鶏(ニワトリ)の起源(原種)と家禽化の歴史|主な種類と特徴を生物学学芸員が解説

この記事の数値は食品成分データベース(文部科学省)に基づいて算出し、栄養(PFC)バランスに関しては食事バランスガイド(農林水産省)の情報を参照しています。

ニワトリは現在の食料生産において最も大量に利用されている鳥類であり、その成立は人類による進化操作の典型例です。家禽としてのニワトリを理解するためには、まず野生段階の生物としての位置づけから見る必要があります。

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鶏の原種

家禽ニワトリの祖先は東南アジアの森林に生息するセキショクヤケイ(Gallus gallus)です。林縁や二次林の地表を歩き回りながら植物の種子や昆虫、小型動物を採食する地上性のキジ科鳥類で、短距離の飛翔能力を持つものの生活の中心は地表にあります。

強い性的二型を示し、雄は長い飾り羽と発達した肉冠を持ち、雌は外敵から身を守るための保護色をしています。家禽ニワトリは分類学的にはGallus gallus domesticusとされ、この野生種の家禽化系統にあたります。遺伝的にはハイイロヤケイ(Gallus sonneratii)との交雑も確認されており、皮膚の黄色色素の由来となっています。

家禽化の起源

ニワトリの家禽化は約八千年前に東南アジアから中国南部にかけて始まったと考えられています。初期段階では食肉や卵の生産よりも闘鶏や祭祀といった行動特性の利用が中心でした。

人の生活圏周辺に集まって採食するという生態が、定住化した農耕社会と強く結びついたことで半野生的な管理状態が生まれ、そこから人為選択が進行していきます。

農耕の拡大とともに西アジア、ヨーロッパ、アフリカへと分布を広げ、近代以降になって卵肉生産に特化した改良が急速に進みました。

家禽化による形態変化

野生のセキショクヤケイと比較すると、家禽ニワトリでは体サイズが大きくなり、飛翔能力は低下しています。外敵から逃避する必要がなくなったことで骨格と筋の構成が変化し、地上生活に特化した体型へ移行しました。最も顕著なのは産卵数の増加であり、野生状態では繁殖期に限られていた産卵が、通年で連続的に行われるようになっています。これは繁殖周期そのものが人為的に改変されたことを意味します。また脂肪蓄積能力の増大と攻撃性の低下も、家禽化によって固定された形質です。

主な品種

採卵鶏 レグホン(Gallus gallus domesticus)

現在の採卵鶏の代表であるレグホンは軽量で代謝が高く、極めて高い産卵能力を持つ方向に選抜された系統です。

肉用鶏 ブロイラー(Gallus gallus domesticus)

肉用鶏であるブロイラーは数週間という短期間で急速に体重が増加するよう改良され、胸筋が著しく発達しています。

卵肉兼用種 ロードアイランドレッド(Gallus gallus domesticus)

ロードアイランドレッドは卵肉兼用種として知られ、近代的な肉用鶏系統の成立に大きく関わった品種です。

卵肉兼用種 プリマスロック(Gallus gallus domesticus)

プリマスロックも卵肉兼用種として利用され、現在の肉用鶏の基礎となった重要な品種です。

生物学的に見たニワトリ

ニワトリは本来、森林の地表で多様な餌資源を利用する雑食性鳥類であり、高タンパク質の餌に対する適応と短い世代時間を持っています。この特性が人為選択による急速な形質固定を可能にしました。特にブロイラーは飛翔のための形態を失う代わりに胸筋の肥大と急速成長に特化しており、野生の鳥類には見られない極端なエネルギー配分を示します。

まとめ

家禽ニワトリはセキショクヤケイ(Gallus gallus)を起源とする地上性鳥類を、人類が繁殖周期と成長速度の段階から改変した存在です。その成立の背景には、森林性雑食鳥という生態、高い繁殖能力、短い世代時間という生物学的特性があり、これらが現代の卵と食肉の生産を支える基盤になっています。

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