本記事は2021年10月まで公益財団法人JPA日本パワーリフティング協会旧公式サイトに当サイトが提供していた記事のアーカイブです。パワーリフティング全日本チャンピオン・ベンチプレス世界チャンピオンである当サイト客員執筆者が監修しています。

デッドリフトの種類とやり方【パワーリフティング記事】背筋群の主なバーベル筋トレも解説

この記事は全日本3位以上・日本代表の各競技選手のみが執筆した専門記事です。

バーベルデッドリフトの種類とそれぞれのやり方・フォームのコツを解説します。あわせて、さまざまな背中(広背筋・僧帽筋・脊柱起立筋)のバーベルトレーニングについてもご紹介します。

さらに、男性の筋肥大向きセットの組み方や女性向きの種類とやり方についても解説していきます。

本記事の内容はパワーリフティング競技のデッドリフトテクニックではなく、一般的な背筋トレーニングとしてのデッドリフトトレーニングに関する記載です。

なお、パワーリフティング競技のデッドリフト挙上記録向上に関する情報は下記の記事をご参照ください。

【デッドリフトのやり方とフォーム】種類別に効果的なセットメニューを元全日本王者が解説
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執筆者・監修者・運営者情報

競技としてのデッドリフト

大会では以下の流れで試技を進めます。

1.選手の任意にタイミングでバーベルを引き上げる

2.主審の「ダウン」の合図を聞く3.バーベルをコントロールして床へ降ろす

判定基準

1.挙上途中で脚の上であおらないこと

2.挙上途中でバーベルが下がらないこと

3.フィニッシュは脚と背中が伸びきっていること

4.フィニッシュ時に肩を返していること(胸を張っていること)

引用ページ:https://www.sfphes.org/powerlifting/deadlift

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デッドリフトが効果のある筋肉部位

各筋肉の構造や作用および起始停止・支配神経に関しては下記の専門サイトおよび学術文献を参照しています。

| Kenhub
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Skeletal muscle: A review of molecular structure and function, in health and disease - PMC
Decades of research in skeletal muscle physiology have provided multiscale insights into the structural and functional complexity of this important anatomical t...

Skeletal Muscle: A Brief Review of Structure and Function(PDF)


デッドリフトは、広背筋・僧帽筋・脊柱起立筋といった背中の筋肉を中心として、上腕二頭筋にも有効です。

また、このほかにも大腿四頭筋・ハムストリングスなど下半身の筋肉にも効果的です。

背筋群の構造と作用

背筋群には広背筋・僧帽筋などがあり、その作用は以下の通りです。

広背筋

腕を上や前から引き寄せる

僧帽筋

肩甲骨を引き寄せる

脊柱起立筋

体幹を伸展させ姿勢を維持する

このほかにも、大円筋・菱形筋などが筋力トレーニングの対象となります。なお、脊柱起立筋・大円筋・菱形筋に関しては、広背筋と僧帽筋のトレーニングのなかで同時に鍛えられます。

さらに詳しい筋肉の情報

筋肉の種類・名称と作用|部位ごとの鍛え方

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デッドリフトの種類とやり方

バーベルデッドリフト(背筋群)

バーベルデッドリフトには大きくは二種類のバリエーションがあり、それは以下の通りです。

◯ルーマニアン(ヨーロピアン)スタイル

両足の外側でバーベルをグリップする

◯ワイドスタンス(スモウ)スタイル

両足の内側でバーベルをグリップする

いずれのスタイルにおいても、もっとも大切なフォームポイントは背中を丸めないことで、背中が丸まった状態で動作を行うと、腰椎に強い負担がかかりますので、十分に留意してください。

また、膝をつま先より前にださないこと、膝の向きとつま先の向きを揃えること、も膝関節保護のために重要です。

なお、背筋トレーニングとして広背筋や僧帽筋にしっかりと負荷を加えるコツは、バーベルを引き上げた位置で肩甲骨を寄せきり背筋群を完全収縮させることです。

ルーマニアン(ヨーロピアン)スタイル

肩幅程度に開いた両足の外側でバーベルシャフトをグリップするスタイルで、背筋群にかかる負荷が高いやり方です。

このため、背筋トレーニングとしてデッドリフトを行う場合は、通常ルーマニアンスタイルで行います。

また、パワーリフティング競技でも、腕の長い海外の選手がこのスタイルを使うことがあります。

ワイドスタンス(スモウ)スタイル

大きく足を開いて両足の内側でバーベルシャフトをグリップするスタイルで、背筋群だけでなく下半身にも負荷が強くかかります。

バーベルを引く距離が短くなるという利点もあり、パワーリフティング競技でのデッドリフトは、基本的にはこのスタイルで行われます。

一般的なトレーニングとしては、下半身トレーニングのルーティンと干渉してしまうため、あまり行われません。

デフィシットデッドリフト(下半身と背筋群)

デフィシットデッドリフトは、台などの上に乗り、通常のデッドリフトよりもさらに深くバーベルを下ろすバリエーションです。

ハーフデッドリフト(背筋群)

ハーフデッドリフトは、台などの上にバーベルプレートを乗せ、通常のデッドリフトよりも浅い位置で背筋群にのみ負荷を加えられるバリエーションです。

スティッフレッグドデッドリフト(ハムストリングス)


スティッフレッグドデッドリフトは、膝をほとんど曲げずに行うデッドリフトバリエーションで、ハムストリングスから臀筋群に負荷をかけるトレーニングです。

本種目は重量を追求するのではなく、ハムストリングスを確実にストレッチングさせるためのトレーニングですので、完全にコントロールできる軽めの重量設定で行ってください。

背筋群のバーベルトレーニング

バーベルベントオーバーロー(背筋群)

バーベルベントオーバーローは、広背筋を中心に僧帽筋にも効果の高い種目で、中腰前傾姿勢の「ニーベントスタイル」で行います。

ニーベントスタイルのフォームのポイントは、胸を張り、背筋を伸ばし、膝がつま先より前に出ないようにすることです。

実際にバーベルを引く時は、バーベルの重心と身体の重心が離れないようき、バーベルシャフトを太ももの上を擦るような軌道で行います。

バーベルベンチローイング

バーベルベンチローイングは、バーベルシャフトをフラットベンチの下に遠し、フラットベンチの上にうつ伏せになってバーベルを引き上げるトレーニングです。

バーベルを引く軌道が体幹に対して正面からになるため、広背筋の側部に高い負荷を加えられます。

また、腰に不安がある場合に、ベントオーバーローのかわりに行われます。

バーベルストレートアームプルオーバー(広背筋)

バーベルストレートアームプルオーバーは、体幹に対して上方向から負荷を加えられるため、広背筋側部に有効です。

なお、肘を曲げてしまうと負荷が広背筋ではなく大胸筋に負荷がかかってしまいますので注意してください。

バーベルショルダーシュラッグ(僧帽筋)

バーベルショルダーシュラッグは、僧帽筋に負荷を集中させられるトレーニングです。肩甲骨を寄せる動作に意識を集中し、肩関節や肘関節を動かさないようにすることが重要です。

バーベルグッドモーニング(脊柱起立筋)

バーベルグッドモーニングは、脊柱起立筋に有効なトレーニングです。反動を使って動作を行うと腰椎に強い負担がかかりますので、十分に留意してセットを行ってください。

また、腰を90度以上曲げるとバランスを失い転倒のリスクがありますので、上半身を倒すのは床と平行までにとどめてください。

▼詳細記事

【バーベル筋トレメニュー一覧】BIG3種目を中心とした一週間2・3・4回の具体的プログラム例
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デッドリフト系種目の筋肥大筋セットの組み方

アップ・本セットでヨーロピアンデッドリフト(3セット)

数本のアップを行ったのち、6回の反復で限界がくる負荷回数設定で3セット行います。

デッドリフトには、下半身の筋力も多く使うスモウデッドリフト(足を大きく開き足と足の間をグリップする方法)と、より背筋に比重のかかるヨーロピアンデッドリフト(図のように足の外側をグリップ)の二種類がありますが、背筋群の筋肥大のためのトレーニングとして考えた場合、ヨーロピアンデッドリフトのほうが有効です。

なお、デッドリフトは効果が高い反面、間違ったフォームで行うと怪我のリスクもありますので、基本となるポイントはしっかりおさえてトレーニングをしてください。そのポイントは以下の通りです。

・胸を張り上を見る

・背中を反らせる

・お尻をつき出す

・膝をつま先より前にださない

・太ももにバーを沿わせて挙げる

また、バランスをとるためにオルタネイトグリップ(片手を順手・片手を逆手でグリップ)で行うことをおすすめします。

追い込みにベントオーバーロー(2~3セット)

デッドリフトの後の広背筋の追い込みとしてベントオーバーロー(ニーベントロー)を数セット行います。8回の反復で限界がくる負荷回数設定が適切です。

ベントオーバーローも、デッドリフトと同様に胸を張りやや上を見て、お尻をつき出し背中を反らせ、バーを太ももに沿わせるように引き上げてください。

なお、ノーマルグリップでバランスがとりにくい場合は、リバースグリップで行ってください。

仕上げにショルダーシュラッグ(1~2セット)

仕上げにアイソレーション種目(単関節運動)のショルダーシュラッグで僧帽筋に効かせていきます。10回の反復で限界がくる負荷回数設定が適切です。

上半身を後傾させると、負荷が長背筋群(特に脊柱起立筋)に逃げてしまうので注意をしてください。

バーベルデッドリフトの女性向きのやり方

バーベルデッドリフトは、背中が丸まらないようにすることが大切で、このためには斜め上に目線を置くことが有効です。

また、しゃがんだポジションで膝がつま先より前に出ないように注意することが、膝関節の保護のために重要です。

なお、背筋群のトレーニングとしてバーベルデッドリフトを実施する場合は、足を肩幅程度に開き、足の外側でバーベルをグリップするヨーロピアンスタイルのほうが、より背筋群に対する負荷がかかりますので推奨されます。

バーベルスティッフレッグドデッドリフト

膝を伸ばした状態を維持して行うバリエーションで、ハムストリングスに強い負荷がかかります。

なお、本種目は高重量で実施するのには適していません。軽めの重量で、しっかりとハムストリングスのストレッチを意識して行ってください。

バーベルスモウデッドリフト

パワーリフティング競技で高重量を狙っ場合に使われるスタイルで、大きく開いた足の間でバーベルをグリップするのが特徴です。

下半身の筋肉を使う割合が高く、背中のトレーニングとしてでなく、全身的なトレーニングとして実施されます。

トップサイドデッドリフト

バーベルを床まで下ろさず、バーベルが膝より高い範囲で行うバリエーションで、通常のやり方に比べて背筋群に集中的な負荷がかかります。

筋力トレーニングの装備品

筋力トレーニングに使用する用品類(個人装備品)のなかでも、特に重要なものがトレーニングベルト、リストラップ、ニースリーブ、パワーグリップです。

パワーリフティングは、ウエイトトレーニングの種目の中で、基本的で高重量を扱える種目であるスクワット、ベンチプレス、デッドリフトの3種目の最大挙上重量の総計を競うスポーツである。

レベルが高い選手は、ほぼ全員が「ギア」を着用している。

引用:Wikipedia

下記の記事では、ギアの特性について、パワーリフティング競技規定および世界パワーリフティング協会(IPF)公認品製作所による記載を参照しつつ解説しています。

▼詳細記事

筋力トレーニングの個人装備品

筋力トレーニングと食事の基礎知識

筋力トレーニングを実施したら、そこで満足して終わるのではなく、トレーニング効果を最大限高める食事・栄養摂取をする必要があります。

筋力トレーニングと食事

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