荷を乗せることができます。

首の角度と背骨のラインを合わせる

頭が上がりすぎたり、逆に顎を引きすぎたりすると脊柱のラインが乱れ、腰椎だけに負担が集中します。頭の位置を背骨の延長線上に保つことで脊柱起立筋への負荷が安定します。

足の裏で下半身を固定する

足の裏全体で床をしっかり踏み、かかとを強めに押し出すことで、体幹部が安定し脊柱起立筋の収縮がスムーズになります。踏み込みが弱いと身体が揺れやすくなるため、足の裏のしっかりとした接地を意識することが重要です。

手の位置で負荷を調整する

身体の横に手を置くと負荷が軽くなり、腕を胸の上や頭の後ろに構えると負荷が増します。自分のレベルに合わせて手の位置を調整することで、ヒップレイズを安全かつ効果的に行うことができます。

可動域を適切に保つ

腰を高く上げすぎると腰椎関節への圧迫負荷が強くなりリスクが高まります。可動域を脊柱起立筋が自然に収縮する範囲にとどめることで、安全性と効果を両立できます。

呼吸と動作の連動

腰を上げたフィニッシュポジションで息を吐き切り、筋肉を完全収縮させます。なお、戻る動作に入る前に一度息を吸うことで腹圧が整い、腰椎の安定性が増してスムーズな動作が可能になります。

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