
ベンチプレスのトレーニングで多発するのが肩の痛みです。その原因と対処法、肩を痛めない肩甲骨の寄せ方、肩が痛い時のベンチプレスのやり方、肩の故障を予防するために有効なローテーターカフの鍛え方などを解説します。
■ベンチプレスの肩の痛みはフォームが原因

ベンチプレスをして肩を痛めるケースのほとんどがフォームに起因しています。具体的には、肩甲骨を寄せきらずに挙上動作を行った場合に肩関節周辺の故障が引き起こされます。

肩を痛めるポジョンはほとんどの場合ボトムポジョンで、最も大胸筋が伸展した位置からの挙上動作の初動が三角筋で始まる(肩から動く)挙げ方の時に肩を痛めるのです。
ボトムポジョンからの初動を大胸筋にするためには、上図のように、完全に肩甲骨を寄せきりロックするとともに、肩を後方に引き寄せるイメージが必要になります。
■肩を痛めないベンチプレスの方法
こちらが模範的な肩甲骨の寄せ方とブリッジの組み方の動画です。
フォームの作り方は人により異なりますが、まずグリップを決め、肩甲骨をロックし、臀部と足位置を決めてブリッジを完成するのが一般的です。
■肩が痛い時のベンチプレスの方法
気をつけていても、日々のトレーニングのなかで肩を痛めてしまうこともあります。ベストは治るまでベンチプレスを行わないことですが、筋力・筋量の衰えが心配ですよね。
肩・三角筋にはグリップが広ければ広いほど負荷が強くかかります。肩を痛め気味の時は無理をせず、上の動画のようにナローグリップ気味のベンチプレスを行うとよいでしょう。
また、トライセプスバーを使ってパラレルグリップでベンチプレスを行うと、肩の痛みを感じないことも少なくありません。
※いずれの方法も軽めで、ゆっくりと効かせ、肘を張らないのがポイントですが、痛みのある場合は中止してください。
最後にご紹介するのが、トライセプスバーの進化バージョンであるメガトライセプスバーを使用したトレーニング動画です。メガトライセプスバーは多様な角度でグリッピングが可能なため、より多様に各筋肉に対して刺激を変化させることが可能になります。
■ベンチプレスのためのローテーターカフの鍛え方

ベンチプレスで肩を痛めてしまう原因として、肩甲骨ロックの甘さのほかに、挙上動作中の腕部のブレ(主に頭方向への傾き)があります。
これを防ぐためには、肩甲骨周辺のインナーマッスルであるローテーターカフ(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)を鍛えるのが効果的です。
●棘上筋・棘下筋・小円筋のトレーニング方法
ローテーターカフのうち棘上筋・棘下筋・小円筋は肩甲骨背面に位置しており、同一の動作で同時に鍛えることができます。上の二つの動画が棘上筋・棘下筋・小円筋を鍛えるために最適なエクスターナルローテーションです。反動を使うと刺激がアウターマッスルに逃げてしまうので注意してください。
●肩甲下筋のトレーニング方法
ローテーターカフのなかで唯一肩甲骨前面に位置する筋肉が肩甲下筋です。肩甲下筋を鍛えるためには、先のエクスターナルローテーションの拮抗動作であるインターナルローテーションが最適です。こちらも反動を使わないように気をつけてください。
■ベンチプレス世界ランカーの記事

下記の記事は、当サイトGLINTに客員執筆いただいている、パワーリフティング選手で世界ランカーでもある奥谷元哉選手によるベンチプレス専門記事です。

【ベンチプレス100kgを挙げるやり方】フォームとメニューの組み方を元全日本王者が解説
【戦歴】
2009年全日本パワーリフティング選手権大会75kg級大会優勝
2011年全日本パワーリフティング選手権大会74kg級優勝
2011日本ベンチプレス選手権大会74kg級3位
2011年世界パワーリフティング選手権大会ベンチプレス種目別74kg級2位
2012年アジアパワーリフティング選手権大会ベンチプレス種目別74kg級1位
2014日本ベンチプレス選手権大会74kg級3位
2015年全日本ベンチプレス選手権大会74kg級3位
2017年全日本パワーリフティング選手権大会74kg級3位
2018年全日本ベンチプレス選手権大会74kg級3位
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