
節足動物は、外骨格と関節をもつ付属肢、体節構造を共有する無脊椎動物の一大系統であり、現生動物の中で最も種数が多い分類群です。体はキチン質の外骨格に覆われ、成長の際には脱皮を行います。付属肢は体節ごとに対になって配置され、歩行・遊泳・摂食・感覚などの機能に応じて形を変えます。この基本構造を保ったまま海洋・淡水・陸上・空中へと進出したことが、節足動物の最大の進化的成功要因です。
節足動物の分類学上の位置づけ

節足動物は脱皮動物に属し、有爪動物(カギムシ)や緩歩動物(クマムシ)と近縁な系統と考えられています。カンブリア紀にはすでに多様な形態が出現しており、三葉虫類やアノマロカリス類などの絶滅群も含め、初期から高い形態的分化を示していました。現生群は鋏角類・甲殻類・六脚類・多足類の四つの系統に大別されます。


節足動物の体節の進化

節足動物の体はもともと同じ構造の体節が前後に繰り返される同規的な形をしており、各体節の付属肢も歩行や摂食など複数の役割を兼ねる汎用的なものでしたが、進化の過程で前方の体節から順に感覚や摂食に特化した付属肢が集中して頭部が成立し、その後方では移動に特化した脚をもつ領域、さらに後方では内臓や生殖器を収める領域というように機能が固定されていきました。
この体節ごとの役割分担によって同じ起源をもつ付属肢が顎脚・歩脚・遊泳脚・毒牙など全く異なる形態へ分化することが可能となり、節足動物は環境に応じた高度な機能分化と爆発的な多様化を実現しました。
甲殻類の特徴
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甲殻類は触角を二対もつ唯一の節足動物であり、付属肢は二叉型を基本とします。呼吸は鰓で行われ、発生過程にノープリウス幼生をもつことが共有形質です。体は頭胸部と腹部に分かれるものが多く、付属肢は顎脚・歩脚・遊泳脚・抱卵脚などに分化します。エビ類・カニ類・ヤドカリ類・ヨコエビ類・ミジンコ類などを含み、水圏における節足動物の主要なグループです。


昆虫類の特徴
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昆虫類は体が頭部・胸部・腹部の三つに明確に分かれ、脚は胸部に三対のみという構成をとります。触角は一対で、気管によって空気呼吸を行います。多くの群が翅をもつこと、完全変態によって幼生と成体で異なる生態的地位を占めることが大きな進化的特徴です。系統的には甲殻類に近縁なグループから陸上へ進出した六脚類に含まれます。
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多足類の特徴
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多足類は細長い体に多数の体節をもち、それぞれに歩脚が並ぶ形態をとります。ムカデ類は一体節に一対の脚をもち、最前方の付属肢が毒牙化して捕食に用いられます。ヤスデ類は体節が融合した構造をもち、一単位に二対の脚がある点で識別できます。いずれも気管呼吸を行う陸生群で、体制は昆虫類より原始的です。
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鋏角類の特徴

鋏角類は触角をもたず、最前方の付属肢が鋏角になる点で他群と明確に区別されます。体は前体と後体に分かれ、歩脚は四対です。クモ類やサソリ類は書肺、カブトガニ類は書鰓で呼吸します。複眼主体ではなく単眼中心の視覚系をもつことも特徴です。外見が甲殻類に似るカブトガニが鋏角類に属することは、展示解説上重要な比較例になります。
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各グループの違いを判断する形態的指標
触角の数、付属肢が単枝か二叉か、呼吸器官の構造、体の分化様式、発生段階の幼生の有無を確認することで、系統的位置を判断できます。外見が大きく異なる種であっても、これらの形質を比較することで同じ節足動物の中での進化的位置づけを明確にすることが可能です。



