
新生代第四紀に起きた巨大哺乳類の大量絶滅=「メガファウナ大量絶滅」で消えた動物たちを中心に、かつての地上を闊歩した巨獣たちを、フリー画像をまじえながら生物学学芸員が解説していきます。
第四紀とは

第四紀とはもっとも新しい地質時代で、約258万8000年前から現在に至るまでことです。更新世(約258万年前から約1万1700年前まで)・完新世(最終氷期が終わる約1万年前から現在まで)の2つの世に区分されます。
そして、絶滅巨大哺乳類と呼ばれる動物たちが一斉に姿を消したのが、更新世の終わりで、この大量絶滅を「第四紀のメガファウナ大量絶滅」と言います。
大量絶滅の原因としては、大規模な気候変動に加えて、急速に進化発展していった原生人類による捕食圧が挙げられます。
この大量絶滅で消えていった哺乳類たちは、恐竜が滅びた後に反映したグループで、その空白のニッチ(生態的地位)を埋めるべく、現生の哺乳類よりもはるかに巨大であったことから「巨大哺乳類」とも呼ばれています。
それでは、ここからは絶滅巨大哺乳類を種類ごとにご紹介していきます。
アンフィキオン

アンフィキオン(Amphicyon)は中新世のユーラシア~アフリカ大陸に生息していた大型の食肉目猛獣で、全長2.5mにも到達したと推測されています。クマとオオカミを足して2で割ったような姿をしていました。
エラスモテリウム

エラスモテリウム(Elasmotherium)は後期中新世から後期更新世にかけてのユーラシア大陸全域に分布していた巨大なサイです。本種の絶滅時期と初期人類の存在時期が重なっていることから、人類による捕食圧も絶滅の一因ではないかと推測されていますが、詳しいことはわかっていません。
エンボロテリウム

エンボロテリウム(Embolotherium)は約4000万年前〜約3500万年前に生息していたサイに近い仲間で、頭部に大きな角を持つことが特徴です。
カリコテリウム

カリコテリウム(Chalicotherium)は、新生代中新世から鮮新世にかけてユーラシア~アフリカ大陸に分布していた草食性の巨大哺乳類です。
ギガンテウスオオツノジカ

ギガンテウスオオツノジカ(Megaloceros giganteus)は、約200万年前から約7700年前にかけてユーラシア大陸の北部に分布していた巨大なシカです。体長3.2m・体重700kg以上に達したと考えられています。

ラスコーの洞窟壁画にもその姿は書き残されており、初期人類の狩猟対象であったと考えられています。
グリプトドン

グリプトドン(Glyptodon)は、新生代第四紀更新世の南アメリカ大陸に広く分布していた巨大アルマジロです。体長は3mを超えたと推測されています。

人間による狩猟圧により絶滅したと考えられており、その硬い甲羅は盾として使われたと言われています。
ケブカサイ

ケブカサイ(Coelodonta antiquitatis)は、氷河期にあたる中期更新世~更新世後期のユーラシア大陸北部に生息していた大型のサイの一種で、現生の差異とは異なり長い毛を持っていました。ケナガマンモス・ギガンテウスオオツノジカ・ステップバイソンなどとともに氷河期の代表的な巨大哺乳類として知られています。

ショーヴェ洞窟壁画にも残されているように、初期人類の狩猟対象となっており、その狩猟圧も絶滅の一因と考えられています。
ゴルゴプスカバ

ゴルゴプスカバ(Hippopotamus gorgops)は、新生代更新世にアフリカ大陸に生息していた巨大カバです。現生のカバよりもはるかに巨大で、最大で体長5m体重5トンにもなったと考えられています。
シバテリウム

シバテリウム(Sivatherium)は新生代鮮新世前期から更新世後期にかけて、ユーラシア大陸とアフリカ大陸に広く分布した大型絶滅哺乳類です。シカやウシのようなフォルムですが、現生種で言えばキリンに近い仲間でした。
全高約3m・体重1250kgと巨大な草食獣で、サハラ砂漠の岩陰壁画にその姿が描かれていることから、気候変動だけでなく、人類による狩猟圧も絶滅の一因となった可能性があります。
ステゴテトラベロドン

ステゴテトラベロドン(Stegotetrabeldon)は、中新世後期から漸新世前期にかけて、地中海付近に分布していた絶滅ゾウ類です。最大体高3.7 m、体重11 tと推測されています。
スミロドン

スミロドン(Smilodon)は、新生代第四紀更新世(約250万~8千年前)の南北アメリカ大陸に生息していた肉食哺乳類で、その長い牙からサーベルタイガーとも呼ばれます。

体長2mと大型で、当時反映していた巨大草食哺乳類を狩るのに適していました。現生のネコ科猛獣に比べると後肢が短く、速く走ることはできなかった(必要なかった)と考えられています。
動きの鈍い巨大草食哺乳類の絶滅の後を追うように、このグループも姿を消しました。
ドウクツグマ(ホラアナグマ)

ホラアナグマはヨーロッパ、アジア南西部に生息していた大型種で2万4千年前に絶滅しました。雄の体重は350~600kgあったと推測されています。
ドエディクルス

ドエディクルス(Doedicurus)は、前述のグリプトドン(Glyptodon)の1種で、尾の先端には棘状の突起があり、捕食者に対する防御攻撃に使ったと考えられています。
ナウマンゾウ

ナウマンゾウ(Palaeoloxodon naumanni)は、約33万年前から約1万5000年前(縄文時代初期)にかけて、日本を含むユーラシア大陸に広く分布していた大型ゾウです。
ナルバダゾウ

ナルバダゾウ(Palaeoloxodon namadicus)は、後述のパラケラテリウムと並んで史上最大の陸上哺乳類の一種とされています。中期更新世から後期更新世にかけてのユーラシア大陸に分布していました。

最大で肩高は5.2m、体重は22トンに達していたと推測されています。
ノスロテリオプス

ノスロテリオプス(Nothrotheriops)は、鮮新世から完新世にかけて分布していた地上性の巨大なナマケモノです。本種を含む地上性ナマケモノは更新世末期に一斉絶滅しており、気候変動と人類の捕食圧により滅びたと考えられています。
パラケラテリウム

パラケラテリウム (Paraceratherium)は中期始新世から後期漸新世にかけてのユーラシア大陸中央部に広く分布していた巨大なサイで、地球史上最大級の陸生哺乳類とされています。
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現生のキリンや人間と大きさを比較したものがこの図で、最大で体長7.4m体重20トンにもなったと考えられています。
ホモテリウム

ホモテリウム(Homotherium)は、前述の絶滅ネコ科猛獣(サーベルタイガー)の1種で、スミロドンよりは小型でやや俊敏であったと考えられています。
マクラウケニア

マクラウケニア(Macrauchenia)は、約700万年前から1万年前にかけて南アメリカ大陸に分布していた滑距目の絶滅哺乳類で、巨大ラマのような動物した。
マストドン

マストドン(Mastodon)は、約4000万年前から11000年前にかけて生息していた原始的なゾウのグループです。

現生のゾウよりはやや小型でした。
マンモス

マンモス(mammot)は、ゾウ科マンモス属総称で、氷河期に適応したゾウのグループとして知られています。約400万年前から1万年前頃まで生息していました。
氷河期の終わりとともに、他の巨大草食哺乳類とともに姿を消しました。また、人間による狩猟圧もその一因になったと考えられています。
メガテリウム

メガテリウム(Megatherium)は、約500万から1万年前にかけて南アメリカ大陸に生息していた巨大な地上性のナマケモノです。
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