ヤシガニの家庭水槽(アクアテラリウム)での初心者向き飼い方を博物館学芸員の筆者が、長年の経験をもとに解説します。
ヤシガニとはどんな生き物？
ヤシガニ (椰子蟹、Birgus latro) は、軟甲綱十脚目オカヤドカリ科に分類される甲殻類。インド洋、西太平洋の熱帯域の島嶼。日本でも沖縄、宮古、八重山の各諸島にも生息する。
ヤシガニの特徴と飼い方
適正水質：中性～弱酸性
適正水温：0～28℃
餌の種類：ドッグフード・昆虫ゼリーなど
繁殖：ほぼ不可能
混泳：ほぼ不可能
ヤシガニは基本的には陸上で過ごし、水分も餌から摂るため、アクアテラリウムの水場は最小限(飼育環境に湿度を与える程度)で問題ありません。
餌づくかは個体差が激しく、よく食べる個体はドッグフードや昆虫ゼリー(給水目的)で飼育できます。餌づきの悪い個体にはバナナやマンゴーなどハイカロリーの果物を与えます。
非常に屈強なハサミを持つため他種との混泳はほぼ不可能です。また、プラスチックの蓋などは簡単に割って脱走しますので、頑丈な金網でしっかりと蓋をします。
本種は脱皮のときに地中深く潜る習性があり、飼育下では脱皮が困難なため長期飼育自体が困難です。
このため、飼育下での繁殖はほぼ不可能と言えます。
※遺伝子のかく乱を避けるため、入手した生物は野外へは放流せずに必ず最後まで飼いきるようにしてください。
※日本産生物は種類・地域により保護されている場合がありますので、野外採集はせずブリード個体を入手してください。
アクアテラリウムとは
「アクアテラリウム」とは陸場と水場がある形式の水槽システムのことで、魚類以外の多くの水生昆虫・甲殻類・両生類・爬虫類を飼育する場合に必要になります。
アクアテラリウムでは、通常の水槽と違って水量が半分程度になりますので、あまり小さな30cmや45cmの水槽では水質が安定しません。やはり60cmクラス以上の水槽が必要でしょう。また、陸場を広くとるためには奥行き30cmタイプではなく45cmタイプをおすすめします。
詳しくは下記の関連記事で必要な機材から具体的な組み立て方まで解説していますのでご参照ください。
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