筋トレ向き干し芋の作り方と食べ方|元日本代表選手が実際に自作した記録

この記事の数値は文部科学省の食品成分データベースに基づいて算出しています。

筋トレ食品(運動エネルギー補給用)として、また筋トレスイーツ(比較的GIの安定した糖質源)として、干し芋の人気は高いものがあります。もちろん、筆者もスポーツ競技の元日本代表でしたので、現役時代は干し芋は常に食べていました。

本記事では、干し芋の筋力トレーニングにおける概論だけでなく、実際に生芋から茹で工程を経て干し芋を作るまでのやり方をご紹介します。

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干し芋のカロリー栄養素

干し芋100gあたりのカロリー・栄養素は以下の通りです。

エネルギー:303kcal
タンパク質:3.1g
脂質:0.6g
炭水化物:71.9g

食物繊維:5.9g
ビタミンE:1.3mg
ビタミンB1:0.19mg
ビタミンB2:0.08mg
ナイアシン:1.6mg
ビタミンB6:0.41mg
葉酸:13μg
パントテン酸:1.35mg
ビタミンC:9mg
ナトリウム:18mg
カリウム:980mg
カルシウム:53mg
マグネシウム:45mg
リン:93mg
鉄:2.1mg
亜鉛:0.5mg
銅:0.3mg
マンガン:0.4mg

なお、数値は「食品成分データベース(文部科学省)」を参照しています。また、食品の栄養素(PFC)および食事全体の栄養(PFC)バランスに関しては食事バランスガイド(農林水産省)の情報を参照しています。

干し芋1枚あたりの栄養目安

干し芋は商品によって大きさが異なりますが、一般的な平切りタイプ1枚は約30g前後であり、エネルギーはおよそ90kcal前後となります。糖質は約20gに相当し、筋トレ前のエネルギー補給として速やかに利用されます。また、一枚の量で脂質がほぼ含まれないため、エネルギー源として糖質だけを効率的に摂取できます。

血糖管理に関する注意点

干し芋は高品質な糖質源ですが、血糖上昇速度が比較的速い食品であるため、空腹時に大量摂取すると急激な血糖上昇を招く場合があります。トレーニング前に適量を摂取する場合は問題ありませんが、日常的な間食として利用する際には、たんぱく質食品や食物繊維の多い食品と組み合わせることで血糖値の変動を緩やかにでき、エネルギー利用効率も安定します。また、シェイプアップ期では小分けにして必要量だけを摂取することが望ましいです。

糖質源としての比較(ご飯・パン・芋・干し芋)

干し芋は同じ糖質食品のなかでも、エネルギー密度と携帯性の両面に優れており、筋トレ前後の栄養補給として実用性が高い食品です。

ご飯(白米)

白米100gあたりの糖質量は約36gであり、吸収速度が速いことからトレーニング後のグリコーゲン補充に適しています。脂質を含まないため総カロリーの管理が容易です。

パン(食パン)

食パン100gあたりの糖質量は約44gであり、脂質がやや含まれるため総カロリーは高くなります。吸収速度が速く、エネルギー補給に向きますが血糖上昇が急になりやすい傾向があります。

芋類(蒸しさつまいも)

蒸しさつまいも100gあたりの糖質量は約32gであり、食物繊維が豊富なため腹持ちが良く、血糖上昇も比較的穏やかです。トレーニング前後のどちらにも利用しやすい食品です。

干し芋

干し芋100gあたりの糖質量は約72gと高く、エネルギー密度も高いため少量で必要なエネルギーを摂取できます。携帯性が高く保存性にも優れており、実用性が非常に高い食品です。

GI値の比較

GI値は体内での糖質吸収速度を示し、トレーニング前後の糖質選択において重要です。

白米:GI 約88

食パン:GI 約95

蒸しさつまいも:GI 約55

干し芋:GI 約65

干し芋は蒸しさつまいもよりやや高いGIですが、依然として中GIに分類されるため、急激な血糖上昇が起きにくく、筋トレ前後の継続的なエネルギー供給に向いています。

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干し芋が筋トレと相性が良い理由の総論

干し芋は生芋を加熱してから水分を取り除いた自然食品であり、筋トレ前後に必要なエネルギー供給に優れています。また、脂質が少ないことで体脂肪管理がしやすく、加えて食物繊維やカリウムなどの微量栄養素を含むことから代謝維持やコンディション保持に適した食品です。

干し芋の糖質構造

干し芋は加熱によりデンプンが糊化し、乾燥過程で糖質が濃縮するため、ゆっくりと吸収される糖質として利用され、トレーニング中の血糖維持に優れた特徴を持ちます。

筋トレ前に適している理由

干し芋は胃腸負担が軽く、血糖値の上昇が安定しているため、トレーニング開始前の短時間で必要なエネルギーを確保でき、運動中の低血糖によるパフォーマンス低下を防ぎやすくなります。

筋トレ後に適している理由

干し芋に含まれる糖質は筋グリコーゲン再合成を促しやすい性質を持つため、トレーニング後の回復期間に筋肉のエネルギーを効率よく補給でき、次のトレーニングの質を落とさないための栄養源として有効です。

減量期に適している理由

干し芋は自然由来の甘味が満腹感と満足感を得やすく、脂質量が極めて少ないため、総カロリーを抑えながらエネルギーを確保する減量期の食事に組み込みやすく、強度を落とさずに体脂肪を減らすトレーニング理論に適しています。

バルクアップ期に適している理由

バルクアップ期では干し芋を主食の炭水化物と合わせることでエネルギー摂取量を段階的に増やすことができ、脂質を必要以上に増やさずに糖質を確保することで、消化効率が安定した状態で高重量トレーニングを支えるエネルギー源となります。

生芋から干し芋への加工過程の特徴

さつまいもは加熱により糖化が進み乾燥工程で水分が減少するため、同重量比で糖質濃度が高まり保存性も向上する食品へと変化し、運動前後に必要なエネルギーを効率的に供給する筋トレ向きの加工形態となります。

干し芋の栄養構成

干し芋は炭水化物を主体としつつ食物繊維が豊富で、加えてカリウムが多く含まれるため、筋収縮に影響する電解質バランスを整えながらエネルギー供給を行う食品として、高い実践性を持っています。

和菓子との相性

干し芋は自然の甘味を持ち脂質が少ないことから、羊羹や餡などの和菓子類と組み合わせた場合でも総脂質を抑えながらエネルギー補給を行えるため、トレーニング前後のスイーツとしても応用範囲が広い食品です。

実際に干し芋と干し芋スイーツを作った記録

干し芋があまりに美味しいので、家庭での手作りにも挑戦しました。

まずは、材料の隼人芋(にんじんいも)を楽天市場で購入しました。3kgパックでもこの量ですので、干し芋だけでなく「ニンジン芋料理」もあれこれと試せそうです。

今回の干し芋作りは、より伝統的な「越賀方式」で行いました。

まずは、隼人芋をきれいに水洗いし、鍋にセットします。

ここから、煮ていきますが、時間は約30分(芋の大きさによって異なる)で、目安はつまようじが芯までスッと通る軟らかさになるまで煮ることです。

煮あがった隼人芋は、すぐに冷まさずにこのまま蓋をして蒸らしながらゆっくりと常温になるまで放置します。

このように、蒸らすことで甘みが増しますので、干し芋作りの過程では「蒸らし」は非常に重要とのことです。

蒸らしが終わり、常温まで冷めた状態です。ここから皮を剥いていきますが、手で剥かずに包丁を使うときれいに仕上がります。

皮を剥いた状態です。隼人芋の特徴であるオレンジ色が鮮やかですね。このまま食べても美味しいです。

皮を剥いた隼人芋は、厚さ約1cmに切り分けます。旨味が損なわれるので輪切り方向ではなく、繊維に沿って縦方向に切ります。

切り終わった干し芋を干し物ネットに並べます。切った芋同士がくっつかないよう、余裕を持って(間隔をあけて)並べるのが上手に干すコツです。

後は、風通しの良い半日陰で2~3日干したら出来上がりです。雨の日は室内に入れてください。

干すこと3日、出来上がりました。

出来上がった干し芋は、乾燥が進まないよう、密閉パックに入れて保管します。

自作干し芋の芋ようかん

自作した干し芋を使って芋入り羊羹を作りました。既製品を買うとかなり高価ですが、自作干し芋だと気兼ねなくふんだんに使うことができます。

水300mlに刻んだ干し芋と粒あんを入れ、寒天4gも加えてよく攪拌します。

焦がさないように気をつけながら、しっかりと均一になるようにかき混ぜます。

器に移し、粗熱をとってから冷蔵庫で冷やします。

出来上がりました。干し芋のもっちり感が良いアクセントになります。

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筋トレと食事の基礎知識

PFCバランスについての基礎知識

食品は主に「三大栄養素」と呼ばれている3種類の栄養素から構成されています。それは、P=タンパク質・F=脂質・C=炭水化物で、この3種類の栄養素を食事として摂取する比率のことを「PFCバランス」と呼びます。「タンパク質:脂質:炭水化物」の比率として「2:2:6」が一般的に適切とされているPFCバランスですが、筋トレの効果を高める食事のPFCバランスとしては、筋肉合成に重要なタンパク質の比率を増やして「4:1:5」がベストです。

ライフスタイルに合わせたPFCバランスの調整

筋トレの食事としては、先に述べたようにタンパク質の比率を多くするのが定石ですが、カロリーの摂取量はトレーニング量だけでなく、個人のライフスタイルに合わせて調整することも重要です。具体的には運動量の多い仕事をしている場合には脂質・炭水化物を増やし、デスクワーク主体の仕事をしている場合には脂質・炭水化物を減らす、といった微調整が必要になります。

タンパク質とは

タンパク質とはアミノ酸が鎖状に連結して構成される高分子化合物で、人体においては筋肉(筋繊維)の主な構成物質です。このため、筋肉(筋繊維)を太く強くすることが主目的の筋力トレーニングの食事としては、最も重要視されるべき栄養素です。筋肥大をしていくためには、適切な筋力トレーニングだけでなく、体重1kgあたり2gの純タンパク質が必要となります。純タンパク質2g≒肉類魚介類換算で10gに相当。

脂質について

脂質は1gあたり9kcalと高カロリーであることから、筋トレの食事としては「太りやすい」と考えられて敬遠されがちですが、非常にエネルギー効率が良い栄養素であるため、長時間のハードトレーニング前に摂取するカロリー源として優れています。また、腹持ちが良いことから、適度に摂取することで間食を防ぐ効果もあります。

炭水化物について

炭水化物は運動エネルギーの主体となる栄養素で、摂取から吸収されてエネルギーに換わるまでが速やかなことが特徴です。このため、トレーニング中のエネルギー補給、トレーニング直後のエネルギー補給などに有効です。また、筋肉が消化吸収・再合成される過程では多くのエネルギーが必要となるため、筋トレ後の食事においてはタンパク質食品と合わせて炭水化物を摂取していくことが重要です。

具体的な筋トレ向き食品・食事例

下記の記事はバルクアップ・シェイプアップそれぞれの筋トレ目的別に、具体的な食事メニュー・レシピを解説したものです。是非、ご活用ください。

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