
腕相撲が強くなるアームカールの種類と実戦的なやり方を、アームレスリング元日本代表・アジア選手権メダリストの筆者が解説します。
また、あわせて腕相撲に必要な筋肉の連動性から、実施したいコンパウンド種目(複合関節運動)についてもご紹介します。
腕相撲の基本は親指の壁

腕相撲(アームレスリング)で勝つための基本は「親指の壁を倒さない」ことです。わかりやすく言えば、どんな状態でも常に親指は上に向いていないといけません。
腕相撲が強くなるのはハンマーカール
このため、腕相撲に対してもっとも実戦的なアームカールは、親指が上を向く方で動作する「ハンマーカール」一択です。
ダンベルハンマーカールが効果のある筋肉は、腕の前側の筋肉(いわゆる力こぶの筋肉)である上腕二頭筋です。上腕二頭筋は長頭と短頭にわけられ、長頭は肘関節の屈曲を、短頭は肘関節の屈曲および前腕の回外をする作用があります。
一般的に、上腕二頭筋長頭が発達すれば腕が太くなり、上腕二頭筋短頭が発達すれば腕の高さが出るとされています。

ダンベルハンマーカールは、特に長頭に効果の高いやり方です。
ダンベルハンマーカールのやり方と動作ポイント
①背すじを伸ばして立ち、腕を伸ばした位置で手の平が向き合うようにダンベルをグリップして構える
②肘の位置を動かさないように注意し、肘を曲げてダンベルを持ち上げていく
③ダンベルを持ち上げたら、ウエイトに耐えながら筋肉に効かせつつ元に戻る
ワンポイントアドバイス
肘の位置を動かすと僧帽筋に負荷が逃げやすくなりますので、しっかりと肘の位置を固定して行うことが大切です。
そもそも腕相撲では肘を狭めない

これは本格的なアームレスリングの写真ですが、腕相撲もアームレスリング同様に勝つために「二頭筋を収縮させて肘の角度を狭めることはない」です。

腕相撲(アームレスリング)には大きく2つの技があり、それは吊り手(トップロール)と噛み手(フック)です。それぞれ旋回方向が逆になる技なのですが、少なくとも肘の角度に関してはどちらの技でも、最初から最後まで90度前後、というのが理想です。

筋肉の収縮には3種類あります。短縮性収縮(コンセントリック収縮)・伸張性収縮(エキセントリック収縮)・等尺性収縮(アイソメトリック収縮)です。
先程から解説しているように、腕相撲では肘を狭めません。ですので、鍛えるべきは「等尺性収縮(アイソメトリック収縮)」です。
このためには、ダンベルハンマーカールでダンベルを上下させるのではなく、肘が90度になる位置でひたすらキープするというトレーニング方法になります。

この状態です。具体的には90度で30秒ほどキープできるギリギリの重量のダンベルを、両手を使ってこの位置まで上げ、そこから片腕だけでダンベルが下がらないようにひたすら耐えます。
腕相撲は背中で戦う

腕相撲の基本動作は、親指が倒れないようにしつつ(前腕筋)、肘を直角に維持しつつ(上腕二頭筋)、背中(広背筋と大円筋)で引き倒します。
ですので、背中のトレーニングのなかで筋肉を連動させて腕の筋肉を鍛える、というのがより実戦的で、その種目がパラレル懸垂です。
パラレルグリップ懸垂

腕相撲・アームレスリング強化のための基本となる懸垂バリエーションがパラレルグリップ懸垂で、多くのアームレスラーが実践しています。
これは、腕相撲・アームレスリングのフォームに近い状態、つまり、脇を閉めた状態で筋肉に負荷をかけられるからです。
パラレル懸垂のやり方の手順
①手の平が向き合うようにグリップし構える
②肩甲骨を寄せながら身体を引き上げていく
③身体を引き上げたら、肩甲骨を寄せきるとともに、やや顎を上げて背筋群を完全収縮させる
フォームのポイント
本種目は、背中を丸めずに行うことが重要で、そのためには背すじを伸ばして、やや顎を上げた状態で行うことがポイントです。また、肩甲骨を寄せずに行うと負荷が上腕二頭筋にばかりかかってしまうので注意してください。
なお、下記のような太いグリップや円錐状のグリップでパラレル懸垂をすると効果的で、実際、海外のアームレスリング専門メーカーから発売されています。


