この記事は30年以上にわたり博物館に務める生物学の学芸員が執筆した専門記事です。なお、生物学記事のオリジナル画像は、教育目的での使用に限り、参照リンク付きでの転載を許可しています。

新第三紀の生物|寒冷化と草原の拡大を博物館学芸員が解説

約2303万年前から260万年前まで続いた新第三紀(マイオセン・プラオセン)。この時代は、地球が「現代の姿」へと急速に近づいた時期です。

プレートテクトニクスによってヒマラヤ山脈やアンデス山脈が隆起し、地球全体の気候はさらに乾燥・寒冷化しました。それまで地球を覆っていた密林が衰退し、広大な草原(サバンナ)が誕生したことで、動物たちの進化に新たな拍車がかかりました。そして、この激動の環境変化の中で、ついに私たちの祖先である人類が誕生します。

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新第三紀の地球:草原の覇者と海の新王者

新第三紀の最大の変化は、植物の進化です。乾燥に強い「イネ科」の植物が広がり、地球規模で草原が拡大しました。これにより、草原を速く走るための脚を持つ草食動物や、それを追う肉食動物、そして木から降りて二足歩行を始めた猿人たちが登場しました。

一方、海では現代的なクジラやサメがさらに巨大化し、海洋生態系の頂点に君臨していました。

新第三紀を代表する5種の生物

現代の動物に似つつも、圧倒的なスケール感を持っていた代表種を紹介します。

メガロドン (Otodus megalodon)

化石証拠に基づいて復元されたメガロドン(Otodus megalodon)が、太古の海中を泳ぐ様子を再現した学術的イラスト

史上最大級の肉食魚類であり、新第三紀の海を象徴する伝説的な巨大サメです。

特徴: 全長は推定15〜18メートル。現代のホホジロザメの約3倍に達します。クジラ類を主な獲物としており、巨大な歯(15センチ以上)が世界中で発見されています。海水温の低下や獲物となるクジラの移動により、時代の終わりに絶滅しました。

メリキップス (Merychippus)

草原の拡大に適応した、「ウマの進化」における重要種です。

特徴: それまでのウマの祖先は森で木の葉を食べていましたが、メリキップスは硬い草を噛みつぶすための発達した歯と、草原を速く駆けるための長い脚を持っていました。指はまだ3本ありましたが、中指が大きく発達し、現代の一本指のウマへと繋がる姿を示しています。

デイノテリウム (Deinotherium)

「恐ろしい獣」という意味の名を持つ、独特な牙を持つ古代ゾウの仲間です。

特徴: 現代のゾウとは異なり、下顎から下向きに生えた2本の牙が最大の特徴です。この牙を使って樹皮を剥いだり、地面を掘り起こしたりしていたと考えられています。アフリカからヨーロッパにかけて長期間繁栄しました。

アウストラロピテクス (Australopithecus)

新第三紀の終盤(鮮新世)に登場した、初期の猿人(人類の祖先)です。

特徴: 脳の大きさはまだ類人猿に近いものでしたが、直立二足歩行を始めたことが決定的な違いです。草原が広がり、木々の間を移動するために地上を歩く必要が生じたことが、人類進化の第一歩となりました。

ティラコスミルス (Thylacosmilus)

南米大陸で独自に進化を遂げた、有袋類の肉食動物です。

特徴: 現代のトラに近い姿をしていますが、カンガルーと同じ「袋」を持つ仲間です。最大の特徴は、上顎から伸びる巨大なサーベル状の牙。これほど極端な牙を持ちながら、哺乳類の食肉目(サーベルタイガーなど)とは全く別の系統で同じような姿に進化した「収斂進化」の代表例です。

現代へのカウントダウン

新第三紀の終わりとともに、地球はさらに寒冷な「第四紀(氷河時代)」へと突入します。メガロドンのような巨大生物が消える一方で、過酷な環境を生き抜く知恵を身につけた人類が、いよいよ文明への道を歩み始めます。

新第三紀は、私たちが今日目にする動植物の顔ぶれがほぼ完成した、親しみ深くも驚きに満ちた時代なのです。

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