
ケーブルマシンの一種であるラットマシンの筋肉部位別の使い方を解説するとともに、トレーニングに幅を持たせる各種アタッチメント、自宅ジムにおすすめの家庭用ラットマシンもご紹介します。
ラットマシンの種類
ウエイトスタック式とプレート式がある
▼ウエイトスタック式ラットマシン

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▼プレート式ラットマシン
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ラットマシンには、ウエイトスタック式とプレート式の二種類があります。前者はピン一本でウエイトが変更でき便利ですが高額になり、後者は低価格ですがプレートの差し替えが手間になります。
ラットマシンのケーブル交換
自分で交換するのがリーズナブル

ラットマシンを長年使用していると、いつかは切れるのがワイヤーです。この場合、自分でワンサイズ上のワイヤーに交換するのがリーズナブルな上に、マシンの補強にもなるのでおすすめです。
具体的なワイヤー・滑車交換のやり方を解説したものが下記の記事です。是非ご活用ください。
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【ケーブルマシンのワイヤー・滑車交換】やり方とおすすめアイテム&ポイント解説
ケーブルマシン(ラットマシン含む)の歴史

ケーブルマシンの歴史は、ウェイトトレーニングが体系化され始めた20世紀初頭に遡ります。もともとは軍隊やリハビリテーション施設で採用されていた滑車装置が原型で、当時は木製フレームにロープを通した非常にシンプルな構造でした。金属加工技術が発達するにつれて、滑車やワイヤーがより頑丈な素材へと置き換えられ、筋力トレーニング器具として急速に発展していきました。
本格的にケーブルマシンがスポーツトレーニングの世界で普及し始めたのは、1940年代から1950年代にかけてのアメリカです。この時代、ジャック・ラランをはじめとしたフィットネスの先駆者たちが、バーベルやダンベルでは再現しにくい“連続負荷”や“軌道自由度の高い動作”を可能にする器具として評価し、ジム内部に常設するようになりました。特に、ロープを介してウェイトを引く仕組みは、等張性の高い動作が実現し、筋肥大だけでなくスポーツ動作の補強にも適していたため、多くのトレーニーに受け入れられました。
1960年代以降になると、金属フレームと鋼鉄ワイヤー、密閉式滑車を採用した近代型ケーブルマシンが登場します。この頃にはラットプルダウンやケーブルローなど、現在の基本種目の原型がほぼ確立されました。また、ウエイトスタック方式の採用によって、ピン一本で重量調整ができる利便性が生まれ、初心者から上級者まで幅広い層にとって扱いやすいトレーニング器具となりました。
1980年代には、ゴールドジムを中心としたボディビル黄金期の影響を受け、ケーブルマシンはジム設備の標準機器として世界中に広がりました。この時代には滑車のベアリング性能が向上し、ワイヤーの耐久性も飛躍的に向上したため、よりスムーズで安全なトレーニングが可能になりました。アタッチメントの種類も増加し、ストレートバー、ロープ、EZハンドル、パラレルグリップなど、筋肉の狙い分けに応じた多様なトレーニングができるようになります。
さらに1990年代から2000年代にかけては、ホームジム文化の浸透によって、プレートロード式のラットマシンや、コンパクト型ケーブルステーションが一般家庭にも普及しました。家庭用モデルはウエイトスタック式に比べて価格が安く、耐久性も高いため、自宅トレーニングの普及に大きく貢献しました。
現代では、ケーブルマシンは単なる補助的な器具ではなく、機能的トレーニングやリハビリ、競技動作の強化など、幅広い目的に対応する総合的なトレーニングシステムとして位置づけられています。左右独立のデュアルケーブルマシンや、可動域を自由に調整できるマルチステーション型など、進化の幅は大きく、トレーニング目的に応じて柔軟な選択ができる時代になっています。
このようにケーブルマシンは、シンプルな滑車装置から始まり、スポーツ科学と器具技術の発展とともに改良を重ねながら、現在の高度なトレーニング機器へと進化してきました。動作の自由度と連続的な負荷を提供できる点は今も変わらず、背筋群、上腕筋、体幹、下半身に至るまで全身を多角的に鍛えられる、非常に汎用性の高いトレーニングシステムとして確立されています。
ラットマシンで鍛える筋肉部位

ラットマシンは使い方によって、多くの筋肉を鍛えることが可能です。各筋肉の構造・作用については下記のデジタル図鑑をご参照ください。

ラットマシンの使い方
背筋群を鍛えるラットマシンの種目
まずは、背筋群を鍛えるラットマシンの種目であるラットプルダウンの各バリエーションをご紹介します。
ラットプルダウン
▼使用するケーブルアタッチメント:ワイド

こちらがノーマルのラットプルダウンで、特に広背筋に有効なバリエーションです。胸を張り、やや顎を上げて、肩甲骨を寄せながらバーを引き寄せます。この時に背中が丸くなると腕に刺激が逃げてしまい、肝心の背筋群に効果がなくなります。
パラレルグリップラットプルダウン
▼使用するケーブルアタッチメント:パラレル

パラレルグリップで行うラットプルダウンは、特に僧帽筋に効果があります。基本動作はノーマルラットプルダウンと同様ですが、より肩甲骨を寄せるイメージを強く持つことで僧帽筋への効果も高まります。
ラットプルダウンビハインドネック
▼使用するケーブルアタッチメント:ワイド

ラットプルダウンの動作は、実は慣れるまでは効かせるのが難しく、初心者の場合「腕にばかり効いて背中に効かない」というケースも少なくありません。この動画のような首の後ろにバーを下ろすバリエーションである「ラットプルダウン ビハインドネック」だと、初心者でも簡単に効かせることが可能です。
リバースラットプルダウン
▼使用するケーブルアタッチメント:EZ

バーを逆手で保持して行うリバースラットプルダウンは、僧帽筋と上腕二頭筋に効果の高いバリエーションです。ストレートバーで行うと手首を痛める原因にもなりますので、角度が調整できるEZタイプのケーブルアタッチメントがおすすめです。
上腕三頭筋を鍛えるラットマシンの種目
続いて、ラットマシンで上腕三頭筋を鍛える種目であるトライセプスプレスダウンの各バリエーションをご紹介します。
ケーブルプレスダウン
▼使用するアタッチメント:トライセプスバー

もっともスタンダードなプレスダウンがこちらの動画のようなやり方です。前のめりになって体重を加えると、高重量で行えて「効いた気分」になりますが、前のめりにならず、肘の屈曲と上腕三頭筋の筋力だけで行ったほうが、実際ははるかに効果が得られます。なお、肘は体側でしっかりと固定して動作を行ってください。
ハンマーグリッププレスダウン
▼使用するアタッチメント:トライセプスバー

アタッチメントを縦方向に握るハンマーグリップでのプレスダウンは、上腕三頭筋短頭のなかでも外側頭に特に有効です。
ローププレスダウン
▼使用するケーブルアタッチメント:ロープ

上腕三頭筋長頭を高負荷で鍛えられるのが、こちらの動画のようなローププレスダウンです。肘を伸ばしたポジションで、手を回内=手の平を後ろに向ける方向に回旋させると、上腕三頭筋長頭が完全収縮して有効です。
オーバーヘッドトライセプスエクステンション
▼使用するケーブルアタッチメント:ロープ

上腕三頭筋長頭は、短頭と違い肩甲骨に接合しているので、肘関節を肩関節より上にした状態で肘の伸展を行うことで、最大伸展→最大収縮します。このため、オーバーヘッドトライセプスエクステンション仕上げ種目として軽めの重量でしっかりと効かせるのに適した種目になります。
ケーブルライイングフレンチプレス
▼使用するアタッチメント:ショートバー

ケーブルライイングフレンチプレスも仕上げ種目に適したトレーニング方法で、肘関節を開き気味に動作を行うと上腕三頭筋短頭に、閉じ気味で行うと上腕三頭筋長頭に効果があります。
ケーブルマシンアタッチメント概論
ケーブルマシンは、本体の構造が同じであっても、アタッチメントを変更することでまったく異なる筋肉刺激を生み出せるのが最大の特徴です。アタッチメントの形状や握り方の違いによって、筋肉が発揮する力の方向、関節の角度、可動域が変化し、その結果として効く部位も大きく変わります。ここでは主に背筋群と上腕三頭筋のトレーニングに使用される代表的なアタッチメントを、それぞれの特徴と使い分けの観点から解説します。
ストレートバーはもっとも基本的なアタッチメントで、広背筋・僧帽筋・上腕二頭筋のいずれにも均等に負荷が入りやすい構造です。バーを握ったときに手首が自然な位置に収まり、プル系・プレス系どちらでも扱いやすいという汎用性の高さがあります。ただし、手首の回外が大きくなる動作では負担がかかりやすく、特に逆手でのラットプルダウンでは手首の柔軟性が求められます。
ワイドバーはラットプルダウンで広背筋外側に強い刺激を与えるために適した形状です。手幅を広くとることで肘が外旋し、広背筋の外側線維が最大限に伸展した状態から収縮させることができます。胸を張り、顎をやや上げて、肩甲骨を寄せながら引き下ろすことで背中への効きがより確実になります。
パラレルハンドル(Vバー)は、手のひら同士が向かい合うニュートラルグリップを可能にするアタッチメントで、僧帽筋中央部や広背筋の中央線維に強い刺激を与えることができます。肩関節の負担を軽減しながら引く動作ができるため、肩の柔軟性に不安がある人や、腕に効きやすい体質の人でも背中に刺激を乗せやすくなります。
EZバーは、角度のついたグリップによって手首・肘関節の負担を減らす目的で設計されたアタッチメントです。ラットプルダウンのリバースグリップでは特に有効で、上腕二頭筋を補助筋にしながら広背筋を収縮させることができます。逆手動作で手首に痛みが出やすい場合には、このアタッチメントが非常に適しています。
ロープアタッチメントは三頭筋種目に必須のアタッチメントで、動作の途中から終盤にかけて手のひらを外側へ回旋させることができるため、上腕三頭筋長頭の完全収縮を引き出せる点が最大の特徴です。プレスダウンやオーバーヘッドエクステンションでは、ケーブル角度を調整することで伸展局面を強調でき、三頭筋全体を立体的に仕上げることができます。
トライセップスバーは、上腕三頭筋短頭に強い刺激を与えられるアタッチメントです。ハンマーグリップ(縦方向)で保持するため、肘を安定させながら押し下げる動作を行いやすく、特に負荷の抜けやすい外側頭に確実に刺激が入ります。高重量でのプレスダウンに適したアタッチメントでもあります。
ショートストレートバーは、ライイングフレンチプレスやプレスダウンの仕上げに適しており、肘の開閉によって短頭・長頭を切り替えて鍛えることができます。バーが短いため軌道がブレにくく、仕上げ種目として丁寧に筋肉を追い込む場合に向いています。
このようにアタッチメントの形状と握り方は、単に持ち方が変わるというだけでなく、背筋群や上腕三頭筋のどの部位を強調するか、どの角度で力を発揮させるかといったトレーニング効果そのものを大きく左右します。ラットマシンやケーブルマシンを効果的に使うためには、各アタッチメントの特性を理解し、目的の筋肉が最大限に刺激されるポジションを選び取ることが重要です。

