【ベンチプレス女性版】胸の土台アップ効果の高いやり方と重さの決め方

この記事は全日本3位以上・日本代表の各競技選手のみが執筆した専門記事です。

バーベルベンチプレスは女性の胸の土台アップにも効果的なフリーウエイト種目です。そのやり方・重さの設定・バリエーションについて動画をまじえて解説します。

ジムトレーニングを始めたばかりの初心者の方には、マシントレーニングに比べるとバーベルトレーニングはとっつきにくいものですが、非常に効果がありますので、ぜひバーベルベンチプレスにもチャレンジしてみてください。

執筆者・監修者・運営者情報

バーベルベンチプレスが効果のある筋肉部位

各筋肉の構造や作用および起始停止・支配神経に関しては下記の専門サイトおよび学術文献を参照しています。

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Skeletal Muscle: A Brief Review of Structure and Function(PDF)

バーベルベンチプレスは胸の筋肉である大胸筋に効果があるだけでなく、三角筋や上腕三頭筋にも二次的に効果があります。

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バーベルベンチプレスの重さの設定

胸の土台アップの場合は速筋繊維をターゲットにする

バーベルベンチプレスの重さの設定は、筋肉をつけて積極的に胸の土台アップするのか、シェイプアップとして上半身を全体的にシェイプアップするのか、その目的によって異なります。

胸の土台アップの場合は筋肥大を起こす速筋をターゲットにし、シェイプトレーニングの場合は筋肥大を起こさない遅筋をターゲットにします。

胸の土台アップは15回で限界がくる重さにバーベルをセット

速筋狙いの場合は15回で反復限界がくる重さで、遅筋狙いの場合は20回以上で反復限界がくる重さで行うのが一般的ですので、胸の土台アップ筋トレでは15回の反復で限界がくる重量設定が最適です。

胸の土台アップするために重要なこと

シェイプアップはせずむしろ少し体重を増やす

どうしても女性は「筋トレ」=「シェイプアップ」と直結しがちですが、胸の土台アップ筋トレに関してはこの考えは間違いになります。

バストを形成する主な組織は脂肪組織ですので、シェイプアップをすると脂肪量が減少し、必然的にボリュームダウンにつながります。

ですので、筋トレをしながらほんの少し体重を増やすくらいの気持ちで取り組んでください。
もちろん、ただ体重を増やすだけでもバストボリュームは上がりますが、それでは下垂してしまいますので、大胸筋をトレーニングしてリフトアップを行うのが正しいメソッドです。

あえて体重をほんの少し(数キログラム)増やし、なおかつウエストラインやお尻の位置を上げるなどのボディーメイキングを行うのが、凹凸のある身体つくりには最効率です。

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胸の土台アップベンチプレスの頻度と総セット数

鍛えすぎないことが大切

実際に当ジムで胸の土台アップベンチプレスを行い、成果を出している女性に指導している内容は「やりすぎない」ことです。

筋肉を鍛えすぎると周辺の脂肪量は減少傾向になります。胸の土台アップをしたいという気持ちが強いほど、ついハードにトレーニングしてしまいがちですが、あえて「程よい筋トレ頻度と総セット数」にすることが大切です。

具体的には、大胸筋をしっかり超回復させるため、胸トレーニングは頻度は週に一回に抑え、各ベンチプレスバリエーション1セットずつ+仕上げのケーブルorダンベル種目を数セット、というのが最適です。

バーベルベンチプレスの種類別やり方とポイント

基本のフラットベンチプレス

最も基本的なベンチプレスのバリエーションが水平なベンチで行うフラットベンチプレスです。

肩甲骨を寄せ、肩甲骨二点と臀部一点の計三点で上半身を固定し、軽く背中を反らせてブリッジを作って行うのがポイントです。

ますは、胸の土台アップの基礎として、しっかりと行っていきましょう。

◆バーベルベンチプレスのやり方と動作ポイント
①ベンチに仰向けになり、肩甲骨を寄せ、80cm前後の手幅でシャフトをグリップし、足を踏ん張りブリッジを作って構える

②バーベルをラックアウトし、胸の真上まで水平移動させる

③肩甲骨を寄せたまま、ある程度筋力でコントロールしてシャフトを胸の上に下ろす

④肩甲骨を寄せたまま、腕を押し出しバーベルを元の位置まで上げる

⑤しっかりと肘を伸ばし、顎を少し引いて大胸筋と上腕三頭筋を完全収縮させる

◆ワンポイントアドバイス
ストリクトに効かせるためには、勢いをつけてシャフトをバウンドさせないようにすることと、腰を浮かせないようにすることが大切です。

なお、当サイトに客員執筆していただいている、ミスボディーフィットネストップ選手にMIKIKO様のベンチプレストレーニングのコツは以下の通りです。

「まずアーチを作ってみましょう。体全体で重りを受け止め、挙げるためです。アーチを作る手順は人それぞれですが、私の場合はベンチに横たわる→手を頭の方にまわしベンチ台の角を掴む→足裏はベンチ台の上に置く→お尻とお腹を天井に向け思いっきり突き上げる→背中のアーチが潰れないようにそーっとお尻だけベンチにつける→足裏を床につける→バーベルを握り肩甲骨を寄せて横のアーチをつくる→完了です。

縦と横、背中に十字架のアーチをイメージしています。

次に大きく息を吸って胸を膨らませ、胸を張ったまま、ラックから外してバストトップの真上辺りで一時停止、そこから真っ直ぐ下にシャフトを下ろしてきましょう。慣れないうちは下ろす軌道が安定せず頭側や、お腹側にフラつくことがありますが、繰り返すうちに安定してきます。

挙げる時に、アーチが潰れて腕だけ伸ばさないようにしましょう。肩甲骨を寄せて押し下げ、胸を張ったままプレス動作をすることが大切です。プレス時に肩の後ろがベンチから離れると、肩の痛みの原因になってしまいます。(画像参照)」

バストを上げるインクラインベンチプレス

インクラインベンチプレスは大胸筋上部に効果的なバリエーションで、バスト全体をリフトアップするために重要な種目と言えます。

腰を浮かせるとせっかくの斜め上方への軌道が普通のベンチプレスと同じになってしまいますので、最後までしっかりとシートに背面をつけて行ってください。

◆インクラインベンチプレスのやり方と動作ポイント
①インクラインベンチに仰向けになり、肩甲骨を寄せ、80cm前後の手幅でシャフトをグリップし、足を踏ん張りブリッジを作って構える

②バーベルをラックアウトし、胸の真上まで水平移動させる

③肩甲骨を寄せたまま、ある程度筋力でコントロールしてシャフトを胸の上に下ろす

④肩甲骨を寄せたまま、腕を押し出しバーベルを元の位置まで上げる

⑤しっかりと肘を伸ばし、顎を少し引いて大胸筋上部と上腕三頭筋を完全収縮させる

◆ワンポイントアドバイス
腰を浮かせると、せっかくの大胸筋上部に効果のある軌道が失われますので、最後までしっかりとベンチに腰をつけて行なってください。

全体ボリュームを増やすデクラインベンチプレス

デクラインベンチプレスは、大胸筋下部に効果的なバリエーションです、大胸筋のなかでも最大体積の下部をバルクアップすることでバストの土台もアップします。

セット終盤でやや腰を浮かせて追い込むのもテクニックの一つとして知られていますが、まずはしっかりとシートに背面をつけることを意識して取り組んでください。

◆デクラインベンチプレスやり方と動作ポイント
①デクラインベンチに仰向けになり、肩甲骨を寄せ、80cm前後の手幅でシャフトをグリップし、足を踏ん張りブリッジを作って構える

②バーベルをラックアウトし、胸の真上まで水平移動させる

③肩甲骨を寄せたまま、ある程度筋力でコントロールしてシャフトを胸の上に下ろす

④肩甲骨を寄せたまま、腕を押し出しバーベルを元の位置まで上げる

⑤しっかりと肘を伸ばし、顎を少し引いて大胸筋と上腕三頭筋を完全収縮させる

ワンポイントアドバイス
セット終盤で少しだけ腰を浮かせることで、セルフ補助が可能ですが、はじめから腰浮きありきの重量設定はおすすめしません。

バストを寄せるナローベンチプレス

ナローベンチプレス(クローズグリップベンチプレス)は大胸筋内側に対して効果的で、バストを寄せるために重要な種目です。

◆ナローグリップベンチプレスのやり方と動作ポイント
①ベンチに仰向けになり、肩甲骨を寄せ、60~70cm前後の手幅でシャフトをグリップして構える

②バーベルをラックアウトし、胸の真上まで水平移動させる

③肩甲骨を寄せたまま、ある程度筋力でコントロールしてシャフトを胸の上に下ろす

④肩甲骨を寄せたまま、腕を押し出しバーベルを元の位置まで上げる

⑤しっかりと肘を伸ばし上腕三頭筋を完全収縮させる

◆ワンポイントアドバイス
肘を外に張り出すと上三頭筋短頭に、肘を絞って行うと上腕三頭筋長頭に効果があります。

小胸筋に効果的なワイドベンチプレス

大胸筋外側の深層には大胸筋をリフトアップする作用のある、小胸筋と呼ばれるインナーマッスルがあり、胸の土台アップ(リフトアップ)のためにはこの深層筋を鍛える必要があります。

大胸筋外側と小胸筋に効果の高いベンチプレスバリエーションが、広い手幅で行うワイドベンチプレスです。

なお、この種目はバーベルを下ろした位置での動作が重要ですので、無理に肘が伸びるまでバーベルを押し上げる必要はありません。

◆ワイドグリップベンチプレスのやり方と動作ポイント
①ベンチに仰向けになり、肩甲骨を寄せ、90cm前後の手幅でシャフトをグリップし、足を踏ん張りブリッジを作って構える

②バーベルをラックアウトし、胸の真上まで水平移動させる

③肩甲骨を寄せたまま、ある程度筋力でコントロールしてシャフトを胸の上に下ろす

④肩甲骨を寄せたまま、腕を押し出しバーベルを元の位置まで上げる

⑤しっかりと肘を伸ばし、顎を少し引いて大胸筋と上腕三頭筋を完全収縮させる

◆ワンポイントアドバイス
本種目は、肩甲骨の寄せが甘いと、特に肩関節に大きな負担がかかりますので注意してください。

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胸の土台アップベンチプレスの仕上げ種目

ケーブルフライ

ノーマルのケーブルフライは、大胸筋内側に効果的で、胸の土台アップ筋トレとしては「寄せる」効果のある種目です。

腕を閉じた後に、さらに前方に腕を押し出す動作を加えることで、大胸筋内側が完全収縮してさらに効果が高まります。


プロフィールはこちら

戦績:H26オールジャパンミスボディフィットネス 163cm以下級 第3位など

当サイトに客員執筆していただいているボディーフィットネス選手のMIKIKO様による解説は以下の通りです。

「ケーブルの重さに引っ張られてバランスを崩したり、力を抜きすぎてストレッチがかかり過ぎないように注意が必要です。

かといって、軽すぎるとケーブルマシンの良さが得られないので、重さの設定が大切です。
息を吸いながら胸を思いっきり膨らませ、フーッと吐きながら体の中心線前方で手のひらを合わせる感じです(肘は少し曲げ気味で)。」

ケーブルフライには、ノーマルフライのほかに、大胸筋上部に効果的なローケーブルフライ(またはインクラインケーブルフライ)、大胸筋上部に効果的なハイケーブルフライ(またはデクラインケーブルフライ)などのバリエーションがあります。
詳しくは下記の記事をご参照ください。

ダンベルフライ

大胸筋の内側上部を集中的に鍛えることができ、女性の胸の土台アップに最適な種目がインクラインダンベルフライです。

腕を閉じた後に、やや上にダンベルを押し上げるようにするとさらに効果的です。

なお、ダンベルフライには大胸筋上部に効果的なインクラインダンベルフライなどのバリエーションもあります。

ベントアームダンベルプルオーバー

ダンベルプルオーバーは、やり方によって胸に効いたり背中に効いたりする、少し変わった種目ですが、こちらが、胸に主体を置いたダンベルプルオーバーで、肘をやや外に開きながら曲げて動作を行うことで、大胸筋に負荷が集中します。

また、スクワットなどの息が上がるトレーニング種目の後に、胸いっぱいに息をためてダンベルプルオーバーを行うことで、そもそもバストの土台となる胸郭自体を広げる効果もあります。

マシンチェストプレスについて

負荷をかけるのに専念できる反面インナーマッスルが鍛えにくい

ジムでトレーニングを始める女性が、胸トレーニングでまず行うのがマシンチェストプレスです。マシンは軌道のブレをレールが支えてくれるので、ウエイト負荷を押す動作に専念できるため、女性にとってはとっつきやすいカテゴリーの筋トレです。

ただし、マシンがブレを支えてくれるということは、反面、体幹のインナーマッスルが鍛えられにくい、ということですので、ワンランク上の成果を求める方には、やはりバーベルベンチプレスがおすすめです。

当サイト執筆者は、運営しているクラブチームジム「FutamiTC」で日常的にトレーニング指導を行っており、本記事の内容も実際の指導現場で得た経験をもとにフォームのポイントやアドバイス点をまとめています。

女性トップアスリートによる執筆記事

当サイトでは、数多くの女性筋トレ記事を国内トップレベルの女子選手に客員執筆していただいています。以下に代表的な記事をご紹介します。

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シェイプアップ筋トレと体重

シェイプアップ筋トレを行う前の高体脂肪の体格と、継続後に形成されるスリムな体型における脂肪と筋肉の関係を模式図として示しました。シェイプアップ筋トレを継続すると、開始時の体型にもよりますが、筋量の増加や身体組成の変化により一時的に体重が上昇することがあります。

ただし、体脂肪自体は減少していくため、外見上は引き締まった印象になります。シェイプアップ筋トレを実施する際は、体重の数値にとらわれず、ウエストやヒップなど各部位のサイズを計測し、変化を確認することが重要です。

シェイプアップ筋トレの呼吸法

シェイプアップ筋トレの主目的は、ウエイトトレーニングの継続によって筋密度を高め、代謝の良い身体を形成することです。また、トレーニング中には有酸素的なエネルギー消費も副次的に得られます。そのためには、動作中に腹式呼吸を意識することが有効で、鼻から吸って口からゆっくり吐くことで自然に腹式呼吸が促されます。

筋肉の名称と作用

身体を鍛えていく上で、まず理解したいのが全身の主な筋肉の名称と作用です。それぞれの筋肉の役割を知ることで、効率のよいトレーニングを行うことが可能になります。

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