【自衛隊式自重トレーニング】体力検定の筋トレ種目のやり方を現役自衛官が解説

この記事は全日本3位以上・日本代表の各競技選手のみが執筆した専門記事です。

自衛隊で行われる自重トレーニングの目標となるのが、毎年一回行われる自衛隊体力検定ですが、その実施されている筋トレ種目とやり方を、筆者の運営するジム所属で現役陸上自衛官でもある選手に聞き取り調査を行い、その内容をまとめました。

執筆者・監修者・運営者情報

自衛隊体力検定とは

入隊時の基準と年一回の測定

引用:自衛隊公式ページ

自衛隊の体力検定には、入隊時に求められる基準と、入隊後毎年一回測定されるものとがあり、その種目は以下の通りです。

○腕立て伏せ

○腹筋

○懸垂

○3000m走

○走り幅跳び

○ソフトボール投げ

また、以前は年一回の体力検定も同様でしたが、現在は懸垂・走り幅跳び・ソフトボール投げは除外され、より実戦的な装備を装着しての内容に変更されているとのこで、行われる筋トレ種目としては「腕立て伏せ」と「腹筋」、そして3000m走です。

入隊時に求められる体力水準

数ヶ月間の教育期間(試験雇用のようなもの)の後、正式に入隊するためには、体力検定6種目で、おおよそ以下のような体力基準を満たしていることが求められます。

○腕立て伏せ…25~35回

○腹筋…33~40回

○懸垂…3~6回

○3000m走…15分20秒~16分20秒

○走り幅跳び…330~360cm

○ソフトボール投げ…36~41m

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体力検定での腕立て伏せ・腹筋・懸垂のやり方とルール

腕立て伏せのやり方とノーカウント&失格条件

自衛隊体力検定のなかでも、いわゆる自重トレーニングの筋トレ種目でもある「腕立て伏せ」「腹筋」「懸垂」について、実際に現役自衛官の当ジム選手に、その決められたやり方、測定回数ノーカウントになる条件、およびテスト失格条件について詳しく教えていただきました。

まず腕立て伏せですが、手幅は肩幅の広さでやや指先が内向き(ハの字)と決められています。なお、足幅は自由です。

測定時間は2分間で、その時間内で何回できるかを測定します。

検定時にはバディーと呼ばれる測定係が、顎の下に手を置き、それに顎が当ってから元の状態に戻ると一回にカウントされます。

上半身だけを上下させるような動作は一回と数えられずノーカウントとなり、上図のようにやや斜め前に身体を下ろし上半身は常に床と並行を保たなくてはいけません。

失格条件としては、手足以外の部分が床につくこと、手足四点のいずれかが床から離れることで、その時点で検定終了となります。

腹筋のやり方とノーカウント&失格条件

次に腹筋ですが、上図のように膝を90度前後に曲げ、手を頭の後ろに構えます。なお、手は重ねるだけで、両手の指を組んではいけません。

測定時間は2分間で、その時間内で何回できるかを測定します。

検定時にはバディーと呼ばれる測定係が、足首を押さえてカウントをします。肩甲骨が床についた状態から反動を使わずに状態を起こし、膝に肘がついた時点で一回にカウントされます。

お尻を浮かせて反動を使った場合は回数に数えられずノーカウントになります。

また、後頭部に置いた手と手が離れたり、肩甲骨が床についた状態で休憩すると失格となり、その時点で検定終了です。

懸垂のやり方とノーカウント&失格条件

懸垂は、入隊後毎年一回の体力検定(新体力検査)では現時点では他の測定法(装備着用での実戦的試験)に置き換えられています。

入隊時に求められる体力検定としてのやり方は、まずバーを掴む握り方は順手に限られており、逆手は禁止グリップです。

また、順手でも、親指を他の四本の指側にかける「サムレスグリップ」も禁止されています。

手幅は自由にとることができ、完全に肘が伸びる状態でバーにぶら下がり、顎がバーを越える位置まで上がると一回にカウントされます。

実際の検定では、横にバディーがつき、スタートポジションに戻るたびに、一回一回身体の揺れを静止させるとのことです。

顎がバーを越えなかったり、反動を使って上がった場合はノーカウントとなります。

懸垂を行うペースは四秒に一回と決められており、二回続けて上がれなかったりノーカウントになった場合は、その時点で失格となりますが、このほかに、バーに顎が接触しても失格となります。

その他三種目の記録向上法

走り幅跳び

走り幅跳びの記録向上には技術的な部分も少なくありませんが、絶対的に必要となるのが、下半身の筋肉のなかでも瞬発筋(筋繊維TYPEⅡb)と呼ばれる筋肉で、特に大腿四頭筋・ハムストリングス(大腿二頭筋・半膜様筋・半腱様筋)・臀筋群・下腿三頭筋などです。

その具体的な筋トレ方法については、上の記事をご参照ください。

また、下半身のトレーニングで意外と見落とされがちなのが、腸腰筋トレーニングですが、脚を鍛えるだけでなく、そもそも脚を上げる作用がある体幹インナーマッスルの腸腰筋群を鍛えることも非常に重要です。

ソフトボール投げ

ソフトボール投げの記録向上のために重要なのが、肩の筋肉・三角筋のトレーニングです。その鍛え方は、上の記事で詳しく解説しています。

また、三角筋以外に肩~肩甲骨のインナーマッスルで、腕自体を動かす作用のあるローテーターカフ(回旋筋腱板)の強化も非常に重要な要素です。

3000m走

3000m走の記録向上に関しては、筋トレ(筋力トレーニング)の分野というよりも、実際に走り込みを行い、持久筋(筋繊維TYPEⅠ)の筋スタミナ強化や心肺機能の強化の分野になります。

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