クワガタムシの成虫の飼育方法や越冬方法、幼虫の菌糸ビン飼育や発酵マット飼育に関して詳しくまとめました。合わせて、日本や世界の数多くのクワガタを大紹介します。
クワガタってこんな昆虫
コウチュウ目クワガタムシ科の人気昆虫
クワガタムシは、コウチュウ目クワガタムシ科に属する昆虫で、その勇ましい外見から、カブトムシと並び子供から大人まで高い人気を誇っています。クワガタムシの成虫は比較的飼育しやすいことから、古くから飼育されてきましたが、近年では菌糸ビンなどの幼虫飼育の技術が普及し、家庭でも累代飼育・大型個体作出を楽しむ人も少なくありません。
世界でおよそ1500種類が知られており、日本では39種が分布しています。全種種類数の2/3が東南アジア地域に集中しており、カブトムシの多産地域である南米地域にはほとんど分布していません。生物分布的には、アメリカのカブトムシ、アジアのクワガタムシという勢力分布図になっています。
クワガタムシは大きく二つのグループに分けられます。一つはオオクワガタやヒラタクワガタに代表されるドルクス属で、このグループの幼虫は菌糸のまわった朽木を好み、成虫は黒一色で数年の寿命があります。一方、ドルクス属以外のクワガタはカラフルであったり奇抜な形をしているものも多く、幼虫は黒く発酵した朽木を好み、成虫の寿命は数ヶ月というのが特徴です。
ドルクス属の主なクワガタ
ドルクス属の主なクワガタは、オオクワガタ、ヒラタクワガタ、コクワガタ、アカアシクワガタの各種で、東南アジアを中心にアジア地域に集中的に分布しています。
ドルクス属以外の主なクワガタ
ドルクス属以外の主なクワガタは、ミヤマクワガタ、ノコギリクワガタ、フタマタクワガタなどの各種でヨーロッパからアジアのユーラシア大陸全体に広く分布しており、ニジイロクワガタやパプアキンイロクワガタなどオセアニアにも分布しています。
クワガタ成虫の飼育・越冬方法
どのクワガタも基本飼育スタイルは同じ
クワガタムシの成虫の飼育方法は国産・外国産、ドルクス属・非ドルクス属を含め、全ての種類がほぼ同じと考えてよいでしょう。
ケースにマットを敷き、十分に朽ちた朽木をセットします。カブトムシと違い、マットに産卵することはほぼないので、マットは広葉樹マットでも針葉樹マットでもかまいません。コバエやダニを避けたいのなら針葉樹マットがおすすめですが、実際の生息地に準じて広葉樹マットを使用したほうが成虫にストレスが少なく、産卵数も向上する傾向にあります。
なお、パプアキンイロクワガタはクワガタとしては珍しく、マット産卵ですので、当該種の飼育に関してのみは広葉樹発酵マットを使用します。
成虫の餌に関してはカブトムシ以上にシビアで、ホームセンターなどで売られている低価格・低栄養のゼリーでは成虫の寿命が短くなるだけでなく産卵数も大幅に減少しますので、高タンパク質でアミノ酸配合のものをおすすめします。
また、ゼリー以外にもコガネムシの幼虫などを採集してきてメス個体に与えると大きく強い卵を産卵させることが可能です。
なお、ドルクス属の成虫は寿命が長く2~3年も生きます。国産の種類・オオクワガタやヒラタクワガタは冬期は北側の土間などで完全に冷たくして越冬させます。熱帯アジア産のものは低温に弱く冬眠できないので、マットヒーターで加温して越冬させてください。
クワガタ幼虫の菌糸ビン飼育
ドルクス属を大きく育てるには菌糸ビンが必須
夏の高温期が終わる頃には、成虫の飼育ケースにセットしておいた朽木に産卵が行なわれています。10月頃にはある程度の大きさに幼虫が成長していますので、潰さないように丁寧に朽木を割り、幼虫を取り出します。この時に素手で扱うと雑菌感染を起こし、死亡の原因となりますので、スプーンなどで取り扱ってください。
ドルクス属の幼虫は発酵マットでも育ちますが、小さな成虫にしかなりません。やはり、迫力のある大型個体を作出するのならば菌糸ビンを使用することになります。また、非ドルクス属ですがニジイロクワガタ幼虫も菌糸ビン飼育に適合しています。
朽木から取り出した幼虫を菌糸ビンに移し、後は放置するだけでドンドン大きくなります。なお、熱帯アジア産の幼虫は寒さに弱いので成虫飼育と同様にマットヒーターで加温する必要があります。
加温の温度が25度程度の高温ですと約一年で成虫になりますが、大型にはなりません。20度程度の低めの加温で2年をかけて成虫にしたほうが確実に大型個体になります。
目安として、一年で成虫になる場合は標準の1.4リットル菌糸ビン一本で十分ですが、2年をかけて大きくする場合は菌糸ビンを途中で交換し、2~3本を使用することになります。
クワガタ幼虫の発酵マット飼育
菌糸ビン飼育の食べかすが最適
ドルクス属とニジイロクワガタ以外の非ドルクス属クワガタ幼虫は菌糸を消化吸収できないため、菌糸ビンでは育ちませんので注意してください。これらの幼虫飼育には発酵マットを用いますが、ベストは菌糸ビン飼育で使い終わった黒くなった食べかすの使用です。ドルクス属もあわせて飼育している場合は是非とも利用しましょう。
なお、クワガタの幼虫は共食いを起すこともあるので、発酵マットはビンに詰め、一匹ずつ幼虫を育てるようにするのが安全です。また、加温方法などについては菌糸ビン飼育の場合と同様です。
日本のクワガタ大紹介
オオクワガタ
オオクワガタは、日本では最大級のクワガタムシで野生個体の生息が危ぶまれており、絶滅危惧II類に引き上げられています。ただし、人工での飼育方法が確立されており、飼育人口も多いことから種としての絶滅の危機にはなく、多くの累代繁殖個体が流通しています。
オオクワガタの成虫は、その大きな身体つきに似合わず温和な性格をしているので比較的飼いやすい部類に入ります。オスだけ、メスだけなら多頭飼育も可能です。ただし、オスとメスを複数入れると喧嘩が始まり、屈強な顎を持つだけに致命傷になりますので、異性同居飼育をする場合はオスメス1匹ずつの完全ペア飼育が無難です。
飼育温度20度以上でクヌギやコナラの産卵木によく産卵し、15度をきると活動が低下、10度以下で冬眠に入ります。
本種の成虫はとても長命で、しっかりと冬眠をさせれば3~4年も生きた例があります。なお、加温して冬眠をさせない場合は丸1年ほどが寿命になります。
オオクワガタの幼虫は菌糸ビンでよく育ちます。産卵木を割って取り出した幼虫が初齢幼虫の場合は、2齢幼虫になるまで発酵マットで育ててから菌糸ビンに移します。初齢幼虫をいきなり菌糸ビンに入れると菌糸に巻かれてしまうことがあるからです。
幼虫は早ければ1年で羽化しますが、大型個体を作出する場合はできるだけ涼しい環境においてゆっくりと2年をかけて育てます。なお、大型個体の場合、成虫になるまで4~5本の菌糸ビンが必要となります。
ヒラタクワガタ
ヒラタクワガタは国内ではオオクワガタに次いで大型の種で、飼育されている数も少なくありません。なかでも人気が高いのが沖縄産の亜種・サキシマヒラタクワガタです。
ヒラタクワガタの成虫は、近縁のオオクワガタに比べるとずいぶんと気性が荒く、また、大顎の先端が鋭いため多頭飼育の場合は喧嘩で致命傷になりやい種類です。このため、完全ペア飼育がおすすめで、交尾を確認したらメスだけ産卵用の別ケースに隔離するのが無難です。なお、メス同士の喧嘩はあまりありません。
飼育気温が20度以上で交尾・産卵をし、難易度は高くありません。気温が10度を切ると島民状態に入ります。本種は、しっかりと冬眠をさせれば成虫で2年は生きる長命な種類です。なお、加温して冬眠させない場合の成虫寿命は1年弱です。
ヒラタクワガタはクヌギやコナラのホダ木(いわゆる産卵木)によく産卵します。交尾確認から1ヶ月ほどしてから産卵木を割って幼虫を取り出します。
この時に、まだ幼虫が初齢であれば2齢になるまでは発酵マットで育てます。2齢以降は菌糸ビンとの相性がよく、大型個体作出の場合は菌糸ビン飼育の一択になります。
通常は1年で羽化しますが、夏場も涼しく保ちゆっくりと2年をかけて幼虫を育てると大型の成虫になります。なお、本種(オス)は成虫になるまでに3~4本の菌糸ビンが必要です。
コクワガタ

コクワガタは国産ドルクス属クワガタの普通種で、夏場に採集することも容易です。菌糸ビンを使って幼虫を育てると、コクワガタとは思えないほど大きく成長します。
コクワガタの幼虫は菌糸ビンでも育ちますが、オオクワガタやヒラタクワガタの幼虫と違って菌糸に巻かれてしまうリスクも高くなります。
このため、大型個体の作出にチャレンジする場合は、3齢幼虫まで発酵マットで育て、そのなかから大型の幼虫を選んで菌糸ビンに移します。成虫まで、菌糸ビンを交換することはありません。
なお、オオクワガタやヒラタクワガタを育てるのに使った菌糸ビンのカスに発酵マットを補充したものをつくつと、安全かつ比較的大型の個体を得ることができます。
スジクワガタ

スジクワガタは国産ドルクス属で最小の種類です。菌糸ビンで幼虫を育てるとかなり立派になります。
スジクワガタの成虫はオス・メスともに温和な性質をしており、全期間を通して多頭飼育が可能です。大きめの飼育ケースにオスメスを複数ずつ入れ、産卵木を多めに配置しておくと多くの卵・幼虫を得ることができます。
本種は気温20度以上で活動・繁殖をはじめ、気温が10度を切ると活動を停止します。ごく稀に大型のオスは越冬して2年目をむかえる個体もいますが、多くはそこで寿命をむかえます。加温をして通年飼育する場合は、およそ半年で寿命になります。
スジクワガタの幼虫は菌糸ビンでも育ちますが、オオクワガタやヒラタクワガタの幼虫と違って菌糸に巻かれてしまうリスクも高くなります。
このため、大型個体の作出にチャレンジする場合は、終齢幼虫まで発酵マットで育て、そのなかから大型の幼虫を選んで菌糸ビンに移します。成虫まで、菌糸ビンを交換することはありません。なお、オオクワガタやヒラタクワガタを育てるのに使った菌糸ビンのカスに発酵マットを補充したものをつくつと、安全かつ比較的大型の個体を得ることができます。
アカアシクワガタ

アカアシクワガタはやや標高の高い場所に分布している日本産ドルクス属クワガタの一種で、脚の付け根が赤いのが特徴です。
アカアシクワガタはやや高地に生息している生態的な特性上、高温に弱いので注意が必要です。成虫の飼育上限温度は30度くらいで、これを超えると弱ってしまうので、基本的にはクーラーの効いた室内で飼育することになります。
高温対策にさえ気をつければ、飼育難易度は高くなくコクワガタに準じます。オス同士の闘争性はあまり高くありませんが、多頭飼育はせずにペア飼育が無難です。気温が10度が切ると活動を停止し、多くの個体はそこで寿命をむかえますが、ごく少数の一部の個体は越冬します。
アカアシクワガタの幼虫は菌糸ビンで大きく育てることができます。初齢幼虫は菌糸に巻かれてしまうリスクがあるため、2齢幼虫以降に菌糸ビンに移すことをおすすめします。成虫と同じく高温には弱いため、夏場でも30度を越えないようにクーラーの効いた部屋で管理する必要があります。
ノコギリクワガタ
ノコギリクワガタは日本の雑木林に普通の種で、飼育半鐘雲容易なためペットとしても多くが流通しています。幼虫の飼育には発酵マットを使用します。
ノコギリクワガタの成虫は南方系のクワガタなので高温で活発に活動し、特に気温25度を超えると非常に活発で、30度を超える気温でも元気です。逆に低温には弱く、気温20度を下回ると極端に活動が低下しますので、夏の終りから秋にかけてできるだけ長く飼育したい場合はマットヒーターで加温します。
本種のオスは闘争心が強く、多頭飼育すると小型のオス個体は弱ってしまいますので、基本的にはペア飼育またはオス1個体と複数のメスの組み合わせで飼育すると効率的に産卵します。
ノコギリクワガタの幼虫は菌糸ビンとの相性は悪く、また育ったとしても大型個体にはなりません。ですので、本種の幼虫を産卵木から取り出したら発酵マットで育てる一択になります。幼虫期間は1年ですが、春から初夏にかけてできるだけ涼しくし、蛹化を遅らせて夏の終りに羽化するようにすることで大型個体になります。
ミヤマクワガタ
ミヤマクワガタはやや標高の高い雑木林に生息する非ドルクス属のクワガタです。成虫の飼育は高温に注意すれば可能ですが、産卵と繁殖はかなりの高難易度となります。
ミヤマクワガタの成虫はやや暑さに弱い傾向があり、気温が30度を超えると弱ってしまいます。このため、できるだけ気温28度を越さないようにクーラーの効いた部屋で管理するのがベストです。逆に寒さには強いため、夏場さえ凌げば比較的長命で5~6ヶ月生きることもあります。
本種は気性が荒いため、多頭飼育には向きません。1個体のオスに対して数匹のメスを組み合わせると効率的に産卵します。なお、産卵は産卵木にも行われますが、マットにも行われます。
ミヤマクワガタの幼虫は菌糸ビン飼育には全く向かないため、発酵マットで育てます。羽化までの期間は1年で、春から初夏にかけてできるだけ涼しくし、蛹化を遅らせて夏の終りに羽化するようにすることで大型個体になります。
世界のクワガタ大紹介
スマトラヒラタクワガタ
世界最大のクワガタムシとしてきわめて高い人気を誇っているのがスマトラヒラタクワガタです。非常に気性が荒く、挟む力も強いので取り扱いには要注意です。
スマトラヒラタクワガタの成虫は一般的な発酵マット+産卵木の基本セットで飼育が可能です。
本種のオスは攻撃性が高いためペア飼育が基本で、一定期間ペア飼育をしたらオスを個別ケースに移してメスを産卵に集中させます。冬期は気温が15度を下回らないように気をつけます。冬期も活動させたい場合は気温20度以上を保つようにします。成虫の寿命は長く、2年以上生きます。
スマトラヒラタクワガタの幼虫は菌糸ビンとの相性が非常によいため、2齢幼虫になったら菌糸ビンに移します。幼虫は寒さに弱いので気温18度を下回らないように加温管理します。大型個体を作出するためには、夏場にクーラー下で涼しく保ち、2年をかけて成虫にすることがポイントです。
アルキデスヒラタクワガタ
アルキデスヒラタクワガタは独特の大顎の形が人気のヒラタクワガタの一種です。
本種のオスは攻撃性が高いためペア飼育が基本で、一定期間ペア飼育をしたらオスを個別ケースに移してメスを産卵に集中させます。冬期は気温が15度を下回らないように気をつけます。冬期も活動させたい場合は気温20度以上を保つようにします。成虫の寿命は長く、2年以上生きます。
アルキデスヒラタクワガタの幼虫は菌糸ビンとの相性が非常によいため、2齢幼虫になったら菌糸ビンに移します。幼虫は寒さに弱いので気温18度を下回らないように加温管理します。大型個体を作出するためには、夏場にクーラー下で涼しく保ち、2年をかけて成虫にすることがポイントです。
ダイオウヒラタクワガタ
ダイオウヒラタクワガタは水牛の角のような曲がった大顎が特徴のヒラタクワガタの一種です。
本種のオスは攻撃性が高いためペア飼育が基本で、一定期間ペア飼育をしたらオスを個別ケースに移してメスを産卵に集中させます。冬期は気温が15度を下回らないように気をつけます。冬期も活動させたい場合は気温20度以上を保つようにします。成虫の寿命は長く、2年以上生きます。
ダイオウヒラタクワガタの幼虫は菌糸ビンとの相性が非常によいため、2齢幼虫になったら菌糸ビンに移します。幼虫は寒さに弱いので気温18度を下回らないように加温管理します。
ギラファノコギリクワガタ
ギラファノコギリクワガタは世界最長のクワガタで、なかでもフローレス島産の個体は120mmを超えます。
ギラファノコギリクワガタの成虫はとても飼いやすく、20℃を下回るような低温にさえ気をつければ、一般的なクワタガタムシ飼育環境で用意に飼うことができます。オスの闘争心はかなり強いため、基本的には単独飼育で繁殖の時だけペアリングするとよいでしょう。
ギラファノコギリクワガタは産卵木にも発酵マットにもよく産卵します。幼虫の餌はよく発酵したマットが適切で菌糸ビンでは育ちません。大型種にしては幼虫期間が比較的短く、10ヶ月前後で羽化します。幼虫も寒さには弱いため、25℃を下回らないように加温する必要があります。
アスタコイデスノコギリクワガタ

アスタコイデスノコギリクワガタは発酵マットに産卵し、幼虫も発酵マット瓶で育てます。菌糸ビンでは育ちませんので注意してください。
マンディブラリスフタマタクワガタ
マンディブラリスフタマタクワガタは、その戦闘的な独特のフォルムが高い人気を誇っています。
マンディブラリスフタマタクワガタの成虫は非常に気性が荒いため、単独飼育が基本です。繁殖のためにペアリングする際も、オスがメスを傷つけないように大顎を糸で縛るなどしたほうが無難です。この点を除けば、頑健で飼いやすい種類と言えるでしょう。
マンディブラリスフタマタクワガタは産卵木にも発酵マットにも産卵します。本種の卵はカビが生えやすいため、産卵木は事前に十分に発酵マットに埋め込んでおき、バクテリアを染み込ませておきます。幼虫は菌糸ビンでも発酵マットでもよく育ちます。
ラコダールツヤクワガタ

ラコダールツヤクワガタの成虫は比較的飼いやすく、一般的なクワタガタムシ飼育環境で飼うことができます。ラコダールツヤクワガタは発酵マットに産卵し、幼虫もそれを食べて成長します。繁殖が難しいツヤクワガタ類のなかでは、かなり繁殖が容易な種類と言えるでしょう。
アルケスツヤクワガタ

アルケスツヤクワガタの成虫は飼いやすく、基本的なクワタガタムシ飼育環境で飼うことができます。アルケスツヤクワガタは発酵の進んだマットに産卵し、幼虫もこれを好んで食べます。クワガタとしては幼虫期間が長く、羽化までに2年近くかかりますので、冬期に気温20℃を下回らないように加温飼育で気長に育てます。
メンガタクワガタ

メンガタクワガタは羽化してから繁殖可能になるまでの期間が数ヶ月と長いこと、繁殖可能になってからの寿命が短いことから、うまく産卵させることが難しい種類です。
雌雄のタイミングさえ合えば、よく産卵し、幼虫は菌糸ビンでも発酵マットでも育ちます。
ディティエールシカクワガタ

ディティエールシカクワガタの成虫は一般的なクワタガタムシ飼育環境で飼うことができます。気性も荒くないので扱いやすい種類と言えるでしょう。ディティエールシカクワガタの産卵には産卵木の皮が邪魔になるため、事前にカッターなどで皮を削ぎ落としたものを使うと産卵率がよくなります。幼虫は菌糸ビンでも発酵マットでもよく育ちますが、20℃を切るような低温にしないことに注意してください。
タランドゥスオオツヤクワガタ

タランドゥスオオツヤクワガタの成虫は比較的用意に飼育することができます。オスの闘争心が強いため、基本的には単独飼育でペアリング時のみメスと同居させます。タランドゥスオオツヤクワガタの産卵は以前は難易度が高いものでしたが、カワラ菌床や霊芝材の普及により産卵と幼虫飼育もできるようになりました。幼虫はあまり高温は好まず、25℃程度に温度を保つようにするとよく育ちます。
ニジイロクワガタ
ニジイロクワガタは世界で最も美しいといわれるオセアニア産のクワガタです。非ドルクス属ですが幼虫は菌糸ビンで育てると大型個体になります。
ニジイロクワガタの成虫はもっとも飼いやすいクワガタの一つで、初心者でも飼育が容易な頑健種です。基本的なクワタガタムシ飼育環境で問題なく飼うことができます。
ニジイロクワガタの幼虫は菌糸ビンとの相性がよく、大型個体作出を狙うのであれば、菌糸ビンの一択になります。発酵マットでも育ちますが、あまり大型化はしません。
オウゴンオニクワガタ
オウゴンオニクワガタは東南アジアの高山地帯に生息している美麗種で、近年まで飼育下での繁殖が困難でしたが、霊芝材(産卵木)・霊芝マット(幼虫飼育)の有効性が判明してからは徐々に繁殖個体も多くなってきています。
オウゴンオニクワガタの成虫は野生の分布域が高山帯ということもあり、高温に弱いので注意が必要です。気温30度を超えないように夏場はクーラーの効いた室内で管理します。
また、オスの闘争心が強いためペア飼育か1オス+複数メスでの飼育がよいでしょう。産卵はかなり特殊で難しいですが、霊芝材を使うことで成功する事例も見られます。なお、成虫の寿命は最長で6ヶ月ほどです。
オウゴンオニクワガタの幼虫は霊芝の菌糸ビンと相性がよく、むしろ他の菌糸ビンや発行マットではうまく育てることができません。幼虫は低温に比較的強いですが、気温18度を切らないように管理します。また、大型個体を作出するためにはできるだけ低めの温度で管理し、幼虫期間を長くすることがポイントです。
パプアキンイロクワガタ
パプアキンイロクワガタは加温さえすれば、短いサイクルで年中繁殖を繰り返し、コガネムシ感覚で飼育できる種類です。気性もおとなしく小さいので、大型ケースに発酵マットを入れてドンドン増やすことができます。カラーバリエーションも個体により豊富で、金色~緑色~青色とさまざまな色の個体の作出が楽しめます。
パプアキンイロクワガタは発酵マットにバラまき産卵をします。孵化した幼虫もマットを食べて数ヶ月の短期間で成虫になるため、60〜90cm水槽に深めにマットを入れて複数の成虫を入れておけば、水槽内で累代飼育も可能で、数をたくさん作出できます。
エラフスホソアカクワガタ

エラフスホソアカクワガタの成虫はやや高温に弱いことを除けば、基本的なクワタガタムシ飼育環境で飼うことができます。気温28℃を超えないように温度管理してください。
クワタガタムシとしては珍しく、闘争心はあまり強くありませんが、多頭飼育は避けたほうが無難です。
メタリフェルホソアカクワガタ

メタリフェルホソアカクワガタの成虫は比較的飼いやすく、20℃を下回るような低温にならないように気をつければ初心者でも飼育可能です。
メタリフェルホソアカクワガタは発酵マットに産卵し、幼虫もこれを食べて成長します。菌糸ビンではうまく育ちませんので注意してください。
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