
世界四大珍獣と言えば、オカピ・ジャイアントパンダ・コビトカバ・ボンゴの4種ですが、このほかにもカモノハシ・ツチブタ・ボンゴ・シフゾウ・ハダカデバネズミなども奇妙な動物として知られています。
これら珍獣について、30年以上博物館学芸員をしている筆者が、フリー画像を交えながら解説していきます。
オカピ

オカピは中央アフリカの限られた地域にのみ生息する草食動物で、20世紀に入ってから発見された珍しい生き物です。
後ろ脚の美しい模様から、発見当初はシマウマの一種だと考えられていましたが、後の調査・研究でキリンの仲間であることがわかり、現在はキリン科に分類されています。

主に樹木の葉を食べており、独特の長い舌で葉っぱを絡めとり摂食します。頭部には二本の短い角もあり、顔の外見をよく観察するとキリンの仲間であることがわかります。野生下では単独または親子で暮らしており、多くの草食動物のように群れを作ることはありません。
コビトカバ

コビトカバは1913年に発見された小型のカバで、別名をコガタカバやミニカバとも言います。アフリカ大陸西海岸のごく限られた場所にだけ分布しています。

カバに比べるとやや陸生・森林性が強く、河川ではなく森林内の沼や池に生息しています。食性は植物食で、草・地下茎・木の葉・果実などを食べています。
妊娠期間は180~210日で、隔年で1度に1頭の幼獣を産みます。寿命は20年前後と推測されています。
ジャイアントパンダ

学名:Ailuropoda melanoleuca
中国の一部地域にのみ分布する中型クマです。笹を主食にしていますが、小動物や昆虫なども捕食します。150cm150kgほどになります。
独特のツートンカラーは、竹林の中でカモフラージュ効果があると考えられています。
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クマ科の新生児は他の哺乳類に比べると小さく生まれる傾向がありますが、ジャイアントパンダの場合、その特徴が際立っており、ほぼ未熟児と呼べるような小ささで産まれてきます。
この理由については今だ完全には解明されておらず、謎に包まれています。栄養価の低い竹を主食とすることと関係性があると推測されています。
なお、ジャイアントパンダには基亜種のほかに、下記の亜種がいることが確認されています。

シンレイパンダは1960年に発見された現生ジャイアントパンダの亜種で、茶色の毛を持っているのが特徴です。本亜種の生息地は秦嶺(しんれい)山脈の標高1300〜3000mの地域に限定されています。
ボンゴ
ボンゴはアフリカ中部の森林地帯に生息しているウシ科の動物で、身体に10~15本のくっきりとした縞模様を持っています。
主に木の葉を食べますが、時に地面を掘って植物の根を食べることもあります。
ボンゴはたしかに変わった模様をしていますが、珍獣と呼ばれる理由がわかりにくい動物です。 ボンゴは非常に警戒心が高く、またとても耳が良いことから、たとえハンターが近付いたとしても、一瞬で危険を察知して姿を消してしまいます。このことから、ボンゴは「森の魔術師」とも呼ばれており、野生下で目撃することが少ないことから珍獣と考えられるようになりました。
カモノハシ

カモノハシはオーストラリアとタスマニアに分布する最も原始的な形質を持った哺乳類で、有袋類よりもさらに原始的で、卵を産むことで知られています。
繁殖期8月~10月(南半球なので冬から春にかけて)で、一度に1~3個の卵を産みます。卵は温める必要があり、メスが抱卵します。
オーストラリア東部(クイーンズランド州・タスマニア州・ニューサウスウェールズ州・ビクトリア州)に自然分布していましたが、現在はカンガルー島にも移入されています。
カモノハシは半水生生活をしており、夜になると水辺近くに掘った巣穴からでてきて、水底の甲殻類などをスコップのようなクチバシで掘り起こして摂食します。

また、オス個体は身を守るために、親指付近に毒の爪を持つことでも知られており、ほぼ唯一の毒腺を持つ哺乳類です。
臆病で夜行性のため、その生態は謎につつまれていましたが、現在では飼育下での研究もすすみ、野生では見ることが稀な動画も公開されています。
実際、筆者も生物学学芸員として二週間ほどカモノハシ調査に参加した経験がありますが、同行したオーストラリア陸軍の暗視野スコープでやっと数回目撃できた程度です。
ツチブタ
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ツチブタはサハラ砂漠以南のアフリカ大陸に広く分布しており、森林の開けた部分や低木林および草原などに生息しています。
ツチブタの「ブタ」は見ての通り鼻がブタに似ているからです。そして「ツチ」は本種が土に穴を掘って巣にする習性があることからつけられています。
そして、1頭のツチブタはメインの巣穴だけでなく、行動範囲のなかに複数の避難用の穴を掘ります。また、出産も別の穴を掘ってそのなかで行います。
名前の通り、穴掘りの名人なんですね。

野生のツチブタは主にシロアリを食べます。本種の舌は細長く粘着質で覆われており、この舌をシロアリの巣の中に突っ込んで、舌にシロアリを絡めとって食べています。
動物園などの飼育下では、写真のように栄養成分が整えられたひき肉・卵・牛乳・米飯などをペースト状にした人工飼料を食べています。
なお、ツチブタの歯は非常に貧弱で硬いものを咀嚼して食べることはできません。
ツチブタには2つの子宮があることが知られており、これは真獣類としては非常に特殊です。さらに古い形質の有袋類は2つの未発達な子宮を持つことから、本種が系統分類的にかなり古いグループであることがわかります。
ツチブタの妊娠期間は7か月で、通常は1頭の赤ちゃんを産みますが、稀に2頭産むこともあります。
センザンコウ
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センザンコウは鱗甲目に分類される哺乳類の一群で、同目はセンザンコウ科のみで構成されています。センザンコウ科には下記の1属5亜属8種が現生しています。
センザンコウの体表は、腹部と四肢を除いて硬い鱗で覆われています。外敵に襲われると丸くなり、この硬い鱗で身を守ります。
頭部は先細りの細い形状をしており、歯は退化してありません。また、食物を租借するための顎周辺の筋肉も退化しています。長い舌を持っており、これをアリ塚に差し込んでアリやシロアリを舐めとります。
最大種のオオセンザンコウで頭胴長75~85cm・尾長65~80cm・体重25~35kgの中~小型哺乳類です。
基本的に夜行性で、樹上性のキノボリセンザンコウとオナガセンザンコウ以外は陸上性です。昼間は窪みに潜み、夜間に活動し、アリやシロアリを食べて生活しています。
アフリカ大陸とアジア大陸の熱帯域の森林やサバンナに分布しています。いずれの生息地でも、食用または薬用に乱獲され全種類が絶滅の危機に瀕しています。
アルマジロ

アルマジロは北米大陸の南部~南米大陸アルゼンチンにかけて生息する比較的原始的な哺乳類の仲間で、鋭い前足の爪を使って土中に穴を掘り巣を作り暮らしています。
夜行性で、昆虫類のほかミミズやカタツムリを補食します。
危険を感じるとまるでダンゴムシのように丸まって身を守る、不思議な生態を持っています。
シフゾウ
シフゾウは中国にのみ生息するシカ科の動物です。
角はシカ、首はラクダ、蹄はウシ、尾はロバのようですが、そのどれでもないと考えられたことから「四不像」と名付けられました。
低地にある湿原に生息し、木の葉のほか水に入って水草も食べることが知られています。
ハダカデバネズミ

ハダカデバネズミは、主にソマリアの乾燥地帯に分布するげっ歯類の一種で、土の中の穴で生活している変わった動物です。
完全な地下生活をしているため、気温の変化などが少なく、進化の過程で体毛がなくなったと考えられています。
植物食で、植物の根を食べています。
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