
自宅で自重とチューブ・ダンベルを使って腕の後側の筋肉・上腕三頭筋を筋トレする方法(バルクアップ向き)を解説するとともに、上腕三頭筋の三つの筋肉部位=長頭と短頭(内側頭・外側頭)の作用についても解説し、それぞれの効果的な鍛え方を個別にご紹介します。

執筆者(上岡岳)プローフィール
【アームレスリング主戦績】
全日本マスターズ80kg超級2位
アジア選手権マスターズ90kg級3位
■上腕三頭筋の部位分けと作用
●長頭と内側頭・外側頭に分けられる

上腕三頭筋は、上腕内側上部に位置し手入る筋肉で、唯一体幹と接合している長頭、上腕外側に位置する外側頭、肘周辺の上腕内側に位置する内側頭の三部位から構成されています。
それぞれの作用は以下の通りです。なお、長頭は上腕三頭筋全体のボリュームに大きく影響し、外側頭および内側頭は上腕三頭筋の盛り上がったフォルムに強く影響します。
○上腕三頭筋長頭:肘関節の伸展と肩関節の内転(脇を閉じる)をする働きがあります。
○上腕三頭筋外側頭:肘関節の伸展をする働きがあります。
○上腕三頭筋内側頭:肘関節の伸展で外側頭を補助する作用があります
■上腕三頭筋の筋トレの負荷回数設定
●まずは1セット15回で慣れれば8回

筋トレで鍛える骨格筋を構成している筋繊維には以下の三種類があり、それぞれの特徴は次の通りです。
①速筋繊維TYPE2b
約10秒前後の短い時間に爆発的・瞬発的な収縮をする特徴があり、トレーニングにより強く筋肥大します。10回前後の反復回数で限界がくる重量設定で鍛えます。
②速筋繊維TYPE2a
10~60秒ほどのやや長時間で瞬発的な収縮をする特徴があり、トレーニングによりやや筋肥大します。15回前後の反復回数で限界がくる重量設定で鍛えます。
③遅筋繊維TYPE1
60秒以上数分・数時間の持続的・持久的な収縮をする特徴があり、トレーニングにより筋肥大せずに引き締まります。20回以上の反復回数で限界がくる重量設定で鍛えます。
つまり、筋肥大バルクアップ目的なら①、細マッチョ筋トレや女性の部分ボリュームアップ目的なら②、減量引き締めダイエット目的なら③、の負荷回数設定で筋トレを行っていきます。ただし、腹筋郡・前腕筋郡・下腿三頭筋など日常での使用頻度が高い部位は、基本的に20回以上高反復回数で鍛えます。。
■上腕三頭筋全体に効果のある筋トレ
●ダイヤモンド腕立て伏せ
上腕三頭筋全体に効果のある自重トレーニングが、親指と人差し指でダイヤモンド形を作って行う腕立て伏せです。肘を閉じ気味で行うと長頭に、開き気味で行うと内外側頭に効果があります。この菱形を作らずに床に手をついて腕立て伏せを行うと、手首関節を怪我するリスクがありますので注意してください。
【本種目のやり方とコツ】
①うつ伏せになり、親指と人差し指でダイヤモンド型を作って手を床につき、背すじを伸ばし、肩甲骨を寄せて構える
②肩甲骨を寄せたまま、お腹を突き出したり腰を曲げたりせずに身体を下ろす
③身体を下ろしたら、肩甲骨を寄せたまま息を吐きながら身体を押し上げる
④肘を伸ばし上腕三頭筋を完全収縮させる
●ダンベルトライセプスプレス
上腕三頭筋全体に効果のあるダンベル筋トレが、ダンベルを通常のダンベルプレスとは逆手に保持して行うダンベルトライセプスプレスです。動画はベンチを使っていますが、床で行っても同様の効果があります。
【本種目のやり方とコツ】
①ベンチに仰向けになり、ダンベルを胸の上で逆手でグリップして構える
②肘を外にあまり張り出さないように注意してダンベルを押し上げる
③しっかりと肘を伸ばして上腕三頭筋を完全収縮させる
④ウエイトに耐えながら、筋肉に効かせつつ元に戻る
■上腕三頭筋長頭に効果のある自宅筋トレ
●ベンチディップス
上腕三頭筋長頭を集中的に鍛えることのできる自重トレーニングが電池ディップです。肘をできるだけ閉じて行うほうが上腕三頭筋長頭には効果的です。
【本種目のやり方とコツ】
①足を前に伸ばし、肩甲骨を寄せ、手を身体の後ろ側について構える
②身体を真下に下ろしていく
③上腕が床と平行になるまで身体を下ろしたら、肘を伸ばして身体を押し上げていく
④身体を押し上げたら、肘をしっかりと伸ばして上腕三頭筋を完全収縮させる
●チューブトライセプスエクステンション
チューブトライセプスエクステンションは、上腕三頭筋長頭に負荷が集中するチューブ筋トレです。長頭の内転作用を考慮し、しっかりと脇をしめるとともに、肘を固定して肘から先だけで動作を行ってください。
【本種目のやり方とコツ】
①下からゴムの張力がかかる状態でトレーニングチューブをグリップし、頭の上で両手を構える
②肘の位置を動かさないように気をつけて、肘を伸ばしていく
③しっかりと肘を伸ばして上腕三頭筋を完全収縮させる
④張力に耐えながら、筋肉に効かせつつ元に戻る
●ダンベルキックバック
上腕三頭筋長頭に非常に効果的なダンベル筋トレ種目がダンベルキックバックです。反動を使わずにコントロールできる重量設定で行い、肘をきっちり伸ばして上腕三頭筋長頭を完全収縮させるようにしてください。
また、肘を伸ばしたポジションで手の平が上を向く方向に前腕を回内させると長頭が完全収縮して効果が高まります。
なお、肩関節が動くと負荷が背筋群に逃げてしまいますので、肘を体側にしっかりと固定して動作を行ってください。
【本種目のやり方とコツ】
①片手をベンチにつき、もう片手でダンベルを保持し、肘を曲げた位置で構える
②肘の位置を動かさないように気をつけて、肘を伸ばしていく
③しっかりと肘を伸ばして上腕三頭筋を完全収縮させる
④ウエイトに耐えながら、筋肉に効かせつつ元に戻る
●オーバーヘッドフレンチプレス
上腕三頭筋長頭が肩甲骨に接合している特性を利用し、肘を肩よりも上にあげて、ターゲットになる筋肉を最大伸展から最大収縮させられるトレーニング方法がオーバーヘッドダンベルフレンチプレスです。
肩関節を動かさないように注意し、肘をなるべく近づけて動作を行ってください。
【本種目のやり方とコツ】
①ダンベルを頭の上で保持して構える
②肘の位置を動かさないように気をつけて、肘を伸ばしていく
③しっかりと肘を伸ばして上腕三頭筋を完全収縮させる
④ウエイトに耐えながら、筋肉に効かせつつ元に戻る
また、立って行うスタンディング形式での行うのが難しく感じる方は、この動画のように座って行うシーテッドスタイルがおすすめです。
なお、シングルハンドで行い、ダンベルを頭の反対側で下ろして上腕三頭筋長頭をさらに伸展させられるワンハンドスタイルのバリエーションもあります。
■上腕三頭筋短頭に効果的な自宅筋トレ
●パイクプッシュアップ
パイクプッシュアップは三角筋のトレーニングとして知られていますが、上腕三頭筋の短頭にも高い効果があります。肘が体幹より後ろ側にくると肩関節に負担がかかりますので、肘は常に身体の前側になるように動作してください。
なお、強度を上げたい場合は、足を台の上に置くことで負荷を強めることが可能です。
【本種目のやり方とコツ】
①うつ伏せになり、片幅よりやや広く手幅をとって手を床につき、背すじを伸ばし、腰を大きく曲げ、甲骨を寄せて構える
②手の真上に肘がくる位置を保ち、肩甲骨を寄せたまま、斜め前方に身体を下ろす
③身体を下ろしたら、肩甲骨を寄せたまま息を吐きながら身体を斜め後方に押し上げる
●チューブトライセプスプレスダウン
チューブトライセプスプレスダウンは、手を並行に並べて構え、肘をやや外に開いて動作を行うことで、上腕三頭筋短頭に負荷が集中します。
肩関節が動いてしまうと、負荷が大胸筋や背筋群に逃げてしまいますので、肘を体側にしっかりと固定して動作を行ってください。
なお、手の平が向かい合うようにグリップし、脇をしめて動作を行うと負荷が長頭に移動します。
【本種目のやり方とコツ】
①頭の上から張力がかかるようにチューブをセットし、肘を曲げて構える
②肘の位置を動かさないように気をつけて、肘を伸ばしていく
③しっかりと肘を伸ばして上腕三頭筋を完全収縮させる
④張力に耐えながら、筋肉に効かせつつ元に戻る
●ライイングフレンチプレス
上腕三頭筋短頭(内外側頭)に効果的なダンベル筋トレ種目がライイングフレンチプレスです。やや肘を外に開き気味に行うと、さらに短頭に対して効果が高まります。
この種目も、肩関節が前後に動いてしまうと大胸筋と背筋群に負荷が逃げてしまいますので、肘を固定して肘から先だけで動作を行ってください。
●ダンベルテイトプレス
ダンベルテイトプレスの動作はいたって簡単で、動画のように肘を大きく開いて内側にダンベルを下ろしてから上げていきます。
一つ注意していただきたいのは肘の開きすぎです。肘を開きすぎ、肩のラインよりも頭側に肘がくると、肩関節に強い負荷がくわわり怪我のリスクもありますので、十分注意してください。
【本種目のやり方とコツ】
①ベンチに仰向けになり、ダンベルを胸の上でグリップして構える
②肘を曲げ、内側に向けて胸の上にダンベルを下ろす
③ダンベルを下ろしたら、肩関節を動かさないように注意してダンベルを元の位置まで押し上げる
■部位別の自宅筋トレ
大胸筋の自宅トレーニング背筋群の自宅トレーニング
三角筋の自宅トレーニング
上腕三頭筋の自宅トレーニング
上腕二頭筋の自宅トレーニング
自宅筋トレメニュー完全解説
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