
肩の筋肉である三角筋とローテーターカフ(回旋筋腱板)のトレーニングチューブを使った鍛え方を、三角前部・側部・後部とローテーターカフ前面・後面の部位別に詳しく解説します。
高重量のウエイトトレーニングでは、つい反動を使ってしまい、肩の筋トレは意外と難しいものですが、チューブトレーニングだとストリクトに鍛えやすいのでおすすめです。
■三角筋の構造と作用
●前部・中部・後部に分けられ腕を前・横・後ろに上げる

三角筋は前部・中部(側部)・後部に分けられ、それぞれ腕を前・横・後ろに上げる作用があり、三部位が共働して腕を上に上げる作用もします。
■ローテーターカフ(回旋筋腱板)の構造と作用
●棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋から構成され肩関節を回内・回外・内旋・外旋・内転・外転

ローテーターカフは肩甲骨周辺のインナーマッスルで、肩甲骨後面の棘上筋・棘下筋・小円筋、肩甲骨前面の肩甲下筋から構成され、肩関節を回内・回外・内旋・外旋・内転・外転させるといった複雑な作用をつかさどっています。
このため、投げる、打つといった動作が多いスポーツ競技において、競技能力向上に重要なだけでなく、肩の損傷予防にも鍛えておく重要性の高い筋肉群です。
■チューブトレーニングの効果を上げる方法

チューブトレーニングの効果を上げるためには、トレーニングチューブの特性、チューブ筋トレの特徴をしっかりと把握して取り組む必要があります。
①自重筋トレやダンベルトレーニングと組み合わせる
チューブトレーニングはそれ単体で行うよりも、まずは高負荷で筋肉を刺激することのできる自重トレーニングやダンベルトレーニングの複合関節種目(複数の筋肉と関節を同時に使う種目)を行った後に、追い込みや仕上げとして行うことで効果を高めることができます。②筋肉の伸展時に負荷が抜けないように構える
各トレーニング種目での筋肉の伸展ポジションで、トレーニングチューブがたるんで負荷が完全に抜けてしまうと筋トレ効果が落ちてしまいます。必ず、筋肉の伸展時にもテンションがかかるようにトレーニングチューブをセットして構えてください。③漸増負荷特性を意識して筋肉を最大収縮させる
トレーニングチューブはゴムの持つ「伸びるほど負荷が増加する」という「漸増負荷特性」を利用することで、効率的な筋トレを実現することが可能です。ゴムのテンションを感じながら、しっかりとターゲットにした筋肉を完全収縮するようにしてください。④筋トレ目的に合わせたチューブの強度設定をする

筋トレで鍛える骨格筋を構成している筋繊維には以下の三種類があり、それぞれの特徴は次の通りです。
①速筋繊維TYPE2b
およそ10秒以内の短時間に瞬発的な収縮をし、鍛えると強く筋肥大します。10回前後の反復回数で限界がくる重さの設定で鍛えます。
②速筋繊維TYPE2a
30~60秒ほどの持続的かつ瞬発的な収縮をし、鍛えると程よく筋肥大します。15回前後の反復回数で限界がくる重さの設定で鍛えます。
③遅筋繊維TYPE1
60秒以上の持久的な収縮をし、鍛えると筋密度が向上し引き締まります。20回以上の反復回数で限界がくる重さの設定で鍛えます。
つまり、バルクアップ目的なら①、細マッチョや女性の部分ボリュームアップ目的なら②、引き締めダイエット目的なら③、の負荷回数設定で筋トレを行っていきます。
チューブトレーニングの場合は、チューブ自体の強度の選定・チューブの張り方などで調整するほか、必要に応じて複数本のトレーニングチューブを束ねて使用してください。
■超回復とは

筋肉は筋トレによって負荷を受けると、筋繊維が破壊されます。そして、回復する時に、負荷を受ける前よりも強くなって回復する能力が備わっており、これを「超回復」と呼びます。
この超回復という筋肉の特性を利用し、定期的に筋トレによって意図的に筋繊維を破壊し、筋肉を強くしていくのが「筋トレと超回復」の基本理論です。
よく「超回復理論は証明されていない」と言う記載もありますが、公的機関のホームページにもしっかりと記載されていますので、筋トレはやはり超回復理論にのっとって行うことが大切です。
●筋トレ(無酸素運動)と超回復理論に関する公的情報
”筋肉はレジスタンス運動を行うと筋線維の一部が破断されます。それが修復される際にもとの筋線維よりも少し太い状態になります。これを「超回復」と呼び、これを繰り返すと筋の断面積が全体として太くなり筋力が上がります。筋力のトレーニングはこの仕組みを利用して最大筋力に近い負荷でレジスタンス運動し、筋が修復されるまで2~3日の休息ののち、またレジスタンス運動でトレーニングということの繰り返しによって行われます。(厚生労働省|e-ヘルスネット)”▼厚生労働省公式ページ
筋肉の超回復に関する記載
■三角筋全体のチューブトレーニング
●チューブショルダープレス
三角筋全体に効果的で、肩のチューブトレーニングの基本とも言えるのがチューブショルダープレスです。腕を上げる時に三角筋前部と側部、負荷に耐えながら腕を下ろす時に後部に効果がありますので、どちらの動作もゆっくりコントロールして行ってください。
【本種目のやり方とコツ】
①下から張力がかかるようにチューブをセットし、肩の高さでチューブをグリップして構える
②背中が丸くならないように視線を上に向け、腕を上に押し出していく
③腕を押し出したら、腕をしっかりと伸ばし三角筋を完全収縮させる
④張力に耐えながら、筋肉に効かせつつ元に戻る
●チューブアップライトロー
三角筋トレーニングは、大胸筋や背筋群に負荷が逃げやすくやや難易度が高いのですが、チューブアップライトローイングは比較的動作が簡単で効かせやすい種目です。肘を前に出すと三角筋前部に、後ろに引くと三角筋後部に効かせやすくなります。
【本種目のやり方とコツ】
①下から張力がかかるようにチューブをセットし、腕を伸ばした位置でグリップして構える
②肘を先行させて、肩甲骨を寄せないように気をつけて、拳を真上に引き上げていく
③拳を肩の高さまで引き上げたら、張力に耐えながら筋肉に効かせつつ元に戻る
■三角筋前部のチューブトレーニング
●チューブフロントレイズ
三角筋前部を集中的に鍛えられるのが、チューブフロントレイズです。初心者の方には、腕を交互に上げるオルタネイト式のやり方が動作がしやすくおすすめです。
【本種目のやり方とコツ】
①下から張力がかかるようにチューブをセットし、腕を伸ばした位置でグリップして構える
②上半身を反らせないように気をつけ、肘を伸ばしたまま、肩甲骨を寄せずに拳を前に上げていく
③拳を肩の高さまで上げたら、張力に耐えながら同じ軌道で元に戻る
■三角筋中部のチューブトレーニング
●チューブサイドレイズ
三角筋中部を集中的に鍛えられるのが、チューブサイドレイズです。腕を上げる時だけでなく、下げる時もチューブの負荷に耐えながら動作すると、さらに効果的です。
【本種目のやり方とコツ】
①下から張力がかかるようにチューブをセットし、腕を伸ばした位置でグリップして構える
②上半身を反らせないように気をつけ、肘を伸ばしたまま、肩甲骨を寄せずに拳を横に上げていく
③拳を肩の高さまで上げたら、張力に耐えながら同じ軌道で元に戻る
■三角筋後部のチューブトレーニング
●チューブリアラテラルレイズ
やや動作が難しいものの、三角筋後部を集中的に鍛えられるのが、チューブリアラテラルレイズです。三角筋後部に意識を集中して行ってください。
【本種目のやり方とコツ】
①下からゴムの張力がかかる状態でトレーニングチューブをグリップして構える
②前傾姿勢をとり、肘を伸ばしたまま、肩甲骨を寄せないように注意して両手を後ろに上げていく
③上腕が床と平行になる位置まで両手を上げたら、ゆっくりと筋肉に負荷をかけながら元に戻る
●チューブフェイスプル
チューブフェイスプルは、比較的簡単な動作で三角筋後部を鍛えられる種目です。肘を手よりも上にあげて動作をするのがポイントです。
【本種目のやり方とコツ】
①前から張力がかかるようにチューブをセットし、顔の前で腕を伸ばして構える
②肘を肩よりも高く上げたまま、拳を顔まで引き寄せる
③拳を顔の前まで引き寄せたら、張力に耐えながら同じ軌道で元に戻る
■ローテーターカフのチューブトレーニング
●チューブエクスターナルローテーション
棘上筋・棘下筋・小円筋を集中的に鍛えられるのが、チューブエクスターナルローテーションです。ローテーターカフはインナーマッスルですので、20レップ以上の低負荷でじっくりと鍛えてください。
●チューブインターナルローテーション
肩甲下筋に効果的なのが、チューブインターナルローテーションです。こちらの種目もゆっくりとした動作でしっかりと効かせるのがポイントです。
■筋肉部位ごとのチューブトレーニング
大胸筋のチューブトレーニング背筋群のチューブトレーニング
三角筋のチューブトレーニング
腕のチューブトレーニング
腹筋のチューブトレーニング
下半身のチューブトレーニング
チューブトレーニング完全解説
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