この記事は30年以上にわたり博物館に務める生物学の学芸員が執筆した専門記事です。なお、生物学記事のオリジナル画像は、教育目的での使用に限り、参照リンク付きでの転載を許可しています。

コアラ(Phascolarctos cinereus)とはどんな生物?分類・分布・大きさ・餌などを生物学の学芸員が解説

コアラ(Phascolarctos cinereus)の分類・分布・形態・生態や特徴について、30年以上の生物学学芸員の実務経験を持つ筆者が解説します。

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コアラ(Phascolarctos cinereus)の分類

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動物界(Animalia)脊索動物門(Chordata)哺乳綱(Mammalia)双前歯目(Diprotodontia)コアラ科(Phascolarctidae)に属し、種小名はPhascolarctos cinereusです。コアラ科は現生では本種のみが残る単系統で、有袋類の中でも樹上生活への適応が顕著なグループです。双前歯目に共通する下顎前歯の発達や育児嚢による子育てなど、有袋類特有の形質を備えています。

コアラ(Phascolarctos cinereus)の分布

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オーストラリア東部から南東部にかけて分布し、クイーンズランド州南部、ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、南オーストラリア州東部のユーカリ林に生息します。乾燥地帯や熱帯雨林には見られず、食樹となるユーカリの分布と強く結びついています。森林の分断や都市化の影響を受けやすく、地域によって個体数の増減が大きいことが知られています。

コアラ(Phascolarctos cinereus)の形態

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体長は約60〜85cm、体重は地域差があり4〜14kgほどで、南部個体群の方が大型になります。体は樹上生活に適したずんぐりした体形で、四肢は強力な把握力を持ちます。前肢の指は2本と3本に分かれて対向し、後肢には爪のない母趾があり枝をしっかりと掴むことができます。密な灰色の体毛は断熱性に優れ、尾は外見上ほとんど目立ちません。

コアラ(Phascolarctos cinereus)の生態

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典型的な樹上性で、1日の大半を休息に費やし、活動時間は短いのが特徴です。ユーカリの葉を主食とする極端な単食性で、毒性成分を解毒するために長大な盲腸と特殊化した腸内細菌叢を持ちます。水は主に葉から摂取し、地上に降りるのは樹木間の移動時が中心です。単独生活を基本とし、雄は胸部の臭腺で縄張りを示します。

コアラ(Phascolarctos cinereus)の特徴

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低栄養で繊維質が多く毒性を含むユーカリ葉に適応した点が最大の特徴です。代謝率は同サイズの哺乳類に比べて低く、エネルギー消費を抑えるため長時間の休息を行います。指紋様の隆線を持つ掌紋は霊長類に類似し、把握性の高さを示します。育児嚢で未熟な子を育てる有袋類特有の繁殖様式も、本種の生活史を理解するうえで重要です。

コアラ(Phascolarctos cinereus)が見られる日本や世界の動物園・水族館

日本では多摩動物公園、埼玉県こども動物自然公園、横浜市立金沢動物園、神戸市立王子動物園などで飼育されています。いずれもオーストラリアからの個体導入に基づく国際的な繁殖計画のもとで管理されています。海外ではオーストラリア各地の動物園や保護施設で多数飼育され、野生個体の保全と教育展示の両面で重要な役割を担っています。

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