腕相撲に勝つために必要な手首の強さの鍛え方(前腕の部位別)

この記事は全日本3位以上・日本代表の各競技選手のみが執筆した専門記事です。

腕相撲

腕相撲を原点とするアームレスリングは「前腕のスポーツ」とも呼ばれるくらいで、腕相撲では手首の強さ=前腕の筋力がとても重要です。

腕相撲には大きく2つの技がありますが、それぞれに必要となる前腕の筋肉部位とその鍛え方は異なります。これらについて、解説します。


※本記事は一般社団法人JAWA日本アームレスリング連盟により、競技の普及を目的として公開されています。ウエイトトレーニング愛好家の方々が、まずは一般的な腕相撲から始まり、さらに本記事をきっかけにアームレスリング競技に興味を持っていただけますと幸いです。

記事制作:MazurenkoJapan
コピーライト:JAWA

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腕相撲(アームレスリング)の2つの技

吊り手(トップロール)

一般的な腕相撲にはない、アームレスリング独特のテクニックで、肘を支点にして身体を後方へ落とし、てこの原理を使って相手の指先を吊り上げるようにして倒す技です。

一般的に腕相撲は、手首を屈曲・回外させ(巻き込む)動作で行われますが、トップロールでは手首を屈曲・回内させ、相手の指先をめくるように伸ばします。

この画像は、吊り手(トップロール)の初動をあらわしたものですが、吊り手(トップロール)は肘を支点として「釘抜きの要領」=「テコの原理」で相手の指先を吊り上げ、相手に力が入らないようにする技です。

吊り手(トップロール)は複雑な三次元曲線軌道を持つ技で、その習得には反復練習が必要となってきます。

具体的には、①斜め後方に吊り上げる、②斜め後方に引きつける、③手首を返しながら倒す、となります。

噛み手(フック)

一般的な腕相撲の概念に近い動作のテクニックがフック「噛み手」と呼ばれる技で、どちらかと言えばパワー系の技ですが、通常の腕相撲の「手首を巻き込み力で倒す」技ではなく、相手よりも手首の位置が相手より高くなるように前腕をひねり上げ、相手の手を下敷きにするといったテクニック動作を伴います。

こちらの画像は、フックの引き方をあらわしたものですが、背中を使って引きつけることが重要な要素です。

フックの軌道は直線ではなく三次元軌道です。具体的には、①横方向に噛む(手首を入れる)、②斜め下方に背中で引く、③親指を内旋させながら倒す、となります。

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前腕筋群の作用と腕相撲の技

この画像は、前腕持つ作用である手首関節の動きを図式化したものです。腕相撲の技ごとに重要となる動作は以下の通りです。

吊り手(トップロール)=外転(橈屈)と回内

噛み手(フック)=屈曲(掌屈)と回外

前腕伸筋群の構成筋と主な作用

腕橈骨筋(musculus brachioradialis)
長橈側手根伸筋(musculus extensor carpi radialis longus)
短橈側手根伸筋(musculus extensor carpi radialis brevis)
回外筋(musculus supinator)
尺側手根伸筋(musculus extensor carpi ulnaris)
総指伸筋(musculus extensor digitorum)
小指伸筋(musculus extensor digiti minimi)
示指伸筋(musculus extensor indicis)
長母指伸筋(musculus extensor pollicis longus)
短母指伸筋(musculus extensor pollicis brevis)
長母指外転筋(musculus abductor pollicis longus)

作用:手首関節の伸展(背屈)・外転(橈屈)・回外

前腕屈筋群の構成筋と主な作用

円回内筋(musculus pronator teres)
橈側手根屈筋(musculus flexor carpi radialis)
長掌筋(musculus palmaris longus)
尺側手根屈筋(musculus flexor carpi ulnaris)
浅指屈筋(musculus flexor digitorum superficialis)
深指屈筋(musculus flexor digitorum profundus)
長母指屈筋(musculus flexor pollicis longus)
方形回内筋(musculus pronator quadratus)

作用:手首関節の屈曲(掌屈)・内転(尺屈)・回内

腕相撲に重要な前腕の筋肉

以上のことから、腕相撲に重要な前腕の筋肉は、使う技別に以下のようになります。

吊り手(トップロール)=腕橈骨筋・円回内筋・橈側手根屈筋

噛み手(フック)=回外筋・長母指屈筋・深指屈筋

それでは、次の項目では腕相撲の技別に具体的な手首の鍛え方を解説します。

手首(前腕)トレーニングの反復回数

前腕の筋肉は日常での使用頻度が高く、他の部位の筋肉のような負荷回数設定では十分に効かせることができません。

前腕の筋肉のトレーニングは、20~30回の反復動作で限界が繰るような、高レップ数で行ってください。

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手首の屈曲(掌屈)の筋力の鍛え方

リストカール

手首の屈曲(掌屈)を鍛えるための基本種目がリストカールです。バーベルだけでなく、ダンベルやケーブルマシンを使って行うことも可能です。

ポイントは、ひざの上にしっかりと前腕を置き、反動や上腕二頭筋を使わずに、手首の動作だけに集中することです。

手首の外転(橈屈)の筋力の鍛え方

リストハンマー

IMG_20150908_201526.jpg

手首の外転(橈屈)力、いわゆる「ヘッドの力」を鍛えるのに特化したトレーニング方法がリストハンマーです。

ダンベルの片側だけにプレートをつけて行います。

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手首の回内・回外の筋力の鍛え方

リストスピネーション

手首の回外力を鍛えるためのトレーニング方法がリストスピネーションです。画像の状態からダンベルを内側に倒し、そこから手首を回外させながら元の位置まで戻る動作を繰り返します。

リストプロネーション

手首の回内力を鍛えるのに適したトレーニング方法がリストプローネーションです。ケトルベルなどのおもりに、柔道の帯などをセットして行います。

より実践的に手首を鍛えるためには

腕相撲に必要な手首の力を鍛えるためには、やはりアームレスリング専用に開発されたトレーニング器具を使うのがベストです。

アームレスリング専用のトレーニング器具にはいくつかのメーカーがあります。

これら、メーカー別の製品の種類や特徴については下記のページで詳しく解説しています。

公認・腕相撲(アームレスリング)トレーニング器具・ケーブルアタッチメント一覧|一般社団法人JAWA日本アームレスリング連盟
腕相撲・アームレスリングのトレーニング器具(ケーブルアタッチメント)にはさまざまなものがありますが、世界中の選手から評価されているのがIFA(International Federation of Armwrestlin

強くなるには結局実戦練習が一番

今回は、腕相撲が強くなる方法をご紹介してきましたが、結論を言えば、腕相撲が強くなるための一番の近道は、結局はその道の専門家=アームレスラーと一緒に実戦練習を行い、直接技を教えてもらうことです。

日本アームレスリング連盟には全国に支部連盟・クラブチームがあります。

是非、お気軽に、ご連絡ください!

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