
ドライフルーツは、少量でエネルギーやビタミン・ミネラル・食物繊維をとることができる便利な食品ですが、同時にカロリーと糖質も高くなりやすい特徴があります。本記事では、その栄養やカロリーのポイントを整理したうえで、シェイプアップや筋トレ中にどのように付き合うのが現実的かをご紹介します。
ドライフルーツの栄養と基本的な考え方
ドライフルーツには、生の果物由来のビタミン・ミネラル・食物繊維などが含まれており、水分が抜けているぶん栄養素もエネルギーも濃縮されています。そのため、少量でエネルギー補給や食物繊維の追加がしやすい一方、何も考えずにつまんでいるとあっという間にカロリーオーバーになってしまいます。
筋トレやシェイプアップの観点では、「健康によさそうだからたくさん食べる」というよりも、1日に食べる量をあらかじめ決めておき、トレーニング前後や間食のタイミングで少量をコントロールして使う補助食品と考えるのが現実的です。
食物繊維はシェイプアップ中の味方になる

ドライフルーツは水分が抜けているぶん、生のフルーツに比べて食物繊維がコンパクトにまとまっているのが特徴です。水溶性食物繊維・不溶性食物繊維の両方を含むものが多く、適量であればお通じの改善や、噛む回数が増えることによる満腹感アップに役立ちます。
ただし、「濃縮されている=たくさん食べたほうがよい」という意味ではありません。シェイプアップ中は、砂糖や油脂が追加されていないタイプを選び、1日20〜30g程度までを目安に、ヨーグルトやオートミール、ナッツなどに少しだけ足して使うと、カロリーを抑えながら食物繊維を補いやすくなります。
抗酸化成分を含むフルーツが多い
果物には、ビタミンCやポリフェノールなど、体内の酸化ストレス対策に関わるとされる成分を含むものが多く、ドライフルーツにしてもそれらの成分自体は残ります。ただし、これだけで病気を防げるといった過度な期待をするのではなく、野菜や主食・タンパク源などとあわせたバランスのよい食事の一部として取り入れるイメージで考えるとよいです。
美容・美肌との関わり
ドライフルーツに含まれるビタミン類やミネラル類、食物繊維は、肌の代謝や腸内環境づくりに関わる栄養素でもあります。そのため、適量を日常の食事に取り入れることは、美肌づくりをサポートする要素の一つにはなります。ただし、睡眠・紫外線対策・全体の栄養バランスなどが土台になるため、ドライフルーツだけで美容効果を狙うのではなく、普段の食生活を整えたうえでの「プラス1」として考えることが大切です。
ドライフルーツのデメリット|筋トレ・シェイプアップでは特に注意したい点

カロリーと糖質が高く、量のコントロールが難しい
ドライフルーツは水分が抜けているため、生の果物よりも糖質とカロリーが高密度になっています。見た目の量が少なくても、100gあたりではご飯1杯分に近い糖質になる種類も多く、なんとなくつまんでいるだけですぐに300〜400kcalに達してしまうことがあります。シェイプアップ中は、袋のまま置かず、必ず小分けにして食べる量を決めておくことが必要です。
砂糖や油が追加された製品も多い
市販のドライフルーツには、食べやすくするために砂糖やシロップ、植物油などを加えている製品が多く、これらはお菓子に近い食品になります。「フルーツ=ヘルシー」というイメージだけで選ぶと、意図しない糖質・脂質の過剰摂取につながるため、砂糖不使用・オイル不使用のタイプを選ぶのが必須です。
血糖値が上がりやすく、お腹が空きやすい人には不向き
ドライフルーツはGI値が高めのものが多く、食後の血糖値が急上昇しやすい食品です。血糖値の乱高下が起こると、かえって空腹を感じやすくなり、間食の回数が増える原因になります。特にシェイプアップ中は、単体で食べずにヨーグルトやナッツなど「脂質・タンパク質を含む食品」と合わせて食べることで、血糖値の乱高下を防ぎやすくなります。
歯にくっつきやすく、口腔ケアが必要
ドライフルーツは粘りが強く、歯にくっつきやすいため、虫歯のリスクを高めると言われています。食べる量を抑え、食後は水を飲む・口をゆすぐなど、簡単なケアを心がけることが大切です。
「健康食」のイメージで食べ過ぎてしまう危険がある
一般的にドライフルーツは「美容に良い」「健康に良い」といったイメージが強く、甘いものの代わりに安心して食べてしまう人も多くいます。しかし、実際には糖質・カロリーは高く、ダイエット中に無制限に食べるべき食品ではありません。筋トレやシェイプアップの視点では、“量を決めて少しだけ” が基本です。
ドライフルーツは筋トレ(バルクアップ)に向いている?

筋トレでバルクアップを狙う場合、ドライフルーツは少量でエネルギーと糖質を補給できるため扱いやすい食品です。特に、トレーニング前後の素早い炭水化物補給として使いやすく、体重を増やしながら筋量を伸ばしたい時期に相性が良いと言えます。乾燥によって糖質が濃縮されているため、同じ量の生の果物より効率よくカロリーを摂れる点もメリットになります。
トレーニング前のエネルギー補給に向いています
ドライフルーツは消化が速く、少量で糖質を摂れるため、トレーニング前の軽いエネルギー源として使いやすい食品です。特に、瞬発系のトレーニングや高重量の日など、筋グリコーゲンをしっかり確保したい場面では効果的です。食べる量の目安としては、トレーニング30~60分前に10~20g程度を目安にすると、胃もたれを起こしにくく使いやすくなります。
トレーニング後の「素早い糖質」にもなります
筋トレ後は糖質とタンパク質の補給が重要になりますが、トレーニング直後は固形物が食べにくいことも少なくありません。ドライフルーツであれば少量で糖質を補給できるため、プロテインと一緒に摂ることで、筋グリコーゲンの回復をスムーズにしやすくなります。こちらも食べ過ぎるとカロリーオーバーになるため、10~20g程度にとどめるのが現実的です。
砂糖や油が追加された製品には注意が必要です
市販のドライフルーツには、食べやすくするために砂糖やシロップ、植物油などを加えている製品も多く、その場合はお菓子に近い食品になります。バルクアップ中であっても、体脂肪が増えすぎるとコンディションが乱れやすくなるため、砂糖不使用・オイル不使用のタイプを選び、1日に食べる総量をあらかじめ決めておくことが大切です。
ドライフルーツはシェイプアップ中にも使える?

シェイプアップ中は摂取カロリーを抑える必要がありますが、適量のドライフルーツは間食や栄養補助として使うことができます。果物由来のビタミン・ミネラル・食物繊維を効率よく摂れるため、食事量を減らしている期間でも栄養バランスを崩しにくい点がメリットになります。ただし、「ヘルシーだからたくさん食べてよい」という食品ではないことを理解しておく必要があります。
食物繊維が満腹感とお通じのサポートになります
ドライフルーツには水溶性・不溶性の両方の食物繊維が含まれており、適量であればお通じの改善や食後の満腹感の持続に役立ちます。シェイプアップ中は食事量が減ることで便秘気味になる方も多いため、ヨーグルトやオートミールに少量のドライフルーツを加えると、無理なく食物繊維を増やしやすくなります。
甘いものへの欲求をコントロールしやすくなります
ダイエット中は、どうしても甘いものが欲しくなるタイミングがあります。そのような場面で砂糖菓子や洋菓子に手を伸ばす代わりに、ドライフルーツを少量だけ取り入れると、糖質と甘味を補給しながら、同時にビタミンやミネラルも摂取できます。甘味への欲求を完全に我慢するよりも、コントロールしながら満たすほうが長期的には続けやすくなります。
カロリーは生の果物より高いので量を厳守します
ドライフルーツは乾燥によって水分が抜けているため、同じ重さで比べると生の果物よりカロリーも糖質も高くなります。シェイプアップ中は、1日に食べる量をおおよそ20~30gまでに抑え、単体で食べるのではなく、ヨーグルトやナッツなど他の食品に少量だけ足す使い方にすると、カロリーを管理しやすくなります。袋のままテーブルに置いてつまみ続ける食べ方だけは避けるようにしましょう。
代表的なドライフルーツとそのカロリー・特徴
ここからは、代表的なドライフルーツの種類ごとのカロリーや特徴をご紹介します。
ドライクランベリー

ドライクランベリーは100gあたりで約323Kcalあります。ドライクランベリーには、血液をサラサラにしてくれるポリフェノールが多く含まれるほか、メラニン色素の増加を抑制し、しみ・そばかすを防ぐ効能があるとされる美容成分のアルブチンも多く含まれています。
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クランベリーはツツジ科スノキ属ツルコケモモ亜属に属する常緑低木で、北半球の温帯~寒帯にかけて分布しています。
クランベリーには、主にツルコケモモ・ヒメツルコケモモ・オオミツルコケモモ・アクシバの四種類があり、いずれも食用にされます。ただし、安息香酸が含まれるため、その果実は非常に酸味が強く生食には向かず、ジャム・ジュース・ドライフルーツに加工されます。
ドライブルーベリー

ドライブルーベリーのカロリーは100gあたり311kcalで、ポリフェノールやカリウムを多く含んでいます。
ブルーベリーは、ツツジ科スノキ属シアノコカス節に属する落葉低木果樹で、北アメリカが原産地です。日本国内では、関東地方を中心として盛んに栽培されています。
植物性色素のアントシアニンが豊富に含まれており、この成分は抗酸化物質として知られています。
ドライプルーン

ドライプルーンのカロリーは100gあたり237Kcalで、ポリフェノールの一種であるアントシアニンや食物繊維が豊富なほか、マンガン・亜鉛・鉄分といった微量元素・ミネラルも多く含まれています。
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プルーンは、スモモの近縁種であるセイヨウスモモ類の総称で、中心に大きな種があり、生の場合は梅に近い果物です。生食で食べられるほか、ドライフルーツやプルーンシロップに加工されます。
ドライパパイア

ドライパパイヤのカロリーは100gあたり349Kcalで、体内の古くなった脂肪やタンパク質を分解する働きのあるとされる「パパイン酵素」が多く含まれています。このため、シェイプアップ効果や美肌効果があるとされています。
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パパイヤはパパイア科パパイア属に属する常緑樹で、メキシコ南部から西インド諸島が原産地です。
現在は世界中の熱帯~亜熱帯地域で盛んに栽培されており、国内でも沖縄で栽培が盛んです。
ドライパイナップル

ドライパイナップルのカロリーは、100gあたり365kcalで、タンパク質分解酵素のほか関節痛の予防や緩和に効能があるとされるプロメリンが多く含まれています。
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パイナップルは、パイナップル科の多年草で熱帯アメリカ(ブラジル・パラナ川~パラグアイ川の流域)が原産地です。
世界的に人気の高い果物なので、現在は世界各地で栽培されており、その生産量はタイ・フィリピン・ブラジル・インド・アメリカ・ベトナムの順になっておおり、日本国内では沖縄県で栽培が盛んです。
ドライマンゴー

ドライマンゴーのカロリーは100gあたり368kcalで、ビタミンA、β-カロテン、鉄分、食物繊維などの生活習慣病の予防によいとされる多くの成分を含んでいます。
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マンゴーは、ウルシ科マンゴー属の属する果樹で、インドからインドシナ半島周辺が原産地です。
食べ方としては、熟した実を生食するのが一般的ですが、ドライフルーツ・ジュース・缶詰などそして加工されることも少なくありません。また、マンゴープリンに代表されるように、ムース・シャーベット・スムージーなどのスイーツとしても人気です。
ドライアップル

ドライアップルのカロリーは100gあたり315Kcalで、豊富な食物繊維のほか、むくみ予防に効果的と言われているカリウムを多く含んでいます。また、ビタミンCも豊富で「1日1個のリンゴは医者を遠ざける」ということわざがある程です。
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リンゴは、バラ科リンゴ属の属する落葉高木樹で、北部コーカサス地方が原産地と考えられています。涼しい気候であれば、比較的簡単に栽培でき、また味も良いことからユーラシア大陸全体に広がり、ヨーロッパ~中国~日本の寒帯~亜寒帯地域で盛んに栽培されています。
ドライアンズ(杏)

ドライアンズ(杏)のカロリーは100gあたり246Kcalで、食物繊維のほか鉄分やβ-カロチンなどが多く含まれています。
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アンズは、バラ科サクラ属に属するの落葉樹で、中国の山東省・河北省~中国東北地方南部が原産地であると考えられています。ヨーロッパに伝来したものは「アプリコット」と呼ばれ、日本に伝来したものは「杏・カラモモ」と呼ばれますが、特にヨーロッパでの人気が高く、多く栽培されています。
ドライイチジク

ドライイチジクのカロリーは100gあたり271Kcalで、食物繊維・カリウムのほか、食べ物の消化吸収を補助するとされるフィシンも多く含まれています。また、女性ホルモンに近い働きをするエストロゲン様物質が含まれるので、生理不順や更年期障害にも効果があるとされています。
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イチジクは、クワ科イチジク属に属する落葉高木で、アラビア南部が原産地です。多くの効能があることから、古くから不老長寿の果物とも呼ばれています。
食べ方としては生食のほか、乾燥させて食べるのが一般的で、海外では「ドライフィグ(乾燥イチジク)」として流通が盛んです。
ドライバナナ

ドライバナナのカロリーは100gあたり287Kcalで、食物繊維やβ-カロチンが多く含まれています。
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バナナは、バショウ科バショウ属に属する多年生植物で、東南アジア~マレーシア熱帯アジア地域が原産地です。
食用果実として非常に重要な種類で、全世界でもっとも消費量の多い果実です。このため、世界各地の熱帯域で栽培が行われており、アジアやラテンアメリカのほか、東アフリカや中央アフリカでも栽培が行われています。
その他のドライフルーツ
代表的なドライフルーツのカロリーと主要成分をご紹介してきましたが、まだまだこのほかにもたくさんの種類のドライフルーツがあるので並べてご紹介します。
ドライキウイ

ドライキウイのカロリーは100gあたり337kcalです。ドライキウイにはビタミンCが豊富に含まれるほか、食物繊維やカリウムも多く含まれています。
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キウイフルーツは、マタタビ科マタタビ属に属する落葉蔓性植物で、中国原産のオニマタタビの改良品種です。本種の栽培に成功したのはニュージーランドで、1959年に同国の国鳥「キウイ(kiwi)」にちなんで命名されたという、比較的歴史の浅いフルーツです。
ドライマスカット

ドライマスカットにはポリフェノールの一種で、抗酸化作用があるとされるレスベラトロールが多く含まれています。このことは経験的に古代から知られており、クレオパトラも好んで食べたという記録があります。
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マスカットはブドウの改良品種の一つですが、語源である「ムスク(香り)」にあらわされるように、その気品のかる芳香が特徴です。
マスカットには数多くの品種がありますが、単に「マスカット」という場合は「マスカット・オブ・アレキサンドリア」のことを指します。本品種は、ローマ帝国時代にエジプトのアレキサンドリア港から世界各地に出荷されたことで知られています。
ドライ巨峰

ドライ巨峰には、むくみ予防に効果のあるカリウムのほか、アントシアニン・レスベラトロールなどのポリフェノールが豊富に含まれています。
巨峰は、日本国内においてヨーロッパブドウのヴィニフェラ種 とアメリカブドウのラブルスカ種を交配させて作出された品種で、1粒の重量は10g〜12g程度と世界でも最大級のブドウとして知られています。
ドライストロベリー

ドライストロベリーのカロリーは100gあたり341kcalです。イチゴの赤い成分であるアントシアニンはポリフェノールの一種で、眼精疲労や活性酸素減少に効果があると言われています。
イチゴは、バラ科オランダイチゴ属に属する多年草で、北半球の温帯地方に広く分布しています。
生食のほか、さまざまなスイーツに加工される世界的にも人気の高い果物です。なお、ドライストロベリーは近年のフリーズドライ技術の向上にともなって製品化されはじめた、比較的新しいドライフルーツです。
ドライ洋梨

洋梨は、ビタミンB群・ビタミンCといったビタミン類のほか、カルシウム・リン・鉄・マグネシウムなどのミネラル分を豊富に含んでいます。
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セイヨウナシはのバラ科ナシ属に属する落葉樹で、ヨーロッパ地域が原産地です。日本国内では、山形県を中心に「ラ・フランス」の栽培が盛んです。なお、ラ・フランスはフランスで作出された本種ですが、ヨーロッパでは気候が合わず、アジア地域で栽培されている洋梨です。
ドライみかん

ドライミカンには豊富なビタミンCが含まれており、風邪の予防など、体調管理に優れた効果があります。
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ミカンはミカン科に属する常緑樹で、さまざまな品種が作出されています。その原産地には諸説がありますが、国内で多く栽培されているウンシュウミカン系統の原種は中国の温州とされています。
ドライレモン

ドライレモンは、とくかくビタミンCが豊富なことが特徴で、風邪の予防など体調管理にとても効果があります。また、疲労回復に即効性のあるクエン酸も豊富に含まれています。
レモンは、ミカン科に属する常緑樹で、ヒマラヤ地域が原産地とされています。
ドライメロン

ドライメロンはウリ科植物共通の特徴として、豊富なカリウムを含んでおり、むくみ予防に効果があります。100gあたりのカロリーは374kcalです。
ドライドラゴンフルーツ

ドライドラゴンフルーツはとても希少価値が高いことで知られています。食物繊維と鉄分が豊富で、便秘予防や貧血予防に効果的です。
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ドラゴンフルーツは、サボテン科ヒモサボテン属に属するサボテン植物で、メキシコ~中南米にかけての熱帯雨林地域が原産です。
ドライチェリー

ドライチェリーは、砂糖不使用でも甘みがしっかりと残るのが特徴で、フルーツ本来の甘みと酸味を楽しめます。100gあたりのカロリーは340kcalです。
ドライピーチ

ドライピーチには、食物繊維とカリウムが豊富に含まれており、便秘予防やむくみ予防に効果的です。100gあたりのカロリーは355kcalです。
ドライなつめやし

ドライなつめには、ビタミン・アミノ酸・タンパク質など豊富な栄養分が含まれています。100gあたりのカロリーは307kcalです。
干し柿

日本の伝統的ドライフルーツとして知られるのが干し柿です。100gあたりのカロリーは276kcalです。
ミックスドライフルーツがお得

たくさんのドライフルーツをご紹介してきましたが、予想以上に種類が豊富で、どれを選んでいいか困ってしまいますね。そんなドライフルーツ初心者の方には、ミックスドライフルーツセットがおすすめです。

