この記事は30年以上にわたり博物館に務める生物学の学芸員が執筆した専門記事です。

【ステラーカイギュウ生態フリー画像図鑑】絶滅巨大海牛の分布・餌・繁殖などを生物学博物館学芸員が解説

ステラーカイギュウの生態(分布・餌・寿命・繁殖など)と絶滅要因について、生物学の博物館学芸員である筆者がフリー画像写真をまじえながら解説します。

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ステラーカイギュウとはどんな生き物?


ステラーカイギュウ(Hydrodamalis gigas)は、海牛目ジュゴン科ステラーカイギュウ属に分類される哺乳類。絶滅種。

引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/ステラーカイギュウ

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ステラーカイギュウの分布

ステラーカイギュウはユーラシア大陸北部から北アメリカ大陸北部にかけてのベーリング海に広く分布していました。

絶滅について

ステラーカイギュウはデンマークの探検隊により1741年に発見されました。

その後、その肉・脂・皮を目的とした乱獲が始まり、発見からわずか27年後の1768年に絶滅しました。

ステラーカイギュウは人間を恐れず、また動きも鈍重で抵抗する手段も持たないため、あっという間に狩り尽くされてしまったと考えられています。

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ステラーカイギュウの大きさ

ステラーカイギュウの成獣は、平均でも全長7m、最大で8.5mにもなりました。また、体重は最大で12トンにも達しました。

寒冷地に適応進化した海牛目

現生する海牛目にはジュゴン・アマゾンマナティー・アメリカマナティー・アフリカマナティーの4種類が知られていますが、ステラーカイギュウはこれらの熱帯~亜熱帯域に生息する海牛目と異なり、独自の進化の結果、寒冷地に適応していきました。

寒さから身を守るために、非常に分厚い脂肪を身につけ、また、表面積に対する体積の比率を小さくして放熱を防ぐため身体は巨大化していきました。

また、本来の海牛目は海草を主食としていましたが、ステラーカイギュウは量を得ることのできる昆布など海藻を食べるように適応しました。

※表面積は長さの2乗、体積は長さの3乗に比例するため、相似形の場合は長さ(全長)が長ければ長いほど単位面積に対する体積は減少する。

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ステラーカイギュウの生活

現在まで残っている資料によれば、ステラーカイギュウは大きな群れを作って生活していたと記録されています。

また、高度な社会性を持っていたことが当時の記録から判明しています。

ステラーカイギュウその肉・油・皮を目的とした乱獲によって絶滅しましたが、当時の記録によれば、モリで打たれた仲間の身体からモリを外そうとしたり、絡まったロープから仲間を助けようと集まってくる習性があったとされています。

ステラーカイギュウの餌


ステラーカイギュウはコンブを主食に海藻類を餌にしていました。このため、歯は退化してほとんど残っておらず、かわりに上下の顎の先端内側にある「咀嚼板」で海藻類をすり潰して食べていました。

ステラーカイギュウの繁殖

ステラーカイギュウの繁殖に関しては詳しくは分かっていませんが、妊娠期間は1年以上で、一度に1頭の子供を産んだと考えられています。

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