この記事は30年以上にわたり博物館に務める生物学の学芸員が執筆した専門記事です。なお、生物学記事のオリジナル画像は、教育目的での使用に限り、参照リンク付きでの転載を許可しています。

白亜紀の生物|恐竜時代のクライマックスを博物館学芸員が解説

約1億4500万年前から6600万年前まで続いた白亜紀。恐竜時代の最後を飾るこの時代は、地球史上最も華やかで、かつダイナミックな進化が遂げられた時期です。

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超大陸パンゲアはさらに細かく分裂し、現代に近い大陸配置へと近づいていきました。この大陸の隔離が、各地域で独自の進化を促します。また、植物の世界では「花(被子植物)」が登場し、それを取り巻く昆虫や恐竜たちの生態系を劇的に塗り替えました。今回は、大絶滅へのカウントダウンが始まる中で、最高潮の繁栄を見せた白亜紀の生物たちを紹介します。

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白亜紀の地球:大陸の孤立と花の革命

白亜紀の地球は非常に温暖で、北極や南極にも氷がなく、豊かな森林が広がっていました。海面上昇によって大陸の多くが浅い海に覆われ、生物たちはそれぞれの島大陸で独自の進化を遂げました。

最大のトピックは被子植物(花を咲かせる植物)の登場です。これにより、花粉を運ぶ昆虫が爆発的に増え、それを食べる小型恐竜や哺乳類、さらには植物の好みが変わった大型恐竜たちの勢力図も大きく変化しました。

白亜紀を代表する5種の生物

進化の頂点に達した、白亜紀を象徴するスタープレーヤーたちです。

ティラノサウルス・レックス (Tyrannosaurus rex)

化石資料と学術研究に基づいて復元したティラノサウルス(Tyrannosaurus rex)。白亜紀後期に生息した最大級肉食恐竜の生態再現イメージ

「暴君竜」の名を冠する、史上最強の呼び声高い肉食恐竜です。

特徴: 全長は約12メートル、体重は推定8トン。最大の武器は、獲物の骨を粉砕するほどの圧倒的な咬合力(噛む力)です。発達した嗅覚と立体視ができる視力を持ち、白亜紀末の北米大陸で頂点捕食者として君臨しました。

トリケラトプス (Triceratops)

ティラノサウルスと並び、白亜紀を代表する角竜類です。

特徴: 頭部に3本の大きな角と、首を守る頑丈なフリルを持っていました。現代のサイのように、この角を武器にして肉食恐竜から身を守ったり、仲間同士の儀式に使ったりしていたと考えられています。植物食恐竜としての完成形の一つです。

モササウルス (Mosasaurus)

後期白亜紀の浅海を遊泳するモササウルス(Mosasaurus)の学術的復元図。横扁した体型と縦型尾ビレ、円錐状の歯を備えた大型海生トカゲ類の形態を化石資料に基づき忠実に再現した古生物イラスト

恐竜が陸を支配していた頃、海を完全に支配していたのがこの巨大なトカゲの仲間(有鱗目)です。

特徴: 全長は最大17メートルに達しました。魚竜や首長竜に代わって海の王者となり、強力な顎とヒレ状の四肢で、魚、アンモナイト、さらには他の海生爬虫類までも捕食していました。

ケツァルコアトルス (Quetzalcoatlus)

後期白亜紀の氾濫原に立つケツァルコアトルス(Quetzalcoatlus)の学術的復元図。極端に長い頸部と無歯の嘴、四足姿勢で立つアズダルコ科翼竜の形態を化石資料に基づき忠実に再現した古生物イラスト

史上最大級の飛行動物である翼竜です。

特徴: 翼を広げた長さ(翼開長)は10メートルを超え、軽飛行機に匹敵するサイズでした。これほど巨大でありながら、骨の軽量化により空を舞うことができ、地上では四肢を使ってキリンのような姿勢で歩いていたと考えられています。

アルゼンチノサウルス (Argentinosaurus)

地球史上、最大級の陸上脊椎動物の一つとされる竜脚類です。

特徴: 推定全長は30〜35メートル、体重は70トンを超えていた可能性があります。白亜紀は「巨大化の時代」でもあり、南米大陸のような広大な土地で、このような規格外の巨体を持つ恐竜が進化しました。

衝撃の終焉:K-Pg境界の絶滅

白亜紀の終わり(約6600万年前)、現在のメキシコ・ユカタン半島付近に巨大な小惑星が衝突しました。これにより引き起こされた環境激変により、恐竜(鳥類を除く)、翼竜、首長竜、アンモナイトといった、それまで繁栄を極めた生物たちの多くが絶滅しました。

しかし、この未曾有の危機を生き延びた小さな哺乳類や鳥類が、次の「新生代」を切り拓くことになります。

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