
水族館で30年以上博物館学芸員(飼育研究)として勤務し、現在は設備機器(濾過器・循環器・熱源器など)の管理責任者である筆者が、専門家として「もし動物園や水族館で恐竜を飼育したらどう飼う?」ということを科学的に仮想して解説します。
想定される建設場所

気温・湿度を考慮して熱帯雨林に地域に建設、また万が一の脱走に備えて完全に孤立した孤島に建設します。施設には観光客受け入れ用の港、餌料搬入用の港、緊急時に備えてのヘリポート、宿泊施設や職員の宿舎などが整備されています。
飼育員の装備類

基本的に恐竜と同一空間(檻の中)に入ることはありませんが、万が一に備えて最新型の全身パワードスーツを装着しています。また、小型種の檻には入ることもあるため、左手には大型の盾、右手には電気ショックを与えるための長い棒を持っています。さらに、恐竜に襲われた際に高速避難するため、背中には緊急用のジェットパックを背負っています。
園内の移動用として、3輪バギーのほか、多人数移動用に装甲されたウイングドアの2tトラックも複数台あります。このほかに、万が一の脱走に備え、2本のアームと大型グラップルを装備したショベルカーもあります。
設備員たちの様子

本施設に重要なのは表の飼育員、裏の設備員です。恐竜の飼育環境を人工的に再現するためには、膨大な数の設備機器が必要であり、それらを支えるのは、日々メンテナンスを行う彼らです。
アロサウルス(Allosaurus fragilis)|竜盤類獣脚亜目・ジュラ紀

アロサウルス(Allosaurus fragilis)は、約1億5500万~1億4500万年前にあたる中生代ジュラ紀後期に北アメリカ大陸に生息していた大型肉食恐竜です。
ジュラ紀の肉食恐竜の一つの完成形としてあまりにも有名で、最大全長12mとこの時代の肉食恐竜のなかでは最大クラスでした。
本種の飼育展示に必要な想定設備
飼育展示場の広さ:50m×50m
水飲み場:10m×5m×h5m(水量250t)
設備:急速濾過機4器+5.5kw循環ポンプ4器+温水ボイラー(全施設共用)
餌料:牛・豚など毛の短い家畜(消化器での毛詰まり防止のため)
デイノニクス(Deinonychus antirrhopus)・ヴェロキラプトル(Velociraptor mongoliensis)|竜盤類獣脚亜目・白亜紀

デイノニクス(Deinonychus antirrhopus)やヴェロキラプトル(Velociraptor mongoliensis)は高速化へ進化していった竜盤類肉食恐竜の進化の頂点ともいえる種で、約1億1500万~1億800万年前の白亜紀の北アメリカ大陸に生息していました。非常に敏捷で獰猛なハンターであったと考えられています。
かつては、トカゲのような姿の再現図がほとんどでしたが、近年の研究の結果、分類上は鳥類に非常に近いことが判明しており、再現図も羽を持った姿で描かれるのが主流になっています。全長3.5メートル前後、体重100キログラム前後と推測されています。
本種の飼育展示に必要な想定設備
飼育展示場の広さ:25m×25m
水飲み場:5m×5m×h1m(水量25t)
設備:急速濾過機1器+2.7kw循環ポンプ1器+温水ボイラー1器(全施設共用)
餌料:豚など毛の短い家畜(消化器での毛詰まり防止のため)主体に鶏も(生態学的推測に基づき羽毛を食べる耐性がある)
ステゴサウルス(Stegosaurus stenops)|鳥盤類装楯亜目・ジュラ紀

ステゴサウルス(Stegosaurus stenops)は、ジュラ紀後期の北米大陸に生息していた、その独特の形状からあまりにも有名な鳥盤類恐竜です。背中の板の役割にはさまざまな説がありましたが、血管の痕跡が発見されてからは放熱のための器官であったと考えられるようになりました。全長約9mの大型恐竜です。
本種の飼育展示に必要な想定設備
飼育展示場の広さ:50m×50m
水飲み場:10m×10m×h3m(水量300t)
設備:急速濾過機4器+5.5kw循環ポンプ4器+温水ボイラー(全施設共用)
餌料:牧草のほかソテツの葉など
パキケファロサウルス(Pachycephalosaurus wyomingensis)|鳥盤類周飾頭亜目・白亜紀など武装草食恐竜

アンキロサウルス(Ankylosaurus magniventris)は、白亜紀後期に生息しており、装楯亜目の最終進化型とも言える種類でした。全長11mとこの仲間としては最大種で、防御装甲だけでなく攻撃用の尾端ハンマーも備えていました。
パキケファロサウルス(Pachycephalosaurus wyomingensis)は、白亜紀後期に生息していた草食恐竜でいわゆる「石頭恐竜」の代表種で、周飾頭亜目に分類されます。肉食恐竜に対する防御器官として頭骨が異常に分厚くなっているのが特徴です。全長8m。
これら、硬くて強靭な武装を持つ草食恐竜の飼育には、非常に硬い特別な金属で作られた檻を用いるだけでなく、檻の内側に電気柵を張り巡らせ、飼育設備の破壊を防ぐ必要があります。
本種の飼育展示に必要な想定設備
飼育展示場の広さ:30m×30m
水飲み場:5m×5m×h3m(水量50t)
設備:急速濾過機1器+3.2kw循環ポンプ1器+温水ボイラー(全施設共用)
餌料:牧草のほかソテツの葉など
トリケラトプス(Triceratops horridus)|鳥盤類角竜下目・白亜紀

トリケラトプス(Triceratops horridus)は白亜紀後期に出現し中生代末の大量絶滅まで生き残った超大型の角竜で、三本の角とともに非常に有名な草食恐竜です。推定全長9m・体重12tと当時の大型肉食恐竜に匹敵するサイズを持っています。
本種の飼育展示に必要な想定設備
飼育展示場の広さ:30m×30m
水飲み場:10m×10m×h2m(水量200t)
設備:急速濾過機3器+5.5kw循環ポンプ3器+温水ボイラー(全施設共用)
餌料:牧草のほかソテツの葉のほか根も食べる食性を考慮して芋類
ティラノサウルス(Tyrannosaurus rex)|竜盤類獣脚亜目・白亜紀

ティラノサウルス(Tyrannosaurus rex)は史上最大の肉食恐竜としてあまりにも有名です。約6800万~約6000万年前の白亜紀末期に北アメリカ大陸に生息していました。
全長は13mと巨大で、史上最大級の肉食恐竜の一つとされています。肉食竜盤類の大型特化型進化の頂点であり、白亜紀に恐竜が絶滅していなければ、さらに巨大な種が誕生していたであろうと考えられています。
本種の飼育展示に必要な想定設備
飼育展示場の広さ:100m×100m
水飲み場:10m×10m×h5m(水量500t)
設備:急速濾過機6器+5.5kw循環ポンプ6器+温水ボイラー(全施設共用)
餌料:牛・豚など毛の短い家畜(消化器での毛詰まり防止のため)や羊(羽毛を食べる耐性もあったと推測されるため)
ディプロドクス(Diplodocus longus)|竜盤類新竜脚類・ジュラ紀やブラキオサウルス(Brachiosaurus altithorax)|竜盤類新竜脚類・ジュラ紀後期~白亜紀

ディプロドクス(Diplodocus longus)は、巨大草食恐竜の代名詞的な種類の一つでジュラ紀に生息していました。真竜脚亜目のなかでもさらに進化した新竜脚類と呼ばれています。
従来の真竜脚亜目よりもさらに大型し、その全長はついに30mを超えました。
ブラキオサウルス(Brachiosaurus altithorax)は、主にジュラ紀後期に生息していた大型草食恐竜です。

最大全長25m・頭頂高16m・体重80tと史上最大の恐竜グループでした。
これらの飼育を支える飼育水を設備で濾過循環することは物理量的に不可能なため、建設地を流れる川を囲むように飼育ゲージを設置しています。
本種の飼育展示に必要な想定設備
飼育展示場の広さ:300m×300m
水飲み場:島を流れる河川を利用
設備:なし
餌料:牧草やソテツの葉など
クロノサウルス(Kronosaurus queenslandicus)|首長竜目・白亜紀

クロノサウルス(Kronosaurus queenslandicus)は、白亜紀前期に生息していた首長竜です。
推定全長15m・推定体重4.5tと、このタイプ(首の短いタイプ)の首長竜としては史上最大サイズです。
本種の飼育展示に必要な想定設備
飼育展示水槽:50m×50m×h20m(水量50000t)
設備:急速濾過機20器+10.0kw循環ポンプ20器+温水ボイラー(専用)
餌料:生きた養殖ハマチ
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イクチオサウルス(Ichthyosaurus breviceps)|魚竜目・ジュラ紀

イクチオサウルス(Ichthyosaurus breviceps)は、もっとも有名な魚竜の一つでジュラ紀前期の海に生息していました。形態的には完全なイルカ型に進化し、高速で海中を遊泳して魚類や頭足類を捕食していたと考えられています。大きさは3mほどと現生のイルカよりやや大きなサイズです。
本種の飼育展示に必要な想定設備
飼育展示水槽(ショープール兼用):20m×10m×h5m(水量1000t)
設備:急速濾過機8器+10.0kw循環ポンプ8器+温水ボイラー(専用)
餌料:生きた養殖ハマチ
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プテラノドン(Pteranodon longiceps)|翼竜・白亜紀やケツァルコアトルス(Quetzalcoatlus northropi)|翼竜・白亜紀

プテラノドン(Pteranodon longiceps)は、あまりも有名な翼竜で、白亜紀に大繁栄をしました。当初は鳥のように羽ばたいていたと考えられていましたが、羽ばたき飛翔に必要となる筋肉量を確保するだけの骨面積(筋肉の付着スペースとしての)がないことから、現在では滑空飛翔であったと考えられています。最大種の翼開長は6m。
ケツァルコアトルス(Quetzalcoatlus northropi)は、白亜紀末期に生息し、中生代末の大絶滅まで存在した最後で最大の翼竜です。

その翼開長は最大で12mに達し、中生代のみならず地球の歴史のなかでも最大の飛翔生物です。このように巨大な体躯にもかかわらず、その骨格は高度に軽量化されており、体重わずか70kg程度であったと推測されています。
飼育スペースが広大になるため、島を流れる河川の一部をバードゲージとして仕切って展示しています。
本種の飼育展示に必要な想定設備
飼育ゲージ(バードゲージ):50m×50m×h20m
水飲み場:島を流れる河川
餌料:鶏・アヒル・冷凍アジやサバなど
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施設に付属する水族館で飼育展示される古代生物

この施設には水族館も併設されており、そこでは遺伝子的に復元された古生代や中生代の海の生き物たちを観察することができます。
古生代の海コーナーの展示生物
アノマロカリス(Anomalocaris)

アノマロカリスは古生代初期・カンブリア紀の海で食物連鎖の頂点に立っていた原始的な巨大節足動物です。大きさは最大で2mにも達したとされています。
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ウミサソリ(Eurypterida)

ウミサソリは古生代・オルドビス紀~シルル紀~デボン紀に古代の海を制覇していた巨大甲殻類で、なかでもシルル紀には頂点捕食者であったと推測されています。最大のもので3m近くもあったと考えられており、原始的な魚類・無顎類を捕食していました。その後、より高等な無脊椎動物である軟体動物や顎を持った真性魚類の進化繁栄にともない衰退・絶滅しました。
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カンブリアンモンスター図鑑

古生代初期のカンブリア紀には、アノマロカリスに代表される恐蟹類が大繫栄し「カンブリアンモンスター」などとも呼ばれています。これら恐蟹類について生物学的に解説するとともに、代表種を解説したのが下記の記事です。
【カンブリアモンスター(絶滅生物)図鑑】博物館学芸員が古生代の海の恐蟹類を解説
中生代の海コーナーの展示生物
ダンクルオステウス(Dunkleosteus)

ダンクルオステウスはデボン紀末期から中生代初期に海を制覇した巨大な甲冑魚で、その大きさは10mにも達しました。甲冑状の体表組織のため鈍重だったと推測されており、中生代に繁栄した軟骨魚類との競合に破れ絶滅しました。
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リードシクティス(Leedsichthys)


リードシクティスは中生代ジュラ紀に栄えた巨大魚で、最大推定全長28mと、現生のシロナガスクジラに匹敵するほどのサイズを誇りました。ジンベエザメなど現生の巨大魚と同様にプランクトンの濾過食をしていたと考えられています。
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