
水族館で飼育研究員・博物館学芸員をする筆者が、初心者むけの熱帯魚の種類、おすすめ水槽セット、飼育用品などをプロの立場からまとめました。
グッピーやネオンテトラといったスタンダードなものから、コリドラスなどのちょっとマニアックなものまで、その適切な飼育用品とともにご紹介します。
初心者の熱帯魚飼育におすすめの水槽セット
まず、最初に必要になってくるのが水槽です。最近は30cmや45cmのインテリア性の高い水槽がブームですが、「熱帯魚を飼育する楽しみ」という原点を考えた場合、ある程度の匹数が飼育できる60cmクラスの水槽を最低ラインとしてスタートすれば、後々後悔しないと思います。
気軽に始める上部ろ過槽つきオールインワン60cm水槽

おすすめはこちらのようなセットです。ブランド品のコトブキ製水槽にLED照明と上部ろ過槽がセットになったタイプでリーズナブルです。上部ろ過槽は水槽上部に設置するタイプの重力式濾過槽で、定期的にろ材を洗うだけと、メンテナンスが簡単なのも初心者むけです。
また、水槽用の照明はLEDライトの一択になります。旧型の蛍光灯式水槽照明は、熱を持ってしまい、温度上昇を避けたい夏季に水槽の水温を上昇させてしまいます。
水槽本体・上部ろ過槽・LEDライトに加え、専用ガラスフタ・飼育の手引き・水温計・ヒーター・バックスクリーンもセットになった豪華な計8点セットになっており、初めて熱帯魚水槽を立ち上げる初心者の方に最適です。
水草も楽しむなら外部式パワーフィルター

熱帯魚だけでなく水草も……という人にはこちらのパワーフィルターセットがおすすめです。上部ろ過だと水がジャバジャバなりすぎて、水草の育成に必要な水中の二酸化炭素がにげてしまうのですが、その点、パワーフィルターだと水の動きが緩やかなので、その心配がありません。
それでは、次の項目からは熱帯魚飼育に必要な水槽セット・用品について、さらに詳しく個別に解説していきます。
熱帯魚飼育の水槽セット・用品解説
水槽にはアクリルとガラスの二種類の材質がある

まず水槽の材質には、アクリルとガラスの二種類があり、それぞれの長所・短所は以下の通りです。
○アクリル水槽の特徴
軽くて扱いやすく割れないという長所がある反面、水圧により本体が膨らみ湾曲するため、熱帯魚が歪んで見える短所があります。また、ガラスより柔らかいため、傷がつきやすいのも難点です。
小さなお子様のいる家庭には、割れない安全性が高くおすすめです。
○ガラス水槽の特徴
傷がつきにくく、また歪みなく熱帯魚を観賞でき、インテリアとしての質感が高いのが長所ですが、物を当てたりぶつかったりすると割れるリスクがあります。
小さなお子様のいない、安全性を確保できる環境であれば、断然ガラス水槽がおすすめです。
水槽には30cm・45cm・60cm・90cmの規格サイズがある
水槽には30cm・45cm・60cm・90cmの規格サイズがあります。それぞれの適切な使用用途は以下の通りです。
○30cm水槽:グッピーの繁殖用など個別飼育に使用するサイズで、メイン水槽としては水量不足になりますので、サブタンクとしての位置付けです。初心者の方にとっては、二本目に入手する水槽と言えるでしょう。
○45cm水槽:メイン水槽としては、やや水量不足ですが、設置スペースのあまりない場合にはおすすめです。
○60cm水槽:水量・スペースのかねあいから、初心者の方がはじめて入手する水槽として最適なサイズです。スペース的な制約がなければ、このサイズで決めましょう。
○90cm水槽:水量・スペースともにかなり大きく、初心者の方には手に余るサイズと言えるでしょう。
おすすめの60cm水槽
筆者が実際に日々の仕事でも使用している、おすすめの60cm水槽を、アクリル水槽・ガラス水槽からそれぞれ一択でご紹介します。
ガラス水槽のなかでもおすすめなのが、こちらのように前面の角が曲面仕上げ(R加工)されたもので、インテリア性も格段に向上します。
アクリル水槽は厚さが3mmタイプのリーズナブルなものもありますが、実際に水を張ると目に見えて湾曲してしまいます。割高にはなりますが、やはり、こちらのような4mm厚の作りのしっかりしたものをおすすめします。
熱帯魚飼育に不可欠なろ過槽の作用と種類

熱帯魚を飼育するためには、常に飼育水を浄化し続けるろ過槽が必要となります。
ろ過槽の作用には主に二つがあり、一つは物理ろ過、もう一つが生物ろ過です。
物理ろ過は、ろ過槽に設置されたフィルターや砂などに飼育水を通すことにより、汚れ粒子を物理的に引っかけて濾しとるろ過作用です。
ろ過槽のフィルターや砂には硝化バクテリアと呼ばれる微生物が繁殖しており、このバクテリアが魚が排泄するアンモニアを亜硝酸に、亜硝酸を硝酸塩にと二段階に分解し、熱帯魚に有害な成分を無毒化します。
この過程を生物ろ過と言い、目に見えないものですが熱帯魚の飼育水を良好に保つためには、なくてはならないろ過作用です。
ろ過槽には主に三種類のタイプがある
ろ過槽には主に、投げ込みエアー式・上部ろ過槽・外部フィルターの三種類があり、それぞれの特徴は以下の通りです。
エアーフィルター

もっともシンプルな水槽セット・システムでトラブルが少なく扱いやすい反面、ろ過能力は低めで週一回頻度の水換えとフィルター掃除が必要です。水草には不向きです。
水作エイトは水族館の予備水槽などでも使われる、とても実績のあるロングセラーの投げ込み式エアーリフトフィルターです。
上部フィルター

もっとも一般的な家庭用水槽セット・システムでメンテナンスが簡単で、フィルター掃除や水換えも月に一回頻度でかまいません。水草には不向きです。

こちらの上部式フィルターは、ポンプで水を汲み上げ、ろ過フィルターやろ過砂を通して飼育水を浄化するスタンダードなシステムで、家庭用水槽としてはもっとも一般的な方式です。
外部フィルター

もっとも高性能な家庭用水槽セット・システムで水換えは月に一回、フィルター掃除は年数回でかまいません。水草を楽しむなら必須のシステムです。

エーハイムフィルターは、水槽とは別に密閉式のタンクにポンプで水を通し、圧力をかけながら飼育水を浄化するシステムで、家庭用のろ過槽としてはもっとも高性能なタイプです。
水族館の予備水槽などでも外部式フィルターは多用しますが、やはりエーハイムのクラシックタイプがトラブルレスで圧倒的に信頼感があります。
水草専用のライトを使う

熱帯魚だけでなく、水草育成も楽しみたい場合、水槽照明は植物育成用に作られたこちらのようなライトがおすすめです。普通の照明だと、コケばかり増えて水草が育たない……なんてことになりかねません。ライト自体の光の波長も、水草に最適なタイプに調整されています。
サーモとヒーターは分離型を選ぶ

熱帯魚なので、当然水を温めなくてはいけません。
ヒーターとしてあまりおすすめできないのが、安価なサーモ・ヒーター一体型です。繊細なサーモセンサーが防水されているとは言え水中にありますので、一年も経たずに壊れることもあります。いつか壊れて大切な熱帯魚を「煮魚」にするかも知れません。
一番安心なのが老舗ニッソーのこのタイプです。何十年も売れ続けるのはユーザーの信頼の証ですね。なお、ヒーターは60cmにはやや大きめの200~300ワットがおすすめです。容量的に余裕があった方が長持ちするので、結局リーズナブルですよ。
また、ヒーター切れなどのリスクヘッジをとりたい場合、100Wヒーターを二本併用する方法もありますが、こちらのサーモコントローラーはヒーター接続タップが二股コンセントになっており便利です。
水質に合わせた熱帯魚の種類選び
あなたはグッピー派?ネオンテトラ派?

次に熱帯魚の種類選びです。初心者のスタートはネオンテトラかグッピーの二択から一つを選ぶのがおすすめです。まずは、どちらが飼育したいか、直感で選んでいただきたいと思います。これは、前者なら酸性よりの水質、後者ならアルカリ性よりの水質で水槽を作っていくからです。
グッピーを主体としたアルカリ性水槽
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グッピーを選んだ人は色々なカラーのグッピー飼育を目指すのがおすすめです。
グッピーは小型熱帯魚にしては珍しくアルカリ性水質が好みなので、他の熱帯魚と一緒に飼育するのが困難となります。おまけに、ヒラヒラのヒレをかじられるので、基本的にはグッピーだけの多数飼育を楽しんで欲しいと思います。
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グッピー飼育なら底砂は海水魚飼育で使われるサンゴ砂がおすすめです。淡水の飼育水は、放っておくと勝手に酸性になっていくので、サンゴ砂を入れておけばアルカリ性が保たれます。
なお、グッピーの品種は紹介しきれないほど豊富なので、詳しくはリンク先のECショップをご参照いただきたいと思います。
グッピーの詳しい飼い方
グッピーは中南米原産の卵胎生メダカを原種とし、世界中の愛好家がさまざまなカラーバリエーション・品種を作出しています。
性質は温和ですが、やや水質にうるさい部分があり、一般的な熱帯魚と違って弱アルカリ性を好みます。もっとも簡単に水槽の水質を弱アルカリ性にするためには、サンゴ砂を底砂に用いるのが確実です。
グッピー自体は穏やかな性質をしており、他の魚を攻撃することはありませんが、その特徴である尾びれが他の魚の興味を引いてしまい、尾びれをボロボロにかじられることも少なくありません。また、グッピーの好む弱アルカリ性水質を好む熱帯魚は限られており、混泳についてはかなり魚種を選ぶと言えるでしょう。
なお、卵胎生のため、比較的簡単に繁殖可能ですが、生まれたての仔魚は他個体に食べられてしまうケースが多いので、グッピー用の産卵箱をセットしておき、出産間近な親魚を隔離するようにするとよいでしょう。
出産のタイミングは、下腹がなってくるので簡単に見極めることが可能です。
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グッピーの好むアルカリ性飼育水は、多くの水草にとって不適合な水質ですが、ミクロソリウムなど水生シダ類はアルカリ性でよく育ちます。
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水槽には主体となる熱帯魚のほかに、残餌やゴミを食べてくれる掃除屋(スカベンジャー)を同居させるのが、水質を良好に保つポイントです。
グッピーの好むアルカリ性水質に適合するスカベンジャー魚類というのは、実はほとんどいませんが、ビーシュリンプなどの甲殻類系スカベンジャーは飼育することが可能です。
ビーシュリンプは環境さえ合えば、どんどん繁殖するのも楽しいところです。
以下に、グッピーと混泳可能なアルカリ性水質に適合した熱帯魚をカタログ形式でご紹介します。詳しくは各リンク先でご確認ください。
ラスボラヘテロモルファ

ラスボラヘテロモルファは熱帯アジア原産のコイ科熱帯魚で、弱アルカリ性でも飼育でき、温和で他種のヒレをかじったりしないので、数少ないグッピーとも混泳可能な種類です。
ラスボラヘテロモルファは熱帯アジア原産のコイ科小型熱帯魚で、弱アルカリ性でも飼育でき、温和で他種のヒレをかじったりしないので、数少ないグッピーとも混泳可能な種類です。
寿命は5年ほどと小型熱帯魚としては長い部類に入りますが、水槽内での繁殖は困難です。
繁殖が困難と言っても、不可能なわけでなく、水草の裏側に産卵した事例もありますので、チャレンジしてみる価値はあるでしょう。
トランスルーセントグラスキャット

トランスルーセントグラスキャットは、透明な身体が神秘的で人気のナマズの仲間です。弱アルカリ性でも飼育可能で、性質も温和なため、グッピーとの混泳も可能です。
トランスルーセントグラスキャットは、透明な身体が神秘的で、古くから人気の高いナマズの仲間です。
性格はいたって温和で、身体はやや大きいものの、他種との混泳も容易です。また、弱アルカリ性の水質でも飼育が可能なため、グッピーとも混泳できます。
なお、群泳する性質がありますので、ストレス防止のためにも、必ず複数個体で飼育してください。
水質の悪化に過敏で、水質が悪くなってくると身体が透明から半透明に濁りはじめますので、水換えをしてください。ただし、急激な水質変化に弱いため、1/3程度の水換えにとどめたほうが無難です。
また、本種は白点病にかかりやすい特性がありますが、薬浴には弱いので、水温を30度ほどに上げるなどの対応をおすすめします。
上手に飼えば5年以上生き、全長も10cm近くになりますが、水槽内での繁殖は困難です。
ネオンテトラを主体とした弱酸性水槽

ネオンテトラを選んだ方は、多くの熱帯魚・水草が好む酸性水質を作っていくことになりますので、あれこれチャレンジしていただきたいと思います。
本種は南米原産のカラシン科の一種で、メタリックブルーと赤色のツートンカラーが人気の美麗種です。大人しく頑強で混泳にも適した、初心者の入門向きの種類です。
東南アジアで養殖が行われており、年間を通じてリーズナブルに入手可能です。
コリドラス

酸性水槽の掃除屋(スカベンジャー)として最適なのが、小型ナマズのコリドラスの仲間です。
コリドラスには、それだけで図鑑ができるくらいたくさんの種類がありますが、見た目も可愛らしく、初心者にも飼育しやすい頑強な種類がコリドラスパンダです。
コリドラスパンダは数多いコリドラスのなかでも、そのユーモラスなカラーリングで一番人気の種類です。
とても大人しい性質で、また常に低層にいるため他の熱帯魚との混泳飼育も容易です。また、他の熱帯魚の食べ残しを食べてくれるので、水槽の掃除屋(スカベンジャー)としても重宝します。
基本的には飼いやすい種類で、初心者向きの熱帯魚ですが、一点だけ水質の急変に弱いという注意点があります。
ですので、コリドラスパンダのいる水槽は全体水量の1/3を越えるような水換えは行わず、こまめに毎週少しずつ水換えをする必要があります。
なお、他の熱帯魚の食べ残しばかりだと痩せてきますので、時々コリドラスフードを与えるようにしてください。
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酸性水槽の大きな楽しみの一つが水草の育成ですが、数多くの種類があり、二酸化炭素注入が必要など初心者の方の手に余る種類も少なくありません。
初心者の方におすすめで、植えておくだけでランナーを出してどんどん増えるのが、バリスネリアの仲間です。まずはここから始めましょう。
水草水槽で特に注意して選定したいのが底砂です。水草の根はアルカリ性やミネラルを嫌いますので、サンゴ砂はもちろん、ケイ素の含まれた砂は避けなくてはいけません。
目安として、白っぽい砂にはケイ素が多いので、大磯砂など黒っぽいものをチョイスするのが無難です。
砂選びに自信がない、という方は上のような水草用の水槽砂をチョイスするのが無難です。
オトシンクルス

また、水草育成に重宝するのが、水草の葉の表面に生える藻類を食べてくれる魚で、アルジーイーターとオトシンクルスが有名です。
アルジーイーターは大きくなる上、大型個体は餌ばかり食べて、ちっとも藻類を食べなくなるので、オトシンクルスをおすすめします。
オトシンクルスは性質もおとなしく混泳にも向いた種類で、水槽や水草のコケも食べてくれる、アクアリストにとってはありがたい熱帯魚です。
水槽にコケがあるうちはとても飼いやすい種類ですが、一定期間飼育していると水槽が綺麗になってしまい餌のコケがなくなってしまいます。
オトシンクルスはコケを食べるのに特化した特殊な口の形をしているため、テトラミンなど他の熱帯魚の配合餌料は食べませんので、放っておくとドンドンと痩せていってしまいます。
かつては、茹でたほうれん草などを代用餌に与えるのが主流でしたが、飼育水が汚れてしまうというデメリットがあります。
現在はプレコフードという高品質な草食性ナマズの専用フードがありますので、これを与えるのが最適です。
また、屋外に水をためておき、複数個の石を入れて藻類を繁殖させ、ローテーションでオトシンクルスに餌として与える、という手法もあります。
以下に、ネオンテトラとの混泳にむき、初心者にも扱いやすい種類を並べて紹介します。
ラミノーズテトラ

ラミノーズテトラは真っ赤な顔にゼブラ模様の尾びれが美しい、南米原産のカラシン科の仲間です。
丈夫で性質もおとなしく、混泳も容易なため初心者の方の熱帯魚入門にも最適な種類です。
群れをつくる性質があるため、5~10匹ほどまとめて飼育すると群泳を楽しむこともできます。
寿命は5年ほどと、小型カラシンとしては標準的で飼いやすいですが、水槽内での繁殖は困難です。
グローライトテトラ

グローライトテトラは丈夫でおとなしく、混泳にも適しているので、初心者の方の熱帯魚入門の種類として最適です。
また、水質も弱アルカリ性~弱酸性まで飼育可能と幅が広く、小型カラシンとしては珍しく水槽内繁殖も可能です。
産卵は産卵ケースのなかに親魚を移して行わせますが、メスはお腹が膨らんでくるのでそれを目安にし、オスはそのメスと相性の良い個体をチョイスします。
卵は粘着性はなく、産卵箱の底に産み落とされます。産卵を確認したら、食べられるのを防ぐため、親魚は産卵箱から元に戻してください。
卵は24時間ほどで孵化しますが、強い光を浴びると発生が止まってしまいますので、水槽のライトは切っておきます。
孵化しますが仔魚は1週間ほどかけてヨークサックの栄養を吸収したのちに、餌を食べるようになります。
餌はインフゾエアが最適ですが、すり潰した配合餌料で育てることも可能です。
ペンギンテトラ

ペンギンテトラは黒いラインに金色の縁取りがあり、シックな姿で人気のカラシン科熱帯魚です。
とても丈夫で低温にも強いため、飼育自体は簡単で初心者向きです。上手に飼えば2~3年は生きますが、繁殖については家庭用水槽では困難かと思われます。
なお、気が強い性質をしており、同種ではもちろん、他種もかなり追いかけてつつきますので、混泳はやや難しい種類です。
ブラックネオンテトラ

ブラックネオンテトラはシックな姿が根強い人気のあるカラシン科熱帯魚です。
性格は大人しく他の熱帯魚との混泳も容易で、数尾では地味ですが、群泳させると美しさが増す種類と言えるでしょう。
餌は配合餌料から冷凍赤虫まで何でも食べますが、ワンポイントになる赤色部分の色上げを考えると、テトラミンなど熱帯魚用の配合餌料が最適です。
寿命は3~5年と比較的長く、水槽内での産卵・繁殖も可能です。産卵はばら蒔き産卵で、卵は水草などに付着するタイプです。
卵を見つけたら、水草ごと産卵箱などに移して隔離します。孵化する仔魚はカラシンの仲間としては比較的口が大きく、ブラインシュリンプやすり潰した配合餌料でも十分に育ちます。
レモンテトラ

レモンテトラはとても丈夫な上、温和な性格をしているため、他種との混泳も容易な初心者むきのカラシン科熱帯魚です。
健康的に飼育していれば、自然に産卵することもあり、卵は水草などに付着する粘性卵です。
卵を見つけたら、食害を避けるため産卵ケースなどに隔離してください。孵化した仔魚はカラシン科魚類としては比較的口が大きく、ブラインシュリンプなどを餌に与えると十分に成長します。
ブラックファントムテトラ

ブラックファントムテトラは丈夫で温和な性質をしており、混泳も容易で初心者の方におすすめの入門向きカラシン科熱帯魚です。
上手に飼えば3~5年ほどの寿命があり、産卵させることも可能ですが、孵化仔魚のサイズがかなり小さく、育成することはかなり困難です。
レッドファントムテトラ

レッドファントムテトラは丈夫かつ温和で飼いやすく、混泳も容易なカラシン科熱帯魚です。
また、原産地の気候から、熱帯魚としては珍しく20℃ほどの低温にも耐えることができます。もちろん、25度前後がもっとも元気です。
同種で群れを作る性質がありますので、ストレス防止のためにも、必ず複数個体で飼育してください。上手に飼えば3~5年ほどの寿命があります。
なお、水槽内での産卵・繁殖については困難な種類です。
ゴールデンテトラ
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ゴールデンテトラはネグロ川を原産とする小型のカラシン科熱帯魚です。性格はおとなしく、他種との混泳も容易で、初心者向きの熱帯魚と言えます。
寿命は三年ほどとこの仲間の平均的な長さで、繁殖については水槽内では困難です。
まるで金メッキのような輝きが人気ですが、これは実は鱗に共生しているバクテリアによる発色で、水槽内では徐々に金属光沢は失われていきます。
ハチェット
ハチェットは南米を原産にする扁平な体型が特徴(名前の由来:手斧=ハチェットに似ているから)の小型カラシン科熱帯魚で、以下のような種類があります。
マーブルハチェット
グラスハチェット
マーサハチェット
ドワーフハチェット
シルバーハチェット
レヴィスハチェット
スポッテッドハチェット
トラコカラックスハチェット
ジャイアントハチェット
3属9種のハチェットが観賞用熱帯魚として一般的に流通していますが、種類による飼育方法の違いはあまりありません。
なかでも、グラスハチェット・シルバーハチェット・マーブルハチェットなどが比較的安価で飼いやすい種類です。
ハチェットの仲間は表層生活に特化しており、野生では水面に落下してくる虫類を主食にしています。水槽飼育でもその特性は変わらず、表層をにぎあわせてくれる種類です。
餌も基本的には水面に浮いた状態の配合餌料しか食べませんので、少しずつようすを見ながら餌やりをする必用があります。
性質はいたって温和で、他種との混泳は全く問題ありません。
水質にやや過敏な傾向があり、一度にたくさんの水換えをすると体調を崩しますので、注意が必要です。
また、25度前後だと白点病にかかりやすい傾向もありますので、飼育水温は28℃を目安に設定してください。
寿命は三年ほどとカラシンの仲間の標準語的な長さですが、水槽内での繁殖は困難です。
ドワーフグラミー
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ドワーフグラミーは、グラミー類のなかでも小型の種類で性格はいたって温和です。このため、ネオンテトラなどの小型カラシン科熱帯魚との混泳も可能です。
グラミーの仲間は「ラビリンス器官」と呼ばれる空気呼吸のための器官を持っているため、酸欠にはかなり強い魚です。
ただし、水質の悪化には敏感で、飼育水が古くなると黒ずんできて体調を崩しますので、こまめな水換えが必要になります。
寿命は5年ほどで、繁殖も可能です。産卵は水面に泡巣を作りますのですぐにわかります。産卵を確認したら泡を崩さないよう、水ごと泡巣をすくって産卵箱などに隔離します。
卵は一週間ほどで孵化し、仔魚の口も比較的大きいので、いきなりブラインシュリンプでも十分に育成可能です。
それでは、素晴らしい熱帯魚ライフを!
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