
約2303万年前から260万年前まで続いた新第三紀(マイオセン・プラオセン)。この時代は、地球が「現代の姿」へと急速に近づいた時期です。
プレートテクトニクスによってヒマラヤ山脈やアンデス山脈が隆起し、地球全体の気候はさらに乾燥・寒冷化しました。それまで地球を覆っていた密林が衰退し、広大な草原(サバンナ)が誕生したことで、動物たちの進化に新たな拍車がかかりました。そして、この激動の環境変化の中で、ついに私たちの祖先である人類が誕生します。
新第三紀の地球:草原の覇者と海の新王者
新第三紀の最大の変化は、植物の進化です。乾燥に強い「イネ科」の植物が広がり、地球規模で草原が拡大しました。これにより、草原を速く走るための脚を持つ草食動物や、それを追う肉食動物、そして木から降りて二足歩行を始めた猿人たちが登場しました。
一方、海では現代的なクジラやサメがさらに巨大化し、海洋生態系の頂点に君臨していました。
新第三紀を代表する5種の生物
現代の動物に似つつも、圧倒的なスケール感を持っていた代表種を紹介します。
メガロドン (Otodus megalodon)

史上最大級の肉食魚類であり、新第三紀の海を象徴する伝説的な巨大サメです。
特徴: 全長は推定15〜18メートル。現代のホホジロザメの約3倍に達します。クジラ類を主な獲物としており、巨大な歯(15センチ以上)が世界中で発見されています。海水温の低下や獲物となるクジラの移動により、時代の終わりに絶滅しました。
メリキップス (Merychippus)

草原の拡大に適応した、「ウマの進化」における重要種です。
特徴: それまでのウマの祖先は森で木の葉を食べていましたが、メリキップスは硬い草を噛みつぶすための発達した歯と、草原を速く駆けるための長い脚を持っていました。指はまだ3本ありましたが、中指が大きく発達し、現代の一本指のウマへと繋がる姿を示しています。
デイノテリウム (Deinotherium)

「恐ろしい獣」という意味の名を持つ、独特な牙を持つ古代ゾウの仲間です。
特徴: 現代のゾウとは異なり、下顎から下向きに生えた2本の牙が最大の特徴です。この牙を使って樹皮を剥いだり、地面を掘り起こしたりしていたと考えられています。アフリカからヨーロッパにかけて長期間繁栄しました。
アウストラロピテクス (Australopithecus)

新第三紀の終盤(鮮新世)に登場した、初期の猿人(人類の祖先)です。
特徴: 脳の大きさはまだ類人猿に近いものでしたが、直立二足歩行を始めたことが決定的な違いです。草原が広がり、木々の間を移動するために地上を歩く必要が生じたことが、人類進化の第一歩となりました。
ティラコスミルス (Thylacosmilus)

南米大陸で独自に進化を遂げた、有袋類の肉食動物です。
特徴: 現代のトラに近い姿をしていますが、カンガルーと同じ「袋」を持つ仲間です。最大の特徴は、上顎から伸びる巨大なサーベル状の牙。これほど極端な牙を持ちながら、哺乳類の食肉目(サーベルタイガーなど)とは全く別の系統で同じような姿に進化した「収斂進化」の代表例です。
現代へのカウントダウン
新第三紀の終わりとともに、地球はさらに寒冷な「第四紀(氷河時代)」へと突入します。メガロドンのような巨大生物が消える一方で、過酷な環境を生き抜く知恵を身につけた人類が、いよいよ文明への道を歩み始めます。
新第三紀は、私たちが今日目にする動植物の顔ぶれがほぼ完成した、親しみ深くも驚きに満ちた時代なのです。
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