カワウソの全11種類の分布域と特徴を、生物学学芸員の筆者が解説します。
※本記事の画像は全てWikipediaおよびPixabayのフリー画像を使用しています。
カワウソの種類と系統樹
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引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/カワウソ
世界のカワウソは全部で11種類で、その系統樹(進化・分化の過程)がこちらです。
その全種類は以下の通りです。
ツメナシカワウソ属 Aonyx
ツメナシカワウソ
コツメカワウソ
ラッコ属 Enhydra
ラッコ
ノドブチカワウソ属
ノドブチカワウソ
カナダカワウソ属 Lontra
カナダカワウソ
ミナミウミカワウソ
オナガカワウソ
チリカワウソ
カワウソ属 Lutra
ユーラシアカワウソ
スマトラカワウソ
ビロードカワウソ属 Lutrogale
ビロードカワウソ
オオカワウソ属 Pteronura
オオカワウソ
カワウソ全種類の解説
ツメナシカワウソ

学名:Aonyx capensis
英名:African clawless otter
分布:コンゴ盆地を除くサハラ砂漠以南のアフリカ大陸広域に分布する
ツメナシカワウソは、淡水カワウソとしては2番目の大型種で、部分的に水かきがあり、さらに爪のない足が特徴です。
コツメカワウソ

学名:Aonyx cinerea
英名:Oriental small-clawed otter
分布:東南アジア
コツメカワウソは、南アジアおよび東南アジアに自生する世界最小のカワウソで、とても短い爪が特徴です。
ラッコ
学名:Enhydra lutris
英名:Sea otter
分布:北極海とその周辺
ラッコの成獣の体重は14〜45 kgと、カワウソのみならずイタチ科のなかでも最大の種類です。
しかし、海洋哺乳類としては最も小さな種類でもあります。
ほとんどの海洋哺乳類は脂肪により断熱していますが、ラッコは動物のなかでも最も高密度なことで知られるある毛によって断熱をしています。
陸上を歩くこともできますが、水への適応度は高く、生活史の全ての行動を海上で行うことができます。
ノドブチカワウソ

学名:Hydrictis maculicollis
英名:Spotted-necked otter
分布:アフリカ中央~西部
ノドブチカワウソの主な餌は全長が20cm以下の魚類ですがカエルや小型の甲殻類も捕食します。
カナダカワウソ
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学名:Lontra canadensis
英名:North American river otter
分布:北アメリカ大陸北部
カナダカワウソは、北米でよく見られる普通種で、成獣の体重は5.0〜14 kgと大型の部類に入ります。また、寒冷地に分布することから、撥水性の分厚い毛皮を持っています。
ミナミウミカワウソ
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学名:Lontra felina
英名:Marine otter
分布:チリ・ペルー
ミナミウミカワウソは、海水である沿岸環境にのみ生息しています。海水に完全に適応進化したカワウソは、ラッコを除き本種のみです。
オナガカワウソ
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学名:Lontra longicaudis
英名:Neotropical otter
分布:南アメリカ大陸(チリー・ペールー以外)
オナガカワウソの胴の長さは36〜66cmの範囲ですが、それに対して尾の長さが37〜84cmと非常に長い尾を持つことが特徴です。
チリカワウソ
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学名:Lontra provocax
英名:Southern river otter
分布:アルゼンチン・チリ南部
チリカワウソは、淡水だけでなく海水環境でも生活できる種類です。乱獲のため絶滅危惧種になっています。
ユーラシアカワウソ
学名:Lutra lutra
英名:European otter
分布:ツンドラ地帯と東南アジアを除くユーラシア大陸
ユーラシアカワウソは、ユーラシア大陸に広く分布している種類で、カワウソの仲間では最も広い分布域を持ちます。
ニホンカワウソも本種の亜種です。
スマトラカワウソ
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学名:Lutra sumatrana
英名:Hairy-nosed otter
分布:インドネシア(スマトラ島、ボルネオ島)とその周辺に生息しています。生態についてもっとも謎が残る種類ですが、乱獲により絶滅の危機に瀕しています。
ビロードカワウソ
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学名:Lutrogale perspicillata
英名:Smooth-coated otter
分布:インドから東南アジア
ビロードカワウソは、その和名とおりビロードのように滑らかで短い毛が特徴の大型種です。
生息域の開発、毛皮目的の乱獲により絶滅が心配されています。
オオカワウソ
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学名:Pteronura brasiliensis
英名:Giant otter
分布:南アメリカ大陸中央~北部
オオカワウソは最大1.7mにもなる大型種で、ラッコを除くいわゆる「カワウソ」のなかでの最大種です。
昼行性の捕食肉食獣でもあり、他のカワウソと違って「猛獣」として認識されています。
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