この記事は30年以上にわたり博物館に務める生物学の学芸員生物多様性保全アドバイザーが執筆した専門記事です。筆者筆者詳細は筆者詳細はこちら。なお、生物学記事のオリジナル画像は、教育目的での使用に限り、参照リンク付きでの転載を許可しています。

ポンプの種類|軸封方式ポンプ(グランドパッキン式・メカニカルシール式)・マグネットポンプの構造の違いと長所短所

ポンプは同じ「渦巻きポンプ」という分類でも、軸封方式(グランドパッキン式・メカニカルシール式)とマグネットポンプでは構造が大きく異なり、漏れやすさ・保守性・信頼性に明確な違いがあります。また、吐出できる水量にも差があります。

現場では「どれが正解なのか」「なぜ方式を分ける必要があるのか」が分かりにくいことが多く、選定の誤りが漏水トラブルや余計な保守コストにつながるケースも少なくありません。

本記事では、水族館や工場設備で実際に使われている視点から、3つの方式の構造の違いと長所・短所を、大型家庭用水槽の導入を考えている上級アクアリストの方々にわかりやすく解説します。

図解を交えて、ポンプ選定で迷わないための実用的な知識を整理していきます。

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渦巻きポンプとは

渦巻きポンプとは、この図のように、ケーシング内に収められたインペラの回転による遠心力を用いるポンプの総称です。

渦巻きポンプのほかに、ディフューザーポンプやカスケードポンプと呼ばれる高圧・小水量に適したタイプもありますが、水槽の循環に使われるものは、ほぼすべてがこの渦巻きポンプです。

渦巻きポンプの2種類

マグネットポンプ

マグネットポンプは、軸(シャフト)が貫通しておらず、モーターの動力を磁力を介してインペラ部分に伝導しているため、飼育水がケーシング内で完全に密封され液漏れを起こさない=保守管理が非常に楽です。反面、マグネットの磁力には限界があるため大容量の流量は送れません。また、濾過槽が1階で水槽が2階といった、揚程があるケースも不得意分野です。

ただし、通常の家庭レベルの大型水槽(2~3m)ですと、ほぼマグネットポンプで間に合うはずです。

軸封式ポンプ

メカニカルシール式

軸封式渦巻きポンプには、その軸封方式として「メカニカルシール式」と「グランドパッキン式」があります。メカニカルシールは軸部分から水が出ないため塩害が非常に少なく、基本的にはメンテナンスフリーであることがメリットです。反面、故障時はメーカー対応となります。シール部分に通水して戻すことでシャフトの熱を吸収しています。

グランドパッキン式

一方、グランドパッキン式は少量の水を漏らすことでシャフトの加熱を抑えています。このため、海水が周囲に飛散するので塩害の原因となります。構造が簡単なため、現場でメンテナンス可能です。

家庭水槽に軸封式渦巻ポンプを導入するケースはまれですが、5~10mクラスで水槽と濾過槽の階層が異なるような場合には軸封式渦巻きポンプを導入することになります。

ポンプ1台のみで運転するのであれば、保守性が高いグランドパッキン式が定石ですが、グランド水が出るため、ポンプヤードに排水システムが必要で、なおかつ水槽に常時補給水が必要となります。

ポンプ2台の並列運転であれば、メカニカルシール式の一択です。片方のポンプが故障してメーカー修理に1カ月ほどかかるとしても、もう片側のポンプで飼育水を循環させることができます。また、ポンプヤードに排水システムが不要なことも大きなメリットです。

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