
女性のための二の腕シェイプ(上腕三頭筋&上腕二頭筋)のジムマシン筋トレ方法を詳しく解説します。また、あわせて、筋肉を太くせずに二の腕を綺麗にシェイプアップするために適切な負荷・回数設定についてもご紹介します。
二の腕を細くするなら上腕三頭筋を鍛える

二の腕を細くしたい!と思う初心者女性がついやってしまう間違いが、二の腕前側(上腕三頭筋)ばかり鍛えてしまうことです。
二の腕には大きく二つの筋肉があり、一つは二の腕前側の上腕二頭筋、もう一つは二の腕裏側の上腕三頭筋です。上腕二頭筋は二つの筋肉(長頭・短頭)、上腕三頭筋は三つの筋肉(長頭・内側頭・外側頭)から構成されていますので、まず体積として上腕三頭筋のほうが1.5倍もあります。
そして、上腕二頭筋は日常での使用頻度が高いためトレーニング耐性も高く、なかなか筋トレ効果がでにくい部位ですが、上腕三頭筋は日常での使用頻度が比較的低く、簡単に筋トレ効果を出せる部位です。
このことから、とりあえず早く二の腕を細くしたいのであれば、上腕三頭筋を鍛えるの一択です。
美しさを出すには上腕二頭筋も鍛える

二の腕自体を細くするためには、二の腕裏側の上腕三頭筋を鍛えるのがベストですが、見た目の美しさ=対面した時の二の腕の細さを強調したいのならば、やはり二の腕前側の上腕二頭筋も鍛えるべきです。
二の腕シェイプ筋トレで鍛える筋肉
各筋肉の構造や作用および起始停止・支配神経に関しては下記の専門サイトおよび学術文献を参照しています。

Skeletal Muscle: A Brief Review of Structure and Function(PDF)
上腕三頭筋(二の腕後ろ側)

上腕三頭筋は上腕後部に位置する表層筋で、長頭と短頭(内側頭・外側頭)に分けられ、全部位が共働して肘を伸展させる作用があります。各部位の作用は以下の通りです。
〇長頭:肘関節の伸展と上腕内転
〇短頭:肘関節の伸展
上腕二頭筋(二の腕前側)

上腕二頭筋は上腕部の前面に位置する表層筋で、長頭と短頭に分けられ、全部位が共働して肘関節を屈曲させる作用があります。各部位の作用は以下の通りです。
〇長頭:肘関節の屈曲
〇短頭:肘関節の屈曲と前腕回外
マシントレーニングの特徴

マシントレーニングはフリーウエイトトレーニング(ダンベルやバーベル)と違い、動作の軌道がマシンによってある程度固定されているため、ブレやぐらつきを自分で支える必要がないため、筋肉に負荷をかけることに集中できるのがメリットです。
また、女性にとってフリーウエイトトレーニングはとっつきにくく、まずジムで筋トレを始めるのならばマシントレーニングからというのが定番となっています。
マシンがブレやぐらつきを止めてくれるというのは、反面、自身の体幹の筋力を使う必要がないので体幹インナーマッスルが鍛えられにくいという側面もあります。
マシントレーニングでジムでの筋トレに慣れてきたら、フリーウエイトトレーニングと組み合わせていくのが理想的です。
二の腕シェイプのための負荷回数設定
![]()
美しく綺麗に身体をシェイプアップしたり、出したい部分をボリュームアップしてボディーメイクをしていくのに重要なのが、トレーニングする部位と目的(スリムダウンorボリュームアップ)によって、筋トレの負荷と回数を正しく設定することです。
目的別に最適な反復回数でターゲットにする筋繊維を鍛える
筋肉を構成している筋繊維には主に三種類があり、それは、筋繊維TYPE2b(速筋|FG筋)、筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)、筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)で、それぞれの特徴と鍛えるのに適切な反復回数は以下の通りです。

筋繊維TYPE2b(速筋|FG筋)
筋肥大を目的とした筋力トレーニングを実施する場合は、筋肥大しやすい特性を持つ「筋繊維タイプ2b(短時間に爆発的な収縮をする筋繊維)」を対象として行います。具体的には8~10回前後の反復動作で限界がくる負荷設定で筋力トレーニングを実施します。
パワー系スポーツ目的以外の多くの女性にとって、ムキムキにならないためにも刺激をしないほうがよい筋繊維です。
筋繊維TYPE2a(速筋|FO筋)
体力作りを目的とした筋力トレーニングを実施する場合は、中程度に筋肥大する特性を持つ「筋繊維タイプ2a(持久要素のある瞬発的な収縮をする筋繊維)」を対象として行います。具体的には12~15回前後の反復動作で限界がくる負荷設定で筋力トレーニングを実施します。
胸周りのボリュームアップやお尻の位置を上げるなど部分的にボリュームを上げてボディメイクする場合に鍛える筋繊維です。
筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)
筋肥大を伴わない筋力トレーニングを実施する場合は、ほぼ筋肥大せずに緊密度が向上する特性を持つ「筋繊維タイプ1(持久的に収縮をする筋繊維)」を対象として行います。具体的には20回以上の反復動作で限界がくる負荷設定で筋力トレーニングを実施します。
トレーニング種目を実施する順序
トレーング種目を実施する順序は、コンパウンド種目(複数の筋肉と関節を動かす多関節運動種目)を先に行い、その後でアイソレーション種目(単一の筋肉と関節を動かす単関節運動)を行うのが基本です。また、複数のコンパウンド種目・アイソレーション種目を実施する場合は、それぞれ使用重量の高い種目から先に行います。
二の腕・背中・お腹・太ももなどを綺麗にシェイプしてシェイプアップしていくのに鍛える筋繊維です。
【重要】二の腕シェイプ筋トレは20回で
以上のことから、二の腕シェイプ筋トレの対象となる上腕三頭筋・上腕二頭筋をトレーニングしていく場合、ターゲットとする筋繊維は筋繊維TYPE1(遅筋|SO筋)になりますので、最適な負荷回数設定は「20回の反復で限界がくる設定」で行うことです。
筋トレの頻度と順番について

特に初心者の方がやってしまいがちな筋トレの間違いが二つあります。
まずは、「早く結果を出したいから毎日トレーニングする」というものですが、筋繊維は一度鍛えると細かな裂傷が発生し、48~72時間の回復期間をおいて「元よりも強くなって回復」します。これを超回復と言い、適切な超回復を繰り返すことによって身体を変えていくのが筋トレの基本的な理論です。
ですので、早く結果を出したいからと焦ってしまい、毎日トレーニングを行うと筋肉が超回復する時間がなくなり、かえって逆効果になりますので、筋肉を鍛えるのは一箇所あたり週2回が適切です。
次に、「気になる部位から先に鍛えてしまう」というのも多い間違いです。
一日のトレーニングは、正しい順番で行う必要があります。その基本は以下の通りです。
①複数の筋肉を同時に使うトレーニング
②大きな筋肉を個別に使うトレーニング
③小さな筋肉を個別に使うトレーニング
この順番を間違えると、特定の筋肉だけが先に疲れてしまい、そのトレーニング予定の筋肉をまんべんなくトレーニングすることができませんので注意してください。
それでは、次の項目からは具体的なトレーニング方法を解説していきます。
上腕三頭筋のジムマシン筋トレ
スミスマシンナローベンチプレス

スミスマシンナローベンチプレスはフリーウエイトトレーニングに近い感覚で二の腕シェイプエクササイズができるジムマシン筋トレです。
スミスマシンナローベンチプレスは、ベンチに仰向けになり、肩幅程度の狭い手幅でシャフトをグリップし、肩甲骨を寄せて構えます。
構えたら、シャフトをラックアウトして胸に下ろしていき、バーが胸についたら腕を押し上げていきますが、この時に肩甲骨は寄せたままで動作を行ってください。
肩甲骨の寄せ方が甘いと、肩から初動することになり、肩関節に強い負担がかかります。
なお、本種目は肘を外に張り出すと上腕三頭筋外側の短頭に、脇を閉めて肘を絞ると上腕三頭筋内側の長頭に負荷がかかります。
【正しいやり方と手順】
①肩幅程度の狭い手幅でシャフトをグリップし、肩甲骨を寄せて構える
②シャフトをラックアウトし、胸まで下ろす
③肩甲骨を寄せたまま腕を押し出す
ケーブルプレスダウン

ケーブルプレスダウンは二の腕後ろ側シェイプに有効なジムマシン筋トレです。
ケーブルプレスダウンは、ケーブルマシンに正対し、胸を張り背すじを伸ばし、バーを胸の前でグリップして構えます。
次に肘を体側に固定し、肘の位置を動かさないようにして、肘から先だけでバーを押し下げていきます。
この時に、肩関節が動いて、肘が前後してしまうと、負荷が大胸筋に分散してしまいますので、肘の位置をしっかりと固定することが重要です。
また、前傾姿勢になると、上腕三頭筋の筋力ではなく、体重でウエイトを押し下げることになりますので、直立姿勢を保つことも大切なポイントと言えます。
なお、本種目はアタッチメントやグリップの仕方で効果のある部位が変化しますが、それは以下の通りです。
◯ストレートバーアタッチメント
手の平を下に向けてグリップするバリエーションで、上腕三頭筋短頭に有効です。
◯Vバーアタッチメント
手の平が向き合うようにグリップするバリエーションで、上腕三頭筋長頭に有効です。
◯ロープアタッチメント
ロープを手の平が向き合うようにグリップするバリエーションで、フレキシブルな動きで上腕三頭筋を完全収縮させやすいのが特徴です。
【正しいやり方と手順】
①ケーブルマシンに正対し、胸を張り背すじを伸ばし、肘の位置を固定して構える
②肩関節を動かさないように気をつけ、肘から先だけでバーを押し下げる
③ゆっくりと効かせながら元に戻る
ケーブルキックバック

ケーブルキックバックは二の腕後ろ側に集中的な効果のあるジムマシン筋トレです。
ケーブルキックバックは、ケーブルマシンに正対し、胸を張り前傾姿勢になり、アタッチメントをグリップして構えます。
そこから、肘の位置を固定して後方に肘を伸ばしていきますが、この時に肩関節を動かさないようすることが重要です。
肩関節が動いて、肘が前後してしまうと負荷が背筋群に分散してしまいますので、肘の位置をしっかりと固定し、肘から先だけで動作を行ってください。
【正しいやり方と手順】
①マシンに正対し、胸を張り背すじを伸ばし、前傾姿勢になり構える
②肘の位置を固定し、肩関節を動かさないように肘から先だけで腕を後方に伸ばす
③ゆっくりと効かせながら元に戻る
上腕二頭筋のジムマシン筋トレ
マシンカール

マシンカールは二の腕前側を簡単な動作でシェイプできるジムマシン筋トレです。
マシンカールは、バーをグリップし、上腕をカール台に乗せて構えます。そこから、肘を曲げていきますが、この時に上腕をカール台から浮かせないように気をつけてください。
上腕がカール台から浮いてしまうと、肘関節を支点にしたテコの力が働き、体重を使ってウエイトを上げることになり、上腕二頭筋に負荷がかからなくなってしまいます。
上腕をしっかりとカール台につけ、肘から先だけで動作を行ってください。
また、本種目は腕を曲げる時のコンセントリック収縮(短縮性収縮)だけでなく、ウエイトに耐えながら下ろす時のエキセントリック収縮(伸長性収縮)を上腕二頭筋にかけることも非常に重要です。
なお、本種目はグリップの仕方でいくつかのバリエーションがあり、それぞれに効果がある部位も異なりますが、それは以下の通りです。
◯ノーマルグリップ
手の平が上を向くようにグリップするバリエーションで、上腕二頭筋短頭に有効です。
◯ハンマーグリップ
手の平が向き合うようにグリップするバリエーションで、上腕二頭筋長頭に有効です。
◯リバースグリップ
手の平が下を向くようにグリップするバリエーションで、上腕二頭筋だけでなく前腕筋群にも有効です。
【正しいやり方と手順】
①バーをグリップし、カール台に上腕を乗せて構える
②上腕を台から浮かせないように気をつけ、肘から先だけでウエイトを上げていく
③ゆっくりと効かせながら元に戻る
ケーブルカール

ケーブルカールは二の腕前側を集中的にシェイプできるジムマシン筋トレです。
ケーブルカールは、ケーブルマシンに正対し、バーをグリップし、肘を体側に固定して構えます。
そこから、肘を曲げてウエイトを引き上げていきますが、この時に肘を動かさないことと、身体を後ろに傾けないことが大切です。
肩関節が動いて肘が前後してしまったり、上半身を後ろに傾けて動作を行うと、負荷が僧帽筋に逃げてしまいます。
肘の位置をしっかりと固定し、肩関節を動かさないようにするとともに、直立姿勢を保って動作を行ってください。
また、本種目は腕を曲げる時のコンセントリック収縮(短縮性収縮)だけでなく、ウエイトに耐えながら下ろす時にエキセントリック収縮(伸長性収縮)を筋肉にかけることも大切なポイントです。
なお、ケーブルアタッチメントやグリップによっていくつかのバリエーションがあり、それぞれに効果がある部位も異なりますが、それは以下のようになります。
◯ノーマルグリップ
手の平が上を向くようにグリップするバリエーションで、上腕二頭筋短頭に有効です。
◯ハンマーグリップ
ロープアタッチメントを使い、手の平が向き合うようにグリップするバリエーションで、上腕二頭筋長頭に有効です。
◯リバースグリップ
手の平が下を向くようにグリップするバリエーションで、上腕二頭筋だけでなく前腕筋群にも有効です。
【正しいやり方と手順】
①マシンに正対し、ケーブルアタッチメントをグリップし、肘を体側に固定して構える
②肩関節を動かさないように気をつけ、肘から先だけでウエイトを引き上げる
③ゆっくりと効かせながら元に戻る
