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古生代シルル紀の巨大鋏角類(ウミソリ類)を生物学の学芸員が復元CGイアラストを交えて解説

古生代シルル紀からデボン紀の海に生息していた巨大節足動物ウミサソリの復元図

カンブリア紀末期の大絶滅でほぼ全ての恐蟹類は姿を消してしまいましたが、真節足動物の始祖である鋏角類は続くオルドビス紀~シルル紀~デボン紀に大繁栄をしました。

ウミサソリに代表される原始鋏角類は高等魚類のいない古代の海で巨大化し、頂点捕食者として君臨したのです。

ダイオウウミサソリの仲間では、その体長は2mオーバーにまで巨大化しました。

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なお、シルル紀以降に繁栄した主な鋏角類には以下のような種類があります。

オファルコス(Offacolus)

オファルコスは、頭部に鋏角と複数の内肢および外肢を持っていました。第7付属肢はパドル状になっており、胴部には歩行肢はなく蓋板となっていました(遊泳と呼吸に使用)。尾部は尖った剣状になっていました。最大でも体長1cmに満たない小さな節足動物でした。外肢で餌を探し、内肢で餌を掴んで食べていた底生捕食者(または腐肉食)であったと推測されています。

ダイバステリウム(Dibasterium)

ダイバステリウムは、カブトガニに似た形をしており、背甲に覆われた頭部には一対の鋏角のほかに五対の内肢(歩脚)および外肢(感覚器)がありました。腹部の各体節には呼吸と遊泳に使う蓋板があり、尾部は尖った剣状になっていました。体長は2〜3cmでした。歩脚を使って海底を歩き回り、感覚器の外肢を使って餌を探していたと考えられています。

ハラフシカブトガニ(Weinbergina)

ハラフシカブトガニは、1枚の背甲に覆われた複数の体節が融合した前体と9〜11節の後体から構成されており、前体には複数の歩脚がありました。最小の種で体長1cm、最大の種で体長15cm程でした。前体の歩脚を使って海底を歩いていた底生捕食者(または腐肉食)であったと推測されています。

カスマタスピス(Chasmataspis)

カスマタスピスは、ハラフシカブトガニとウミサソリの中間的な外見をしており、多くの種は細長い形状をしていました。このため、ネジムシとも呼ばれます。全長1cmの小さな種から全長30cm近い種まで知られています。底生捕食者(または腐肉食)であったと考えられています。

アキュティラムス(Acutiramus)

アキュティラムスは、頭部に6対の付属肢を持ち、最前肢はハサミ状の鋏角、2〜5肢は歩脚、最後肢は遊泳脚になっていました。眼は単眼と複眼のそれぞれ一対を持っていました。胴部は12節から構成されており、最後はヘラ状の尾部になっていました。最大種では体長2mにもなったと考えられています。底生の捕食者(または腐肉食)であったと考えられています。あまり移動力は高くなかったと考えられており、捕食者であったとしても、おそらく待ち伏せ型であったと推測されています。

メガラクネ(Megarachne)

メガラクネは、ウミサソリ類のなかでも「胴部が短い」という変わった特徴を持っています。このため、化石発見当初はクモ類と誤認されていました。かなり大型で体長50cm程だったと考えられています。生態に関しては不明な点が多く、詳しくは解明されていませんが、底生捕食者(または腐肉食)だったと推測されています。

メガログラプトゥス(Megalograptus)

メガログラプトゥスは、6対の前部付属肢を持っていましたが、特に第2肢が非常に強大に発達しているのが特徴です。第5肢は他の多くのウミサソリ類同様に遊泳脚となっていました。胴部は細長く、尾部はハサミ状をしており、実際にものを挟む機能があったと考えられています。体長は最大で50cm程でした。強大な第2肢を海底の泥の中に突っ込み、小動物を捕食していたと推測されています。

スティロヌルス(Stylonurus)

スティロヌルスは、5対の歩脚を持っており、特に後方の二対は非常に長大でした。尾部は長い針状になっていました。底生捕食者(または腐肉食)であったと考えられています。

ミクソプテルス(Mixopterus)

ミクソプテルスは、ウミサソリ類の典型的なフォルムをしており、頭部には6対の付属肢があります。最前肢は鋏角になっており、第2肢が強大な捕獲肢となっています。他の多くのウミサソリ類同様に第5肢は遊泳脚です。尾部は細長く針状をしていました。最大で80cm弱になったと考えられています。待ち伏せ型捕食者で、海底の泥の中に潜って獲物が近づくのを待っていたと推測されています。

エレトプテルス(Erettopterus)

エレトプテルスは、最前肢である鋏角が発達しまハサミ状になっていました。第5肢は遊泳脚としてパドル状をしており、尾部も遊泳に有利な大きなヘラ状をしていました。最大で体長1mを超えたと考えられています。遊泳力に優れていたと考えられており、積極的に獲物を追尾して捕獲する捕食者であったと推測されています。

プテリゴトゥス(Pterygotus)

プテリゴトゥスは、鋏角が多関節のハサミ状になっていました。第2〜5肢は歩脚に、第6肢は遊泳脚になっており、尾部も遊泳に有利なヘラ状をしていました。ウミサソリ類のなかでも最大種の一つで、体長は2mにも達しました。遊泳力に優れ、捕食のために進化した鋏角も優れていたため、当時の海での頂点捕食者であったと考えられています。

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